日本の看護師がボリビアで働く方法と体験談をご紹介!
ボリビアでは、基本的に国立や私立病院がほとんどです。
外科的手術ができる環境のある医療水準の高い地域もありますが、全ての都市でそれが可能というわけではありません。また、特に高度な治療は、海外(ボリビア国外)でなければ受けられない場合もあります。
さらにボリビアでは、生活格差が大きく、多くのお金持ちは海外で手術・治療を受ける傾向にありますが、簡単な治療でさえ受けられない方も多くいます。
また、日本と違い風土病も多くあるため、特殊な症例を見ることとも多々あります。大きな病院であっても、環境的にはやや不衛生なところもあり、全体的に先進国に比べてかなり医療水準は低い国です。
今回は、私がボリビアの看護師として働いた経験を元に、日本人看護師が働くための方法や、実際に働いてみた体験談についてご紹介します。
執筆・監修看護師- エリア:東京都在住
- 保有資格:看護師
- 施設経験:大学病院、総合病院、ボリビア(海外)の国立病院
- 専門分野:手術室、救急外来、フライトナース
看護大卒後、スポーツ関係の大学院に進学。その後、看護師として就職するも、仕事の日々に疑問を感じ、幾度となく看護師をやめては海外へ放浪してました。看護師歴は12年、これまで大学病院から民間病院、都市部から地方、海外の病院で勤務したことがあります。また、海外ボランティアなどの経験もあります。現在は日本と海外の両方で現場経験を積みながら、看護師ライターとして活動中です。違った角度からみなさんに役立てる情報が書けるようにできたらと思います。
日本人の看護師がボリビアの病院で働く方法
日本人看護師がボリビアの病院で働きたい場合、以下の方法で働くことが可能です。
- 法律で定められた方法で国家資格を取得して働く
- 看護師アシスタントとして働く
どちらかの方法で働くことが可能ですが、前提として、現地の言葉(スペイン語)が話すことができ、ある程度コミュニケーションがとれる必要があります。
また、日本である程度の看護師経験を積んでいないと、手術の流れや医師の手技で次の展開を予測しながら動くことができません。看護師としての十分な知識と技術、経験は最低限必要です。
以下で、日本人看護師がボリビアの病院で働く方法を詳しくご説明します。
働く看護師にとってスペイン語は必須
ボリビアの公用語はスペイン語であり、看護師としてスペイン語がある程度話せることが必要です。(公用語はスペイン語ですが、多言語国家のため、アイマラ語、ケチュア語、グアラニー語なども活用されます。)
英語が話せた場合でも、ボリビアでは英語を話せる医療スタッフはほとんどいません。もし、ボルビアを含めた南米地域で看護師として働くことを考えた場合、スペイン語を勉強する必要があります。
ボリビアの看護師国家資格を取得する方法
日本人看護師が海外で看護師として活躍するためには、基本的にその国で認められている看護師免許を取得する必要があります。
もちろん、ボリビアも例外ではなく、法律上、ボリビアの看護大学に進学して国で認められている看護師免許の国家資格を取得する必要があります。
詳しくは、ボリビアの保健省のRequisitos Registro Profesional(専門家登録要件)等を確認しておきましょう。
看護師アシスタントとして働く方法
看護師として働くためにはボリビアの看護師国家資格が必要ですが、医療資源・医療スタッフの数が足りない施設の場合、コミュニケーション力(言語力)・看護知識・看護技術があれば即戦力として勤務できる可能性があり、それが看護アシスタント(看護助手)です。
ボリビアは圧倒的に医療スタッフが少ないため、院長の判断でボリビアの看護師国家資格を持たなくても勤務可能です。
そのため、現地の看護師国家資格を持っていない場合でも、直接病院にメールを送る・面接を申し込むなどを行うことで、看護師の資格を活かして活躍することができます。
ボリビアでは国家資格を持たない看護師が多数勤務している
ボリビアの病院では、主任や師長にあたる管理職の人は資格を持っていますが、それ以外の看護スタッフは国家資格を持っていないことが多いです。
海外では、日本のように准看護師制度はないので、「看護師アシスタント」と呼ばれる資格で働いています。
私が感じた日本とボリビアの医療環境の違い
日本とボリビアでは、医療設備や薬等、違う点が非常に多くあります。
それらに加え、「今ここにある設備や薬の中でどう対応すれば最善を尽くせるか」という考え方を行う必要がありました。
例えば、ボリビアの医療職の方は、「できません」という言葉は使わず、「未経験のことだけど挑戦したい」という積極的な姿勢です。
これは、積極的でなければ、仕事を任されなくなり、常に新しいことに挑戦する、飛び込む勇気が必要で、私にとって貴重な経験でした。
医療環境が整っていない
ボリビアの病院では、患者に対するプライバシーがあまりなく、医療者の発言が絶対的でした。
また、保険制度の違いから、
- 救急搬送ができない
- 緊急・重症なのに治療ができない
- そもそも地域に救急車がない
という場面も多々ありました。
「日本だったら助かっていたかもしれない」、「もっと早く良くなるのに」と私は悔しい思いをしていました。
自分の思いが明確に伝えられない
私はボリビア現地の言葉が完璧ではなかったため、自分の考えや思いが相手に伝わらないとき、とても歯がゆい思いをたくさんしました。
自分の伝えたいことが、患者に明確に伝わるようにするためにも、現地の言葉(スペイン語以外)はいくらか勉強しておくことが必要だったと感じます。
先進国に比べて設備やスタッフの教育が遅れている
ボリビアでは、設備・物品や薬だけでなく、医療スタッフの教育も先進国に比べて遅れています。
日本では、当たり前のように使用している麻酔薬や抗菌薬が少ない、あるいは無いことが多々あります。
また、注射器などがディスポではなく、ガラスシリンジを未だ使用している場面があったり、包帯を滅菌して再利用していたりすることなど、先進国に比べて非常に遅れていることが明らかです。
これらに私にとって、カルチャーショックでした。
医師も看護師も対等に話ができること
ボリビアの医療現場では、医師だから、看護師だから、看護アシスタントだから、リハビリスタッフだからという、へだたりは全くなく、スタッフ間で対等に話ができていました。
日本の医療も見習わなければならないことだと、私は感じました。
ボリビアで私が働いた感想と体験談
私は、ボリビアのコチャバン市のビエドマ熱傷病院の手術室で「看護師アシスタント」として約半年間働いていました。
ボリビア人はとても陽気で物事をはっきり言うため、分かりやすくてとても仕事がしやすかった印象です。
ラテン系のお国柄のためか、基本的に仕事は楽しみ、辛いことはみんなで分かち合うという精神だったため、同僚の看護師や医師と何でも話せたことが楽しかったです。
その他にも、ボリビアで働いた感想と私の体験談を説明していきます。
勤務後も常に誰かが一緒にいること
ボリビアでは日本人看護師が珍しいようで、同僚の看護師や医師は、
- 日本の医療はどうなのか
- 看護師はどんな仕事をしているのか
など、興味津々で、昼ごはんも勤務後も常に誰かと一緒でした。
貧しい地域だったためか、何でもみんなで楽しく過ごす精神がとても強かったようで、1度も日本人1人で寂しいなど、感じませんでした。
男性看護師の私は働きづらかった
ボリビアでは「看護師=女性の仕事」である認識が強く、男性看護師はほとんどいません。
(私は男性のため、)男性看護師が女性や女の子の患者を相手にする時には、非常に抵抗を持たれました。
(男性看護師が、法律的に認められているのかどうか定かではありませんが、)働いていて、男女の差が見え隠れしているように感じました。
まとめ
私が説明した「ボリビアで働く日本人の看護師」は、一部の断片的な体験にすぎません。
また、ボリビアに限らず、海外で働くには看護師としての知識・技術・経験はもちろんのこと、現地の言葉の習得、文化や習慣の違いに対する適応力、何事にも挑戦するという積極性が必要です。
そのため、海外で働きたいという目標が出来た時、看護師としての経験や語学力の習得に加え、学生のうちから海外へ留学したり、バックパックを背負って旅をしたり、時にはボランティア活動をしたりと、あらゆる経験が将来的に役立ってくるでしょう。
言葉の壁や文化・習慣の壁、様々なことが初めは不安ですが、不安が大きい程、出来た時の達成感も大きいものに違いありません。
是非、自身の目標に向かって頑張ってください。
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