看護師が病院・施設を円満に退職するための情報をまとめて解説しています。退職理由や伝え方、退職願の提出方法など、参考にしてください。
目次
看護師が円満退職を行う理由
看護師が円満退職を行った方が良い理由としては、以下のメリットが考えられます。
1 | 退職するまで周囲の人間関係で嫌な思いをしない |
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2 | 転職先にも円満退職だと堂々と説明できる |
3 | 退職に必要な事務手続きが円滑に行える |
4 | 業界内や病院グループ内で悪い評判が立たたない |
5 | 転職や仕事に対するモチベーションを下がりにくい |
6 | 円満退職の場合、退職日などの要求が通りやすくなる |
7 | 病院・施設内での人間関係が途切れない |
新しい職場で新に力を発揮するためにも、自分自身のためにも出来る限りのことは行いましょう。
円満退職が必要ない・無理な場合
退職時に問題やトラブルになるからと言って、必ずしも円満退職を行わなければならないという訳ではありません。
円満退職ができない、無理で必要ないケース以下のようにあります。
1 | 夜勤や超過勤務により過度に体調を崩している場合 |
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2 | 上司等にパワハラなどを受けている場合 |
3 | ブラック病院など明らかに雇用側に問題がある場合 |
4 | 退職を伝えたのち嫌がらせ・いじめに合う場合 |
5 | 有給休暇の消化を拒否された場合 |
6 | 「明日から来なくて良い」と感情的に罵声を浴びる場合 |
以上のような場合は円満退職を目指す必要はありません。
ただし、看護師として仕事を続け転職先が決まっている場合は、どうしても転職先で必要な書類を取得する必要があります。
そのため、職場の上司(師長など)と例えトラブルになった場合でも退職手続きを行う事務員は必ず連絡が取れるようにしておくことがおすすめです。
看護師が円満退職する流れ・スケジュール
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step1 | ★退職予定日の決定 (内定を貰っての退職の場合は2ヶ月ほど余裕があればなお可) |
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step2 | ★退職の意思表示(報告・相談) ・退職予定日の1ヶ月から3カ月前 |
step3 | ★引継ぎの確認・実行 ・退職予定日の1ヶ月から2カ月前 |
step4 | 退職願の提出 退職予定日の1ヶ月前 |
step5 | ★退職(最終出勤日) 有給消化を行う場合は「退職の意思表示」の際に日程調整を行う |
看護師として退職する場合には、なるべく円満に退社したいと考えます。
円満退職を行うためには事前準備とスケジュール調整が必要となりますので、以下で詳細を確認しましょう。

キャリアアドバイザー
最終出勤日以降に、有給休暇を取得する場合は事前に「退職の意思表示(報告・相談)」の際に相談しておきましょう。詳しい有給消化のルールに関しては「看護師が知りたい有給休暇のルール!退職時の有給消化できない時の対処法」を確認しておきましょう。
退職時のルールとマナー
看護師が退職する場合のルールとマナーは以下の通りです。
1 | ★就業規則を確認する 病院・施設に勤務している場合に就業規則に退職の事柄が記載されている場合があります。退職は何日前の告知が必要かを確認しておきましょう。(1ヶ月前又は、2ヶ月前となっている場合が多いです) |
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2 | ★直属の上司にまずは伝える 退職の場合、退職願や退職届を出す前に、まずは直属の上司に退職の相談・報告を行いましょう。看護師不足を感じる場合は退職予定日の2ヶ月前、最低でも1ヶ月には相談・報告しましょう。 |
3 | ★一般的には退職願を提出する 退職願はお伺いを立てる意味もあるため、看護師の場合は退職願を提出しましょう。 |
4 | ★退職することは上司の許可を取って同僚に伝える 退職が認められた場合でも、退職することを同僚に伝える場合は上司の許可を取ってから伝えることがマナーです。また、確認を取ってから引き継ぎを行いましょう。 |
5 | ★引継ぎをしっかり行う お世話になった気持ちを忘れずに、引継ぎをしっかりと行いましょう。 |

キャリアアドバイザー
退職時や退職後のトラブルを避けるために、なるべくマナーを守って退職することを心がけましょう。
上司に退職を伝えるタイミング
病院・施設によって多少異なりますが、円満退職を考えた場合には退職予定日の2ヶ月前には伝えるようにしましょう。
理由としては以下の通りです。
- 不足している人材の採用を行える期間のため
- 引継ぎには十分な期間であるため
- 転職する場合、内定後に入職までの待てる期間が2ヶ月程度のため
このような理由で双方にとって問題ない円満退職となりやすいと言えます。
病院勤務の場合の退職を伝えるおすすめ時期
現在病院に勤務している場合、退職を伝えるおすすめの時期は以下のような時期となります。
人手が不足していない時期 | ・夏休みをとる看護師が多い時期 ・産休・育休に入っている看護師がいる時期 ・新人看護師を教育している時期等 |
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年度末や忙しくない時期 | ・新人教育が始まる4月頃 ・患者の対応が忙しくなる12月頃 |
人事異動・部署異動が行われる前 | 部署異動の話し合いが決定した後に、退職希望を伝えるともう一度部署異動の話合いを持たなくてはならないため、引き止めに合ってしまうことが多いため。 |
忙しい時期や人手不足と退職が重なる場合は前もって退職の意志を伝えておくことが重要です。
また、現在の職場を考慮しながら計画的に退職を伝えることが円満退職には必要になります。
上司(師長)への退職理由の伝え方
上司(師長)へ退職理由の意向を伝える場合は、以下のNG項目を行わないようにしましょう。
NG | 上司を呼び止めた後すぐに退職の話をすること |
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NG | 立ち話で退職の意向を伝えること |
NG | 上司の都合を無視して自分の時間で話すこと |
NG | 退職希望月の勤務表を作成後に伝えること |
NG | 上司に話す前に他のスタッフに退職を伝えること |
NG | 相手が感情的になったからと言って感情的にならないこと |
NG | 職場内の人間関係への問題や不満を伝えること |
NG | 上司の都合を無視して自分の時間で話すこと |
NG | 今の仕事が合わない・好きではないという不満を伝えること |
NG | その他、不平・不満を口に出すこと |
以上のことを退職時に伝えると引き止めに合いやすくなる場合が多くなる場合や、退職時期を延ばされる可能性があるため注意が必要です。
円満に退職を行いやすい退職理由
1 | スキルアップ等の目的での退職(転職)理由 |
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2 | 家庭の事情での退職理由(結婚・妊娠・夫の転勤など) |
3 | 親の介護が退職理由 |
4 | 体調不良が退職理由 |
円満に退職することが可能な退職理由は誰しもが納得できる内容となります。
詳しくは以下を参照してください。
退職理由で嘘をつく場合
退職理由が嘘でも良い理由としては、労働基準法でも民法でも法律的に問題がないからとされています。
ただし、すぐにバレる嘘はつかないことが大切でバレた際には気まずい思いをするリスクなどがあります。
そのため、嘘をつく必要がなければ、考えた上で退職理由を伝えるよう心掛けてください。
退職相談・面談時の上司からの想定質問
退職希望を伝えた看護師のほとんどは、一度引き止めに合う場合が多く、上司(師長)から行われる相談時の想定される質問は以下の通りです。
- 退職を希望する理由は?
- ○○さんが十分育つまで待っていてほしい
- 必要な人材のため留まってほしい
- 転職先は決まっているの?
- 例えば部署を移動するのはどう?
- 残された看護師のことも考えてほしい
- 希望の仕事ができるようにする
- 給与や待遇を(具体的に)改善するわ
- 仕事内容に不満があるの?
- 退職日はいつにするの?
退職理由をしっかりと考えることで、不要な質問を受けずに済みます。
円満退社に向けて準備を怠らないようにしましょう。
退職願・退職届の提出
退職願と退職届は以下のように意味合いが違います。
退職届 | 退職を届け出るもの・自主退職となる (一度届けたら基本的に自分では撤回できない) |
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退職願 | 退職を希望している意思表示をするための書類・合意のもと退職となる |
看護師の場合は直属の上司(師長等)に報告を行った上で直属の上司に「退職願」を提出しましょう。
また、必ず提出する必要はありませんが、退職予定日を変更されないためにも、退職日の1ヶ月前には提出しておきましょう。
退職願の書き方については以下を参照してください。

キャリアアドバイザー
退職願を提出した際には、引継ぎについて合わせて直属の上司に確認しましょう。また、同僚などに伝える日時や伝え方も確認してくことがおすすめです。
退職日が決まってからの働き方
1 | 今まで通りの仕事を行うこと |
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2 | 後輩に伝えられるだけの指導をすること |
3 | 他部署へ少しずつ挨拶まわりをすること |
4 | 業務引き継ぎを行うこと |
5 | 退職手続きを確認しておくこと |
退職日が決まった場合でも、普段通り仕事を行うように心がけましょう。
また、引継ぎなどは上司の確認を取り同僚に伝えて良いかの確認を忘れないようにしましょう。
退職での引継ぎについて
1 | 上司に相談をして引継ぎを行う |
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2 | 引継ぎは言われた通りの手順で行いアレンジはしない |
3 | 委員会などは後任者に同席して引継ぎを行ってもらうよう相談する |
4 | 相談しても指示がない場合は自分が担当してきた業務を文章にまとめる |

キャリアアドバイザー
看護師退職時の引継ぎのポイントとしては、上司に相談し言われたとおりの指示に従い引継ぎを行うことです。
「このように行った方が良い」という感情はあるかもしれませんが、退職後に勤務するのはあなたではありません。
そのため、笑顔を忘れずに引継ぎを行っていきましょう。
退職前後の手続き
看護師が退職する場合各種手続きを一覧でご紹介します。
さらに詳細は以下を確認してください。
退職時に病院・施設から受け取るもの
雇用保険被保険者証 | 雇用保険加入者を証明する書類 ・次の転職先で必要 |
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離職票 | 病院等を退職した証明 ・「離職票-1」「離職票-2」があるので注意 |
健康保険被保険者資格喪失証明証 | 健康保険から脱退した証明書 ・勤務先に申請する必要がある |
厚生年金基金加入員証 | 厚生年金に加入している場合のみ ・退職後に勤務先から返却される |
年金手帳 | ・通常はコピーを提出しているので返却はない ・病院によっては預けている場合があるので注意 |
源泉徴収票 | その年の年収が書いた紙 ・勤務先によって1ヶ月程度かかる場合もある |
退職証明書 | 新しい職場に求められた場合 ・勤務先に依頼する必要がある |
退職時に病院・施設へ返却するもの
1 | 健康保険被保険者証(健康保険証) |
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2 | 職員証、職員バッチ、名刺等 |
3 | 通勤定期券(現物が支給されている場合のみ) |
4 | 事務用品・ユニフォームなど支給されたもの |
5 | ロッカー鍵や資料など |
※病院・施設によって多少異なるので自身で確認を行いましょう。
公的な手続き
看護師として一度退職した後、転職活動を行う場合や、しばらく働かない場合などは、以下のような手続きが退職後に素早く必要となります。
- 健康保険の変更手続き
- 国民健康保険への加入・変更手続き
- 結婚等の氏名変更に伴う看護師免許の更新
- 失業保険の給付手続き
- 年金の種別変更手続き
- 住民税の支払い
また、夫の扶養に入る場合なども含めて、詳細は以下を確認してください。
最終出勤日
最後に最終出勤日は、可能な限り院長や上司、同僚に挨拶することを心がけましょう。
仕事を辞めるときは「立つ鳥あとを濁さず」を実行しましょう。
また、挨拶の方法が分からない方は以下の詳細の例文を参照に、気持ちよく退職を行ってください。