私は大手美容外科クリニック2社での勤務経験があります。その際に、看護師中途採用の採用担当者(面接官)を行っていました。
働いていた地域は、比較的美容外科クリニックが少なく、募集をかければ最大60倍になることもありました。
また、一般病院では1度の面接で合否が決まるケースがほとんどかもしれませんが、2次試験を設けて最終選考を行う美容外科クリニックも多く、場合によって「最終面接」「小論文・作文」などの課題を課せられる場合もありました。
ただ、美容外科クリニックの採用担当を行ってみて感じることは、面接での印象がすべてだと言うことです。
私が働いていた経験や採用担当者であった経験を元に、美容外科クリニックの面接で受かるコツをお伝えしていきます。
執筆者 |
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![]() ●北海道在住(30代後半) ●保有資格:看護師 某24時間年中無休を掲げる徳洲会グループの病院で看護師として初めて働き、整形外科・呼吸器科・消化器科・手術室当を経験。その後、美容外科・美容皮膚科を経験し、現在は総合病院の手術室に現役で勤務しながら2児の母としても奮闘中。 |
目次
美容外科クリニックの大変さを知っておく
美容外科クリニックは「日勤常勤で高給取り」という安易な気持ちだけで勤まるところではないと私は考えています。
しかし、夜勤疲れしている看護師の多くは、とても魅力を感じる部分であり、美容外科そのものよりも、勤務条件と給与に魅力を感じて応募してくる方も多いことが実情です。
面接官によっては、そのような甘い気持ちを見抜かれる(見抜く)ことが多く、実際に採用しても仕事にギャップを感じ、辞めていくケースがあるため採用されません。
看護師としてスタートラインに立つために、以下で説明する美容外科クリニックで働く看護師の大変さを最低限知っておきましょう。
技術を職場で学ぶ大変さがある
ご存知の通り、美容外科クリニックは自由診療です。
その知識や技術に関する資料が、世の中にはほとんどなく、現場で実践を通して、先輩スタッフに教えられながら習得するしか方法がありません。
つまり、現場で先輩スタッフに学ぶことしか方法がなく、働く職場によっては、人間関係はより大切で大変なものになります。
また、美容医療も年々新しいものが導入されるため、自主学習を行い、知識や技術のアップデートも常に必要です。
看護師の体験談:自分が施術を受ける
ときには自分が施術を受け、その体験談で新規顧客の獲得をすることも実際にあります。
現場で働いているスタッフが施術を受けることは、お客様にとって、安心安全を証明する意味では、とても説得力があるからです。
また、そのクリニックの医師の腕を信頼しているという証明にもなります。
立ち居振る舞いやホスピタリティ精神が求められる
美容外科クリニックでは、病院勤務では求められないレベルの立ち振る舞いやホスピタリティ精神が求められます。
こちらも、問題なことにマニュアルなどはありません。
そのため、先輩スタッフの指導や自分自身で考えながら正しい接客方法などを身に着けていく必要があります。
看護師の体験談:容姿のレベルを維持する
私は先輩スタッフに美容外科クリニックは「美を売るところ」だと強く言われた経験があります。
上記で説明した立ち居振る舞いやホスピタリティ精神も大切ですが、そのスタッフの一員として、容姿のレベルを維持することを求められました。
スタイルの維持もさることながら、スキンケアや適度なエイジングケアが必要なこともありました。
営業目標・ノルマが求められる場合がある
美容外科クリニックでは、お客さんが維持できなければ、経営自体が成り立ちません。
そのため、勤務する美容外科クリニックによっては、営業にノルマがある場合もあります。
ノルマはなくてもお客様の獲得数などを目標設定している美容外科クリニックは多く、営業をすることが必要な場合が多いと言えます。
面接前の準備について
美容外科クリニックの求人を探す段階や面接前に準備を行ってほしいことを説明していきます。
美意識を高める努力をすること
私の経験ですが、「美意識が低い方(低そうに見える方)」や「体型がふくよかな方」は採用されにくい傾向があります。
理由としては、美意識が低い方や体形がふくよかな方がスタッフとして対応した場合、「このクリニック大丈夫だろうか?」と思われる可能性があり、運営側としてはそのような事態は避けたいためです。
だからこそ、働くスタッフにも美意識は大切な要素と言えます。
美容外科クリニックでは一般病院とは違い、疾患を治療するための場所ではなく、高いお金を出して「美を購入するところ」であり、高いお金を出して「美を購入するところ」です。自由診療なので、その支払額も相当なものです。
それだけのお金をかけてコンプレックスを改善し、より形容を美しくすることを求めてくるお客様ばかりです。
対応としては、出来るだけスマートに見えるスーツを用意することや、自分なりの美意識を確認してみることをお勧めします。
働きたい美容外科クリニックの雰囲気を確認すること
美容外科クリニックは、運営している店舗や医療法人等によって、イメージが全く違うことがあります。
また、同じグループ系列の美容外科クリニックでも、各分院によって、採用している人材の傾向に偏りがあることが実情です。
そのため、少なくとも一度はホームページ等を確認し、
- 「自分は採用される可能性はあるのか」
- 「どのような雰囲気の看護師を求めているのか」
などを面接前に確認することが大切です。
また、可能であれば、働いている看護師などを確認することが出来たら良いでしょう。
最近では美容外科でも電子カルテを採用しています。調査したことが知られないように、できれば知人や家族の付き添いということで、同行してみるとよいでしょう。
また、弊社運営の病院口コミサイトの「はたらきナース」でも働いていた看護師の経験を知ることが出来ます。検索してみましょう。
確認しておきたいポイント
実際に働く看護師を確認できた場合、以下の内容を確認しておきましょう。
看護師の 髪形・カラー | ヘアカラーに注目して確認してください。 クリニックによって、看護師の髪色は「日本ヘアカラー協会〇〇番まで」というような、厳しい取り決めがあるところもあります。 |
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看護師の メイク | メイクは「まつげ」に着目して確認してください。 エクステやつけまつげがOKなのかを確認しておきましょう。 |
立ち居振る舞いや言葉遣い | 接遇レベルを確認してください。 フランクなのかかっちりしているのかで、面接の対応が異なります。 |
体型の傾向 | 看護師の体形を確認しましょう。 スリムな看護師が多いのかなどを人材の採用傾向を確認しましょう。 |
注意点として同じ美容外科クリニック内でも、受付スタッフと看護師の傾向は異なることは多々あり、必ず看護師を確認しましょう。
(個人経営のクリニックでは、院長の好みがはっきりと出ていることもあります。)
自分自身が、その美容外科クリニックの求めている条件とマッチしているのかを見極めてみることも大切です。
マナーのある履歴書を作成すること
美容外科クリニックの面接ではマナーのある履歴書を推奨する理由として、
- 1~2人の募集に対し30人~50人の応募者が殺到する場合があるため
- ひとりひとり面接等を行わない可能性があるため(書類審査があるため)
以上のような理由が挙げられます。
多くの美容外科クリニックでは、欠員募集となるため応募志願者が殺到するケースがあり、看護師として病院へ履歴書を出すイメージで行っていた場合、必ず失敗すると言っても過言ではありません。
まず、基本的なマナーのある履歴書・職務経歴書を作成し、いかに書類選考をパスするかを考えたほうが良いと言えます。
不安な方は以下を確認しておきましょう。
社会的マナーのある書類づくりをしている人は、面接官に「会ってみようかな」と思わせることが可能です。
看護師の体験談(インパクトのある履歴書)
私が紹介したいインパクトのある履歴書は「A4サイズの大きさの封筒に、クリアファイルに入れ、表紙・履歴書・職務経歴書」が同封されたスタイルでした。それだけでもほかの応募志願者と比較して印象が良かったのですが、それに加えて、履歴書が薄ピンクで桜があしらわれたおしゃれなものでした。
この方は、「30歳まで」という応募条件の中、38歳ではありましたが、ほかの書類とは一線を画したデザインを用いたことでインパクトがあり、さらに写真上でも少なくとも38歳には見えず、30歳前後に見えました。
実際に会ってみても年齢よりもずいぶんと若々しかったです。結果、年齢相応の一般常識や立ち居振る舞いで採用を勝ち取りました。書類からも美的センスがうかがえて、なおかつ社会人としてのスキルも持ち合わせていた事例でした。
一般病院では好まれないかもしれない、デザイン履歴書を用いてみるのもひとつの手かもしれません。
面接当日に心がけること
希望する美容外科クリニックによっては、「院長が求める美の系統がはっきりしている」場合があります。
そのため、面接当日の服装や雰囲気、見た目の第一印象で合否を決められてしまう場合もあります。
実際に、私が採用担当を行っていた際に、経歴は申し分なく、笑顔がかわいらしく、愛嬌もある看護師でしたが、見た目がギャル系の雰囲気でした。私としては、入職してからヘアカラーを変更することも可能であり、雰囲気も働くうちに変わると思いますが、最終的に結果は「不採用」でした。
このようなことにならないように、「ヘアスタイル・メイクなどを合わせること」・「華やかで心地の良い印象を与えること」が面接当日のチェックとして必要です。
ヘアスタイル・メイク・服装を確認する
先ほど働く看護師の方の確認が出来た方や、ホームページに掲載されている看護師の姿などを確認した方は、なるべく働いている看護師のヘアスタイル・メイクに近づける努力をしましょう。
ヘアスタイル | 自然なまとめ髪なのか、夜会巻きやシニヨンスタイルなど、比較的かっちりしたものなのか。 院の系統にあわせて選択しましょう。 |
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メイク | ベースメイクはもちろん、とくにアイメイクに特徴が出でます。 事前調査したのを参考にメイクをしてみましょう。 |
服装 | 体型に合っているスーツを選びましょう。 リクルートスーツほど固いものである必要はありません。 また、サイズに合っていない服装はだらしない印象を与えます。 できればウエストなどが絞られていて、スタイルよく見えるものをおすすめします。 |
華やかで心地の良い印象を与える努力をする
敬語や謙譲語、あいさつ、立ち居振る舞いはもちろんですが、美容外科クリニックで好まれるのは「スカイブルーの声」といわれています。
スカイブルーの声とは、「普通に話す声と、アイドルなどに声援を送る黄色い声の中間くらい」といわれています。
面接では電話対応するときの声をイメージすると良いと思います。
また、いつもよりも半テンポほどゆっくり話すことを意識しながら、終始笑顔を忘れないように心がけましょう。
以上のことを心がけるだけでも、ゆったりと落ち着いた、接客業向きの印象を与えることができます。
最後に:面接に受かるコツ
美容外科クリニックの面接に受かるためのコツとしては、
- 見た目や雰囲気が該当院にあっているか
- 美容外科スタッフらしいスタイルを維持しているか
- 笑顔や話し方、立ち居振る舞いが人に心地よさを与えるか
- 一般常識があり、お客様に不快感を与えないか
- お客様から求められることに対し、ホスピタリティ精神をもって対応できるか
- 院の理念や経営方針が自分に合っているか
などをしっかりと確認し、これらをクリアすることを目標に面接のイメージトレーニングをしてみることを推奨します。
美容外科クリニックを希望している方や、なかなか採用されなくて困っているという方など、あらためて作戦を練って試験にトライしてみてはいかがでしょうか?
華やかなイメージが強く、看護師にとって給料が高い美容外科クリニックですが、継続的な努力が必要な職場でもあると思います。
さらに、働く中でお客様のコンプレックスが解消され、笑顔でお帰りになる姿をみると、私は”やりがい”を感じます。
美容外科クリニックで看護師として勤務しようと考えている方は、この記事の内容を参考にしていただけたら嬉しいです。
また、美容外科クリニックに初めて転職する場合は、美容外科クリニックの専門転職サイトは利用せず、看護師専用の一般的な転職サイトを利用することを推奨します。
理由としては、他のクリニックも合わせて検討できる点や、美容外科クリニックの転職に不慣れであることを担当者が知っている点などが理由です。
併用して利用してみましょう。