看護師が独身でパートへ転職するのは変じゃない！

多くの看護師は、学校を卒業した後、数年間は病棟に勤務し、日勤と夜勤を行うことが独身看護師のスタンダードな働き方でした。

しかし、現在では独身看護師がパートに転職することも働き方の1つとして定着しつつあります。

ここでは、「独身看護師がパートして転職するケースは増えていること」「働きやすい職場」「パートとして働く注意点」等について、私の体験談を交えながら説明していきます。

執筆・監修看護師

田中 看護師

• エリア：神奈川県在住
• 保有資格：看護師、がん看護専門看護師、消化器内視鏡技師、心理相談員
• 経歴：がん専門病院、総合病院、クリニック、総合病院、訪問診療クリニック
• 専門分野：消化器内科、透析室、内視鏡室、放射線治療室、泌尿器科

看護師をして20年以上になります。外来・病棟・検査室・クリニックなど、いろいろな場所での業務を経験しました。ですが、一時は看護師をやめようと思ったほど、心身共に追い詰められた時期もあります。現在は、看護師も続けつつ、ライターやカウンセラーとしても活動しています。

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独身看護師がパートへ転職するケースは増えている

パート勤務へ転職する独身看護師が増えているのは、どのような原因が挙げられるのでしょうか。

以下で詳しく説明していきます。

新人看護師もパートへ転職する時代

現在、看護師は高めの時給の職場を選ぶことで、パート勤務でも十分に暮らすことが可能です。

そのため、新人看護師でもパートとして働く人もいます。

副業ブーム

看護師以外の仕事で自分の能力を発揮したいと考え、WEBライターやカウンセラーなど副業をする看護師が確実に増えています。

副業・兼業をしている理由として、副業・兼業をしている者の半数以上が「収入を増やしたいから」としており、金銭的な理由が多くみられる中、「自分で活躍できる場を広げたいから」、「様々な分野の人とつながりができるから」、「現在の仕事で必要な能力を活用・向上させるため」といったキャリア形成や自己啓発のために行う層も存在しています。
出典：財務省 副業・兼業の現状と今後

看護師は、責任が重く、夜勤や残業も多い職業です。

そのため、常勤で勤め続けることは苦しいと感じる独身看護師が増え、副業を行いながらパート看護師として働きます。

親の介護との板挟み

「看護の仕事は好きだけど、親の介護をするのは自分しかいない」といった独身看護師が増えたことも、パート勤務が増える原因になっています。

日本の人口は近年減少局面を迎えており、2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38％台の水準になると推計されています。
出典：人口の推移、人口構造の変化

日本は現在も、超高齢化社会といえ、今後もパート勤務の看護師が増えていくでしょう。

独身看護師がパートでも働きやすい職場とは

パートで働く独身看護師が働きやすい職場には、「クリニック」「訪問看護ステーション」「夜勤専従看護師を募集している病院」などが挙げられます。

以下で、それぞれについて説明していきます。

クリニック（診療所）

クリニックは、パートが多い職場であるため独身でパート勤務をしていても「家庭の事情かな」「他に仕事をしているのだろう」と周囲も考えるため、あまり詮索されずに済むでしょう。

一般的にクリニックは、数年で退職する看護師が多いため、独身でもパートで働きやすい職場と言えます。

美容クリニックのパートは経験が求められる場合が多い

美容クリニック（美容皮膚科・美容外科）では、近年出店が多く、パート看護師を募集も増えています。

しかし、メインは正社員の採用であり、パート看護師として美容クリニックに勤務する場合、一定の美容クリニック経験、もしくは臨床経験が必要な場合もあり、確認が必要です。

ただし、未経験でも美容クリニックのパート看護師として、働くことができる職場はあります。

訪問看護ステーション

訪問看護師は、事業所にいる時間よりも訪問に出ている時間の方が多く、独身看護師がパートで働くことで、周囲の目は気になりません。

また、特にパートの訪問看護師は、時間内で訪問・記録を必ず終わらせる必要があり、慌ただしく時間が過ぎていきます。

時給が高く、多くの看護経験も積むことができる訪問看護は、独身でパートへ転職するにはおすすめの職場です。

詳しい仕事内容などは、「訪問看護ステーションで働く看護師の仕事内容と転職時の選び方」を確認してください。

また、将来、常勤で働きたくなった時も、職場によっては変更可能であり、訪問看護師としての実績を積み、自身で訪問看護ステーションを立ち上げ、独立することも可能です。

夜勤専従看護師を募集している病院

夜勤専従看護師は、夜勤専従常勤（正社員）と、夜勤専従パートがありますが、夜勤専従は稼げるダブルワークとして人気が高く、パート勤務の看護師が多い職場です。

人気の理由として、常勤の夜勤勤務よりも時給が高いこと、日勤の仕事を行いながらできる仕事であること、自分の体調などに合わせながらシフト調整が可能であることなどが挙げられ、独身看護師にとっては魅力的です。

さらに、夜勤専従で働いた経験は、病院勤務としての経歴になり、看護師としての経験も積むことができます。

検診センター

健診センターは、独立型と病院付属型がありますが、独立型（健診センターのみで機能している施設）の場合、1日の健診受診者が100人を超える施設が多く、独身看護師のパート勤務に向いています。

基本的に、看護師の仕事内容は、ローテーションで内視鏡介助、医師の診察介助、診察後の保健指導、採血等を担当するため、流れ作業で業務が進み、スタッフ同士で会話することも少ないです。

そのため、採血が苦手でなければ、パート勤務の独身看護師には、おすすめの職場です。

さらに詳しくは「健診センターへ転職する看護師のメリット・デメリット！楽な仕事ではない？」を参照してください。

補足：その他の施設

老健、特養、介護医療院などの、介護福祉施設や、デイサービス、訪問入浴サービスも、パート看護師が非常に多い職場です。

ただ、地域や職場によって50代以上のパート看護師が働いているケースもあり、独身看護師がパートで働きやすいかどうかは、職場によります。

古い考え方を持った看護師に、心無い言葉を言われる可能性もあり、職場見学を行いながら探すと良いでしょう。

パートへ転職する独身看護師のメリット

独身看護師がパート勤務へ転職する際に考えられるメリットには、どのようなことがあるでしょうか。

私の経験をもとに、以下で説明していきます。

自分の時間を大切にできる

独身で正職員（常勤）の看護師は、病棟勤務が多く、夜勤を期待され、突然の勤務交代や委員会業務など、避けられない業務が増えます。

しかし、パート勤務の看護師は、勤務時間も勤務日数も、ある程度自分が提示した条件で働くことができるためメリットです。

自分自身の1日（24時間）を自分の希望通りに設定することが可能です。

様々な業種・職種が体験できる

パート看護師は、様々な業種や職種で看護師資格を活かしながら、短期間で働くことができます。

さらに、独身であることを活かし、例えば、病院、クリニック、訪問看護、健診業務、イベントナース、ツアーナース、介護施設など、家庭を気にすることなく、自由に業種や職種を選択し、勤務できることがメリットです。

また、短期間の業務や、パート看護師だからできる立場を利用し、看護師としてのスキルアップを図ることもできるでしょう。

掛け持ちで高収入を得ることも可能

パートの時給にもよりますが、夜勤月数回＋時給2,000円以上の日勤バイトなどを組み合わせることで、日勤常勤の看護師よりも、高収入を得ることが可能です。

そのため、進学等のまとまった資金が必要な場合、常勤の看護師として働くよりは、パート看護師として働いた方が、効率よく貯蓄することができるでしょう。

また、看護師の中には、パート看護師のダブルワーク以上の、トリプルワークを行う方もいます。

パートへ転職する独身看護師のデメリット

パートへ転職する独身看護師のデメリットもあります。

私の経験から、考えられるデメリットについて説明していきます。

社会保険・福利厚生が不安定の可能性がある

パート看護師として勤務する場合、一定の条件を満たすことや、働く施設の待遇等を確認し、選択しなければ、社会保険・福利厚生が不安定の可能性があり、デメリットです。

パート勤務もある一定の条件を満たせば、雇用保険・社会保険・厚生年金などへの加入は可能です。（条件を満たせない場合は、国民健康保険となります。パート・アルバイトでも社会保険適用が拡大傾向にあり、厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」も確認しておくと良いでしょう。）

また、パート勤務の看護師の場合、賞与は寸志（又は「なし」）という病院、クリニック、介護施設は多く、福利厚生を利用するにも、（正社員のみや、働く時間などの）条件が設けられています。

そのため、福利厚生が十分に与えられないパート勤務は、長い目で見ると損をしている可能性があるでしょう。

ローンが組めない可能性がある

常勤（正社員）の看護師であれば、独身の場合でも住宅ローンを組み、お金を借りることは可能です。

しかし、一般的にパート勤務の場合、銀行によっては住宅ローンなど大きな金額のローンが組めない可能性があります。

パートやアルバイトでも住宅ローンは借りられる？
結論から言うと、パートやアルバイトなど非正規雇用で働いている人でも、マイホームの夢を実現できる可能性はあります。ただし、正社員など正規雇用の人に比べると、難しい傾向があるようです。
出典：MUCG 世帯主がパートやアルバイトでも「住宅ローン」は組める？

そのため将来、自宅の購入（マンション、土地を買う、家を建てる等）を検討している場合は、常勤（正社員）の看護師として働き、計画的に自宅の購入を進めることが大切です。

ローンを組んだ後は、パート勤務に戻っても返済が滞らなければ、一般的に問題はありません。

世間の目が気になる

世間の目や周囲からの評価が気になる方は、独身看護師でパート勤務することは、デメリットになる可能性があります。

看護師の仕事は行っているものの、独身でパート勤務を続けることを理解できない方から「なぜ、正社員（常勤）にならないの？」と何度も質問される場合や「そんな働き方はおかしい」と言われることもあるでしょう。

気にしない方は問題ありませんが、世間の目が気になる方は注意が必要です。

独身看護師がパートへ転職する際の注意点

パートへ転職する独身看護師が注意することは、どのようなことがあるのでしょうか。

以下で詳しく説明していきます。

社会保険に加入できる職場を選ぶ

パート看護師の場合、社会保険（医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険）に加入する条件を満たせる職場を選択することが大切です。

例え、パートを掛け持ちし、2か所以上で働いていた場合でも、1つの勤務先をメインにし、条件を満たすことを考えましょう。

社会保険に加入できれば、勤務先が半分の保険料を負担し、結果として金銭的にもお得です。

詳しくは、厚生労働省のサイト、

などを確認しておきましょう。

ダブルワークを推薦する職場には注意する

看護師が働く職場によっては、ダブルワークを奨励している職場もあります。（例：クリニック等）

パート看護師として働く上で、理解がある職場のように見えますが、ただ単に、短時間勤務だと社会保険適用の条件を満たすことができず、社会保険料を削減するためだけの可能性もあります。

ダブルワークをする際は、「パートとして勤務できる時間に上限が設けられていないか」「将来、希望した場合に常勤として働くことができるのか」を確認することで、将来安定して働きたくなった時に安心できるでしょう。

看護職賠償責任保険に加入する

数か所パート勤務をしている看護師の場合、勤務先がパートを守ってくれるとは限りません。また、パートと一緒に派遣を行う場合などは、なおさらです。

パート看護師に転職する際には、看護職賠償責任保険に加入し、自分の身は自分で守るように心がけましょう。

例えば、日本看護協会の「看護職賠償責任保険制度」では、1年間で2,650円と格安です。その他、日本看護協会以外には、保険会社や一般企業などが取り扱っているため、確認してみましょう。

独身おすすめ！パート看護師求人が豊富な転職サイト

看護師転職サイト（看護師専用の転職エージェント）は、常勤（正社員）の転職だけではなく、パート・アルバイトの看護師求人を紹介して貰うことも可能です。

ただし、どの看護師転職サイトでも、パート・アルバイト求人があるわけではなく、さらに常勤と同じような、転職支援サービスを受けれないこともあるため、注意しましょう。

以下でご紹介する看護師転職サイトは、パート・アルバイトの看護師求人が豊富で、転職支援サービスも充実しています。

各社、保有しているパート看護師求人が違うため、2社~3社程度登録を行い、比較しながらパート看護師求人を探しましょう。

パート看護師求人数No.1！レバウェル看護

転職相談	面接対策	条件交渉	退職相談

レバウェル看護(旧 看護のお仕事)は、看護師転職サイトの中でもダントツにパート看護師の求人が多いです。

また、パートの求人も、常勤の転職と同様に、担当者が丁寧にサポートしてくれるので、とても安心して利用することが可能です。

保有している求人もハローワークを含む、様々な施設があるため、パート看護師求人を探す場合は必ず活用しておきましょう。

公式サイト：https://kango-oshigoto.jp/

病院・企業系求人豊富！マイナビ看護師

転職相談	面接対策	条件交渉	退職相談

マイナビ看護師は、パート看護師の求人も全国的に豊富で、規模が大きな病院の外来や、企業系の求人が多いため、該当する職場を希望する方は必ず活用しておきましょう。

担当者も親切丁寧でパート看護師でも常勤と同様の転職支援サービスを提供しています。

公式サイト：https://kango.mynavi.jp/

非公開求人が豊富！ナースではたらこ

転職相談	面接対策	条件交渉	退職相談

ナースではたらこは、他の看護師転職サイトに比べて非公開求人が豊富です。

そのため、好条件のパート看護師求人を探してもらいたい場合や、上記の看護師転職サイトで希望する求人が見つからない場合は、合わせて活用しておきましょう。

公式サイト：https://iryo-de-hatarako.net/

まとめ

独身看護師がパート勤務を続ける場合は、「社会保険や福利厚生が充実した職場を探す」「万が一に備えて看護職賠償責任保険に加入する」等、自分の将来を守る決意をすることが必要です。

看護師として将来の生き方に迷いがある時には、独身であってもパートとして転職し、看護師業務を続けながら、自分を見つめ直してみると良いでしょう。

様々な職場を経験することで、新たな看護師としての道が開ける場合もあります。

パートへ転職しようと考えている独身看護師は、是非参考にしてください。

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参考文献等

• 厚生労働省：探検・発見・看護！
• 日本看護協会：看護師のワーク・ライフ・バランス
• 厚生労働省：看護職員の現状と推移
• 厚生労働省：看護職員就業状況等実態調査結果
• 厚生労働省：看護師のキャリアと働き方支援サイト
• 厚生労働省：いきいき働く医療機関サポートWebいきサポ
• 職業紹介優良事業者認定制度
• 適正な有料職業紹介事業者の認定制度
• 労働基準法 | e-Gov法令検索
• 職業安定法 | e-Gov法令検索