現役看護師の「なるには」ガイド

看護師が検疫官になるには?空港看護師へ転職をするメリット・デメリット

看護師が検疫官(空港看護師)になった場合、国家公務員の身分となり働くことになります。

一般の方が国家公務員になるためには、年齢制限や公務員試験(教養試験・専門試験・論文試験など)、面接などを経て初めて国家公務員として仕事に就くことが出来ますが、看護師は書類審査と面接試験のみで、検疫官(看護師・国家公務員)として働くことが出来ます。

このページでは看護師が検疫官になるためのポイント、仕事内容、転職する場合の一般的なメリット・デメリットをご紹介しています。

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看護師が検疫官になるためには?

看護師が検疫官になるためには?

国籍日本国籍であること
資格看護師免許(准看護師不可)
普通自動車免許
経験医療機関での臨床経験が3年以上
(准看護師の経験は含まない)
試験1次試験:書類選考
2次試験:人物試験(面接)

看護師が検疫官になるためには、看護師免許の他に「日本国籍であること」「普通自動車免許」と医療機関での臨床経験3年以上が必要となり、厚生労働省の採用ページから応募し、内定を貰うことで、検疫官になることが可能です。

(看護師免許・日本国籍・普通自動車免許、以外の要件は年度によって変更の可能性があるため注意してください。)

以下で詳しく説明していきます。

検疫官になるために必要な資格

検疫官になるために必要な資格

検疫官になるために必要な資格は、以下の通りです。

  • 看護師免許
    (※准看護師免許不可)
  • 日本国籍であること
  • 普通自動車免許
  • 医療機関で3年以上の臨床経験
    (※准看護師での看護経験は含まない)
    (※1:感染管理認定取得者や在職中に院内感染対策関係の委員経験者、保健師免許取得者は更に望ましい)

※1:毎年の募集で好ましい人材の記載が異なるため、注意してください。

3年以上の臨床経験に関しては、一般的に総合病院以上の看護師として正職員で働いていれば問題ありません。

しかし、看護師としてどのような実績を持ち、経験を積んできたのかという点が、一次試験である書類選考の際に重要視される傾向があります。

また、現在看護師としていずれかの病院で勤務しているのか、それとも転職活動中でブランクがかなりの期間に及ぶのかなども確認されます。

さらに保健師としての資格を持つ人が優遇されやすいということも報告されています。

採用試験の内容(1次試験・2次試験)

採用試験の内容(1次試験・2次試験)

検疫官になるための採用試験は、大きく分けて2つあります。

  1. 書類選考
  2. 人物試験(面接)

また、年度によってバラバラですが、人材が不足している場合は随時採用している場合もあるため、チェックしておきましょう。

1次試験:書類選考

検疫官の応募に際しては、1次試験として原稿用紙1枚~3枚程度のレポートを提出し、履歴書・看護師免許証(写し)ともに書類選考が行われます。

レポートの内容に関しては年度によって違い、以下を参照してください。

  • 2019年:2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた感染症対策について(横書き1,200字程度)
  • 2021年:感染症と水際対策について(横書き1,200字程度)

以上のような内容がレポートのテーマとなっています。

 

2次試験:人物試験(面接)

1次試験合格者のみ、2次試験として人物試験(面接)が行われます。

また、1次試験の審査結果(合否)には、1ヶ月から2ヶ月程度(新型コロナウイルス対策への対応のため、通常よりも審査期間が長くなる場合もあり)の時間が掛かります。

人物試験(面接)は、厚生労働省又は、自宅近くの検疫所(応相談)で受けることができ、交通費などは自己負担となります。

2次試験に合格すると検疫官として配属されることになります。

注意:特定任期付職員について

注意:特定任期付職員について

検疫官(看護師)は、配属後に全国に配属(転勤)することが一般的です。

ただし、「特定任期付職員」としての採用された場合、全国転勤はありませんが、働ける期間が最大5年以下となる点等に注意してください。

(募集年度によっても違いますが、検疫官(看護師)として全国に転勤がない「特定任期付職員の募集」も行っている場合があります。)

特定任期付職員と一般職員の違う点

通常の国家公務員である検疫官の職員と以下の内容が異なるため注意しましょう。

  • 任期(働く期間)が5年以下となる
    (任期が5年に満たない場合は、5年を超えない範囲で更新も可能)
  • 特定任期付職員の俸給月額が決められており、給与は低くなる
  • 昇給制度は適用されない
  • 扶養手当、住居手当、超過勤務手当、勤勉手当などは支給されない

以上の内容が「任期の定めのない検疫官(看護師)」と違う内容です。

通勤手当、地域手当、賞与(期末手当)は、支給され、勤務時間・休暇等は任期の定めのない検疫官(看護師)と同じになります。

詳しくは「人事院:民間人材の任期付採用」を確認しておきましょう。

検疫官(看護師)の募集要項と給与

検疫官(看護師)の募集要項(勤務条件)と給与、年収について説明していきます。

検疫官の募集要項(勤務条件)

検疫官(看護師)は、毎年募集されますが、年度により募集人数や、勤務条件等が変更になる場合があるため、注意しましょう。

2022年の募集要項

勤務地全国の港湾・空港の検疫所
(採用後は、全国転勤)
職員の身分国家公務員
職名厚生労働技官 検疫官(看護師)
募集人数40名程度
採用予定日応相談
業務内容全国の港湾・空港の検疫所における検疫感染症等に対する検疫衛生業務
勤務条件勤務場所により異なります。
空港の場合、週38時間45分の交替制(シフト)勤務
検疫官(看護師)については、全国転勤のない任期付職員も募集
給与219,300円~経験年数に応じて調整
2020年の募集要項

2020年の募集要項

勤務地全国の港湾・空港の検疫所
(採用後は、全国転勤)
職員の身分国家公務員
職名厚生労働技官 検疫官
募集人数50名程度
採用予定日応相談
業務内容全国の港湾・空港の検疫所における検疫感染症等に対する検疫衛生業務
勤務条件1日7時間45分
交替制(シフト)勤務
原則として土・日曜日及び祝日等は休み
給与190,500円~経験年数に応じて調整

検疫官(看護師)の平均年収・給与とは?

検疫官(看護師)は「一般職の職員の給与に関する法律」に基づき医療職俸給表(三)が適用されます。

医療職俸給表(三)とは、病院、療養所、診療所等に勤務する保健師、助産師、看護師、准看護師、その他の職員で人事院規則に定めるもの。

人事院が行った「令和2年国家公務員給与等実態調査」によると「医療職俸給表(三)」の平均年収等は以下の通りとなります。

職員数1,830人
平均年齢47.2歳
平均経験年数22.1年
平均給与月額317,928円
(手当除く)
平均年収約500万円~550万円前後
(手当・期末手当合計予想)

給与面から見ても検疫官の看護師は、待遇が良いことが分かります。

検疫官(看護師)の4つの仕事内容

検疫官(看護師)の4つの仕事内容

検疫官(看護師)とは、海外で流行している感染症が日本に入ってくることを防ぐために空港や港湾で勤務する人のことで、厚生労働省の認可を受けて勤務します。

また、厚生労働省が募集する検疫官業務内容は以下の通りです。

  1. 検疫業務(港湾、空港)
  2. 衛生調査、船舶衛生検査(港湾のみ)
  3. 予防接種業務
  4. 健康相談業務

検疫官(看護師)のご案内より参照)

以下で「検疫業務」「予防接種や相談」「感染症の情報収集」「消毒作業と感染者の隔離」について詳しく説明していきます。

1.検疫業務

検疫業務

検疫とは、港湾や空港で感染症や伝染病が広がることを防ぐために、海外から持ち込まれる、又は持ち出す動物・植物・食品、人や物などを検査し、汚染されてないか確認することを言います。

また、入国審査場の前には「検疫ブース」が設けられていますので、渡航者からの申告があった場合もしくは明らかに体調不良が確認される場合には検疫ブースで診断を行います。

ただし検査にあてられる時間は限られているので、高い集中力と鋭い観察力を持って業務を遂行することが不可欠となります。

検疫に関与しない手続きなども理解しておく必要がある

検疫の対象となるのは渡航者だけではなく、海外から持ち込まれた肉類や植物、食品添加物やおもちゃなどに関しても検査を行う必要があります。

看護師から新たに検疫官となる人は物品に関する検査には関与しないものの、手続きに関しては勤務後に理解しておく必要があります。

2.衛生調査

衛生調査

感染の疑いが強い、もしくは感染が明確に確認された場合、検疫官はただちに特定医療機関へ通知を行い、患者を隔離してさらなる感染を防ぐ努力を行います。

患者の身の回りにあったものなどをすべて消毒もしくは処分します。

このように海外からの感染症に対する防護壁として、衛生調査に働くのが検疫官の仕事です。

勤務中に感染症にかかってしまう危険はある

日本では発症が確認されていない感染症がここ数年世界中で数多く報告されています。

検疫所で働く人は海外からの渡航者と数多く接するため、特異な病気に感染している人と接するリスクも高くなります

検疫所内や相談窓口となるオフィスなどは消毒が徹底されているものの、相談者と面談をしている際に飛沫感染する危険は常にあります。

港湾の船内で行う感染症検査などに関してはいつも清潔な環境で実施できるとは限らないため、検疫官として働く人には常に感染症のリスクが付きまとう、ということを覚えておかなければなりません。

3.健康相談業務

健康相談業務

検疫官(看護師)は、サーモグラフィー等で海外から来た乗客の健康状態を確認し、異常がある場合は健康相談を行うことが仕事です。

また、有症者が機内等にいる場合、検疫官(看護師)が問診、他の乗客からの聞き取りを行います。

(新型コロナウイルスの影響により、隔離措置となった方への健康相談も行う場合があります。)

4.予防接種

予防接種

検疫所に勤務する検疫官は海外に渡航する方に向けて各予防接種などを行うことも仕事です。

黄熱等の予防接種は電話にて予約が行われ、その際に予診や接種の介助、個別の電話相談なども行います。

検疫官(看護師)のメリット・デメリット

検疫官と、病院(病棟)などで働く看護師と比較した際に、一般的に思うメリット・デメリットをまとめました。

転職を考えている看護師の方は是非参考にしてください。

採用試験のみで国家公務員として働ける

採用試験のみで国家公務員として働ける

検疫官として採用されると、厚生労働省で勤務する国家公務員としての身分が与えられるため、国家公務員共済などのさまざまな優遇措置を活用することができ、メリットがあると言えます。

検疫官看護師の初任給は20万円弱で、正看護師として働く場合と比べると大きく劣るように感じるかもしれません。

しかし、勤務年数に応じた定期昇給があり、基本的に終身雇用である、というのは大きなメリットと言えます。

働く環境・待遇は良いと言える

検疫官の勤務時間は7時間45分と決まっており、時短制度等もあります。

また、立地条件が良い公務員宿舎を利用できるというのもポイントです。

仕事にやりがいを持って働く看護師も多い

仕事にやりがいを持って働く看護師も多い

検疫所では海外への渡航を予定している人に海外で感染する期間のある病気の予防接種も行います。

また、黄熱病や狂犬病、破傷風(近年では新型コロナウイルス等)などに関して、その危険と予防法などをレクチャーすることも行います。

こうした作業を積み重ねていくことにより、海外での感染を防ぎ、ひいては日本国内の感染症拡大を予防していることになるわけです。

職務を遂行する際にこうした点をいつも思いに留めておくなら、「やりがいのある仕事に携わっている」ということを感じながら作業に当たることができるでしょう。

厚生労働省が作成している「検疫官(看護師)の先輩職員の紹介PDF」も参考にしてみてください。

全国転勤の可能性がある

検疫所の設置状況

出典:厚生労働省「検疫所の設置状況」より

勤務先は空港に限らず、港湾の場合もあり、転勤は日本全国が対象であり、概ね2年から3年毎に異動があります。

(検疫官の勤務する場所は全国の港湾および国際空港で、定期的に人員の配置転換が行われます。)

空港での勤務では交通の便が悪いところが比較的多いので、自宅から遠方で通勤に車が必要になることもあります。

そのため小さな子供がいる場合などは家族とよく相談して本当にその仕事が可能かどうか考えておくことが大切です。

補足説明

上記で説明した「特定任期付職員」の場合、最大5年以下の期間等の条件は決まっていますが、全国転勤なく働くことも可能です。

夜勤や当直などの勤務がある

夜勤や当直などの勤務がある

検疫官は基本的に日勤で、週末・祝日はお休みになるというメリットがあります。

ただし、例えば成田空港や関西国際空港などは24時間体制で稼働しているため、検疫官も交代勤務になります。

夜勤や当直があまり得意ではないという人はこうした点についても考慮しておくことをお勧めします。

空港看護師として働けるとは限らない

空港看護師として働けるとは限らない

空港看護師に憧れ、検疫官を目指す看護師も多いですが、港の検疫所に配属になるケースや、空港看護師から、港の検疫所に異動する可能性もあり、必ず空港の検疫官として働けるとは限りません。

人事異動・配属の希望等は、本人の希望も考慮されることが予想されますが、配属・異動の事例を出された場合、拒否することは難しいため、注意しましょう。

そのため、検疫官にはなることが出来ますが、必ず空港で勤務できるわけではないことを覚えておきましょう。

屋外で実施する作業も多い

屋外で実施する作業も多い

検疫官は港湾の衛生管理に関しても責任があります。

港に生息するねずみや虫などを駆除するため定期的に検査を行い、必要と判断した場合には駆除業者への依頼を行います。

また、飲料水や海水の品質検査も行う必要がある場合もあります。

このように検疫官として働く場合は屋外で実施する作業も多くある、ということを覚えておくと良いでしょう。

良くある質問

准看護師は検疫官(看護師)の募集要項に外れるため、なることが出来ません。

また、准看護師から正看護師になった場合でも、准看護師の経験は、看護師としての経験にカウントすることが出来ません。

そのため、正看護師として3年以上の臨床経験が必要となります。

(情報:2022年2月時点)

検疫官(看護師)の身分は国家公務員となり、公務員となります。

特定任期付職員(転勤がなく期間が決められている職員)でも身分は国家公務員となります。

看護師が検疫官になるために必要な経験は、臨床経験3年以上となります。

また、准看護師から正看護師になった方は、准看護師の経験はカウントされません。

書類選考と人物選考があるため、一概に内定されるためにプラスとなる経験は分かりません。

ただし、感染管理認定取得者や在職中に院内感染対策関係の委員経験者、保健師免許取得者などは優遇されやすいと言えるでしょう。

まとめ

検疫官は厚生労働省の管轄になるため、募集要項も同省のホームページに掲載されます。

詳しくは厚生労働省の「検疫官(看護師)採用情報」を確認してみましょう。

また、大々的な宣伝が行われるわけではなく、募集期間も短く設定されていることが少なくありません。そのため、定期的にチェックすることは忘れないようにしましょう

また、検疫官とともに、別の転職先を探している場合は「看護師転職サイト」などに登録を行い、検疫官に関する求人情報が出た時にすぐ教えてもらえるようにお願いしながら、他の求人を探すとスムーズです。

さらに転職先での試験や面談に備えて事前講習を実施しているケースもあり、検疫官の試験を突破するために、転職の知識を教えてもらうだけでも利用はおすすめします。

参考文献等

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