現役看護師の「なるには」ガイド

フライトナースになるには?ドクターヘリで働く看護師の仕事内容と体験

フライトナースは、最近ではテレビやドラマでも取り上げられることがあり、その知名度は上がってきているため、多くの看護師や看護学生が憧れもち、それを目標にしています。

「私には無理」「できない」「なれない」と思ったら、決してフライトナースになるチャンスは回ってこないでしょう

このページでは、フライトナースになるためには、フライトナースの仕事内容や良くある質問など、実際にフライトナースを3年間体験した看護師の実体験も含めて説明していきます。

フライトナースになるためには?

フライトナースになるためには?

看護経験
  • 救命センターや救急指定病院等での看護経験
  • 特殊症例の経験
  • 救急の経験
  • 集中治療室・手術室などの急性期の経験
  • ACLS(二次救命処置)の知識
  • JPTEC(病院前救護にかかわる人々が習得すべき知識と体得すべき技能が盛り込まれた活動指針)を習得
    (各病院で求められる基準が違うので注意)
経験年数
  • 最低でも看護経験5年以上
  • 救急看護の経験3年以上
    (10年~15年の看護師が多い)
勤務先(ドクターヘリがある病院に勤務)
救命センターや救急指定病院等で勤務

フライトナースになるためには、上記のような条件が看護師に求められます。

以下で詳しく説明していきます。

フライトナースとは

フライトナースとは

フライトナースとは、病院内での通常業務(主に救急外来や集中治療室)に加えて、ドクターヘリで現場へ行って屋外での現場活動が主な仕事になる看護師を指します。

現場で働く看護師は以下のメンバーと共に初期治療に加え、救急車やドクターヘリで病院まで搬送を行います。

そのため、病院内の安全で広く衛生的な環境とは異なり、危険を伴う限られたスペースでの活動になることが多いといえます。

ドクターヘリで現場に向かう一般的なメンバー

医師
(フライトドクター)
基本1名
看護師
(フライトナース)
1名~2名程度
救急隊員1名~数名

フライトナースに必要な看護師の経験・条件

フライトナースに必要な看護師の経験・条件

フライトナースとして働くためには、救命センターや救急指定病院などで看護師としての経験を積む必要があります。

救急外来・病棟などであらゆる症例を経験し、最低でも5年以上、看護師としての勤務経験が必要でかつ、救急看護の経験は3年以上と言われています。

実際に現場に出れば医療者は医師と看護師の2人、あとは救急隊員という組み合わせがほとんどであり、「経験したことない症例は対応できません」などと言えないからです。

フライトナースに必要な知識・看護技術

フライトナースに必要な知識・看護技術

フライトナースになるために、できる限り特殊症例も含める様々な症例を病院内で経験することや、救急だけでなく、集中治療室・手術室などの急性期に関わる部署での勤務を経験した上で、幅広い知識・技術を身につけなければなりません。

主に、以下の知識や看護技術を求められる場合があります。

  • ACLS(二次救命処置)の知識と技術
  • JPTEC(病院前救護にかかわる人々が習得すべき知識と体得すべき技能が盛り込まれた活動指針)の習得

このJPTECに関しては、病院が指定した場合には必要となり、「JPTEC協議会が指定する教育コース」などから公募して教育を受けることが出来ません。

コミュニケーション能力も大切

フライトナースは、円滑に的確に安全に作業をしていくために、患者・家族・他職種などと関わることが多く、

  • 毎回違った場所
  • 緊迫した場面
  • 初めて会う救急隊員達

など、看護師として常にコミュニケーション能力を求められます

(病棟勤務から考えると、かなり高いコミュニケーション力となります。)

また、フライトドクターが円滑に傷病者の処置ができるよう、周囲をコントロールする必要もあり、様々なことに配慮することも必要です。

救命センターや救急指定病院等に勤務する

救命センターや救急指定病院等に勤務する

いくら救急専門の分野で経験を積んでも、その病院がドクターヘリを持っていなければいつまで経ってもフライトナースに挑戦できません

そのため、ドクターヘリを持つ基幹病院で転職する必要があります。

さらに、各病院によってフライトナースとして働くことが可能な基準が違うため、下調べが必要といえます。

看護師として転職する場合の下調べは、看護師転職サイトの担当者に伝え、ドクターヘリがある条件に当てはまる病院をピックアップし、担当者又は面接中に要件を確認するとスムースです。

ドクターヘリ(DH)がある病院一覧

ドクターヘリ(DH)がある病院一覧

北海道・旭川赤十字病院
・市立函館病院
・市立釧路総合病院
・医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
青森県・青森県立中央病院
・八戸市立市民病院
岩手県・岩手医科大学附属病院
秋田県・秋田赤十字病院
山形県・山形県立中央病院
福島県・公立大学法人 福島県立医科大学附属病院
茨城県独立行政法人国立病院機構 水戸医療センター
社会福祉法人恩賜財団済生会支部 茨城県済生会 水戸済生会総合病院
埼玉県獨協医科大学病院
埼玉医科大学総合医療センター
群馬県前橋赤十字病院
千葉県国保直営総合病院 君津中央病院
日本医科大学千葉北総病院
神奈川県東海大学医学部付属病院
山梨県山梨県立中央病院
長野県厚生農業協同組合連合会 佐久総合病院佐久医療センター
国立大学法人 信州大学医学部附属病院
新潟県新潟大学医歯学総合病院
富山県富山県立中央病院
岐阜県国立大学法人 岐阜大学医学部附属病院
静岡県順天堂大学医学部附属静岡病院
総合病院 聖隷三方原病院
愛知県愛知医科大学病院
三重県伊勢赤十字病院
三重大学医学部附属病院
滋賀県社会福祉法人恩賜財団 済生会滋賀県病院
大阪府大阪大学医学部附属病院
兵庫県公立豊岡病院組合立 公立豊岡病院
兵庫県立加古川医療センター
社会医療法人 製鉄記念広畑病院
和歌山県公立大学法人 和歌山県立医科大学附属病院
島根県島根県立中央病院
岡山県川崎医科大学附属病院
広島県広島大学病院
山口県山口大学医学部附属病院
徳島県徳島県立中央病院
高知県高知県・高知市病院企業団立 高知医療センター
福岡県久留米大学病院
佐賀県地方独立行政法人 佐賀県医療センター好生館
佐賀大学医学部附属病院
長崎県独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター
熊本県熊本赤十字病院
大分県大分大学医学部附属病院
宮崎県宮崎大学医学部附属病院
鹿児島県鹿児島市立病院
沖縄県特定医療法人仁愛会 浦添総合病院

出典:日本救急医学会より(2022年2月1日確認)

▼ドクターヘリがある病院求人が多い看護師転職サイト

フライトナースの仕事内容(体験事例)

UGさん(看護師)

フライトナース 看護師●千葉県/正看護師/看護歴12年
●勤務経験:手術室、救急外来、フライトナース
これまで大学病院から民間病院、都市部から地方、海外の病院で勤務経験があります。
私は、総合病院の救急外来に5年間勤務し、フライトナースを約3年間行いました。
私がフライトナースとして働いた経験を元に、仕事内容の詳細を説明していきます。

フライトナースは現場からの要請は突然入ります。

  • 朝の準備をしている時
  • 救急車を受け入れている最中
  • ご飯を食べている時
  • トイレに入っている時

など、いつ要請が入るか分かりません。(私は慣れるまでストレスを感じたことがあります。)

フライトナースの仕事内容(体験事例)

現場要請が入ると、フライトナースは「フライトスーツ」に着替え、専用の無線を身につけることから始まります。

その後は、エマージェンシーバッグ・ウエストポーチの中身の確認、薬剤の確認をし、ヘリ機内のモニター・シリンジポンプ・輸液ポンプ・吸引器・酸素残量などの点検をします。

その他、天候で飛べない場所や降りられない場所が出てくるため、その日の天候・緊急手術に対応できるか確認するために手術件数・集中治療室の空床数なども確認します。

フライトナースの1日

フライトナースの1日

私がフライトナースとして活動していた1日を参考に、スケジュールをご紹介します。

8:00〜8:30【準備】
・フライトスーツの着用
・無線機の着用
・必要物品の装備
・メイン・セカンドバックの確認及び点検
・使用する薬剤・機器の確認及び点検
・その日の天候の確認
・所属病院の手術件数確認
・所属病院の在庫輸血数の確認
8:30〜9:00ERまたはICUでの申し送りに参加
9:00〜9:30【ブリーフィング(※1)に参加】
・ヘリポートで医療者とヘリスタッフ間で打ち合わせ
(情報交換や現場シミュレーションなど)
9:30〜【各部署での勤務】
・その日の担当部署での日常勤務
(ただし、基本的には患者を受け持たない)
12:00〜13:00昼食
13:00〜17:00各部署での勤務
17:00〜17:30【デブリーフィングと片付け、その他準備】
・活動した事例に関して、ヘリスタッフとの話し合い
・出動した事例の書類の整理
・使用物品の確認・補充

(※1)ブリーフィングとは、救護班や救援チームは救護活動を通して受けるストレスを軽減し、処理するために行うミーティングのことを指す。
(引用:災害看護関連用語(案)ブリーフィング

各病院によってフライトナースのスケジュールは多少変わりますが、おおまかな流れは上記でご紹介した通りとなります。

ドクターヘリ内でのミーティング

ドクターヘリ内でのミーティング

ドクターヘリで現場へ向かっている最中、現場の情報や救急隊からのセカンドコールなどから、現場状況・傷病者の状況を予測します。

機内でフライトドクターと戦略を立て、共通認識を持ちどのようにして処置するかを話し合うことがフライトナースの仕事です。

現場での判断が遅れてしまうので、この時からすでに戦い(仕事)は始まっています。

現場での初期治療

現場での初期治療

現場に到着すると、フライトナースは、傷病者数、状況を把握し、すぐにアセスメント、処置に入ります。

救命に必要な最低限の処置(初期治療)を現場で行い、いち早く現場離脱し病院で搬送することが仕事内容となります。

補足:現場で行う仕事

現場で行う仕事としては、

  • FAST(外傷の初期診療における迅速簡易超音波検査法)
  • 心エコー
  • 全身脊柱固定

などの侵襲の少ないものから、

  • 静脈路の確保
  • 点滴
  • CPR(心臓マッサージ、気管挿管、薬剤投与など)
  • 胸腔穿刺

など、状況に合わせて初期治療を開始します。

また、フライトナースはその治療の補助だけでなく、救急隊、警察、傷病者の家族の対応なども行う仕事が多々あります。

ドクターヘリ内での治療

ドクターヘリ内での治療

ドクターヘリに搬入後、フライトナースは症状・バイタルサインなどをモニタリングしながら搬送します。

基本的には、フライトドクターが傷病者の頭側に位置し、フライトナースが傷病者の横側に位置する形をとります。
傷病者の状態が悪化した際に、気管挿管などすぐに処置ができるようにしています。

状態に合わせて、継続的に処置をすることもフライトナースの仕事です。

搬送先病院から直近のランデブーポイントに着陸後、ストレッチャーのまま救急車に搬送して移動するか、そのままストレッチャーで病院へ搬送します。

補足説明

ドクターヘリ内で、フライトナースは、さまざま処置や対応をしながら、現場の活動記録を記載することも仕事です。

(かなり大変ですが、大切な情報なので正確に記載します。)

搬送先の病院に引き継ぐ際の大事な情報となり、できる限り搬送先に到着するまでに記載すべき内容は全て記載します。

活動記録の整理と検討会

活動記録の整理と検討会

傷病者搬送が終わり、自分の病院へ帰院したら使用した物品(点滴や薬剤など)の補充をし、次の要請に備え、現場活動記録を整理・保存します。

また、病院毎に症例検討会が行われ、現場活動での成功・失敗、今後の課題・目標、特殊症例などの情報交換・共有などを行います。

フライトナースの育成

フライトナースの育成

自分の成長に努めるとともに、今後のフライトナースを育成することもとても大切な仕事です。

自分の代わりに誰か交代できる人材を作り、良いものを次に繋げる、伝えていくことは欠かせません。

その他病棟での仕事

その他病棟での仕事

フライトナースは、基本的には病院の一般勤務と兼任してフライト業務を行うことがほとんどです。

そのため、要請がない時は、救急外来や救急病棟、または集中治療室など仕事をしています。

補足説明

いつ現場から要請が入るか分からないため、基本的に受け持ち患者はおらず、受け持ち患者がいたとしても必ずその患者を引き継げるように他の看護師がフォローしてくれる体制を取ることが一般的です。

ドクターヘリがある病院求人が多い看護師転職サイト

ドクターヘリがある病院求人が多い看護師転職サイト

ドクターヘリがある病院は、大学病院や公的病院(公立病院)、民間病院に分けられますが、全国で50病院(2022年2月時点)となります。

中途採用者には狭き門となる場合が多く、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)の利用は必須と言えます。

しかし、どれでも良いという訳ではなく、看護師転職サイトを利用する場合は以下の条件がおすすめです。

  • ハローワーク求人もカバーしていること
  • 規模が大きな病院の求人が多いこと
  • 募集要項がなくても逆指名転職ができること

以上が条件となり、逆指名転職は病院に看護師求人が出ていない場合でも、看護師転職サイトの担当者が条件交渉を行ってくれるサービスです。

中途採用の場合、求人はとにかく少ないため、以下の3つの看護師転職サイトをすべて利用しておきましょう。

求人数が豊富な看護のお仕事

看護のお仕事

看護のお仕事は、どの看護師転職サイトよりも求人数が多く、ハローワーク求人もカバーしているため、公的病院等の看護師求人も網羅することが可能です。

また、逆指名転職サービスも可能であり、ドクターヘリがある病院へ転職を考える場合の利用は必須と言えます。

担当者も丁寧で人気があり、院内情報も正確に保有しているため、フライトナースになる条件も確認しやすいと言えます。

大規模病院が多いマイナビ看護師

マイナビ看護師

マイナビ看護師は、多くの転職支援サービスを展開しているため、規模が大きな病院・高度救命救急センター等の看護師求人が豊富にあります。

そのため、上記の看護のお仕事と合わせて利用しておきたい看護師転職サイトです。

担当者のサポートが全国的に安定しており、利用した看護師からの人気も高いです。

逆指名転職ならナースではたらこ

ナースではたらこ

ナースではたらこは、逆指名転職サービスを展開している看護師転職サイトです。

上記の看護のお仕事で逆指名転職が行えなかった場合には、必ず利用しておきましょう。

担当者は転職のプロのため、キャリアの相談も行いながら、転職活動も可能です。

 

フライトナース体験談から回答!良くある質問

UGさん(看護師)

フライトナース 看護師●千葉県/正看護師/看護歴12年
●勤務経験:手術室、救急外来、フライトナース
私がフライトナースに3年間勤務した際に、感じたこと、体験したことを「フライトナースで良くある質問」にして説明していきます。

フライトナースは、病院の中だけでは経験できないことが、経験できるというのは間違いない事実だと感じます。

様々な症例・様々な職種の方との出会いがあり、看護師としても人としても成長できる場面がたくさんありました。

また、勉強も沢山するため、看護師としての知識・技術の幅はかなり広がりました。

フライトナースは、基幹病院の代表として周囲から見られ、より責任感を持って仕事をすることができ、それがさらなる自信につながることが「やりがい」だと感じました。

病院の中で働いている以上に、「やるべきこと」や「考える機会」が多く、忙しい中で「やる気」がみなぎる自分がいました。

フライトナースは、あらゆる場所が現場活動の場所になります。

そのため、活動範囲内の、各病院が「どんな症例に対応できるのか」「対応ができない症例はどれか」など、医療事情把握しておく必要がありました。

現場活動の場所や傷病者の状況から、その場面での一番適切な病院に搬送決定することを求められるため、プレッシャーもあり苦労しました。

病棟勤務の看護師と比較してフライトナースは精神的にも体力的にもとても負担のかかる仕事だと感じます。

また、特に体力に関しては、普段から走ったり、スポーツしたりして鍛えているフライトナースが多く、私も体を鍛えていました。

いつどこでどんな要請に当たるか分からないからこそ、フライトナースの看護師は、努力していました。

私が勤務していた病院は、フライトナースの場合、危険手当が給与に加算されました。

(一般的に給与は病棟勤務の時より上がると考えられます。)

私は看護師としてのスキルアップになる経験ができ、さらに給与がアップすることは、とても嬉しく感じました。

まとめ

フライトナースになるために、すでに看護師として勤務している方であれば、今いる自分の場所からどのようにすれば、その目標を達成できるのか、常に考え行動するようにしたら良いでしょう。

そうすれば自然と何を勉強し、どんな情報を収集すれば良いか分かり、転職活動のプラスにもなります。

まず、自分は出来ると信じて、行動を起こしてみてください。

フライトナースは決して楽な道ではないかもしれませんが、やりがいのある仕事だと強く感じる看護師は多いです。

是非、現役看護師の方も諦めずにフライトナースに挑戦してみてください。

 

参考文献等

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