看護師の定年は、60歳と言われていますが高年齢者雇用安定法(第9条)により、最近では定年年齢を65歳への引き上げ、または一度定年退職し再雇用を行う病院や施設も増えています。
そのため、年齢にかかわらず働くことができるようになり、「60歳を過ぎても現役」という看護師が多くなってきています。
また、実際に厚生労働省が行う「令和2年賃金構造基本統計調査」によれば、65歳~69歳の看護師平均年収は、3,528,200円、70歳以上は2,417,000円と、働いている看護師が存在することが分かります。
しかし、昔のように働くことは、体力的にも難しくなる60歳を過ぎた看護師は、非常勤(パート)または嘱託職員としては働くことが多いといえます。
嘱託職員とは、法律で定められている雇用形態ではなく、多くは非常勤(パートタイム労働者)や契約職員(契約社員)で働く定年を過ぎ、再雇用した看護師を嘱託職員と言います。
そこで今回は、定年後に再就職できる職場とその注意点についてご紹介していきます。
目次
看護師が定年後に再就職できる職場とは
定年後の看護師が再就職可能な職場には、定年退職した病院やクリニック、特別養護老人ホーム等があります。
以下に、定年後の看護師が再就職可能な、おすすめの職場について紹介しながら、考えられるメリット・デメリットを説明していきます。
定年退職した病院
定年退職した病院に看護師として再雇用されることで、「仕事で新しいことを覚える必要がほとんどないこと」「新しい人間関係の構築が最小限で済むこと」がメリットと言えます。
また、仕事内容も負担がかからないように、ある程度考慮してもらいやすいと言えるでしょう。
定年退職した病院で再就職した場合、考えられるメリット・デメリットは、以下の通りです。
考えられるメリット |
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考えられるデメリット |
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クリニック
定年後の看護師がクリニックで再就職する場合は「日勤のみ」の場合が多く、仕事内容はクリニックに受診に来た患者の対応や医師の介助などが一般的です。
定年後の看護師が、クリニックで働く際の考えられるメリット・デメリットは以下の通りです。
考えられるメリット |
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考えられるデメリット |
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定年後の看護師でも働けるクリニックの診療科
定年後の看護師が働くことができる、おすすめのクリニックは以下の通りです。
簡単な仕事内容や理由と共にご紹介します。
皮膚科 | 医師の指示の元、軟膏を塗布する (定年後の体力に自信のない看護師でも可能) |
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眼科 | 技師や医師の検査・説明のフォローをする (視力検査は技師が行い病状的な説明は医師がするため) (看護師としての仕事・難しい看護業務がない) |
精神科 | 患者からの問い合わせに答える (診療室に入るわけでないため) |
内科 | (内科クリニックの数が多く、求人数が多い) |
整形外科 | ・マッサージなどの案内 ・診療の補助 (1日来院人数が多いところが多く、看護師を多く配置したいため) |
上記から見ても分かるように、経験がある看護師であれば行える業務ばかりです。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームに就職する看護師は、定年後も働こうと考えている人が選ぶ職場であり、求人数も多く、定年後でも採用もされやすいのが特徴です。
無理なく働く事が出来る
特別養護老人ホームは、施設系の中でも介護職員が中心となって仕事をしている場所であるため、看護師の仕事は処置や採血など簡単な業務で身体介助を行うことはほとんどありません。
そのため、力仕事がなく定年後の看護師でも無理なく働くことができます。
気持ちにゆとりを持って働く事が出来る
定年を迎えると、患者が頻繁に変わることが忙しく、そして辛くなってきます。
しかし、特別養護老人ホームでは、患者の出入りが少ないため気持ち的もゆとりをもって働くことができます。
そのため、患者とゆっくりと関わりたい看護師は、特別養護老人ホームでの勤務に向いていると言えるでしょう。
デイサービス
デイサービスは、特別養護老人ホーム同様に定年後再就職する看護師が多い職場だと言えます。
定年後の看護師がデイサービスに再就職する際の考えられるメリット・デメリットは以下の通りです。
考えられるメリット |
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考えられるデメリット |
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ずっと規模の大きな病院に勤務していた方などは、注意が必要です。
本来の看護師の仕事以外に困惑し、看護業務以外の仕事を受け入れられず、長く働くことが難しくなる場合もあります。
デイケア
デイケア(通所型介護サービス)では、基本的に通所のリハビリテーションや日常生活の回復をメインに行っている施設です。
定年後の看護師の再就職求人もあり、日勤のみで利用者と楽しくリハビリを行い、ゆったりとした時間を過ごしながら働くことができます。
定年後の看護師がデイケアで再就職する際の考えられるメリット・デメリットは以下の通りです。
考えられるメリット |
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考えられるデメリット |
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移乗介助・歩行介助などの力仕事の手伝いは、体力的にも辛いため定年後の看護師には負担に感じる可能性があります。
ただし、施設によって異なるので仕事内容の詳細などを確認しておけば良いでしょう。
障害者施設
障害者施設では、支援員がメインで利用者の生活を見ているため、看護師としての業務はほとんどなく障害者に携わった病院や施設で仕事をしていた看護師であれば、再就職も可能です。
定年後の看護師が障害者施設で再就職した際の考えられるメリット・デメリットは以下の通りです。
考えられるメリット | ・夜勤がない ・看護師は貴重なため家族に信頼されやすい (利用者だけでなく家族とよく関わる事も多い) |
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考えられるデメリット | ・時に体力勝負になる場合もある (施設によっては、看護師も身体介護を行うことがある) |
家族へのしっかりとした対応が大切
利用者の家族は、とても熱心な方が多く体調の変化・病状についての経過も知りたがるため、しっかりとした対応を行うことによって、信頼される看護師でいることができます。
自分より若い利用者を落ち着かせる場合は、力も強く体力勝負になることがあり、1歩間違えると怪我をしてしまう可能性もあるため注意が必要です。
定年後に再就職する際の求人の探し方
定年後の看護師が再就職する際の、おすすめの求人の探し方について、以下でご紹介していきます。
看護師転職サイトも合わせて活用する
転職サイトの中でも看護師職専用に求人を取り扱っている「看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)」があり、完全無料で利用できるため定年後の再就職に活用しましょう。
担当者が専任でつき、転職・就職のサポートを完全無料で行ってくれる転職支援サービスです。
看護師転職サイトでは、以下のようなメリットがあります。
- 定年後の再就職であると理解した上で、求人を提案してくれる
- 面接から採用、採用後のフォローまで行ってくれる
- 面接に落ちることが少ない
(面接前に定年後の看護師と理解しており、採用するために面接を行うため) - 条件面の交渉を行ってくれるため給与が通常よりアップしやすい
以上、再就職する際は利用することで安心できます。
ただ、看護師転職サイトの担当者の仕事は、看護師の転職を完了させ、雇用側から看護師の年収に応じた報酬を得ることです。
そのため、利用する看護師転職サイトによっては、定年後の看護師の求人斡旋を嫌がる(露骨に嫌がる場合は少ない)場合もあり、看護師転職サイト選びは重要になります。
以下は、嘱託や60代以上の看護師求人を取り扱っている看護師転職サイトです。
必ず、以下の2社とも無料会員登録を行い担当者に求人を紹介して貰いましょう。
ハローワーク求人も網羅!看護師のお仕事
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
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サイト名 | 看護のお仕事 |
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運営会社 | レバレジーズメディカルケア株式会社 |
公開求人数 | 133,292件 (2022年5月12日時点) |
非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師 |
対応 雇用形態 | 常勤(夜勤有り)、日勤常勤、夜勤専従常勤、夜勤専従パート、非常勤、派遣、紹介予定派遣 |
対応施設 | 総合病院、一般病院、クリニック、特別養護老人ホーム(特養)、訪問看護、有料老人ホーム、デイサービス、重症心身障害者施設、保育園、検診センター |
対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・看護師の転職求人が豊富 ・転職支援サービスが手厚い ・転職の相談から行える ・院内・施設内情報に強い |
看護のお仕事は、定年後でも担当者に伝えると、丁寧に職場を探してもらうことができ、かつアルバイト・パートの非常勤や、派遣等の求人も提案してもらうことが可能です。
また、ハローワークに掲載がある看護師求人も取り扱っており、看護師転職サイトとしてはかなり重宝します。
定年後に正社員やパート等や嘱託職員として復帰を希望する看護師の方は、必ず利用しておきましょう。
公式サイト:https://kango-oshigoto.jp/
60代以上が活躍する職場が豊富!マイナビ看護師
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
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![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
サイト名 | マイナビ看護師 |
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運営会社 | 株式会社マイナビ |
公開求人数 | 58,927件 (2022年5月12日時点) |
非公開求人 | とても豊富(保有求人全体の約40%非公開) |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師、ケアマネージャー |
対応 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託その他 |
対応 勤務形態 | 常勤(二交替制)、常勤(三交替制) 、夜勤なし、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・転職の相談から行える ・キャリアアドバイザー親切丁寧 ・退職交渉も可能 ・企業系のレア求人を豊富に保有 |
マイナビ看護師は、60代以上の看護師が活躍する職場の求人が豊富です。
また、専任の担当者は皆、丁寧に対応してくれるため、登録後に転職で困ることは少ないと言えます。
丁寧な説明と、丁寧なサポートを希望する方は、必ず登録を行っておきましょう。
公式サイト:https://kango.mynavi.jp/
ハローワークに出向いて求人を探す
定年後の看護師が再就職するときは、定年後の仕事先の情報も多く、話も聞きながら探すことができるため自分でハローワークに足を運び探す人が多いと言えます。
ハローワークで気に入った職場があれば、担当者に話を詳しく聞くことで履歴書の書き方を詳しく教えてくれたり面接の手配をしてくれたりします。
そのため、一度ハローワークに出向いて求人を確認することもおすすめします。
知り合いに紹介してもらう
長期間看護師の仕事を行っている場合、医師や他の職場の看護師と交流が増えます。
その際に、「定年後、うちで働かないか。」と声をかけてもらえることがあります。知り合いの紹介であるため、少し無理な条件も受けてくれることもあり、知り合いと一緒に働くことが出来るため楽しく働くことができるでしょう。
また、声をかけてもらえない場合でも、知り合いに紹介を促すことで転職先の幅が広がるでしょう。
自分で探す
定年後の看護師が再就職の際の求人の見つけ方として、自分で探す方法があります。
インターネットで検索をかけ、病院や施設などを調べて採用ホームページを見て問い合わせを行います。
自分で求人を探す方法については、「看護師の転職活動を自分の力だけで行う直接応募の方法」を確認してください。
定年後は、時間が沢山ある方も多いため、ゆっくりと条件に合った職場を自分で探すことができるでしょう。
ただし、定年後の看護師を受け入れているかどうかは、1つ1つ確認しなければならず、効率としてはとても良くありません。
看護師が定年後に再就職する際の注意点
看護師の定年後に再就職する際に一番注意したい点としては、再就職した職場で働ける期間を必ず確認しましょう。
例えば、1年と期間を決められること(有期雇用契約)や、最大で6年しか働くことができないなど、定年後の年齢制限を設けている場合があります。
その他の注意点についても詳しく説明していきます。
仕事の内容を繰り返し確認すること
定年後の再就職の際に、体力的に辛い仕事に就いた場合、長期的に働くことができない可能性があるため、60歳を過ぎても働ける内容かどうか、自分で見極めましょう。
60歳以上の看護師に配慮ある病院(施設)を狙う
職場によって定年後の看護師は、ある程度仕事内容を減らして対応してもらうところもあります。
そのため、60歳以上の看護師に配慮している病院・施設を探す必要があり、面接時などに「60歳以上の看護師がどれぐらい働いており、現在何歳か」などを確認すると良いでしょう。
定年後の看護師が多く働いている病院(施設)は、定年でも働きやすく、職員のことを考えてくれる職場と認識して良いでしょう。
職場の待遇を確認する
定年後の看護師の再就職後の給与は、金額が減ってしまうところが多いですが、中には年齢関係なく、時給はその他パート看護師と一緒の場合があるため、しっかり確認しておきましょう。
冒頭でも説明しましたが、65歳~69歳の看護師平均年収は、3,528,200円、70歳以上は2,417,000円となっております。
複利厚生の対象範囲を確認する
看護師が定年後の再就職の際は、常勤採用ではなく非常勤採用になることが多く、福利厚生も受けられるものと受けられないものが発生するため、確認することが必要です。
また、(正職員としての採用でも)福利厚生等は通常の正職員の看護師と異なる場合もあるため、働く時間・日数と合わせて必ず確認しておきましょう。
不明な点は面接時に聞くと良いでしょう。
嘱託職員(社員)に定義はない
60歳以上の場合、嘱託職員(社員)として再雇用、または採用される場合が多いと思いますが、正社員や契約社員のように明確な定義がありません。
つまり、各施設により「嘱託職員」の待遇等が全く違う可能性が高いです。
そのため、病院・施設によって違う可能性があるため、「分かっている」と思わずに勤務形態や雇用形態を必ず確認しましょう。
まとめ
看護師が定年後に再就職できる職場は、自分の体力や経験などが影響してくるため、再就職する際はよく考えて決める必要があります。
看護師の定年後の再就職には、働く場所や無理のない環境を選ぶことも大切であり、体力面や精神面を考慮しつつ、条件の良い職場を見つけて、よく自分自身と相談しながら決めていきましょう。
60歳以上の看護師は、他の看護師よりも経験、知識がありコミュニケーション能力に長けている場合が多く、その特徴をフルに生かして、再就職を行いましょう。
あなたを必要としている職場が必ずあるはずです。
定年後に再就職したい場合の参考になれば幸いです。