NICU(新生児集中治療室)で働く看護師の仕事内容・やりがい!転職する注意点
NICU(新生児集中治療室)は、生後間もない赤ちゃんのための集中治療室のことを言います。閉鎖的な空間であるため、入室する機会もなく、看護師の方でもどのような仕事内容なのかあまり知られていないでしょう。
NICUがある病院は大きな大学病院や総合病院がほとんどです。そのため、看護師全体からみても経験者は少ないでしょう。
このページでは看護師が知っておきたいNICU(新生児集中治療室)の知識や、NICUで働く看護師の仕事内容、働く看護師のメリット・デメリット、NICUの看護師が向いている人・向いていない人、や「やりがい」の体験事例、病院のNICUへ看護師転職する注意点を説明していきます。
執筆・監修- エリア:東京都在住
- 保有資格:看護師、がん看護専門看護師、消化器内視鏡技師、心理相談員
- 職務経験:総合病院、訪問看護
- 診療科経験:NICU、GCU、小児科、内科、採血室、保育所
看護師になりもうすぐ20年。NICU・GCUを約8年、ベビー専門の訪問看護師を約9年と主にあかちゃんの看護を専門に仕事をしてきました。大学病院、某有名病院などさまざまな施設で仕事をしてきたことや訪問看護ステーションを起業した経験など、珍しい記事も書けたらと思っています。
看護師が知っておきたいNICU(新生児集中治療室)とは?
NICUとは、新生児(生後4週間までの赤ちゃん)専用のICU(集中治療室)のことを言い、「Neonatal Intensive Care Unit(新生児集中治療室、又は新生児集中治療管理室)」の略称となります。
早産児をはじめ、先天性疾患の新生児や、呼吸管理が必要な新生児、出産時のトラブルで入院が必要となった新生児など、出産後間もない病気を抱えたが赤ちゃんが、24時間管理の保育器の中で入院・管理しながら育てられており、疾患や重症度のレベルはNICUや病院の規模によって大きく異なります。
規模が大きな病院のNICUの場合、産科や小児科からは独立した新生児科(又は未熟児科)などの部署がある場合があります。さらに、NICUと合わせて「母体・胎児集中治療管理室(MFICU又はPICU)」や「新生児回復室(GCU)」が設置されている総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センターなどがあります。
ICU系の種類と対象患者一覧ICU系の種類と対象患者一覧
種類 | 対象患者 |
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ICU 「集中治療室」 (Intensive Care Unit) | 内科・外科系を問わず、重太得な急性機能不全患者や、手術後の容態観察が必要な患者が対象 |
HCU 「高度治療室」 (High Care Unit) | 一般病棟とICUの中間に位置し、ICUほど重症ではないが、病棟では対応できない高度な治療や看護を必要とする患者が対象 ※日本語では「準集中治療管理室」とも呼ばれる |
SICU 「外科系集中治療室」 (Surgical Intensive Care Unit) | 従来の術後回復室が高度化し、主に全身麻酔による外科手術直後の患者が対象(容態安定までの短期収容) |
救急救命ICU | 救命救急センター等に設けられたICUであり、急病や外傷など救急医療で搬送された危篤状態の患者が対象 |
CCU 「冠動脈疾患集中治療室」 (Coronary Care Unit) | 主に心筋梗塞や狭心症で急性発症し、緊急の処置・管理を要する患者が対象 |
SCU 「脳卒中集中治療室」 (Stroke Care Unit) | 脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞など)を急性発症し、緊急の処置・管理を要する患者が対象 |
NCU 「脳神経外科集中治療室」 (Neurosurgical Care Unit) | 脳神経疾患や頭部外傷での脳外科手術後の患者が対象 ※SCUの役割を併せ持ってNCUとする場合や、SICUと領域が重複する場合がある |
KICU 「腎疾患集中治療室」 (Kidney Intensive Care Unit) | 急性の腎不全や肝炎により、緊急の処置・管理を要する患者、腎障害を合併した重症患者が対象 |
RICU 「呼吸器疾患集中治療室」 (Respiratory Intensive Care Unit) | 主に急性呼吸不全、慢性呼吸不全の急性増悪、喘息の重積発作、心不全、大手術後の患者が対象 |
MFICU 「母体・胎児集中治療室」 (Maternal-Fetal Intensive Care Unit) | 妊娠中の妊娠中毒症、多胎妊娠、胎盤位置異常、切迫流産、合併症の妊婦及びその胎児が対象 |
NICU 「新生児集中治療室」 (Neonatal Intensive Care Unit) | 未熟児、高度の先天奇形、分娩時の障害、合併症など、出産後間もない病的な新生児が対象 |
GCU 「移行期(回復期)治療室」 (Growing Care Unit) | 急性期治療が終了、または集中治療を要しない新生児が対象 ※NICU の後方病床の位置付けの場合が多い |
PICU 「小児集中治療室」 (Pediatric Intensive Care Unit) | 重症あるいは手術後の小児患者が対象 ※PICUがPerinatal Intensive Care Unitの略の場合は「周産期集中治療室」となりMFICUと同義で使われることもある |
看護師の体験事例
看護師の体験事例
早産児(在胎22週~36週まで)、先天性疾患(心疾患、脳外科、神経、消化器疾患など)染色体異常、出産時のトラブル(新生児仮死、呼吸異常、初期嘔吐など)の集中治療を必要とする重症度の高い赤ちゃんがNICUには入院しています。
そのため、フルモニター、点滴ライン、人工呼吸器など機械に囲まれた、高度な医療が提供されている緊張感のある現場だと感じます。
看護師の体験事例
入院している赤ちゃんは保育器、又はオープンクベース(開放型保育器)に入っており、その周囲をモニターや人工呼吸器といった機器が取り囲んだユニットになっています。
私が勤務したNICUでは、医師、看護師などの医療スタッフはワンフロアの空間で常時医療を提供しており、ナースステーションが中央にありその周囲を保育器が囲んでいる構造でした。
室内は照明が薄暗く設定されており、赤ちゃんに光刺激を少なくすることでストレスを緩和させていました。
看護師の体験事例
NICUでは未熟で抵抗力の少ない赤ちゃんが多く入院しているため、病棟内は清潔区域(バイオクリーンルーム)になっています。
看護師や医師は入室する前には手洗い・うがい、ガウンやマスクを装着する場合もあります。
また、私が勤務したNICUでは感冒など感染症が疑われる人は入室禁止となっており、面会できる家族も両親に限られていました。
NICUの一部がガラス張りになっており、祖父母や兄弟はガラス越しに面会することが可能な施設でした。
NICUで働く看護師の仕事内容
NICU(新生児集中治療室)は、生まれたばかりの小さな赤ちゃんが診察・治療を必要としている場合に入り、24時間体制で見守る集中治療室です。
実際にNICUで働く看護師の1日のスケジュール例は以下の通りです。
日勤帯 | 業務内容 |
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8:30~ |
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9:00~ |
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9:30~ |
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10:00~ |
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12:00~ |
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13:00~ |
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14:00~ |
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15:00~ |
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16:30~ |
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17:00~ |
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夜勤帯 | 業務内容 |
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16:30~ | 日勤帯の看護師からの管理事項を確認 日勤帯の担当看護師と点滴やラインの確認 準夜帯の内服薬の準備 |
17:00~ |
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21:00~ | リーダー看護師に報告、カンファレンス |
22:00~ |
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23:00~ | 一日尿量チェック、水分出納チェック、カルテ入力、物品の補充 |
0:00~ |
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2:00~ | 夜間帯休憩 |
4:00~ |
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5:00~ |
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8:00~ |
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看護師の体験事例
夜勤帯の場合、緊急入処置や緊急入院が入り、院内での出産は24時間どのタイミングで行われるかわからず、緊急の帝王切開などに備えてNICU看護師は常に準備をしながら通常の業務も行っていきます。
また、各種モニターの設定や数値は毎時間チェックします。
また、NICUで働く看護師の仕事内容は、主に5つに分けることが可能で、以下の通りです。
- 全身状態の管理・観察
- 高度な医療的ケア
- NICU内での診療補助・検査介助
- 専門的な日常ケア
- 家族への支援(ファミリーケア)
各項目について以下で詳しく説明していきます。
1.赤ちゃんの全身状態の管理・観察
正常に出生した健康な赤ちゃんは、泣き声で欲求を周囲に伝えることができますが、NICUの保育器にいる赤ちゃんは泣くことさえできない場合があります。
そのためNICUで働く看護師は、赤ちゃんの人工呼吸器やフルモニターの数値だけでなく、皮膚の色や表情など、さまざまな情報から全身状態を管理し、アセスメントを行うことが仕事です。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私が勤務していた病院のNICUでは、バイタルサイン測定は各勤務2回のことが多く(1日6回)、モニターの数値(心拍、呼吸数、spo2など)、人工呼吸器の設定、点滴の様子は1時間毎にチェックしていました。
また、バイタルに異常があればすぐに医師に報告し設定変更や処置を行っていました。
看護師のアセスメントの不足により、赤ちゃんの状態が急変することや、重症化するおそれもあり、全身状態のチェックは看護師の重要な仕事でした。
看護師の体験事例
NICUでは、未熟な赤ちゃんは状態の変動が大きく、急変することも多々ありました。
成人患者のように「痛い」「辛い」と言葉で表現できないため、赤ちゃんの異変を早期発見することは看護師にとって重要な仕事でした。
モニターの数字や検査データだけでなく、赤ちゃんの変化に細やかに気付き的確にアセスメントできるよう経験と知識を積む必要が日々必要でした。
私が勤務した病院のNICUの現場では、看護師の迅速なアセスメントで、医師が治療を調整するという場面が多く見られ、看護師の力で状態が異常数値に表れる前に対応できることも沢山ありました。
看護師の体験事例
私が勤務したNICUでは、点滴チューブやモニター類は最小限に留めてるとは言え、心電図モニターを装着している赤ちゃんがほとんどであり、人工呼吸器を装着している赤ちゃんも多数入院していました。
看護師は、注意深く赤ちゃんの観察を行い、血管の怒張により血圧を推察したり、胸郭の運動を見て呼吸状態を把握したり、皮膚の観察の度合いにより水分出納バランスや体温を推察したりしており、とても大変でした。
2.赤ちゃんへの高度な医療的ケア
病院のNICUは機械に囲まれ、赤ちゃんに対し、高度な医療を提供する空間です。
そのため、NICUで働く看護師は、赤ちゃんに対し、多くの高度な医療的ケアを行うことも仕事となります。
また、試験外泊等を行い退院後も医療ケアが必要な赤ちゃんには、産科病棟で行われるような通常の育児指導に加え、個々の赤ちゃんの状況に応じたケアも含めた指導を看護師がその家族に行います。
NCIUの看護師が行うことが多い医療的ケア例
以下は、主にNICUで看護師が行うことが多い医療的ケアの一例となります。
人工呼吸器の設定と管理 | NICUに入院している赤ちゃんの挿管率は高く、人工呼吸器の管理は必須です。 赤ちゃんの状態に合わせて医師の設定した呼吸器条件が正確に作動しているか毎時間確認します。 吸引のために人工呼吸器をはずしただけでspo2が低下することもあり、慎重な看護技術が必要となります。 |
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経管栄養 | 赤ちゃんの状態が安定すると栄養が開始されます。経口哺乳が確立されるのはだいたい35週であるため、NICUに入院している赤ちゃんのほとんどは経管栄養です。 また、超早産児の場合は2~3ヵ月と長期的に経管栄養が必要となり、消化器機能も未熟であるため、すぐにガスが貯留して腹部膨満になることや、排便が滞ってしまうこともあり、必要に応じてマッサージや浣腸を行う等、腹部ケアを行う必要があります。 |
投薬 | NICUに入院している赤ちゃんの体重は小さく、投薬の量もごく少量です。 単位を間違えると赤ちゃんの状態が急変することや、生死に関わることもあり、緊張感を持って行う必要があります。 |
栄養チューブ交換 | 小さな赤ちゃんに使用する栄養チューブは細く、挿入する際は食道や胃壁を傷つけないように注意する必要があります。 また、500g未満の赤ちゃんのチューブ交換は高度な看護技術が必要となります。 |
看護師の体験事例
医療物品はどれも小さく、扱いが難しく感じることも多かったです。
例えば薬の単位も0.1ミリの世界で、一般病棟からNICUに転職した私にとって、この細やかさが一番驚きました。
3.NICU内での診療補助・検査介助
NICUはバイオクリーンルーム(※1)となるため、検査のほとんどはNICU内で行います。
例えば、レントゲンは検査技師が保育器サイドで赤ちゃんを撮影し、その際に体位の保持や体温の調整などを看護師が行います。
採血、超音波検査は医師が行い、検査後は看護師がホールディング(赤ちゃんの身体を丸く包み込む)をして落ち着くよう促します。
早産児は刺激や痛みに対するストレスが大きく、呼吸状態や消化状態にまで影響を及ぼすこともあります。そのため、看護師の細やかなケアが大切な仕事です。
(※1)バイオクリーンルームについて(※1)バイオクリーンルームについて
バイオクリーンルームとは、NICUで赤ちゃんをゴミやホコリ、細菌などの感染(室内の生物微粒子や非生物微粒子)から守るために室内の温湿度・室圧力を制御された室となります。
そのため、NICUに入院している赤ちゃんが触れるものはすべて滅菌や消毒が行われています。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
NICUの赤ちゃんは、良く状態が変動するため、私が勤務した病院では医師が常駐してラウンドしており、看護師は必要に応じて診察や治療の介助を行っていました。
また、看護師は日常の診察に加え、人工呼吸器装着中の赤ちゃんのチューブの入れ替えや位置の変更、抜管などの処置や、未熟児網膜症に対するレーザー治療の介助などが仕事でした。
末梢静脈の点滴ライン確保も、成人看護においては看護師が一人で行いますが、私が勤務したNICUでは医師による処置となり、この時も、必要に応じた介助を看護師が行っていました。
4.赤ちゃんへの専門的な日常ケア
NICUでは、保育器の中にいる状態の赤ちゃんに日常的なケアを行うことは、専門的な看護技術が必要となる看護師の仕事です。
赤ちゃんがどのような病期にあっても、清潔、授乳、ポジショニング、母乳ケア、排泄の保持などと言った基本的な日常生活のケア項目に変わりはありませんが、その方法が個々に異なります。
一般的なNCIUでの赤ちゃんへの専門的な日常ケアについては、以下の通りとなります。
清拭 | 急性期をすぎて状態が落ち着いた赤ちゃんには、看護師が清潔ケアを行います。 体重が大きくなり、状態が安定している赤ちゃんには保育器から一時的に出してベットサイドで沐浴を行うこともあります。 |
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授乳 | NICUにいる赤ちゃんのほとんどは経管栄養ですが、週数や状態によっては保育器内で授乳を開始する場合があります。 早産児の多くは哺乳時に呼吸がうまくできずspo2低下がみられるため、看護師は適切なタイミングで息継ぎを促します。 また、胃の形状が細長く嘔吐しやすいため、途中排気(げっぷ)を多めに行ったり哺乳後の体位に注意したりと細やかな工夫が看護師に求められます。 |
ポジショニング | 未熟児は筋力も弱く、手足も細いため適切な体位が保持しにくい状況であるため、看護師はポジショニングを行います。 肩枕を使用することや、赤ちゃんの周囲をタオルで囲み、子宮内で丸くなっている姿勢に近づけるようにケアを行うことが一般的です。 |
母乳ケア | 新生児にとって母乳は水分、栄養そして免疫のためにも重要な役割を持ています。 保育器に入っている児のほとんどは直接母乳を吸うことはできないため、経管栄養には母乳を使用します。(母親は自宅で搾乳し冷凍した母乳を持参してもらうことが一般的で、母乳を届けるという役割は愛着形成のためにも大切なこととなります。) |
排泄 | おむつ交換に加えて、消化器系の疾患の赤ちゃんには、状態に応じた排泄介助を行います。 また、一般的にNICUでは尿道カテーテルを留置することはほとんどなく、代わりにおむつの重量を測って尿量を把握し、水分出納のバランスを観察します。 |
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私が勤務したNICUでは、生まれたばかりの赤ちゃんの日常のお世話は、NICUの看護師の基本的な仕事でした。担当する看護師を中心として、計画を立て、お世話の方法についてもカンファレンスがもたれることもありました。
また、小さい赤ちゃんの授乳は、経鼻チューブ、または経腸チューブを介して行われ、授乳中に呼吸状態が不安定になることや、分泌物が増加することがあれば、胃食道逆流減少を懸念し、ゆっくりと少しずつ授乳を行うためにシリンジポンプを用いることもありました。
看護師の体験事例
正期産の赤ちゃんとは異なり、NICUではミニマル・ハンドリング(成長・発達を促しストレスによる影響が最小限になるようケア)が必要でした。
赤ちゃんのストレスを考慮して保清も部分的に数日間に分けて行うことや、安定していて医師の許可があれば、アンビューバッグを用いてバギングしながら、看護師二人で人工呼吸器装着児の沐浴を行うこともありました。
また、ミルク摂取方法も経管の赤ちゃんと経口の赤ちゃんがおり、それぞれに介助が必要でした。
5.赤ちゃんの家族への支援(ファミリーケア)
赤ちゃんの家族はNICUに入った大切な我が子の様子を毎日緊張しながら見守っています。
ワンフロアの閉鎖的な空間の中、常に医療者の目があり安心する反面、赤ちゃんと一緒に家族だけの時間をもつことができません。
そこで愛着形成を促すためにも、状態の安定している赤ちゃんにはできるかぎり保育器の窓から手をいれてタッチング(直接児に触れてもらう)を行います。
また、一時的に保育器の外でカンガルーケア(直接抱きかかえること)を行うこともあり、人工呼吸器やチューブが装着されている赤ちゃんを抱きかかえることは、危険も伴うため必ず看護師が介助を行います。
このような愛着形成を促すための家族ケアも、NICUで働く看護師の重要な仕事となります。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
一般的に早産児の場合、入院が長期間に及ぶことも多く、母子分離を余儀なくされます。
私が勤務していた病院のNICUでは、プライマリー制(1人の看護師が、赤ちゃんの入院から退院まで一貫して行う看護師方式)を導入し、担当の赤ちゃんの保育日記を看護師が作成することも仕事でした。
写真を入れることや、毎日の体重や家族が面会時間以外の児の様子を記載することで家族が赤ちゃんの成長を感じられるため、喜んでもらうことが多かったです。
看護師の体験事例
私が勤務したNICUでは、予定外の出産で気持ちの整理がつかない家族や、早く産んでしまったと自責の念を強く抱く母親、不安でイライラしている父親など、家族ケア難しいケースが多い印象でした。
また、赤ちゃんが保育器に収容され、機械に囲まれている独特の緊張感やワンフロアで常に医療者の目がある環境など、プライバシーの保護が困難な状況で家族支援を行うことは看護師にとって容易ではありませんでした。
そのため、赤ちゃんの家族の気持ちに寄り添うためには、家族がどのような思いでいるのかを知る必要が、看護師として必要になると思います。
看護師の体験事例
私が勤務した病院では、出生前訪問によって、分娩前からハイリスク妊婦への支援を行っていました。
そのため家族は、赤ちゃんとの面会が24時間可能でした。
また、母親や父親が精神的に大きく落ち込んだ場合、臨床心理士や医師を交えたスタッフの間でカンファレンスにより共有して、介入することもありました。
看護師の体験事例
私が勤務したNICUには、様々な家族がいました。
突然の早産で動揺している家族、妊娠中は問題なく経過して出産してから赤ちゃんの病気が判明し受け入れられない家族、不妊治療でようやく赤ちゃんを授かった家族など、それぞれの事情を抱えて面会に訪れていました。
NICUの入院は長期的になることが多く、その間母子分離を余儀なくされます。そのため愛着形成がうまくいかなかったり、病気のあかちゃんを受け入れられず面会が少なくなったりと、トラブルも起こりやすい状況でした。
看護師の体験事例
一般病棟の場合は、患者本人と会話ができて、患者を通して家族と関わることも多いかもしれませんが、NICUの場合は家族との直接的な関わりが多いことが特徴だと感じます。
家族は精神的にも辛い状況にあるため、医療者の何気ない言葉に傷つくことや、ときには医療者にイライラした気持ちをぶつけてくる場合もありました。
私が勤務したNICUでは、ワンフロアで常に医療者が見守る集中治療室は、感情の表出がしづらく、家族だけで過ごす時間もとりにくい特殊な環境です。
そのため、一般病棟とは大きく違うポイントだと思います。
NICUで働く看護師のメリット・デメリット
NICU(新生児集中治療室)で働く看護師が感じる、一般病棟と比較した一般的なメリット・デメリットを実際の体験事例も含めて説明していきます。
多様な新生児症例を学べる
NICUでは、看護の対象が小さな赤ちゃんに特化しており、急性期・回復期・慢性期、そして終末期の看護ケア、多様な新生児症例についても学ぶことができます。
そのため、それぞれのステージに伴った看護ケアを習得することができ、ハイリスク新生児の看護全般が身に付くことがメリットとなります。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私が勤務したNICUでは、入院する赤ちゃんは早産児が多く、その中でも超早産児と呼ばれる在胎28週未満の児の出生直後のケアは高度な医療が行われていました。
看護師は救命のために、医師の指示に基づき迅速かつ正確な看護技術が求められました。
また、様々な疾患の赤ちゃんがおり、内科的な疾患から外科、神経、染色体と全身の疾患の知識、処置の手順を網羅しなければなりませんでした。
そのため、NICUで働くことで多様な新生児症例が身に付くと思います。
看護師の体験事例
NICUで働いた赤ちゃんと両親との関わりによる経験や、「早産・低体重・心疾患・染色体異常」等を抱えて生まれてきた赤ちゃんの看護を経験、様々な疾患などの経験は小児科・産科・IUCや呼吸器内科などでも活かせると感じます。
NICUの看護師は、細やかな気配りや観察眼、集中ケアと家族支援を行ってきた経験を持っているため、たとえ成人看護でも活かすことができるメリットがあると思います。
夜勤帯の看護師数が日勤と変わらない
NICU(新生児集中治療室)は、その名の通り新生児に集中看護を行うため、常時3対1以上の看護体制が求められます。
夜勤帯であっても他の病棟のように看護師の人数が少なくなることもありません。そのため、夜勤で急変があった場合でも、日勤帯と変わらない対応ができることがメリットです。
ただし、NICUは、夜勤でも日勤帯と同様の看護配置を取ることから、「夜勤72時間ルール(厚生労働省 看護職員の月平均夜勤時間72時間要件)」が適用外となるため、看護師の人数が足りない職場は一人当たりの夜勤が多くなることがデメリットと言えます。
※夜勤専従として働いている看護師も多く、稼ぎたい看護師に取っては夜勤回数が多いことはメリットにもなります。
チームワークを感じることができ医師との距離も近い
NICUは基本的にワンフロアになっており、その中で医師や看護師、臨床工学技士などのスタッフが協力しながら仕事を行っています。
そのため、一般病棟と比較すると、チームワークをより感じられることがNICUで働く看護師のメリットです。
さらに、医師との距離も近く、医師の見解を聞きながら、すぐに看護に反映していくことも可能な職場です。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
NICUは、医師との距離も一般病棟と比較すると近いと思います。医師との連携も密に図られているため、レントゲン写真の読影や人工呼吸器の取り扱いにも強くなります。
ただ、仕事は緊張感があり、精神的にも身体的にも負担が大きいですが、その分やりがいは大きく、看護師としてキャリアアップできる職場だと感じます。
看護師の体験事例
NICUでは緊急入院や急変対応などがあるため、チームワークが大切になり、スタッフ一丸となって対応していきます。
また、赤ちゃんへの処置の際は看護師の介助が必須になるため、医師との距離も近く治療の方針を決める際は看護師のアセスメントが大きく影響することもありました。
そのため、一般病棟と比較するとチームワークをより感じられる現場だと感じます。
家族のケアや赤ちゃんとの死別が辛い
NICUにはシビアな状況で神経質になっている家族や医療者に不安や怒りをぶつける家族も多く、看護師が精神的に辛い場面があります。
看護師の何気ない言葉でも家族を傷つけてしまうこともあるため、細心の注意を払いコミュニケーションをとる必要があります。一般病棟よりもNICUは家族に近い分、看護師のストレスも多い環境であることがデメリットです。
また、医療の発達により、新生児医療が発展し22週の超早産児も救命できるようになりましたが、重症度が高く救えない命もあります。
愛着を持ち、日々ケアを行うNICUの看護師にとって、小さな赤ちゃんとの死別はとても辛いものです。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
たとえ、最新の医療をもって一生懸命に赤ちゃんのケアにあたったとしても、救えない命に出会うこともありました。
環境を整え、素早く蘇生を始めても生まれて来た小さい赤ちゃんが反応しなかった時、余命いくばくもない赤ちゃんが数週間NICUで過ごし、両親に見守られながら亡くなった時、様々なケースがあります。けれども、赤ちゃんの死はいずれも無力感を引き起こし、やり切れないものでした。
看護師の体験事例
私は一般病棟からNICUに転職しましたが「家族との距離感が難しい」ことが悩みでした。
疾患や治療、処置などは勉強して知識をつけていけばどんどんスキルアップできますが、家族ケアについてはマニュアルどおりにはいかず難しいと感じます。
ただ、NICUに勤務して1年が過ぎた頃には、「家族ケアが濃いけどやりがいがある」仕事であり、「自分の関わり次第で大きく変わる」ということを体感しました。
NICUの家族ケアは繊細であるため、人によっては得意、不得意があるかもしれませんが、真摯に取り組むことで結果につながりやすく、やりがいを感じることもあります。
高い緊張感と看護が細かく仕事量も増える
NICUで働く看護師は、職務中は赤ちゃんの状態と計器の数値に常に意識を払い、少しでも異常があればすぐに適切な対応をする必要があるため気を抜くことができません。
そのため、NICU内は高い緊張感があり、保育器の中で行われるケアは、どれも専門的で細やかです。
さらに、3時間ごとにミルク(経管栄養)や投薬があり、その他の処置も一般病棟と比較すると多いため忙しいことがデメリットとなります。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
成人看護では点滴の量や薬の量もある程度まとまっていますが、NICUに入院している赤ちゃんは体重も小さく微量です。
例えば浣腸の場合、成人では一個全部を使用するかもしれませんが、NICUにいる赤ちゃんは倍に希釈して、さらに薄めて使用したりしていました。
一つひとつの看護技術が細かいため、面倒に感じてしまう看護師も多かったです。
また、NICUは「これぐらい大丈夫かな?」というさじ加減は通用しない細かい世界だと感じます。
看護師の体験事例
私が勤務したNICUは、他の病棟に比べて夜勤の回数も多かったため、体力的にも大変ハードでした。
それに加え、少しのミスも赤ちゃんの命に直結する可能性があるために、医師や先輩看護師の指導もかなり厳しく、高い専門知識も要求されますので、その頃は、勤務外であっても、モニターのアラーム音が耳鳴りのように聞こえてくるかのようでした。
また、赤ちゃんのために一日中照明を暗くしており、ワンフロアで見渡せる中、色々な所でモニター音が鳴るため、緊張感の持続などによるストレスが生じる可能性があり、私にはデメリットに感じました。
看護師の体験事例
私が勤務したNICUでは、日勤、夜勤ともに受け持ちは2~3人程度となり、緊急入院があった場合や急変時の対応などが重なると休憩もとれない状況でした。
NICUでは正確なアセスメントと繊細なケアが求められるため、常に緊張感を持たなければならず、看護師にかかるプレッシャーは大きかったです。
学ぶことが多く転職した場合は新人看護師と変わらない
NICUは内科や外科などを問わず、様々な疾患の症例に出会い、染色体異常や脳神経などの先天性疾患に伴う合併症、未熟性によるものや器官的な呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患など、多岐に渡り全身の解剖生理の勉強が必要になります。
そのため、学ぶことがとにかく多く、一般病棟で経験があった場合でも新人看護師と変わらない感覚になり精神的に追い込まれてしまう可能性があることがデメリットです。
NICUに興味があり、より多くを学びたいと考えている看護師にはメリットとなるでしょう。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
長い看護師経験がある場合、プライドを持ち職務に取り組む方も多いと思いますが、NICUに転職すると新人看護師になったような感覚になる方は多いです。
私が在籍していた病院のNICUでも一般病棟から転職してきた看護師がいました。
その看護師は「看護師として5年のキャリアがあるのに、まるで新人になったようで心が折れそうになる」と話していました。
例えば、NICUにいる2年目の看護師が先輩看護師のように見えることや、一般病棟ではスムーズに行っていた仕事が思うようにできず、自分が無力だと感じて、プライドが傷つくこともあったそうです。
NICUは特殊な領域であり、転職する前から「心を新たに勉強しよう」と割り切って仕事をしたほうが気持ちは楽かもしれません。
NICUの看護師が向いている人・向いていない人
実際にNICU(新生児集中治療室)に勤務している看護師の方に、「NICUの看護師が向いている人とは?」という質問を行い、自身の体験事例から解説してもらっています。
NICUの看護師が向いている人(体験事例)
丁寧なケアを心がける看護師
赤ちゃんは言葉によるコミュニケーションを取ることができず、痛みや苦しみ、不快を自分から訴えることができません。
また、自分で寝返りを打って体勢を変えることや、暑さや寒さの調節もできませんし、もちろんナースコールもありません。
そのため、関連病棟での勤務経験や、NICUで役立つ看護師以外の資格がなくても、優しさや思いやり、丁寧なケアを心がける看護師であれば、NICUでの勤務が初めての場合でも良い看護を提供することができます。
だから私はNICUで働きたいと思う、丁寧なケアを心がけてくれる看護師の方が最終的に向いていると感じます。
産科や小児科の経験を持つ看護師
NICUと関連がある、産科や小児科の経験を持つ看護師は、その経験がNICUにおいても大いに活かされます。
産科での母子の健康管理へのはからいや、愛着形成に対する援助は引き続きNICUでも大切な仕事として用いることができます。
また、小児科での子どもの気持ちや活動、発達を踏まえた看護ケアや安全と安心のための環境整備は、NICUでも同様に活かされます。
ICUの経験を持つ看護師
私はICU(集中治療室)や他のICU系の勤務経験がある看護師も、NICUが向いていると感じます。
例えば、ICUで行うモニタリングやチューブ管理、急変への処置にも慣れていると思います。
対象が成人から新生児に移ることにはなりますが、これまでの経験が必ず重宝され、実際にICUから異動した看護師や、ICU経験がある看護師がNICUへ転職して入職してくることは多いです。
新生児の看護でメリット、デメリットは違いますが、興味がある方は挑戦してほしいです。
育児中・育児経験がある看護師
NICUはどこの病院で勤務しても、フルタイムであることが多いです。
しかし、育児中の看護師も、自身の経験や母としての思いと共に、NICUの児や母親に接することができるため、私は向いていると感じます。
小さな子どもを育てた経験はNICUの看護にも生きる場面がいくつもありました。
そのため、育児中の方や、育児経験がある看護師の方は、NICUに興味があるのであれば、是非チャレンジしてほしいと思います。
NICUの看護師が向いていない人(体験事例)
急性期が苦手・赤ちゃんが苦手
あまりおすすめできないのは、急性期が苦手、赤ちゃんが苦手だと言う看護師は向いていないと思います。
急性期を脱した後、成長に伴い、呼吸機能が発達して退院となる赤ちゃんも沢山いますが、状態の急変が起こることもしばしばです。
そのため、ゆったりと一人一人の患者に向き合うことや、会話を持って関わりたいと言う看護師には、おすすめできませんし、向いていないと思います。
それに、早く・幅広く一般的な看護技術を習得したいと言う看護師にも、NICUの特殊性により、あまりおすすめできません。
看護師として心身が弱い方
NICUは集中看護による緊張感や、体力面、精神面においてもハードである職場です。
そのため、看護師として心身が強くなければ、おすすめできず、向いていないと感じます。
また、不妊治療中の看護師や流産、死産を経験した看護師にも対象や看護ケアを通して自分自身と重なってしまい、自身の辛さが増し加わる可能性がありますので、NICUへの転職は慎重に検討された方が良いでしょう。
NICUで働く看護師のやりがい体験事例
看護師の体験事例
私がNICUで働く中で実感した、看護師としてのやりがいは、赤ちゃんの成長を目にすることができるということです。
搬送、又は分娩の情報を受けて緊迫した中、入院を受け入れた赤ちゃんが小さな体で一生懸命頑張って、やがて少しずつ大きくなり、点滴や気管内チューブが外れ、退院へと経過する過程を見ることができるということは、大きな感動を伴います。
また、赤ちゃんの両親から感謝の思いを伝えられた時にも、緊張感の高いNICUで、赤ちゃんにとって良いケアを模索し、両親への関わりに気を配りながら働いていて良かったと実感しました。
看護師の体験事例
NICUでは、医療の助けを必要とする赤ちゃんが対象となるため、併せ持つ疾患は多様となります。
消化器、呼吸器、脳神経科など、それらの内科及び外科の疾患があり、必然的に解剖生理学を学習する機会が多くなり、それに加えて最新医療や新生児学を学ぶため、様々な関心を持って幅広く深く学ぶことができるという点が、私がNICUで得られるやりがいとなっています。
私が一緒に働いていた先輩看護師には、NICU看護の魅力によって、NICU看護歴10年の看護師は多くおり、中にはNICU看護歴20年という多くの貴重な経験を持つ看護師もおりました。
看護師の体験事例
懸命な救命蘇生の後に、後遺症なく健康に育っている赤ちゃんや、小さな赤ちゃんが成長し、やがて両親と共に住む家へと退院していく姿を見ると喜びは大きく、とてもやりがいを感じることができます。
体重が増えた、目があいたなど日々の看護の中にも小さな奇蹟がたくさん溢れていて、あかちゃんの生命力の強さを感じます。
入院期間が長い分、毎日勤務する中で赤ちゃんの成長を身近に感じるため、500gにも満たない体重で出生した児が3,000gを越えて退院する瞬間は大きな感動があります。
NICUで仕事をしている中で一番のやりがいは、がんばっている赤ちゃんたちの姿ではないでしょうか。
看護師の体験事例
NICUでは、薄暗いワンフロアに保育器が立ち並び、モニターのアラーム音が鳴り響く特殊な室です。
その中で看護師は、医療的ケアを必要とする小さい赤ちゃんへ、日常的なお世話や時として救命蘇生を行っています。
身体的な面のみならず、赤ちゃんの精神的安定や両親への支援なども行っており、高い緊張感を持続させることに加えて、細やかな観察眼や気配りをも必要とし、心身共に大変ハードな仕事ではありますが、看護師として学び続けることのできる部署だと思います。
私は、看護師として日々学べることに、大きなやりがいを深く実感することができます。
病院のNICUへ看護師転職する注意点
NICU(新生児集中治療室)がある病院へ、未経験(初めて)転職する場合の注意したいポイントや求人の探し方などを説明していきます。
一般病棟からNICUへの看護師転職は可能?
一般病棟からNICUへの看護師転職は可能です。病棟経験がある場合でも、一から学ぶ姿勢で臨むことが大切です。
ただし、病院によっては即戦力の看護師を求めているためICU(集中治療室)の経験者や、小児看護の経験者などを採用する場合もあるため、病院の選定は必要です。
また、規模が比較的大きな病院であれば、異動によりNICUに勤務する看護師も多くいます。そのため、臨床経験が3年未満でなければ(地域にもよりますが)転職先は見つかる可能性が高いです。
(産科、小児科、ICU系での経験がある場合、病院によっては経験が多少あると考えられ、採用・配属されやすくなるケースはあります。一方で、一般病棟からの転職も多い印象です。)
ただし、以下でも説明しますが、NICUの看護師求人は全国的にとても少なくなっています。
NICUがある病院の種類について理解する
NICUが設置されている病院は、2種類に分けることができます。1つ目は「総合周産期母子医療センター」、2つ目は「地域周産期母子医療センター」があります。違いは以下の通りです。
総合周産期母子医療センター |
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地域周産期母子医療センター |
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- 参考:神奈川県 周産期医療体制整備指針に規定されているNICU病床及びGCU病床について
- ※あくまで基準のため、医師や看護師の体制は基準よりも充実している場合もある
総合周産期母子医療センターはMFICU(母体胎児集中治療室)が6床以上、NICUが9床以上を有し、ハイリスク妊娠、重症児に対して高度な医療を行う施設です。
地域周産期母子医療センターは総合周産期母子医療センターの基準には満たない規模の施設を呼びます。
例えば、総合周産期母子医療センターでは、重症児の入院が多くなり、日頃より産科病棟との連携を図っているため、出産前から情報が得られ、産科の看護師や助産師と共にケアに取り組むことができます。
そのため、NICUに初めて看護師転職する場合は、なるべく規模が大きな病院を選択することや、総合周産期母子医療センターがおすすめです。
NICUの症例・病床数は転職前に確認しておこう
NICUがある病院によっても、対応している症例や、患者数に違いがあります。また、総合周産期母子医療センターのNICU以外は、最低病床数に定めがないため、小規模になればなるほど、すぐに満床となってしまいます。そうなると、数多くの疾患を学べないことや、診療の対応にも限界があります。
そのため、病院のホームページでNICUの病床数を確認しながら、NICUの年間入院件数(人数)、産科病棟を有する病院であれば、院内出産からの入院件数や他院からの搬送入院の件数などの記載がないかを確認しておきましょう。
積極的に入院の受け入れを行っているNICUか、ということについての参考にすることが可能です。
教育制度が整った病院を選択する
NICUに入院する赤ちゃんは全身疾患であり、治療や処置も細かく一般病棟を経験している看護師でも新しく覚えなければならないことが沢山あります。
例えば、あまり教育制度が整っていない場合、一般病棟から転職した看護師は新卒看護師とは異なるため、「人工呼吸器は今までも見たことあるから分かりますよね」「吸引の手順は説明しなくて良いですよね」など、経験者ならではの対応をされてしまう可能性があります。
そのため、看護師として初めてNICUに転職する場合は、中途採用の教育制度詳細を確認し、なるべく多い看護配置(3対1以上)の病院を選択するようにしましょう。
新生児集中ケア認定看護師の在籍も確認しよう
日本看護協会の資格認定制度である「新生児集中ケア認定看護師」が在籍しているかどうかも、教育制度が整った病院を見分けるポイントとなります。
ただし、新生児集中ケア認定看護師は2005年から認定が開始された資格であり、他の認定看護師資格と比較しても開始から時間があまりたっていません。
そのため、参考程度にとどめておくといいでしょう。もしも院内に新生児集中ケア認定看護師が在籍している場合、NICU看護ケアに対する教育も盛んである可能性が高いためです。
NICUがある病院は全国でとても少ない
NICUを設置している病院は、まだまだ全国でみても数が少ないです。新生児認定施設は、関東をみると、埼玉県12病院、千葉県15病院、東京都40病院、神奈川県24病院と、地域によっても差があります。(2023年10月20日現在(基幹施設・指定施設・補完施設を含め))
そのため、看護師がNICUに転職する場合、エリアによって転職が可能な病院数が限られています。そのため、なるべく慎重に転職活動を進める必要があります。
例えば、一度面接を受け、落ちてしまった場合には、繰り返し応募することも可能です。しかし、人事担当者に変更があるか、看護師が不足している状態にならなければ、一度落ちてしまった面接で採用までに至るのは難しいことでしょう。
転職エージェントを活用すること
看護師として未経験で(初めて)NICUに転職する場合、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)を必ず活用しておきましょう。
理由としては以下の通りです。
- 転職後にNICUへ配属してもらうための交渉を行ってもらうため
- NICUの看護師求人がとても少ないため
- 履歴書、職務経歴書、面接などを完璧にするため
特に、NICUがある病院は規模が大きな病院が多く、履歴書や職務経歴書等の書類対策はもちろんのこと、面接対策等を行っておく必要があります。
また、NICUの看護師求人は、他の病棟と一緒に募集がある場合も多いため、必ずNICUに配属してもらうように交渉する必要があります。
(交渉後、確約を貰ったら、雇用契約書、又は採用通知書などに、配属先の記載を行ってもらいましょう。)
一般的な、看護師の希望条件を伝えて転職する場合とは、少し違うと考えておきましょう。
看護師転職サイトは、求人の選定から見学や面接のアポイントの設定から、履歴書・職務経歴書の添削、模擬面接の実施などの面接対策を無料で行ってくれるため、必ず活用してください。
NICUの看護師求人が多い転職サイト
NICU(新生児集中治療室)の看護師求人が多い、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)をご紹介します。
先ほどご説明したように、NICUを限定した看護師求人は少なく、NICUがある病院にも地域差があることから、以下でご紹介する転職サイトを3社とも無料会員登録し、希望する条件も含めて求人があるか、確認してみましょう。
まずは、NICUに転職出来る求人を探すことが大切です。
NICUの看護師求人豊富!レバウェル看護(旧 看護のお仕事)
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
---|---|---|---|
サイト名 | レバウェル看護(旧:看護のお仕事) |
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運営会社 | レバレジーズメディカルケア株式会社 |
公開求人数 | 158,398件 (2024年11月1日時点) |
非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師 |
対応 雇用形態 | 常勤(夜勤有り)、日勤常勤、夜勤専従常勤、夜勤専従パート、非常勤、派遣、紹介予定派遣 |
対応施設 | 総合病院、一般病院、クリニック、特別養護老人ホーム(特養)、訪問看護、有料老人ホーム、デイサービス、重症心身障害者施設、保育園、検診センター |
対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・看護師の転職求人が豊富 ・転職支援サービスが手厚い ・転職の相談から行える ・院内・施設内情報に強い |
レバウェル看護(旧 看護のお仕事)は、看護師転職サイトの中で一番、看護師求人数が多く、さらにハローワークの求人もカバーしているので、NICUの看護師求人が探しやすいと言えるでしょう。
さらに、院内情報も年間5,000件以上のインタビューを行っているため、担当者や会社が把握しているため、会員登録後に求人情報も含めて専任の担当者から紹介してもらいましょう。
転職支援サービスも充実していることから、利用する看護師にも人気があり、NICUに看護師転職を考えた場合、利用が必須の転職サイトです。
公式サイト:https://kango-oshigoto.jp/
NICUの非公開求人も!マイナビ看護師
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
---|---|---|---|
サイト名 | マイナビ看護師 |
---|---|
運営会社 | 株式会社マイナビ |
公開求人数 | 81,585件 (2024年11月1日時点) |
非公開求人 | とても豊富(保有求人全体の約40%非公開) |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師、ケアマネジャー |
対応 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託その他 |
対応 勤務形態 | 常勤(二交替制)、常勤(三交替制) 、夜勤なし、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・転職の相談から行える ・キャリアアドバイザー親切丁寧 ・退職交渉も可能 ・企業系のレア求人を豊富に保有 |
マイナビ看護師は、全国のNICU求人も公開情報として求人掲載していますが、全体の約40%が非公開求人(インターネット上に出ない、担当者から紹介してもらう求人)となります。
そのため、会員登録後に担当者に希望条件を伝え、NICUの看護師求人を探してもらいましょう。
専任の担当者は丁寧で的確なアドバイスを行ってくれるため、利用する看護師にも人気があります。
公式サイト:https://kango.mynavi.jp/
看護師のキャリアから相談可能!ナースではたらこ
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
---|---|---|---|
サイト名 | ナースではたらこ |
---|---|
運営会社 | ディップ株式会社 |
公開求人数 | 95,585件 (2024年11月1日時点) |
非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師 |
対応 勤務形態 | 常勤、非常勤、日勤のみ、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック、介護施設、デイサービス、訪問看護、企業その他 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・非公開求人が豊富 ・希望条件に合う求人が見つかりやすい ・希望する病院・施設へ転職可能な逆指名転職がある |
ナースではたらこは、看護師のキャリアの相談や、転職の相談から始めることが可能な転職エージェントです。
看護師として転職に悩んでいる場合や、情報収集を取り敢えず行いたい場合などにも利用できます。
そのため、NICUに転職するかどうか悩んでいる、どんな職場があるか取り敢えず確認したい、と言う看護師の方は利用がおすすめです。
公式サイト:https://iryo-de-hatarako.net/
まとめ
NICU(新生児集中治療室)は特殊な診療科であり、看護経験を得て転職をしても、初心に戻って一から学び直さなければなりません。
しかし、知識や技術を習得していく過程において、今まで培ってきた看護ケアが活かされることもあります。
また、NICUで働く看護師は、細やかな観察と気配りを要しますが、小さな赤ちゃんが一生懸命に生きている、その命を守り、サポートできる、大きなやりがいが得られることでしょう。
一般病棟を経験して、NICUという領域に新たに転職する場合、多くの勉強が必要となり、仕事に慣れるまでは苦労とストレスも大きいかもしれません。
ただ、特殊な領域だからこそ看護師の中でも経験している人は少なく、専門的な知識を持つことは今後の看護師キャリアの中で必ず役に立つはずです。
是非、NICUの看護師にチャレンジしてください。
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運営会社 | 株式会社peko |
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会社ホームページ | https://peko.co.jp/ |
所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂3丁目1-16 BIビル6F |
代表取締役 | 辻󠄀 昌彦 |
設立 | 2015年6月 |
資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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厚生労働大臣許認可 | 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) 特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
連絡先 | 03-5324-3939 (受付時間:休日、祝日を除く10:00~17:00) |
お問い合わせ | https://peko.co.jp/inquiry |
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