大学病院へ看護師の中途採用で転職する場合の注意点
中途採用の看護師でも、大学病院に正職員(正社員)として転職し、働くことは可能です。
ただし、一般病院等に比べ、少し採用のハードルが高くなる傾向があり、中途採用を成功させるためには対策と準備が必要です。
このページでは、大学病院へ中途採用を希望する上で、看護師として知っておきたいこと、中途採用で感じる看護師のメリット・デメリット、大学病院へ中途採用で看護師として転職する注意点を、看護師の体験事例も含めながら説明していきます。
執筆・監修大学病院への看護師の中途採用で知っておきたいこと
大学病院の中途採用への看護師転職を行う前に、知っておいてほしいことを以下でまとめています。
初めて大学病院へ転職を考える看護師の方は、確認しておきましょう。
大学病院の種類と数
大学病院(大学附属病院)は、以下のように国立・公立・私立に分けることが可能で、附属病院がある大学は全国で81校です。
国立大学病院 |
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公立大学病院 |
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私立大学病院 |
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出典:文部科学省 附属病院を置く国公私立大学一覧
(2023年3月27日時点の大学付属病院数)
多くの大学病院は特定機能病院でもあり、病床数は400床から規模が大きな大学病院の場合は1,000床を超えます。
看護師が中途採用で大学病院へ転職する場合、一度、中途採用の試験や面接等で落ちてしまうと再応募することが難しくなることを理解しながら活動を行う必要があります。
公立大学病院が一番ハードルは高い
大学病院の中でも、公立大学病院は数が少なく、中途採用の看護師数、採用試験などのハードルが高いです。
そのため、公立大学病院を希望する場合は、1年間程度の転職期間を設け、まずは看護師求人を探すことから始める必要があります。
また、国立・公立・私立など希望がある場合でも、通える範囲のすべての大学病院への転職を検討することをおすすめします。
大学病院の特定機能病院についてスタッフに大学出身者が多いことは覚悟する
大学病院は、「教育」「臨床」「研究」の3つの機能を持ち、大学におかれる付属施設の一つが「大学病院」です。
そのため、医師・看護師はもちろんですが、薬剤師・理学療法士・作業療法士等も同じ大学もしくは、付属短期大学や付属の専門学校などを経て、大学病院へ就職しているケースがほとんどです。
また、学生の頃から実習などもその大学病院で行うため、顔見知りのスタッフも多く、出身校が同じ場合は目にかけてくれるケースもあります。
中途採用の看護師として働く上で大きな問題になることはありませんが、「出身校が異なる、経験してきた病院が異なる」などの場合には、職場の雰囲気が自分にとって居づらいと感じる場合あること(アウェイ感)は、覚悟しておきましょう。
大学病院の中途採用の看護師求人は意外と豊富!
大学病院の中途採用の看護師募集は、基本的に欠員の募集や、規模を拡大するなどの理由で募集がかかります。
一般病院と同様に、急に看護師の欠員が出る可能性は、大学病院でも同様であり、通年採用を行っている大学病院も多いです。
また、年間通しての研修スケジュールを新卒看護師に合わせて行うことができるメリットがあるため、中途採用の看護師も4月入職となるケースが多く、1年~半年前に募集が増えます。
大学病院の数は少ないですが、中途採用の看護師の募集が全くないわけではなく、地域によっては意外と豊富である可能性もあるでしょう。
そのため、大学病院への中途採用を希望する場合には、まず看護師求人を探すと良いでしょう。
ただし、大学病院の求人を探す場合は、当ページ内の「#大学病院へ中途採用の看護師として転職する注意点」を必ず確認してから探しましょう。
経験年数5年目から10年目程度の看護師の中途採用が多い?看護師が中途採用可能な大学病院一覧
看護師が中途採用可能な大学病院を一覧でご紹介していきます。
(大学病院のホームページに採用ページがある場合、看護部、又は採用ページにリンクを貼っています。)
東京都内の大学付属病院一覧 国立大学付属病院一覧 公立大学付属病院一覧 私立大学付属病院一覧大学病院へ中途採用で感じる看護師のメリット・デメリット
一般病院等と比較した場合、大学病院への中途採用で感じる看護師の一般的なメリット・デメリットを体験事例も含めながらご紹介します。
また、メリットとデメリットが背中合わせである場合も多く、合わせて説明していきます。
看護の専門性を追求することが可能
大学病院で働く看護師は、一般的な看護のエビデンスに加え、大学の理念や方針が基盤となり働いています。
そのため、組織として一丸となることが重要であり、各セクションで専門性を追求できることがメリットです。
また、大学病院で働く看護師は、先進的な看護を発展させていくために、看護研究をすることも可能であり、大学病院内での研究発表にとどまらず、全国規模の学会発表を行うことや、研究論文を仕上げることも可能です。
看護を志す職業人として、大学病院での仕事内容の待遇は、通常の一般病院と比べて、とても良い環境と言えるでしょう。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私が勤務した大学病院では、日々、カンファレンスを行う時間が確保され、研修も仕事の時間内に含まれます。研修には、看護師に特化する電子カルテなどの情報や看護技術の更新のほかに、大学の組織全体として、感染管理や経営に関することにも参加することができました。
また、これらに参加するメリットとして、大学病院内で設けられたポイント制があり、業務評価にも繋げることができました。
看護師の体験事例
私が勤務した大学病院では、その病院だけではなく、国際基準や全国で決められたエビデンスに基づく専門性の高い研修や教育を受けることができました。
日々の臨床に没頭するだけではなく、研修や教育を受けることによって、専門的な知識や技術を高めることができ、また患者に還元できることは、大学病院ならではの待遇だと感じました。
看護師の体験事例
どの大学病院でも、常に新しい医療に取り組んでおり、新薬や、新しい医療機器、新しい術式などが取り入れられた際にはその都度勉強会が開かれたり、自分で調べたり勉強しなければなりませんでした。
どんどん新しい知識をいれ、古い知識を更新していくことが必要とされ、受け身だけでは補えないことも多々あるので、自己学習が必要でした。
そのため、努力を面倒と思う看護師の場合、大学病院は不向きかと思われます。
福利厚生が充実している
大学病院の看護師は、大学の組織の一員として仕事をしているため、受けることができる福利厚生の幅が広いことが特徴でありメリットです。
勤務する大学病院によって異なりますが、例えば、妊婦健診が無料の場合や、娯楽施設や宿泊施設の割引、大学生が利用する食堂と同じような食事が提供されることなど、大学組織として関わっている場所で、良い待遇を受けることが可能です。
また近年、看護師の働きやすい環境が医療の質に反映すると考えられているため、大学病院の看護師は子育てしやすい環境である場合も多いです。
そのため、大学病院では、保育園に子どもを通わせる環境や、育児休暇の取得制度が確立されている場合が多く、ワークライフバランスは、通常の一般病院よりも、大学病院の方が良い印象があります。
教育制度が整いキャリアアップ支援が豊富
看護教育にクリティカルラダーを用いている大学病院が多く、中途採用の看護師でも同じ教育制度を受けることができることがメリットです。
また、大学病院で働く看護師は、一般病院の看護師が受ける研修や教育より、一般的に質が高く、それに比例して、大学病院の看護師が積むキャリアも高くなります。
大学病院には、その風土があるからこそ、認定看護師になるために必要な講習期間、専門看護師になるために必要な大学病院への進学等の理解があることも、メリットです。
看護師としてキャリアアップを目指す上で、研修への参加や大学への進学の待遇として、資格取得支援制度がある大学病院も豊富で、看護師として在籍したまま休職できるところもあり、一般病院と比較すると、活用できるキャリアアップ支援が豊富と言えるでしょう。
ただし、クリティカルラダー等の自己評価・自己目標など、今まで経験なく働いていた看護師や、研修・勉強会が苦手な看護師にとってはデメリットに感じる場合もあるでしょう。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私が勤務していた大学病院では、クリティカルラダーを一つの指標として、1年間の目標を立てることも多く、4月に目標の立案、9月ごろ中間評価、2月最終評価と細かく師長と面談をして決めていました。
そのため、自分の目標に合わせて、研修に参加したり、病棟の勉強会を計画・参加したりと、とても忙しかった印象です。
この目標を書いて提出する場合、きっちり文章化して自分を評価するため、ちょっと面倒くさいと感じることが多かったです。
看護師の体験事例
どの大学病院でも、一般病院よりも診療科の種類が圧倒的に多いと思います。
そのため、看護師が病院内で異動を考える際、選択の幅が広く、希望に沿った異動ができるため、様々な診療科を知ることができるキャリアアップになる場面が多いと言えます。
ネットワークの広い大学病院のため、異動前の情報についても聞くことも可能でした。
高い学歴を持つ看護師も多く待遇が違う
看護師の中でも、幅広い学歴が存在しており、准看護師から看護師になられる方もいれば、大学院を修了して博士号を取得されている方もいます。
大学病院と一般病院を比べてみると、大学病院の方が圧倒的に高い学歴を持つ看護師が多く、看護大学卒業と看護専門学校卒業では、初任給(又は待遇)も大きく異なってきます。
そのため、初任給という面では、大学病院で働く看護師は大卒・院卒などの学歴がある方はメリットとなり、専門学校卒の看護師などはデメリットとなるでしょう。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私が勤務している大学病院では、最終学歴が高ければ高いほど看護師としての待遇が良く、医師やコメディカルからの信頼にも差が出てくることがあります。
特に、看護大学を卒業し、そのまま附属の大学病院に就職した看護師は、他大学や専門学校卒業の看護師よりも、将来性や期待が高いため、待遇がさらに良くなってきます。
そのため、認定看護師や専門看護師への道に進む大学病院の看護師が多く存在しています。
基本的にマニュアル化されている
大学病院は、一般的に多くのマニュアルが存在し、マニュアルに沿った行動を看護師として求められます。
そのため、中途採用で大学病院へ転職する看護師は、そのマニュアルの多さに圧倒される可能性もあり、今まで行ってきた方法をそのまま行うことはできず、デメリットに感じることもあるでしょう。
しかし、そのようなマニュアルは、医療行為の基準・手順のため、新人看護師や初めてその科に配属になった看護師にとっては、分かりやすい参考書代わりとなり、便利と感じさえすればメリットです。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私が勤務した大学病院ではとにかくマニュアル道理に行うことを強いられました。
そのため、看護師として経験を持ち、大学病院へ転職した場合、大きなストレスとなる可能性があるため注意が必要だと感じます。
また、何年かに一度(特定機能病院などの監査が入る前など)マニュアルの見直しなどもあり、スタッフそれぞれが担当を決められマニュアルの追加や修正なども行っていきます。
このような作業もマニュアル嫌いの私にとっては苦痛でした。
採血・点滴挿入などは研修医等の仕事
大学の付属施設の一つが「大学病院」であるため、病院には、研修医が多く働いており、採血・点滴挿入は基本研修医の仕事となる大学病院が少なくありません。
そのため、一般病院等で毎日採血・点滴挿入を行っていた看護師にとっては、研修医を呼ばなくてはならない面倒くささや、自分の技術向上を妨げてしまう可能性を感じてしまうことがデメリットです。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私は、大学病院から一般病院へ転職したため、看護師が行う採血・点滴挿入の多さに初めは圧倒されました。
そして、採血や点滴ルート確保の技術もなく、何度も失敗していたことを思い出します。
採血・点滴ルート確保が苦手な看護師にとっては、大学病院で働くメリットになるかもしれません。
給与などの待遇は良いが時間外勤務は多い
安定した給与や高給なボーナスの待遇は、通常の病院の看護師より、大学病院の看護師の方が良くメリットです。
例えば、厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査では、従業員規模10人以上の看護師の平均年収は約508万円に対し、従業員規模1,000人以上の看護師の平均年収は約556万円と約48万円の差があります。(年収の計算方法:所定内の給与金額×12+年間賞与・その他特別給与額)
また、一般病院とは違い大学病院の規模が大きく、患者数は圧倒的に通常の病院よりも多いため、病院内の収入も多く、経営は安定している場合が多いでしょう。
その結果、大学病院で働く看護師の給与に関する待遇は良く、新卒看護師とって大学病院は人気の就職先です。
ただし、大学病院は高度な医療の提供や、重症度の高い患者、緊急入院の多さなどにより、時間外勤務労働(残業)が多くなる傾向にありデメリットです。
昨今、多くの大学病院では、看護師のワークライフバランスを重視しており、仕事は仕事、プライベートはプライベートといった線引きがなされていることから、勤務時間がしっかり管理されている傾向にありますが、一般病院と比べて残業は多いでしょう。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私は大学病院から一般病院に転職しましたが、給与などはやはり大学病院の方が多く、残業した場合でも時間外勤務手当もしっかり付くため、給与はとても高かった印象です。
ただ、大学病院で働いている時は、お金より時間がほしいとよく思っていました。
中途採用では特に体力・根気がないときついと思います。
スタッフが多く人間関係も複雑
大学病院内の病棟は、20代前半から30代前半の看護師が占める割合が多く、役職がある40代~50代の看護師が少人数在籍している、という病棟も多いです。
さらに、規模が大きい分、働く看護師や、その他スタッフも多くなるため、人間関係も複雑になり、派閥のようなものもでき、人間関係が大変な可能性があることがデメリットです。
同じ時期に中途採用で転職した、看護師の同期がいる場合は心強いですが、大学病院の場合、数ある病棟の中、同じ時期に、しかも経験のある転職者を、同じ病棟に配属することは稀となります。そのため、中途採用の看護師は、周りの様子を判断しながら、どのような人間関係なのか観察する必要があるでしょう。
ただ、人間関係はどの病院に勤務しても付きまとう悩みになる場合が多く、デメリットと感じない看護師も多いでしょう。
看護師の異動(配置転換)が多い
大学病院では、数年ごとに異動(配置転換)があり、経験を得られるという看護師のキャリアアップにつながる一方で、一つの診療科でじっくり働きたい看護師にとってはデメリットです。
ただし、大学病院の場合、内科・外科などに関しても、それぞれ細かく分類ごとに病棟があるため、循環器内科・消化器内科・呼吸器内科や胸部外科・消化器外科・脳外科など専門的に学ぶには良い環境であり、メリットです。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私が勤務していた大学病院では、2年~4年ごとのペースで配置転換があり基本的に看護師は長期間同じ部署にはいませんでした。
毎年、異動希望などはとっていましたが、異動希望を出していない部署でも異動されてしまうことがありました。
そのため、絶対内科が良いや、外科が良いなどこだわりがある看護師には、大学病院は向かないかもしれません。
ただ、自分が希望していなかった病棟に異動になっても、新しい分野の発見にもつながり意外と自分はこの科も楽しいと感じることもあるかもしれません。
大学病院へ中途採用の看護師として転職する注意点
大学病院へ中途採用の看護師として転職する場合や、求人を探す場合に注意したいことを説明していきます。
大学病院が中途採用の看護師に求めることを理解する
多くの大学病院が新卒者(新卒看護師等)に求めていることは、可能性や将来性であると言われていますが、中途採用の看護師に求められているものは、大きく以下の3点となり、詳しく説明していきます。
1.即戦力の看護師を求めている
大学病院では、先進医療を行っているため、専門看護師や認定看護師など、得意分野を持つ看護師が必要とされることが多いです。
ただし、専門・認定看護師などの資格を持っていない場合でも、救急や癌、心疾患など専門知識を身に付けた看護師を求める傾向にあり、入職後、「即戦力の看護師として働いてほしい」「即戦力の看護師として働くことが可能かどうか」が、履歴書、職務経歴書、面接などで確認される点です。
もちろん、中途採用で入職した看護師への教育制度が充実している大学病院も多いですが、一定の看護スキルや経験は必要になると思っておきましょう。
(既卒看護師や臨床経験3年未満の看護師の場合は別となるため、注意してください。)
2.経験で培った指導力を求めている
多くの大学病院では、結婚・出産・子育て、その他プライベートな事情も含め、忙しさゆえに一般病院と比較すると10年以内に退職する看護師が多いことも特徴です。
そのため、中堅、ベテランと言われる層の看護師の退職が相次いだ場合、新人看護師の教育や、看護学生の指導経験を持つ看護師が必要とされます。
このように、他の病院で培った看護師の指導力を求め採用し、将来的には教育を行ってもらいたい場合もあります。
3.交替制勤務可で夜勤ができること
大学病院が中途採用の看護師を募集する場合、欠員を募集する場合がほとんどであり、「交代制勤務可、夜勤可」の看護師を希望する場合が多いです。
そのため、夜勤が通常通りに行えることが、採用されるための条件の一つとなる場合が多く、夜勤回数や勤務時間等の希望条件などは、一般病院のように面接時等に交渉するようなことはありません。
大学病院に中途採用の看護師として勤務する以上、夜勤は必ずあると思っておきましょう。
中途採用者の教育制度とキャリアアップ制度は確認する
大学病院は、看護師が働くエリアによっては数が少ないため、中途採用を希望する看護師の場合、選択肢がそこまでないケースも多いです。
そのため、中途採用者の教育制度とキャリアアップ制度を確認せずに看護師として転職してしまった場合、後悔してしまう方もいます。
一般的に、看護師にとって働きやすい大学病院は、勤務時間や、休日、給与なども働きやすさを計るポイントとなりますが、中途採用の看護師の場合、大学病院で不安なく経験を積み、キャリアアップできる環境であるかどうかも、働きやすい大学病院のポイントです。
そのため、大学病院のホームページ(看護部のホームページ等)を改めて確認し、中途採用者の教育制度について調べることや、面接時に確認することを忘れないようにしましょう。(新卒看護師のみの教育体制が記載されている場合も多く、中途採用の場合はどうなるのかを確認しましょう。)
また、認定看護師・専門看護師などを目指す場合、大学病院によってバックアップしてくれる内容が違うため、改めて詳細を確認しておきましょう。(ほとんどの大学病院では、専門看護師、認定看護師資格取得の支援体制があります。)
経験した分野でのキャリアアップとして転職すること
大学病院が中途採用の看護師に求めることで説明したように、大学病院は即戦力の看護師を希望するケースが多く、経験した分野が条件の一つになっている場合も多いです。
そのため、今まで経験した分野をさらに伸ばし、勉強し、看護師としてキャリアアップするために大学病院への中途採用を検討することがおすすめです。
もしも、経験した分野ではなく新しいチャレンジを行い、学びたいと感じるのであれば、その熱量を面接時に伝えると良いでしょう。
採用される可能性は低くなりますが、大学病院以外でも新しいチャレンジを行える病院はあると考え、選択肢の一つとして転職活動を行いましょう。
大学病院で行われる看護師の中途採用試験
国立大学病院や、私立大学病院の場合、「公務員やみなし公務員」となる場合がありますが、通常の看護師転職を行うことと、さほど変わりはありません。
ただし、履歴書・職務経歴書の書類審査は必ず行われるケースが多く、場合によっては応募条件に看護経験年数(5年以上など)を指定されている場合や、ICU(集中治療室)やER(救急外来)、オペ看などの経験がある看護師のみを募集している場合などもあります。
また、大学病院の数は少ないですが、公立大学病院の場合、正職員として働く看護師は地方公務員となるため、以下のような試験が行われる場合があります。
- 1次選考:書類審査
- 2次選考:小論文・適正検査(Y-G性格検査、SPI、クレペリン検査など)
- 3次選考:個別面談
(※場合によっては2次選考がない場合もあります。)
特に入職月を4月に合わせた、他の新卒看護師と同様に中途採用の看護師が募集される場合、合わせて試験が行われるケースもあり、試験内容はその年によって様々です。
大切なことは、大学病院へ中途採用の看護師として転職を考える場合、履歴書・職務経歴書等の書類審査は必ずある可能性が高いと言うことを覚えておきましょう。
中途採用を希望する看護師の志望動機と面接でのコツ
大学病院への中途採用を希望する看護師の場合、履歴書の志望動機と面接を一緒に考えて作成することがコツです。
以下で、履歴書の志望動機についての詳細を説明していきます。
大学病院への中途採用看護師の志望動機
大学病院へ中途採用を希望する場合の看護師の志望動機は、以下の3つを必ず具体的に記載しておくことがおすすめです。
- この大学病院を選んだ理由
- これまでの経験やスキルを、この大学病院でどのように活かすことができるか
- 将来のビジョン
大学病院への看護師の中途採用となる場合、「最先端の医療に携わりたい」「専門性を高めたい」「資格を取ってキャリアップしたい」など、前向きで積極的な言葉が自ずと出てくると思いますが、漠然とした表現ではなく、その大学病院の特色を理解し「数ある大学病院の中で、なぜ、この病院を選んだのか」「この病院のどこに魅力を感じたのか」ということを具体化しておきましょう。
採用担当者が、「そのような理由であれば、一般病院でも可能なのではないか」「他の大学病院でも良いのではないか」と思うような志望動機では、採用は難しくなる可能性が高いでしょう。
面接で聞かれる内容は必ず準備しておく
中途採用の面接で必ず聞かれる質問は、大学病院でも一般病院と同様で「志望動機」「前職の退職理由」は必ず確認されます。
そのため、看護師は記載した志望動機に合わせて準備しておきましょう。
また、人間関係に悩んだことはないか、困難にぶつかった時にどのように対処したか等、退職理由に繋がりそうなことを聞かれることがあるため、事前に準備しておきましょう。
その他、大学病院ならではかもしれませんが、「看護観」や「自分の長所・短所」「5年後、10年後、どうなっていたいか」なども良く聞かれる質問となり、聞かれたことに応えるだけではなく、自分自身をアピールするように心がけましょう。
採用担当者は、即戦力となる看護師を採用したいと考えている場合が多く、これまで自分が培ってきた看護師としての経験や知識を大学病院という環境の中でどのように活かしていきたいかを、しっかりと伝えましょう。
大学病院への中途採用は看護師専用のエージェントを活用する
大学病院の採用ページから、看護師が中途採用で直接応募する場合、どのような看護師が応募してくるか分からないため、一定の採用試験や書類選考を設ける場合がほとんどです。
上記で説明した、履歴書・職務経歴書の書類審査、小論文や適性検査などが行われる場合もあります。
ただし、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)を活用することで、書類審査や適性検査を行うことなく、面接までたどり着くことが可能になるケースが多いです。
これは、あらかじめ看護師転職サイトの担当者が、看護師の職歴や人柄、今までの経験と大学病院へ中途採用を希望する理由等を、あらかじめ採用担当者に伝えているためです。
そのため、看護師転職サイトを活用することで、(すでに担当者との話の中で審査されているため)面接から行うことが可能となり、採用される可能性が高くなります。
まずは、看護師転職サイトを活用して希望の大学病院へ中途採用が可能かどうかを確認し、直接応募するのは最終手段と考えておくことが、おすすめの方法です。
特に、面接が苦手、履歴書・職務経歴書のルールが分からない、志望動機が書けないなどの不安がある看護師の方は、必ず活用しておきましょう。
中途採用の大学病院求人が多い看護師転職サイト
以下で、中途採用の大学病院求人が多い看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)をご紹介します。
履歴書・職務経歴書に自身がない看護師の方は、必ず活用して担当者からアドバイスを貰いましょう。さらに、面接なども対策(質問されるない内容なども確認)も行い、万全な対応で臨みましょう。
看護師の方が思うより大学病院への中途採用は、書類選考や面接で落とされやすいため、一般病院へ転職するようなフランクな感覚は、持たないようにしましょう。
また、大学病院の数は一般病院と比較し、とても少ないため、以下の3社をまずは登録して、希望するエリアで大学病院の中途採用の看護師求人があるか、担当者に確認することがおすすめです。
大学病院求人が豊富!レバウェル看護
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
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サイト名 | レバウェル看護(旧:看護のお仕事) |
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運営会社 | レバレジーズメディカルケア株式会社 |
公開求人数 | 141,631件(2025年3月3日時点) |
非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師 |
対応 雇用形態 | 常勤(夜勤有り)、日勤常勤、夜勤専従常勤 |
対応施設 | 総合病院、一般病院、クリニック、特別養護老人ホーム(特養)、訪問看護、有料老人ホーム、デイサービス、重症心身障害者施設、保育園、検診センター |
対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・看護師の転職求人が豊富 ・転職支援サービスが手厚い ・転職の相談から行える ・院内・施設内情報に強い |
レバウェル看護(旧 看護のお仕事)は、看護師転職サイトの中でも断トツに看護師求人数が多いです。そのため、掲載中の求人には、大学病院の看護師求人が、どの看護師転職サイトより群を抜いて一番多いです。
また、利用する看護師に人気が高く、転職支援サービスの内容も充実しており、求人はハローワークもカバーしています。
そのため、大学病院に中途採用を考える看護師の場合、必ず活用しておきたい看護師転職サイトです。
公式サイト:https://kango-oshigoto.jp/
主要な大学病院なら!マイナビ看護師
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
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サイト名 | マイナビ看護師 |
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運営会社 | 株式会社マイナビ |
公開求人数 | 85,420件(2025年3月3日時点) |
非公開求人 | とても豊富(保有求人全体の約40%非公開) |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師、ケアマネジャー |
対応 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託その他 |
対応 勤務形態 | 常勤(二交替制)、常勤(三交替制) 、夜勤なし、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・転職の相談から行える ・キャリアアドバイザー親切丁寧 ・退職交渉も可能 ・企業系のレア求人を豊富に保有 |
マイナビ看護師は、大学病院の看護師求人数は少ないですが、全体の40%が非公開求人となるため、大学病院の看護師求人も豊富で、かつ好条件の求人がとても多いです。
また、看護学生用のマイナビ看護学生を運営していることから、大学病院ともつながりが深く、合わせて利用しておきたい転職サイトです。
担当者が丁寧で的確なアドバイスを行ってくれるため、利用した看護師に定評があります。
公式サイト:https://kango.mynavi.jp/
常に大学病院の求人を更新!看護roo!
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
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サイト名 | 看護roo! |
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運営会社 | 株式会社クイック |
公開求人数 | 99,103件(2025年3月3日時点) |
非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師、看護学生 |
対応 雇用形態 | 正社員、パート・アルバイト、一般派遣 |
対応 勤務形態 | 常勤(夜勤あり)、常勤(日勤のみ)、非常勤 |
対応施設 | 一般病院、大学病院、一般+療養、療養型病院、精神病院、クリニック、訪問看護、介護施設、健診センター、保育園・学校、その他施設 |
対応配属先 | 病棟、外来、オペ室(手術室)、救急外来、ICU系、透析、訪問看護、介護・福祉系、健診・検診、保育園・学校、訪問診療、内視鏡、その他 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・転職支援ツールの提供が豊富 |
看護roo!は看護師転職サイトの中でも、いち早く大学病院の看護師求人を掲載していた看護師転職サイトです。
現在では、常時100件近くの大学病院求人を掲載しているため、こちらも合わせて活用しておきましょう。
公式サイト:https://www.kango-roo.com/
まとめ
大学病院へ転職を考える場合、中途採用看護師は新卒者と違い、求められるものが大きく、これまでの経験を重要視されます。
大学病院への転職においては、その大学病院の特長や専門性を把握し「ここで働きたい、学びたい」という強い信念を持ち、面接時等に伝えることが大切です。
最先端の医療に触れ、常に学ぶ体制が整っている大学病院は、看護師にとって魅力的な職場であり、大学病院への看護師転職は、自分の理想とする看護師像に近づくための第一歩になるでしょう。
是非、頑張って大学病院への看護師転職を実現させてください。
このサイトの運営者情報
運営会社 | 株式会社peko |
---|---|
会社ホームページ | https://peko.co.jp/ |
所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂3丁目1-16 BIビル6F |
代表取締役 | 辻󠄀 昌彦 |
設立 | 2015年6月 |
資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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厚生労働大臣許認可 | 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) 特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
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