中央処置室で働く看護師の仕事内容と体験談
比較的大きな病院なら、外来診療科の1つの部署として中央処置室が設置されており、各診療科からオーダーされる患者の処置や検査を一括して実施します。
この中央処置室は、一般的に外来受診した患者に処置の必要性が生じた際に、診療科に関係なく様々な処置を行う場所です。
中央処置室では、検体検査や生理機能検査、感染症スクリーニングなどの各検査や、採血、点滴や吸入処置、医師による処置介助などの業務が行われ、そこでは専任の看護師や臨床検査技師、事務員が配置されていました。
外来診療で行われる各処置を一手に引き受ける部署のため、中央処置室で働く看護師は非常に忙しく、看護師が行う処置の内容も多岐に渡ります。
以下では、私の経験をもとに、中央処置室で働く看護師の仕事内容、働いて感じたことを説明していきます。
執筆・監修看護師- エリア:北海道在住(30代後半)
- 保有資格:看護師
某24時間年中無休を掲げる徳洲会グループの病院で看護師として初めて働き、整形外科・呼吸器科・消化器科・手術室等を経験。その後、美容外科・美容皮膚科を経験し、現在は総合病院の手術室に現役で勤務しながら2児の母としても奮闘中。
中央処置室で働く看護師の仕事内容
私が勤務していた病院の診療科は、外科、呼吸器科、消化器科、口腔外科、形成外科、泌尿器科でしたが、近くに隣接する系列病院があり、そちらとの患者のやり取りも看護師の仕事でした。
中央処置室で働く看護師の重たる仕事内容は、採血、点滴、注射、輸血等の処置業務となり、常に忙しく走り回っているセクションでした。
また、外来診療では、手術前の確定診断のため受診、手術する前の各種検査、手術後の経過観察、外来化学療法などの治療をするために受診される患者が多く来院されました。
中央処置室は、とても忙しい環境のため、手が足りない時は他の診療科より看護師のヘルプを依頼していました。
中央処置室で働く看護師のスケジュール
まずは、私が勤務した病院の中央処置室で働く看護師の1日のスケジュールと、1週間のスケジュールをご紹介します。
日勤:1日の看護師スケジュール
8時30分 | ・出勤、早番の人が8時から採血 ・出勤した看護師は、すぐに採血処置に取り掛かる |
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9時00分 | ・その日実施予定の点滴が運ばれてくる ・内容の確認、患者が到着次第、順次点滴開始 |
10時00分 | ・輸血の患者が来院 ・ルートキープと同意書の取得、患者の観察 (滴下開始15分間は側で有害事象の観察が必要) ・外来手術日は、手術出し業務も行う |
11時00分 | 昼休憩 (午前中は主に上記の処置をそれぞれの看護師が並列して行う) |
13時00分 | ・午後受診予定の患者が到着 ・点滴・注射・採血を並行 |
14時00分 | ・外来手術患者のお迎え ・セデーション処置の患者対応 |
15時00分 | ・内視鏡が終了した患者の管理観察 ・覚醒が良ければ順次診療科へ戻す ・観察室のベッドコントロール |
16時00分 | ・検査漏れ、処置漏れのチェック ・漏れている患者を診療科に連絡・進捗の確認 ・採血と点滴に順次対応 |
17時00分 | 退勤 (基本的には採血などを含む処置業務のオーダーは17時でストップ) |
1週間の看護師スケジュール
上記で説明した1日のスケジュールを日々行いながら、中央処置室独自の1週間に行う看護師の仕事内容をご紹介します。
月曜日 | ・週の初めなので、採血件数が一番多い曜日 ・とくに連休明けなどは、非常に込み合う |
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火曜日 | ・外来手術日、手術出し、手術受けが多い ・手術の影響により、いつもより処置業務の時間が足りない |
水曜日 | ・在庫管理業務 |
木曜日 | ・外来手術日 ・いつもより処置業務の時間が足りない |
金曜日 | ・環境整備、シーツ交換 ・外来の休診日 |
また、外来の休診日には、普段の業務では行き届かない部分の処置室全体の清掃や消毒、カーテンの洗濯を業者に看護師が依頼していました。
患者への採血
患者への採血は、中央処置室の中で最も基礎基本となる看護師の仕事です。
(どの診療科からの検査オーダーであっても、最も多いのは血液検査であり、中央処置室で働く看護師の仕事の多くは、採血を実施することになります。)
その中には、乳がん術後やシャントを保有しているなどの事情から、穿刺ができない肢位もあり、1~2分の間に患者氏名、採血内容、禁忌肢位、消毒薬のアレルギーの有無、抗凝固剤内服の有無を確認し、採血を実施していました。
また、さらにその後、確実に止血確認をした後に患者を送り出す必要がありました。
中央処置室の看護師は採血スキルが必須
中央処置室で看護師として働く場合、採血に関する手技的スキルは何より必須です。
看護師は、次々と出てくるスピッツや、廊下に並ぶ患者さんのプレッシャーを受けながら、すばやく正確に淡々と採血を実施していくこととなります。
点滴の調剤・末梢血管確保
中央処置室では、治療として点滴を受ける患者も多く、点滴の調剤、末梢血管確保を看護師も看護師の仕事の1つです。(ミキシング時は清潔操作で取り扱います。)
また患者への点滴を行うことも中央処置室で働く看護師の仕事であり、留置針での点滴は、採血の穿刺より難しいですが、日によってはそれを何十人と繰り返すこともありました。
患者への輸血
中央処置室では、患者の状態によっては医師の指示により輸血を行う場面もあります。
その場合は使用製剤と本人確認など何重にもチェックを行い、穿刺又は、医師の穿刺介助を行うことが看護師の仕事です。
CARTや自己血の採血(貯血)や返血も行っており、輸血は必ず20~22G穿刺という条件が設けられていたため、血管が細い患者はルートキープが大変でした。
各診療科の処置・検査
各診療科の処置・検査も中央処置室で働く看護師の仕事です。
私が勤務していた病院では、診療科にもよりますが、尿カテーテルの留置、導尿、マーゲンチューブ挿入、75gGOTT、ICGテスト、各種チューブの入れ替え、ストマの管理、身長・体重・視力検査、バイタルサインの測定などを中央処置室の看護師が行っていました。
また、時期によっては予防注射やワクチン接種なども、中央処置室の看護師が行う仕事でした。
さらに、私が働いていた中央処置室では、医師の介助がいらない処置はすべて中央処置室で看護師が行う決まりとなっており、主に医師は「診察と医師の手が必要な検査処置のみ」を行っていました。
患者の急変時の対応
中央処置室にて、処置が終了した後に、患者によっては迷走神経反射による軽い気分不良を訴える場合や、急激な血圧低下によるショック状態を引き起こす場合などがあります。
そのため、急変時の患者対応も中央処置室で働く看護師の仕事です。
外来手術のOP出し
私が勤務していた中央処置室では、週2回、外来手術の日が設けられていました。
外来手術は主に、ストマの焼灼術、形成外科の局麻手術、口腔外科の親知らずの抜歯などを行っていました。
中央処置室の看護師は、以下のことが仕事でした。
- 患者を事前に更衣させること
- 患者の手術同意書を持参チェック
- 患者へのバイタルサインを測定、最終飲食時間の確認
- 最終排尿の確認
- 手術室への入室時間の調節
また、手術が終わったら手術室への患者のお迎えに行き、主治医と執刀医が異なる場合、次回来院日を確認し、それを患者に伝えることまで行います。
さらに、必要であれば患者に次回受診日までの日常生活指導も看護師が行っていました。
感染管理対策と環境整備
中央処置室で働く看護師は、処置が多いため、それだけ事故のリスクも高まります。
そのため、針刺し事故、患者の体液による汚染などに対するマニュアルの整備・対応や、感染対策を行うことも看護師の仕事の1つです。
さらに、私が勤務していた病院では、中央処置室内の衛生材料や薬品類、その他物品の管理も看護師が行っていました。
中央処置室で看護師として働いて感じたこと
私が中央処置室で看護師として働いて感じたことを説明していきます。中央処置室で働く希望がある方は、是非確認してください。
看護師としての経験値が必要な部署
前述した、仕事内容でお伝えした通り、中央処置室の仕事内容は単調でルーチン化された業務が多いです。
しかし、常に患者の状態観察に神経を集中させておかなければならないことや、患者急変時には迅速な対応が必要になります。
そのような点から、私は看護師としての十分な知識や、救急対応の経験、診療科ごとに異なるさまざまな処置を熟知していることなど、急性期病棟などでの看護経験が数年あるほうが、中央処置室で働きやすいと感じました。
失敗できないプレッシャーがある
中央処置室で働く看護師の仕事のメインは採血業務となりますが、患者からのクレームや早く採血しなければならないことに対する、失敗できないプレッシャーを常に感じました。
さらに採血に失敗でもしようものなら更に緊張した雰囲気になっていました。
ただし、これらは中央処置室の看護師として勤務し、採血等の数をこなすことで自信もつき、そのうちにどんな患者さんでも採血できるようになります。
処置スキルが向上する
中央処置室では、診療科に関係なく、さまざまな処置を担当するため、看護師としての処置技術はかなり向上したと感じます。
さらに、採血や末梢血管の確保など、看護師としての基本的な技術が確実にマスターできます。
多くの患者が訪れ、支持時間によって点滴をしてきますが、すぐにベッドが満床になるため、予定通りに点滴を開始するのが困難でした。
また、待ち時間が長いことも患者のクレームへと繋がりました。
全診療科の知識の向上
中央処置室で働く看護師は、全診療科の処置介助をするため、それにともなう知識が向上しました。
しかし、私が勤務した中央処置室は「外来のセクション」ではありますが、診察介助など診療の補助は基本的に行わなかったため、診療の補助は学ぶことが出来ませんでした。
患者の管理観察が上手くなる
中央処置室では、並列で処置や患者の管理観察をするため、看護師としてのタスク管理がうまくなりました。
経過観察は、モニターなどを付けて観察を継続するわけではなく、患者の意識状態を密に観察しながら、覚醒状態を確認し、ベッドの回転にも意識を向けて管理観察をする必要がありました。
日曜日と祝日が休みとなる
中央処置室が稼動しているのは、基本的には外来診療が行われているときのみです。
そのため、多くの病院では、日曜日と祝祭日は休みとなり、土曜日も休みか午前中のみなどが多いです。
病院によってシステムは異なりますが、早出・遅出など時差出勤を設ける、残り当番をローテーションでまわす、救急診療部の夜勤看護師に時間外の対応を依頼する、などというように残業が必要最小限になるように工夫されている場合が多いです。
中央処置室・希望部署の求人探しは看護師転職サイトを活用しよう
大学病院や公立病院など比較的規模の大きな総合病院では、中央処置室や救急診療室といった部署は、それぞれ独立して設置されていることが多いです。
しかし病院の中には、この2つ部署が隣り合っていることや、ほぼ一緒のフロア内に設置されている場合もあります。
また、看護師求人の中で「中央処置室」と明確に配属先が記載されている求人が少なく、採用面接時に交渉する必要があります。
ただ、面接時に交渉は行ったことがない、どうやって交渉して良いか分からない看護師の方が大半だと思います。
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対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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まとめ
病院では、それぞれの検査や処置については、外来の各診療科で行われることも多いですが、その場合、外来看護師の業務量が増え、結果として患者の待ち時間の増加にもつながります。
そのため、処置を中央処置室でまとめて実施することで、外来看護師の業務量の負担軽減となり、また患者にとっても落ち着いて処置や検査を受けることができるといったメリットがあります。
しかし、私は中央処置室で看護師として働きましたが、仕事はとても忙しく、こなす業務の量や幅が広くて多いため、本当に大変でした。
もちろん、中央処置室はすべての病院にあるセクションではありませんが、患者の処置業務を学ぶにはとても良い環境だったと感じます。
さらに、病院内で部署異動せずとも、多くの診療科のことを一度に習得できることは、今後の看護師人生において、私の強みなったことを実感しています。
医師がいない状況での判断能力や、並行して業務をこなしても安全に管理遂行できるタスク管理能力など、看護師として他の部署に行っても通用することが多く習得でき、採血などの穿刺業務はレベルが上がりました。(実際に患者から指名を受けることもありました。)
「処置業務を多く習得したい」「並行して業務を進行するのが苦手」という方への学びの場としては、特におすすめです。
中央処置室の看護師の仕事に興味がある方へ、今回の記事が参考になれば幸いです。
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設立 | 2015年6月 |
資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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連絡先 | 03-5324-3939 (受付時間:休日、祝日を除く10:00~17:00) |
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