不妊治療クリニックで働く看護師の仕事内容と体験談
不妊治療クリニックで働く看護師は、一般のクリニックとは異なる専門性と役割を担っています。近年、不妊治療のニーズが高まる中で「仕事内容は?」「大変さは?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
以下では、不妊治療クリニックで働く看護師の仕事内容、メリット・デメリット、体験談を交えながら詳しく解説します。
執筆・監修
- エリア:東京都在住
- 保有資格:看護師
- 経歴:総合病院(急性期)、こども病院 、療養型病院 、クリニック、デイサービス
- 経験がある診療科:外来、小児科、脳神経外科、眼科、救急外来、歯科、退院調整室
高校卒業後、大学に進学したものの将来の方向性に悩み中途退学。その後、学生時代から勤めていたアルバイト先で看護師という仕事に魅力を感じ、社会人経験を経て看護師になりました。どんなときも患者さんを思った優しさのあるケアができる看護師になることを目指していきます。
不妊治療クリニックと一般のクリニックとの違い
不妊治療クリニックは、妊娠を望んでいるご夫婦やカップルを対象に、専門的な検査・治療を行う医療機関です。
不妊治療クリニックと一般のクリニックでは以下のような違いがあります。
項目 | 不妊治療クリニック | 一般的なクリニック |
---|---|---|
診療内容 | 体外受精・顕微授精・人工授精など生殖医療に特化 | 内科・小児科・耳鼻科・一般婦人科など幅広い診療 |
対象患者 | 妊娠を希望するカップルや夫婦 | 病気や体調不良を抱える幅広い患者層 |
勤務形態 | 外来中心で夜勤はほぼなし。 日勤主体だが夜間診療あり | 外来主体だが、科によっては夜勤や当直がある |
予約システム | 完全予約制が多く、残業は少なめ | 予約制と当日受付の混在が多い |
業務の特徴 | 採卵・胚移植など時間管理が厳格。 患者の心のケアが重要 | 診療科により異なるが、一般的な診療と処置が中心 |
一般病院の産婦人科や婦人科のクリニックと比べて、高度生殖医療(体外受精・顕微授精など)を専門的に扱うことが大きな特徴です。患者は「命に関わる病気の治療」ではなく「新しい命を授かるための医療」を目的として来院するため、医療内容も生活背景も非常にデリケートです。
基本的に外来中心で夜勤はなく日勤勤務が主体ですが、働いている患者さんを対象としているため、夜遅くまで診療を行っているクリニックが多いです。
不妊治療クリニックで働く看護師の仕事内容
不妊治療クリニックの看護師は、一般的な処置だけでなく、患者さんの生活や心に寄り添う幅広い役割を担っています。ここでは具体的な仕事内容を項目ごとに解説します。
問診・カウンセリングのサポート
不妊治療クリニックでは、治療を始める前に患者の既往歴や生活習慣、これまでの検査・治療歴などを細かく聞き取る「問診」が欠かせません。看護師はその聞き取りを丁寧に行い、医師が診断や治療計画を立てるための重要な情報を整理して伝えます。
さらに、治療に伴う不安や生活との両立、夫婦関係の悩みなど、医療情報だけではカバーできない心情面に寄り添う「カウンセリング」も大切な仕事です。患者が安心して気持ちを話せるよう雰囲気を整え、必要に応じて医師に代弁することで、治療をスムーズに進めるサポートを行います。
看護師の体験事例
問診は単なる情報収集ではなく、ご夫婦の気持ちを整える大切な時間だと強く感じます。
採血・注射・点滴などの看護業務
不妊治療ではホルモン値の測定や薬物療法が欠かせないため、採血や注射は日常的に行われます。(不妊治療クリニックによって異なりますが、採血は看護師の仕事となる場合がほとんどです。)
特に排卵誘発の注射やホルモン補充療法は、投与のタイミングが妊娠率に直結するため、スケジュール管理を正確に行うことが重要です。
患者によっては自己注射を行う場合もあるため、看護師が練習をサポートし、不安を取り除く役割も担います。こうした業務は治療の成績に直結するため、正確さとわかりやすい説明力が求められます。
看護師の体験事例
朝から次々と患者が来院され、ほとんど休む間もなく採血を続ける日もあります。単調に見える業務ですが、ホルモン値の測定は治療方針を決める大切な検査なので、一本一本を丁寧に行う必要があります。
採卵・移植など医師の診療補助
不妊治療における採卵や胚移植は、妊娠の可否を大きく左右する非常に重要なプロセスです。
看護師は、処置の前に必要な器具や薬剤の準備を整え、医師の指示に合わせてスムーズに対応します。処置中は患者の表情や体調の変化を観察し、緊張を和らげるために声をかけることも欠かせません。終了後は片付けや記録を行い、次の治療へと円滑につなげます。
採卵や移植は時間の管理が厳密で、少しの遅れや準備不足が大きな影響を及ぼすため、迅速さと正確さ、そして患者への気配りが同時に求められる場面です。
看護師の体験事例
ただし違うのは、患者が非常に緊張していることが多いため、処置中に「大丈夫ですよ、もう少しです」と声をかけたり、体調の変化に注意を払ったりと、心理的なサポートが一層重視される点でした。
患者のメンタルサポート
不妊治療は、採卵や移植といった身体的な負担だけでなく、結果が出るまでに時間がかかることから精神的なストレスも非常に大きい治療です。
治療が長引くにつれて「なぜ自分だけ結果が出ないのか」「この先続ける意味があるのか」と不安や焦りが強まり、気持ちが落ち込んでしまう患者は少なくありません。
さらに、夫婦間で意見が食い違ったり、周囲の妊娠報告を受けて気持ちが揺らいだりするケースも多く、精神的なサポートは医療行為と同じくらい大切な役割といえます。
看護師の体験事例
新しく、不妊治療クリニックへ転職を希望される看護師の方は、仕事内容の詳細等を確認することをおすすめします。
記録・スケジュール管理・説明業務
不妊治療は検査・投薬・処置などが複雑に組み合わさるため、スケジュール管理がとても重要です。
看護師は電子システム等を用いて記録を徹底し、次回の治療計画を患者さんにわかりやすく説明します。治療内容の理解度を確認しながらサポートすることも大切な仕事です。
看護師の体験事例
多くの場合、スケジュール管理等は専任の受付スタッフが行う場合が多いと思います。
不妊治療クリニックで働く看護師のメリット・デメリット(体験談)
私の経験からですが、不妊治療クリニックで看護師として働いて、メリット・デメリットに感じたことを説明していきます。
不妊治療の専門的知識が身につく
不妊治療クリニックでは、ホルモン療法や人工授精、体外受精、顕微授精といった高度な生殖医療を日常的に扱います。そのため、勤務を続ける中で婦人科や生殖医療に関する専門的な知識が自然と身につき、他のクリニック等では得られない知識を得ることができます。
さらに、患者さんへの説明や指導も重要な業務であり、自己注射の指導や、ホルモン値の変化に基づいた生活上のアドバイスなどを行う中で、専門知識を分かりやすく伝える力も鍛えられます。これらは不妊治療だけでなく、婦人科領域全般や慢性疾患看護などにも応用できます。
看護師の体験事例
不妊治療に興味がある看護師の方や、不妊に悩む女性の手助けになりたいと感じている方は、おすすめの職場です。
妊娠や出産に立ち会えるわけではない
不妊治療クリニックで働く看護師は、妊娠を望む患者を長期的にサポートできるやりがいがあります。
しかし一方で、治療のゴールである「妊娠の成立」や「出産の瞬間」に直接立ち会えるわけではありません。多くのクリニックは外来専門で、妊娠が成立した段階で患者さんは産科や総合病院へ転院するため、出産までを見届けられません。
看護師の体験事例
治療を一緒に頑張ってきた患者の姿を間近で見てきただけに、「ここで終わりなんだ」と区切られてしまうことに、物足りなさを感じたことがあります。
デリケートな気持ちへの配慮が必要
不妊治療は結果がすぐに出るとは限らず、患者は常に不安や焦りを抱えています。中には治療のプレッシャーから夫婦関係に悩みを抱える方もおり、看護師は言葉選びや表情に細心の注意を払いながら対応しなければなりません。
そのため、他の診療科に比べて患者の心情に寄り添う時間が長く、精神的に疲れることも少なくありません。クリニック全体も特有の緊張感に包まれていることが多く、独特の雰囲気を感じる職場でもあります。こうした点は、不妊治療クリニックで働く看護師のデメリットだと感じます。
勤務時間が不規則で休日の出勤がある
不妊治療クリニックは基本的に外来中心で夜勤がないことが多い点はメリットですが、その一方で別の負担もあります。採卵や胚移植など、時間厳守の処置が午前や午後に集中するため、その時間帯は非常に慌ただしくなり、限られたスタッフで効率よく動く必要があります。
さらに、働いている患者が多いため夜遅くまで外来を開けている不妊治療クリニックも多く、シフトによっては退勤が遅くなることもあります。さらに、平日来院できない夫婦やカップルのために、日曜日や祝日も診療時間を設けている場合もあります。
このように「夜勤はないけれど勤務時間が不規則」という点はデメリットといえるでしょう。
不妊治療クリニックの求人が多い看護師転職サイト
不妊治療クリニックの看護師求人を探す際は、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)を活用するのがおすすめです。
その理由として、一般的な求人媒体では不妊治療専門のクリニックとそうでないクリニックの区別がつきにくいことがあります。また、婦人科や産科と兼任している施設も多いため、業務内容をしっかり確認する必要があります。さらに、個人で応募する場合は病院見学のアポイントが取りにくいケースもありますが、転職エージェントを通すことでスムーズに調整してもらえるメリットがあります。
以下では、不妊治療クリニックの求人が多く、サポート実績も豊富な看護師転職サイトを2社ご紹介します。
不妊治療クリニック求人が豊富!レバウェル看護
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
---|---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
サイト名 | レバウェル看護(旧:看護のお仕事) |
---|---|
運営会社 | レバレジーズメディカルケア株式会社 |
公開求人数 | 129,415件(2025年9月1日時点) |
非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師 |
対応 雇用形態 | 常勤(夜勤有り)、日勤常勤、夜勤専従常勤 |
対応施設 | 総合病院、一般病院、クリニック、特別養護老人ホーム(特養)、訪問看護、有料老人ホーム、デイサービス、重症心身障害者施設、保育園、検診センター |
対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・看護師の転職求人が豊富 ・転職支援サービスが手厚い ・転職の相談から行える ・院内・施設内情報に強い |
レバウェル看護(旧 看護のお仕事)は、看護師転職サイトの中でも一番、看護師求人数が多く、不妊治療専門のクリニック求人が全国的にとても豊富です。
また、年間5,000回以上の病院へインタビューを実施しており、院内情報に詳しい看護師転職サイトです。さらに、ハローワークの求人もカバーしているため、希望に合う病院、クリニックが見つけやすく、不妊治療専門のクリニックを希望する場合は必ず活用しておきましょう。
公式サイト:https://kango-oshigoto.jp/
クリニック求人なら!ナース専科 転職
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
---|---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
サイト名 | ナース専科 転職(旧 ナース人材バンク) |
---|---|
運営会社 | 株式会社エス・エム・エス |
公開求人数 | 20万件以上 |
非公開求人 | 豊富(会員限定のレア求人あり) |
対応職種 | 正看護師、認定看護師、准看護師、助産師、保健師、管理職 |
対応 勤務形態 | 常勤、常勤(日勤のみ)、常勤(夜勤あり)、常勤(夜勤のみ)、非常勤 |
対応施設 | 病院、クリニック、訪問看護、企業、保育園、幼稚園、学校、その他 【介護施設】 居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問介護事業所、介護老人保健施設、軽費老人ホーム、デイケア事業所、小規模多機能、訪問入浴事業所、看護小規模多機能居宅介護、有料老人ホーム、デイサービス事業所、グループホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者専用住宅、ショートステイ事業所、訪問リハビリ事業所、介護医療院 |
対応 診療科目 | 美容、産婦人科、整形外科、眼科、外科、呼吸器科、循環器科、精神科/心療内科、小児科、皮膚科、形成外科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、消化器科、内科、透析、その他 |
対応配属先 | 病棟、外来、オペ室、透析、その他 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・東証プライム上場企業 ・支店が多く地域密着&チーム制で転職をサポート ・職場のリアルな情報を共有することも可能 ・2025年オリコン顧客満足度®調査 看護師転職3年連続No.1 ・LINE対応 |
ナース専科 転職は、看護師のクリニック求人が豊富な看護師転職サイトです。
そのため、不妊治療専門のクリニックの看護師求人を探す場合、上記で説明したレバウェル看護と合わせて活用しておきましょう。また、非公開求人(インターネット上に掲載されず、担当者から紹介してもらえる求人)も多く、看護師の給与や待遇などの好条件が見つかる可能性があります。
公式サイト:https://www.nursejinzaibank.com/
まとめ
不妊治療クリニックで働く看護師は、採血や注射、採卵・移植の補助といった医療行為に加え、患者の心に寄り添うメンタルサポートも担う特別な存在です。
妊娠という喜びの瞬間に立ち会えるやりがいがある一方で、出産までは見届けられない物足りなさや、患者さんのデリケートな気持ちに日々配慮し続ける精神的な負担もあります。また、夜勤がない代わりに夜遅い外来や休日診療があるなど、勤務時間が不規則になりやすい点も特徴です。
こうした環境に向いているのは、傾聴力や共感力があり、患者に安心感を与えられる人、そして専門的な知識を学び続ける姿勢を持てる看護師です。不妊治療は結果がすぐに出るとは限らないからこそ、寄り添いながら根気強く支える力が求められます。
やりがいと大変さの両方がある職場ですが、「患者の人生に寄り添いたい」という看護師は是非一度挑戦してみてください。
このサイトの運営者情報
運営会社 | 株式会社peko |
---|---|
会社ホームページ | https://peko.co.jp/ |
所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂3丁目1-16 BIビル6F |
代表取締役 | 辻󠄀 昌彦 |
設立 | 2015年6月 |
資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
|
厚生労働大臣許認可 | 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) 特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
連絡先 | 03-5324-3939 (受付時間:休日、祝日を除く10:00~17:00) |
お問い合わせ | https://peko.co.jp/inquiry |
監修者情報 | 著作者・監修者情報・コンテンツポリシー |