総合病院で働く看護師のメリット!転職時の選び方・体験談
現在、日本の医療法において「総合病院」という区分は、1996年の法改正により廃止され、「地域医療支援病院」という新たな区分が設けられました。それでも、「総合病院」という名称が俗称として使われることや、病院名に「総合病院」と含まれる場合もあります。
ここでは、病床数が200床以上で、複数の診療科を備え、幅広い医療サービスを提供し、急性期などの入院患者を受け入れている病院を「総合病院」として説明していきます。
私はスキルアップや看護師としての経験のため、数多くの総合病院や個人病院で働いたい経験があります。今振り返っても、看護師として総合病院が一番働きやすかったように私は感じます。
以下では、私の経験をもとに総合病院で働く看護師のメリット・デメリットを詳しく解説するとともに、転職時にどのような病院を選ぶべきか、総合病院に向いている人・向いていない場合の選択肢についても説明していきます。
執筆・監修看護師総合病院で働く看護師のメリット
総合病院で働く看護師には、多くのメリットがあります。特に、スキルアップの機会が豊富で、教育制度が整っているため、経験を積みながら着実に成長できる環境です。
以下では私の経験をもとに総合病院で働く看護師のメリットを説明していきます。
福利厚生が手厚く給与も安定している
総合病院は規模が大きいため、働く看護師に対して福利厚生が手厚いケースが多く、給与も高い傾向にあります。
例えば、住宅手当や扶養手当が支給される病院もあり、経済的な面でのサポートが充実しています。また、託児所を併設している病院もあり、育児と仕事を両立しやすい環境が整っていることも魅力です。
その他、院内食堂の利用や職員向けの健康診断、予防接種の無料提供など、病院によっては様々な福利厚生が用意されている総合病院も増えており、給与以上の恩恵を受けれる場合もあります。また、大規模な病院では、労働組合がしっかりしているケースが多く、給与や労働環境の改善に向けた取り組みが行われている点もメリットの一つです。
看護師の体験事例
看護師として働くうえで賃金が高いことは、自分の生活を支え、充実させるうえで大きな要素です。どんなに仕事が忙しくても、高い給与があることで、それを乗り越える活力になっていたと思います。
教育制度が充実している
総合病院では、新人からベテランまで幅広い層の看護師が働いているため、教育制度が整っていることが多いです。
特に、新卒や経験の浅い看護師に向けて、プリセプター制度や研修プログラム(クリニカルラダー等)が用意されていることが多く、安心して看護を学ぶことができます。
また、病院によっては院内研修や勉強会が定期的に開催され、最新の医療知識を学ぶ機会もあります。さらに、認定看護師や専門看護師を目指すための支援制度を設けている病院もあり、キャリアアップを目指す看護師にとっては非常に魅力的な環境といえます。
例えば、「がん看護」「救急看護」「感染管理」などの分野で認定看護師を目指したい場合、病院側が研修費用を負担してくれることや、研修期間中の勤務調整を行ってくれるケースもあります。こうした手厚いサポートがあることで、働きながらスキルアップしやすくなります。
看護師の体験事例
私が勤務していた総合病院では、新卒の看護師や中途採用で入職した新人看護師に対して、必ずプリセプターや指導係がフォローしながら仕事を教えていました。
これは当たり前のように思えますが、実際には小規模の病院などでは研修制度が整っていないことが多いのが現状です。
看護師として様々な診療科を学べる
総合病院は複数の診療科を持っているため、看護師として様々な疾患や症例に対応する機会が多く、幅広い知識を身につけることができます。
特に、大規模な総合病院では内科・外科だけでなく、小児科、産婦人科、精神科、整形外科、脳神経外科、救急科など、多くの診療科が存在し、異なる疾患の患者を受け持つことができます。
例えば、内科病棟では慢性疾患の患者を中心にケアを行い、長期的な治療プランに沿った看護を学ぶことができます。一方、外科病棟では術後管理が重要になり、傷の処置やドレーン管理などの技術が身につきます。さらに、救急外来では急性期の対応を経験し、瞬時の判断力や処置のスキルを高めることができます。
このように、複数の診療科の経験を積むことで、看護師としての対応力が向上し、将来的に特定の専門分野に進む際にも有利になります。転職やキャリアアップを考える際にも、多様な経験を積んでいることは大きな強みとなります。
看護師の体験事例
例えば、自分が勤務する部署以外の分野についても、勉強会に参加する機会があったり、他の診療科が満床になった際に、別の診療科の患者さんの看護を担当することがあったりと、幅広い経験を積むことができます。私自身もそのような経験をしました。また、内科系から外科系へなど、異なる分野の看護を学びたい場合には、配属の異動を希望することも可能です。
そのため、私は総合病院のメリットとして、様々な診療科を学べる環境が整っていることが挙げられると考えています。
看護師としてスキルアップできる環境がある
総合病院では、幅広い診療科があり、様々な症例に対応するため、最先端の医療を学ぶことができ、看護師として高度な看護スキルを身につけることができます。
特に、急性期病棟や救急外来では、迅速な判断力や対応力が求められ、実践的な看護スキルが鍛えられます。また、手術室やICU(集中治療室)、各種病棟では、高度医療の知識を深めることができ、専門的な看護技術の向上にもつながります。
また、規模がより大きな総合病院では、優秀な医師も集まりやすく、より最先端の医療を学ぶことができます。
看護師の体験事例
例えば、重症患者のケアを担当する際には、わずかな変化を見逃さず、適切に報告や対応を行うことが求められます。
このような環境で働くことで、自然とスキルが向上し、より専門性の高い看護師へと成長できると思います。
多職種との連携が学べる
総合病院では、看護師を含む医師・薬剤師・理学療法士・栄養士・ソーシャルワーカーなど、様々な専門職が連携しながら患者のケアにあたります。
看護師として働く中で、こうした他職種と協力しながら業務を進める経験が積めることは、大きなメリットです。
例えば、患者の退院調整を行う際には、医師やリハビリスタッフと協力しながらケアプランを作成し、必要に応じてソーシャルワーカーと相談しながら退院後のサポート体制を整えます。このような連携の経験を積むことで、患者を包括的に支える視点が養われ、より質の高い看護を提供できるようになります。
また、多職種との関係性を築くことで、医療チームの一員としての自覚が高まり、看護師としての役割を明確に理解できるようになります。特に、緊急時の対応やカンファレンスでの情報共有などを通じて、コミュニケーション能力が向上し、よりスムーズな業務遂行につながります。
看護師の体験事例
このように、各分野の専門スタッフと連携して医療を提供できるため、適切なアドバイスを受けながら看護にあたることができたのは、とても心強かったです。
将来的なキャリアの選択肢が広がる
総合病院で経験を積むことで、将来的に様々なキャリアパスを選択しやすくなります。例えば、病棟看護師としての経験を積んだ後に、手術室やICUなどの専門分野に進むこともできますし、教育担当や管理職を目指すことも可能です。
また、総合病院で培った経験は、看護師の他の分野の転職時にも有利に働きます。
例えば、訪問看護やクリニック、介護施設など、病院以外の医療機関への転職を考える際にも、総合病院での経験が評価されやすい傾向にあります。特に、急性期病棟や救急での経験があると、どの医療現場でも即戦力として期待されることが多いです。
看護師の体験事例
託児所や寮を併設している総合病院もある
総合病院の中には、看護師の働きやすさを考慮し、院内託児所や職員寮を併設しているところもあります。特に、子育て中の看護師にとっては、託児所があることで仕事と育児を両立しやすくなるため、大きなメリットとなります。
託児所を併設している病院では、24時間対応のケースもあり、夜勤の際にも安心して子どもを預けることができます。また、病院が運営している託児所は、費用が比較的安く抑えられることが多く、経済的な負担を軽減できる点も魅力です。
また、職員寮を完備している病院もあり、特に地方から転職する看護師にとっては、住居探しの手間が省けるメリットがあります。寮費が安く設定されていることが多く、金銭的な負担を抑えながら働くことができます。
このように、総合病院は福利厚生が充実しているところが多いため、看護師が働きやすい環境が整っている点も魅力の一つです。
比較的に休みを取りやすい
「総合病院の看護師は忙しくて休めないのでは?」と思われがちですが、実はしっかりと休みを確保できる総合病院も多くあります。特に、大規模な総合病院では看護師の人数が多いため、交代制を活用しながら有給休暇を取りやすい環境が整っていることが多いです。
例えば、一般的なクリニックでは少人数で運営しているため、1人が休むと業務に大きな影響が出てしまい、有給休暇を取得しにくいことがあります。しかし、総合病院では看護師の配置人数が多いため、シフト調整がしやすく、希望休を出しやすい傾向にあります。
また、夏季休暇や年末年始休暇を取得できる病院もあり、長期休暇を利用してリフレッシュすることも可能です。さらに、育児休暇や介護休暇などの制度が整っている病院も多く、ライフステージに応じた働き方を選びやすい点もメリットです。
看護師の体験事例
さらに、介護休暇もあり、親の介護が必要な場合は、師長や部長に相談して休暇を取得することも可能でした。女性にとって、結婚・出産・介護など生活スタイルの変化に対応できるバックアップ体制が整っていることは、働きやすさにつながると感じました。
ただし、休暇の取りやすさは総合病院の方針や部署によって異なるため、転職を考える際には「有給消化率」や「年間休日数」などを事前に確認することが重要だと思います。
総合病院で看護師が働くデメリット
総合病院は看護師にとってスキルアップやキャリア形成に有利な職場ですが、一方で厳しい環境で働くことになるため、デメリットも存在します。
以下では、私の経験をもとに一般的な総合病院で働く看護師のデメリットを説明していきます。
希望の科に配属されないことがある
総合病院への就職や転職の際、「〇〇科で働きたい」と希望を出しても、必ずしも希望通りの診療科に配属されるとは限りません。特に、新卒採用の場合は病院側の人員配置の都合によって配属が決まることが多く、希望していた科とは異なる病棟に配属されるケースも珍しくありません。
例えば、「小児科を希望していたのに、内科病棟に配属された」「手術室で働きたかったのに、一般病棟になった」といったケースがあります。また、中途採用でも、募集されている診療科の枠が限られているため、自分の希望に合った診療科での勤務が難しいことがあります。
看護師の体験事例
ただし、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)などを活用していない場合は、自分で交渉する必要があり、必ずしも希望の診療科に配属されるとは限らない点がデメリットだと感じます。
とはいえ、中途採用の場合は希望の診療科でなければ内定を辞退することもできるため、ある程度デメリットを回避できるとも言えます。
業務が多忙で体力的にハード
総合病院は入院患者の数が多く、診療科によっては常に満床状態が続くこともあります。そのため、1人の看護師が担当する患者数も多くなり、日々の業務は非常にハードです。
特に急性期病棟や救急外来では、緊急の対応が必要な患者が頻繁に搬送されるため、業務の負担が大きくなりがちです。
また、入院患者の状態は日々変化するため、処置やケアの内容も変わり、ルーチンワークだけでは対応できません。例えば、急変した患者への対応、医師の指示による追加処置、検査への付き添いなどが日常的に発生します。こうした状況の中で、時間管理をしながら的確に業務をこなさなければならず、常に緊張感を持って働くことになります。
看護師の体験事例
また、難病の患者さんほど死と隣り合わせであり、看護の負担も増えるため、神経を使う仕事が多くなる傾向があります。
さらに、緊急手術後の術後管理は、少人数で勤務する夜勤帯でも対応しなければならず、急変時には主治医へ連絡し、その患者さんにつきっきりで看護する必要があるため、負担が大きいと感じることがありました。
人間関係のストレスが大きい
総合病院で働く看護師は、医師や薬剤師、リハビリスタッフなど多くの職種と連携しながら業務を行います。
そのため、職場の人間関係が複雑になりやすく、看護師としてコミュニケーションのストレスを感じることがあります。特に、医師との関係がうまくいかない場合、指示の確認がしづらいことや、対応に困ることもあります。
また、病棟の看護師同士の関係性も重要です。総合病院では看護師の人数が多いため、派閥ができやすいことや、人間関係のトラブルが発生しやすい傾向があります。例えば、「忙しい業務の中で協力し合えない」「先輩看護師の指導が厳しすぎる」「意見の違いから対立が生まれる」などの問題が起こることもあります。
看護師の体験事例
病棟勤務は必ず夜勤がある
総合病院の病棟勤務で働く看護師は、基本的に夜勤が避けられません。夜勤は通常、2交代制または3交代制で行われますが、どちらの勤務形態でも生活リズムが乱れやすく、体調管理が難しくなります。
2交代制では、日勤(8:30~17:00)と夜勤(16:30~翌9:00)に分かれており、夜勤の拘束時間が長いのが特徴です。長時間勤務のため、仮眠を取る時間はあるものの、緊急対応などで休憩が取れないこともあり、体への負担が大きくなります。
一方、3交代制では、日勤(8:30~17:00)、準夜勤(16:30~0:30)、深夜勤(0:00~9:00)の3つのシフトがあり、勤務間の休息時間が短くなるケースが多いです。特に「深夜勤→日勤」のシフトが連続すると、十分な休息が取れず、疲労が蓄積しやすくなります。
研修や委員会・セミナーへの参加が負担になることがある
総合病院では、看護師のスキルアップのために、研修や勉強会、セミナーの参加が義務付けられていることが多く、これに加えて持ち回りの委員会もあります。
また、中途採用の看護師はもちろんのこと、中堅やベテランの看護師であっても、新しい医療技術や看護の知識を学ぶための研修に参加することが求められることがあります。
例えば、「業務後に院内研修があり、長時間拘束される」「休日に外部のセミナーへ参加する必要がある」といったケースもあり、仕事とプライベートのバランスが取りづらくなることがデメリットです。
看護師の体験事例
部署異動がある場合も
総合病院では、人事異動が定期的に行われることがあり、希望しない診療科へ異動になることもあります。例えば、内科病棟で長年勤務していた看護師が、突然外科病棟や手術室に異動を命じられることも珍しくありません。
異動先の看護師の業務に慣れるまでの期間は、精神的にも負担が大きくなります。
特に、専門的なスキルを磨きたいと考えている看護師にとっては、異動がキャリアの妨げになることもあります。例えば、「ICUで経験を積みたかったのに、一般病棟へ異動になった」「小児科を希望していたのに、成人病棟へ配属された」といったケースがあり、希望の診療科で長く働くことが難しい場合がありデメリットです。
看護師の体験事例
実際に、3年以内に異動する人もいれば、10年近く同じ部署で働き続ける人もいました。また、異動は本人の希望が考慮される場合もあれば、そうでない場合もあります。
さらに、異動の通知は1か月以内に上司から突然伝えられることが多く、入職時に希望する部署に配属されたとしても、必ずしもずっとそこで働けるわけではありませんでした。
総合病院が向いている看護師と向いていない場合の選択肢
総合病院への転職を考えている看護師にとって、どのような職場環境が自分に合っているのかを見極めることは重要です。総合病院には多くのメリットがある一方で、すべての看護師に適しているわけではありません。総合病院への転職が向いている看護師の特徴と、向いていない場合の選択肢について詳しく解説します。
総合病院が向いている看護師の特徴
総合病院への転職や就職が向いている看護師は、メリットが当てはまる看護師の方です。以下では具体的に総合病院が向いている看護師の特徴をご紹介します。
スキルアップを重視したい看護師
総合病院では、様々な診療科の患者と関わることができ、急性期・慢性期など幅広い医療を学べるため、看護師としてのスキルアップを目指す人には最適な環境です。
特に、認定看護師や専門看護師を目指す人にとっては、研修制度や支援制度が充実している病院を選ぶことで、効率よくキャリアアップを進められます。
多職種との連携を学びたい看護師
看護師を含む医師・薬剤師・理学療法士・栄養士・ソーシャルワーカーなど、様々な専門職とチーム医療を行うのが総合病院の特徴です。
他職種との連携を学びたい人や、将来的に病棟管理や退院調整などの業務に関わりたい看護師には総合病院が向いています。
多様な症例を経験したい看護師
「特定の診療科に絞らず、いろいろな病気や疾患を学びたい」「急性期から回復期、慢性期まで幅広い経験を積みたい」という看護師には、総合病院が最適です。
特に、将来的に訪問看護や在宅医療に関わりたい場合、総合病院での看護経験が必ず役立ちます。
安定した福利厚生を求める看護師
総合病院は、看護師が利用できる寮や託児所を完備しているところが多く、住宅手当や研修補助などの福利厚生が充実しているケースが多いです。
「安定した環境で長く働きたい」「育児をしながら働きたい」という看護師にはメリットが大きいでしょう。
転職やキャリアの幅を広げたい看護師
総合病院での勤務経験は、将来的な看護師の転職に有利に働きます。
「いずれはクリニックや訪問看護に転職したい」「病院以外の仕事(企業看護師・産業保健師など)に興味がある」という看護師も、総合病院での経験を積んでおくことで、将来的なキャリアの選択肢が広がります。
総合病院が向いていない場合の選択肢
看護師が総合病院で働くことには多くのメリットがありますが、すべての看護師に適しているわけではありません。転職を考える際は、自分のライフスタイルやキャリアプランに合った職場を選ぶことが重要です。
総合病院での勤務が自分に合わないと判断した場合、以下のような働き方の選択肢を検討してみましょう。
夜勤やシフト勤務を避けたい人 → クリニック・訪問看護・介護施設
総合病院では夜勤やシフト勤務が必須ですが、「規則的な生活を送りたい」「夜勤の負担を減らしたい」という看護師には不向きです。その場合、日勤のみのクリニックや訪問看護、デイサービスなどの介護施設の方が働きやすいでしょう。
忙しすぎる職場を避けたい人 → 療養型病院・慢性期病院
急性期病院や救急対応のある総合病院は、看護師の業務量が多く、体力的な負担が大きくなりがちです。「落ち着いた環境で働きたい」という看護師は、療養型病院や慢性期病院、リハビリ病院などを選ぶと、比較的ゆったりとした業務ができる可能性があります。
希望の診療科にこだわりたい人 → 専門病院・クリニック
総合病院で働く看護師は、希望の診療科に配属されない可能性があり、さらに定期的な異動のリスクもあります。
特定の診療科で長く働きたい場合は、専門病院(産婦人科専門病院、小児専門病院、整形外科病院など)や、特定の診療科に特化したクリニックで働く方が向いています。
研修や勉強会に時間を取られたくない人 → 小規模病院・クリニック
多くの総合病院では、定期的な研修や勉強会が義務付けられていることが多く、業務後や休日に参加する負担が発生することもあります。
「プライベートの時間を確保したい」「勉強よりも実践的な業務を重視したい」という看護師は、小規模病院やクリニックの方が働きやすいでしょう。
看護師の転職時の総合病院のおすすめの選び方
看護師の転職先の総合病院を選ぶ際には、「自分の希望する働き方が実現できるか」を軸に、病院の規模・診療科・給与・教育制度・職場環境などを総合的に判断することが重要です。
事前にしっかりとリサーチし、理想の職場を見つけましょう。以下では私の経験をもとに、看護師の転職時の総合病院を選ぶ際のポイントを詳しく解説します。
総合病院の規模や診療科の確認
まず、総合病院の規模を確認することが大切です。総合病院には大規模病院(500床以上)、中規模病院(200〜500床)、小規模病院(200床未満)など様々な規模の病院があります。
規模が大きいほど診療科の数が多く、最先端の医療設備が整っている傾向がありますが、その分、看護師の業務が忙しくなりやすいという特徴があります。
また、看護師自身が希望する診療科があるかどうかも確認すべきポイントです。
総合病院には多くの診療科があるものの、病院によって得意とする分野が異なります。例えば、循環器内科に強い病院もあれば、小児科や産婦人科に特化している病院もあります。そのため、将来的に専門性を高めたい分野がある場合は、希望の診療科が充実している病院を選ぶことが重要です。
看護師の体験事例
その理由は、転職時の面接や書類提出のタイミングで、希望の診療科への配属について交渉を行う必要があるためです。
私の経験として交渉を行ったこともありますが、一般的には面接時に交渉できる看護師は少なく、希望の診療科について尋ねられても、形式的に聞かれるだけで希望が通らないことも多いのが実情です。そのため、希望する診療科がある場合は、看護師転職サイトを活用することが必須と言えます。
教育・研修制度のチェックポイント
- 病院の規模(ベッド数)を確認する
- 大規模病院(500床以上)
→ 高度医療を学びたい人、急性期医療に携わりたい人に向いている。 - 中規模病院(200~500床)
→ 幅広い診療科を経験しながら、ある程度落ち着いた環境で働きたい人に向いている。 - 小規模病院(200床未満)
→ 比較的アットホームな雰囲気の中で、患者とじっくり向き合いたい人に向いている。 - 自分が希望する診療科があるかチェックする
教育・研修制度の有無を確認
総合病院では、新卒や中途採用の看護師向けに教育制度が整っていることが多いですが、その内容は病院によって異なります。特に、新しい分野に挑戦する場合や看護師としてブランクがある場合は、教育制度の充実度が転職後の負担を左右します。
例えば、プリセプター制度がある病院では、新人看護師や中途採用者に専属の指導者がつき、一定期間マンツーマンで指導を受けられます。また、クリニカルラダーを引き継げる場合や、院内研修や勉強会の頻度、外部研修への参加支援、認定看護師・専門看護師の資格取得支援などが充実している病院もあります。
ただし、総合病院によっては研修が多すぎて業務との両立が難しくなることもあるため、研修の頻度や勤務時間外に参加する必要があるかどうかも確認しておきましょう。
看護師の体験事例
転職後に確実にスキルアップを目指すには、資格取得支援制度を活用した実績のある看護師がどの程度いるのか、また、その看護師がどのように活躍しているのかを確認することが、失敗を防ぐポイントの一つです。
さらに、資格を取得しても、それを活かせる環境がなければ、自分のスキルを十分に発揮できず、働く上での満足感が得られない可能性があります。そのため、事前に実績があるかどうか、そして資格や経験を活かせる総合病院かどうかを確認することが大切です。
教育・研修制度のチェックポイント
- 新人や中途採用者向けの研修が整っているか
- プリセプター制度(新人や中途採用者に専属の指導者がつく制度)
- クリニカルラダーを引き継げるかどうか
- 院内研修・勉強会の頻度(勤務時間外の有無)
- 認定看護師・専門看護師を目指せる支援制度(研修費用補助や休職制度など)
- eラーニングや外部研修の受講可否
- 資格や経験を活かせる職場かどうか
働きやすい職場環境か確認すること
総合病院で看護師が長く働くためには、職場の人間関係や雰囲気が良いか、妊活・育児・介護中の看護師でも働いているかどうかも重要なポイントです。
職場環境が悪いと、どれだけ給与などの条件面が良くてもストレスが溜まり、離職の原因になってしまいます。
まずは、転職前に総合病院の見学に行き、看護師、スタッフの対応や雰囲気を観察し、ピリピリした空気がないか、挨拶が交わされているかなどをチェックすることが大切です。
また、育児と仕事を両立したい看護師は、院内託児所があるか、子育て支援制度が整っているか、その制度が運用されているかも合わせて確認が必要です。
看護師の体験事例
看護師の平均年齢が若い職場は活気があり、働きやすい印象がありますが、同じ年齢層が多いとライフイベントが重なりやすく、一部の看護師が無理をして働き続けることで、逆に休みづらくなることもあります。
そのため、年齢層のバランスを考慮し、平均年齢や在職期間が高めの総合病院を選ぶことをおすすめします。
働きやすさのチェックポイント
- 総合病院の見学時にスタッフの対応や雰囲気を観察(ピリピリしていないか、挨拶が交わされているか)
- 看護部の人事方針を確認(離職率や異動の頻度など)
- 有給休暇の取得率は高いか(有給消化率80%以上が理想)
- シフトの融通が利くか(希望休が取れるか、休日出勤が少ないか)
- 夜勤の回数や負担(夜勤の回数・体制・手当の有無など)
- 託児所・寮・福利厚生の有無(希望通りに活用できるか)
- 子育て支援制度の有無(その制度の運用の有無)
- 働く看護師の年齢のバランス(働く看護師の年齢層にばらつきがあるか)
給与や福利厚生の比較することが大事
給与は看護師の転職の際に最も気になるポイントの一つですが、総合病院の給与は基本給+各種手当(夜勤手当、住宅手当、扶養手当、残業手当など)で構成されることが多いため、基本給とボーナス(賞与)を含めたトータルの収入を確認することが大切です。
手当だけで言うと、夜勤手当は総合病院によって大きく異なり、1回5000円程度の病院もあれば、2万円以上支給される病院もあります。また、賞与(ボーナス)の支給実績も重要で、年2回支給される病院が一般的ですが、支給月数が3〜4ヶ月分と病院によって違いがあります。
その他にも、住宅手当の有無や寮の完備状況、交通費の支給、研修費用の補助、育児休暇・産休の取得実績なども確認し、福利厚生が充実しているかを比較することが大切です。
給与・福利厚生のチェックポイント
- 基本給の相場(地域差あり)
- 夜勤手当の金額
- 昇給制度が整っているか(昇給率・年数ごとの基本給の変動)
- 賞与(ボーナス)の支給実績(年2回、4ヶ月分以上が目安)
- 夜勤手当(病院によって1回5000円~2万円と差がある)
- 住宅手当・寮の有無
- 交通費・通勤手当
- 研修・資格取得支援制度
- 育児休暇・産休の取得実績
看護師の体験事例
そのため、基本給が重要になります。
基本給を学歴や経験を考慮して設定している総合病院であれば、たとえ手当が減少しても、安定した生活を維持することができます。
また、ボーナス(賞与)の2か月分などの計算は基本給を基に行われるため、給与面を考えると、基本給が高く、総収入も多い総合病院を選ぶことをおすすめします。
離職率や職場の雰囲気を調べる
総合病院への転職を希望する場合、実際に病院を見学し、職場の雰囲気や離職率を確認することが大切です。
総合病院の看護師の離職率は、職場の働きやすさを判断する重要な指標の一つです。離職率が高い病院は、何らかの問題を抱えている可能性が高いため、注意が必要です。
2023年4月1日に発表された、「日本看護協会による2022年 病院看護・助産実態調査 報告書」では、正規雇用看護職員の全体の離職率は11.6%、新卒採用者は10.3%、既卒採用者(新卒ではない看護職経験者・中途採用者)の離職率は16.8%という結果でした。
そのため、看護師の離職率が11.6%~16.8%を超える総合病院は注意し、転職前に確認することが大切です。
ただし、総合病院の離職率は、看護師自身で調べることが難しいケースもあるため、以下で説明する看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)を活用することがおすすめです。
病院見学や面接の際に、「離職率はどのくらいですか?」と直接質問してみるのも一つの手ですが、これから入職する総合病院に悪い印象を与える可能性もあり、あまりおすすめしません。
総合病院の求人が多いおすすめの看護師転職サイト
看護師が総合病院への転職を検討する場合、以下の理由から看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)を活用することをおすすめします。
- 院内の雰囲気や離職率などの情報を提供してくれる
- 病院見学のアポイントを設定してくれる
- 希望の診療科への配属交渉をしてくれる
- 自分の条件に合う総合病院の求人をピックアップしてくれる
また、看護師転職サイトでは、履歴書や職務経歴書の添削、面接のアポイント調整に加え、希望の診療科への配属交渉や院内の詳細な情報を伝えてくれるため、より選択肢を広げやすく、転職活動を有利に進めることができます。
以下では、担当者の交渉能力が高く、総合病院の看護師求人が多い看護師転職サイトをご紹介します。
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対応 雇用形態 | 常勤(夜勤有り)、日勤常勤、夜勤専従常勤 |
対応施設 | 総合病院、一般病院、クリニック、特別養護老人ホーム(特養)、訪問看護、有料老人ホーム、デイサービス、重症心身障害者施設、保育園、検診センター |
対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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対応職種 | 正看護師、認定看護師、准看護師、助産師、保健師、管理職 |
対応 勤務形態 | 常勤、常勤(日勤のみ)、常勤(夜勤あり)、常勤(夜勤のみ)、非常勤 |
対応施設 | 病院、クリニック、訪問看護、企業、保育園、幼稚園、学校、その他 【介護施設】 居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問介護事業所、介護老人保健施設、軽費老人ホーム、デイケア事業所、小規模多機能、訪問入浴事業所、看護小規模多機能居宅介護、有料老人ホーム、デイサービス事業所、グループホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者専用住宅、ショートステイ事業所、訪問リハビリ事業所、介護医療院 |
対応 診療科目 | 美容、産婦人科、整形外科、眼科、外科、呼吸器科、循環器科、精神科/心療内科、小児科、皮膚科、形成外科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、消化器科、内科、透析、その他 |
対応配属先 | 病棟、外来、オペ室、透析、その他 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・東証プライム上場企業 ・支店が多く地域密着&チーム制で転職をサポート ・職場のリアルな情報を共有することも可能 ・2025年オリコン顧客満足度®調査 看護師転職3年連続No.1 ・LINE対応 |
ナース専科 転職(旧 ナース人材バンク)は、各支店に専任担当が在籍しており、保有求人数も豊富で、病院の転職に強い看護師転職サイトです。
地域担当制のキャリアパートナーが、各地域の詳細情報をもとに最適な求人を提案してくれるため、希望の求人が探しやすい特徴があります。
さらに、LINEで気軽に相談できるため、現在勤務中の忙しい看護師の方でもスムーズに転職活動を進められます。
公式サイト:https://www.nursejinzaibank.com/
キャリアの相談から可能!ナースではたらこ
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
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サイト名 | ナースではたらこ |
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運営会社 | ディップ株式会社 |
公開求人数 | 95,349件(2025年3月3日時点) |
非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師 |
対応 勤務形態 | 常勤、非常勤、日勤のみ、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック、介護施設、デイサービス、訪問看護、企業その他 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・非公開求人が豊富 ・希望条件に合う求人が見つかりやすい ・希望する病院・施設へ転職可能な逆指名転職がある |
ナースではたらこは、非公開求人が豊富で、レバウェル看護の次に保有している看護師求人数も多く、バランスが取れた看護師転職サイトです。
また、看護師の正職員からパート・アルバイトまでの転職支援を積極的に行ってくれます。
さらに、看護師のキャリアの相談やライフスタイルの相談から始めることができる転職会社のため、総合病院への転職に悩んでいる看護師の方は活用がおすすめです。
公式サイト:https://iryo-de-hatarako.net/
まとめ
看護師として総合病院で働くことには、スキルアップや多職種連携の経験、福利厚生の充実など、多くのメリットがあります。一方で、業務の多忙さや夜勤、人間関係のストレス、異動の可能性などのデメリットも無視できません。
そのため、看護師として総合病院へ転職を考える際には、自分のライフスタイルやキャリアプランに合った病院を選ぶことが大切です。
また、総合病院への転職が向いている看護師の特徴を把握し、事前に病院の規模や診療科、教育制度、職場環境、給与、離職率などをしっかりとチェックすることで、転職後のミスマッチを防ぐことができます。
「総合病院での勤務が自分にとってベストな選択かどうか?」をよく考えながら、理想の職場をぜひ見つけてみてください。
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設立 | 2015年6月 |
資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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厚生労働大臣許認可 | 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) 特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
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