精神科は他の診療科と比較して、特殊な診療科となり、看護師の仕事内容も違います。
精神科は、残業が少ない病院が多い診療科であり、仕事内容も肉体的に楽であることから、転職する看護師も多いと言えます。
このページでは、精神科で働く看護師の仕事内容やメリット・デメリット、「やりがい」や「きつい」と感じること、精神科の看護師へ転職する場合に注意したことを説明していきます。
目次
精神科で働く看護師の仕事内容
精神科で働く看護師は、患者の精神状態が安定し、穏やかに過ごせるように、また日常生活ができるかぎり自立できるように、一人一人の患者と向き合って、看護をしていくことが大切です。
精神科病棟で働く看護師の1日の日勤スケジュール例は以下の通りです。
8:30~ | 出勤、申し送り、情報収集 (入退院が激しい病院の場合は、情報収集が必要です) |
---|---|
9:00~ | 排泄介助、院外外出患者の対応 |
9:30~ | バイタルサイン・その他の処置 |
11:00~ | 記録 (隔離拘束患者は分単位の記録となる場合が多いです) |
12:00~ | 患者食事の介助または見守り、配薬 |
12:45~ | 交代で休憩 |
14:45~ | 排泄介助、入院受け入れ、転棟など |
15:00~ | 患者への「おやつ」のため誤嚥、盗食防止のために見守り (精神科特有で、おやつがある病院が多いです。) |
16:00~ | 点呼、排泄介助 |
16:30~ | 夜勤者申し送り |
17:00~ | 日勤者退勤 |
以下で、精神科病院で働く看護師の仕事内容を、実際の体験事例も含め、詳細を説明していきます。
患者の観察・規則正しい生活リズムの確立
基本的に精神疾患がある患者は、病状をよくするために規則正しい生活リズムを確立する必要があります。
そのため精神科で働く看護師は患者のADL介助がメインの仕事となります。
また、看護師の仕事内容として、精神症状の改善、増悪を判断できる材料を見つける患者の観察がとても大切になります。
精神疾患の患者が、しっかりと食事を摂り、日中は活動し、夜間しっかり寝てもらう(休息をとる)ことを看護師がサポートし、常に患者を観察します。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私が勤務している精神科病院では、採血、点滴などの医療行為は、極めて少なく、採血は基本的に数か月に1回の定期検査のみで、その他体調に変化があったときなどに指示がでる程度です。
点滴も食事をしっかりと食べられている患者がほとんどで、普段は行いませんが、肺炎を併発したなど、何か食事を食べられない患者に対して一時的に行います。
看護師の体験事例
私は精神科の看護師として勤務していますが、観察から患者の状況を把握することはとても大切だと感じます。
例えば、「突然立ちどまってうわの空であれば、幻聴が聞こえている可能性がある」、「特定の人に付きまとっている様子があれば関係妄想をもっている可能性がある」など、気にしてみていなければ気が付けないことが多々あります。
特に、患者とゆっくり話をし、じっくり向き合うことで、より見えてくる部分があり、観察は看護師の仕事の中でも最も重要だと思っています。
患者の身の周りの援助とコミュニケーション
精神科患者のセルフケア能力は比較的高いため、自分のことは自分でおこなえます。
しかし治療上、隔離拘束を行っている患者は別となり、精神科で働く看護師は血栓症予防や、拘束患者のセルフケアに時間を費やします。
そのため、患者の身の回りの援助は精神科で働く看護師の仕事内容となり、患者とのコミュニケーションはとても大切です。
普段の会話から、心のケアを行うことで、精神科の治療に役立つことが多くあり、言葉の選び方や相手に与える影響を考えながら仕事を行います。
精神科で働く女性看護師は、「男性看護師にできない事(女性患者への関わり)」を行う役割があり、精神疾患の女性患者は男性看護師の援助を嫌がることが多いため、女性看護師の手が必要になる場合も病院によっては多いと言えます。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
高齢化が進む中で、精神科患者の年齢層もアップしており、精神症状にかかわらず、普段から車いすを利用しなければ生活できない患者が増えてきました。
その為、看護師は食事のセッティング、オムツやトイレ誘導の排泄の介助、入浴介助など日常生活援助を行います。
私が勤務している病院では、自分で歩行でき日中はトイレに行っている方でも、夜間は睡眠薬などの影響により失禁してしまうので、オムツを使用している患者もいます。
内服薬の管理
精神科に入院するほとんどの患者は、薬を内服している場合が多いです。
そのため、患者の薬を管理することも精神科看護師の大きな仕事の一つとなり、ミスは事故に繋がるため責任重大となります。
精神科で内服準備を担当する看護師は作業中「会話やその他の業務一切禁止」という病院も存在しているほどです。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
精神疾患の治療の中心は薬物療法なので、内服薬を決まった時間に服用することは非常に重要になります。
毎日飲み忘れ、飲みこぼし、拒薬がないよう毎回、手渡しで薬を渡し、内服したか確認しています。
自傷他害リスク患者の対応
精神科で働く看護師は、自傷他害リスクがある患者の場合に対して、対応しなければいけません。
そのため、患者とその周囲の安全を守ることも、看護師の大切な仕事となります。
(安全確保のため、精神科では薬が置いてあるナースセンターも施錠することがあります。)
また、特に精神科病院では、男性看護師の仕事となる場合が一般的で、男性看護師が重宝されますが、精神科病棟の種類によっては男性が少ない場合もあります。
(女性看護師もCVPPP(患者に粗暴性があるときの対応)研修を受け対応する場合があります。)
患者の記録
看護記録とは別の「患者の記録」を行うことは、精神科看護師として重要度が高い仕事内容です。
精神保健福祉法(病院の患者への過剰行為を防ぐための法律)という精神科特有の法律が存在し、精神科はその他の診療科に比べて、一人の患者に対し書類が膨大にあることが特徴です。
また、患者の精神症状というのは数値化することが出来ないため、「患者の記録」以外の一般的な看護記録も膨大となり、長文になってしまい、業務負担となりえます。
患者の社会復帰支援
精神科に入院する患者は、閉塞的な環境下で、社会的に疎外されます。
そのため、「患者の社会復帰をどのように捉え、どのように支援していくのか」が、看護師としての重要な仕事となります。
患者の社会復帰は、精神科の看護師として本当に難しい問題となり、様々な職種と連携しながら常に考えていかなければなりません。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私が勤務している精神科病院では、作業療法士を中心に作業療法を行っています。
自主的に参加できる患者もいれば、そうでない患者もいるため、できるだけ参加してもらえるように、看護師は患者に声をかけることや、作業療法中、患者同士のトラブルがないか、安全に行えているかを見ながら観察しています。
看護師の体験事例
私は精神科に勤務していますが、精神症状によって、暴力や暴言などがあったりして、家族や近隣住民とトラブルになり、自宅退院が難しい患者は少なくありません。
そこで、院内のソーシャルワーカーと協力し、看護師は退院先を見つける支援を行っています。
例えば、患者と一緒にグループホームや老人ホームに見学、体験入所を行い、本人が納得できる場所を探す手伝いをします。
看護師の体験事例
私の勤務している病院では、患者の中に「どうして自分が入院しているのか、どうして毎日薬を飲まないといけないのかわからない」と言う方がいます。
精神症状である幻聴が聞こえていても、本人にとっては本当に聞こえていると認識しており、病気が原因であるということにはつながりません。それでは、退院しても継続して内服することができず、再入院の危険が高まります。
そのため、退院後も内服を継続して飲むことができるよう「病識」について本人、家族に説明を看護師が行っています。
精神科看護師のメリット・デメリット体験談
一般の診療科と比較して、精神科で働いた際のメリット・デメリットを看護師の体験事例も含めながら説明していきます。
患者じっくりと向き合える
精神科で働く看護師は、仕事内容として患者とのコミュニケーションや、観察業務があるため、他の診療科と比較して患者とじっくり向きあうことが可能です。
また、患者が精神症状を軽減でき穏やかに過ごせるために、退院したらどんなことが必要になるか、などを考えながら患者に合った看護計画を立て、個別性のある看護を実践することが可能です。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
私は一般の診療科で働いていた頃、目まぐるしいほどの忙しさで患者と向き合う時間もなく、業務をこなすことに必死になり「仕事が流れ作業になっている」と感じました。
転職した精神科病院では、患者と信頼関係を築くことが非常に重要で、患者とゆっくりと会話をし、じっくり向き合える時間が十分にできました。
患者は「この人には話してみよう」「この人に相談したい」と言ってもらえることが嬉しいです。
看護師としての洞察力、観察力が身に付く
精神科では医師、看護師など患者と関わるスタッフの観察により、情報交換をしながら薬物療法などの治療を行っていきます。
そのため、精神科で働く看護師は、患者への洞察力や観察力が重要となり、仕事の中で身に付けることが可能です。
また、患者と関わる時間が一番長い看護師の観察は、患者へ非常に大きな影響をもたらすため、「洞察力」「観察力」が優れている人が精神科の看護師として多く働いています。
看護師として視野が広がる
病院のその他の診療科では、看護師・理学療法士・作業療法士・心理士など役割がしっかりと分担されている場合が多いです。
しかし、精神科では患者にとっては日々の生活が治療やリハビリとなるため、患者と毎日関わる看護師が、その患者に必要な理学療法、作業療法を考えて関わっていく必要があります。
そのため、看護師の仕事の概念が広がり、より多くの観点から患者を看護できるようになります。
看護師としての医療行為が少ない
精神疾患の主な治療は内服薬による薬物療法となり、点滴・採血が必要になる患者もいますが、ほとんど仕事としてはありません。
そのため、医療行為が少ないことで、注射や手技が苦手な看護師にはメリットであり、他の診療科で培った技術が活かせないことがデメリットとなります。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
注射が苦手と言う方には精神科はおすすめだと感じます。また、その他の創処置、吸引など医療行為全般の仕事が極めて少ないです。
心電図モニター使用している患者もいなければ、輸液ポンプも使用しないため、転職した人の中に「病棟で働いていてもアラーム音を聞かなくなったから、ストレスが減った」と言う方もいました。
看護師の体験事例
私が勤務している精神科病院では、採血、点滴、吸引など簡単な医療行為もほとんどなく、医療技術を身に着けたい、救急対応を行えるようにしたいと思っている看護師には物足りなさを感じると思います。
創処置なども、転倒や軽度の褥瘡などの傷くらいで簡単なものしかありません。
しかし、医療行為以外にも心理療法、作業療法など医療行為以外の看護師の役割などが見つけられると楽しさが見いだせるかもしれません。
看護師の体験事例
私が勤務している精神科病院では、急性期、慢性期、療養型など患者の状態によって病棟を分けています。
病棟によって差はありますが、患者の年齢層は一般病院に比べて低いため、自分で歩ける方が多く、排泄や食事介助など、介護を要する人も少なめです。
看護師の体験事例
私が勤務した精神科病院では、薬の数も多く、今まで知らなかった薬の名前と薬理作用を覚えなければなりませんでした。
また、長期服用による副作用なども正しく把握しておくことも大切なため、意外と覚えることが多かった印象です。
しかし、基礎看護技術も使うことは少なく、点滴の管理も人工呼吸器などの生命維持装置なども使用することは、ほとんどありませんでした。
職場環境が良い場合が多い
病院で勤務する場合、一般の診療科と比較して精神科は、以下のような理由のため、残業が少ない職場が多いと言え、プラベートを充実して過ごすことが可能です。
- 患者の状態が急激に悪化することがない
- 緊急入院が入ることは非常に少ない
- 看護師としての仕事内容が少ない
- 会話が仕事となるため業務にゆとりがある
さらに、バタバタとしている職場が少ないため、忙しいという理由でイライラしている看護師も少なく、和気あいあいとしている職場が多く人間関係も良好な場合も多いでしょう。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
精神科は社会復帰を目指す精神科病棟は活気がありましたし、閉鎖病棟でも患者の状態が落ち着いていれば、看護師も患者も穏やかな空気が流れていました。
私のイメージより明るく穏やかな環境でした。
そのため、慌ただしい一般病棟よりは、穏やかな環境の中で働くことができました。
看護師の体験事例
私が精神科で働く中で、基本的に定時で帰れることが多く、前残業もありませんでした。
これは、精神疾患患者は基本的に急変することが少なく、状態も安定しているケースが多いためといえます。
また、夜勤は特に問題がなければ、平均して4時間ほど睡眠をとることが出来ました。
看護がストレスに感じる場合がある
精神疾患を患っている患者は、融通のきかない場合が多く、看護師側が説明しても納得されず、業務がスムーズに行えないことが多々あり、例えば、以下のようなケースです。
- 患者が今は処置をされたくないと感じ処置室まで来てもらない
- 妄想や幻聴などの精神症状によって、理解しがたい行動をとる
- 部屋を散らかしたり、放便、放尿の不潔行為をしたり、奇声を上げたりする
そのため、精神症状の受け入れが難しい患者は、働く看護師のストレスになる場合も多いと言え、デメリットとなります。
(一般的に精神症状が落ち着いてきた患者は、このような行為も軽減されていきます。)
看護師の体験事例
看護師の体験事例
精神科の場合、医療従事者の言動にとても敏感な患者が多いです。
そのため、仕事中はどんなときも「患者から自分はどう見られているのか」「患者にどのような影響を与えているのか」など、冷静に判断できることが必要だと感じました。
また、自分の言動に注意し、自分の感情で言動を変化させることなく一貫した対応を求められました。
自分自身が患者を癒すことも、悪化させる可能性もあることを知りました。
入院患者が変わらず、関わりで危険な場合もある
精神症状により暴言や暴力的行為がある患者も入院しており、例えば「幻聴で殴れという声が聞こえたから」と、看護師側から考えれば、何も理由がなく突発的に起こる事なので、恐怖を感じることもあります。
また、慢性期、療養型の精神科病棟になると、長期入院の患者となり、苦手な患者とも長期に関わりながら看護を行っていく必要があります。
精神科看護師の”やりがい”体験事例
看護師の体験事例
精神科患者への看護師対応で正解不正解はありません。
患者全てに発症の原因や症状が違うからです。独自の経験とセンスで患者を治療に対する意欲を出させなければなりません。これは患者の今の心を読み取り、過去の経緯などを照らし合わせて言葉や仕草を臨機応変に変化させなければならないため、次また同じことで成功するとは限らないのです。
看護師独自の感覚やセンス、才能が問われるところが精神科看護師のやりがいだと私は感じます。
看護師の体験事例
私が勤務する精神科病棟には、私しか援助を受け付けない患者がいます。
他の看護師が近づくと興奮し暴力を奮ってしまいます。なぜ私だけ受け付けるのかが解らなかったため、理由を聞いてみると「喋り方が死んだ旦那に似ているから」だそうです。
私のコミュニケーション能力ではなく喋り方が理由なのです。理由は少し残念な気もしますが、「私にしかできないこと」なのです。
そしてこの患者も周りのスタッフも私を求めてくれるため、自己重要感が引き立てられ、やりがいに感じます。
看護師の体験事例
精神科には必ず自分(看護師)にしかできないこと、自分独自の成功手段が存在します。
そのような形がしっかりと形成できてくれば精神科看護師の醍醐味となり、やりがいは感じやすいと思います。
「自分はそんな能力ない」と諦めてしまいそうですが、安心してください。
万人の患者にできなくても、あなたにしかできない事、あなただからこそ心を開く患者は必ずいます。それだけで精神科看護師としての存在意義は成立しているのです。
看護師の体験事例
精神科でも看護師として患者が元気に退院することが一番のやりがいではないでしょうか。
特に精神科の場合、なかなか社会復帰まですることは難しいですが、それでも立派に社会復帰をして病棟に会いにきてくれる患者もいます。
そういうときは本当に嬉しいしやりがいを感じます。
また、精神疾患を抱えた患者の家族も辛い思いをしていることが多いので、患者の家族にいい反応が見られた時も、私はやりがいを感じます。
精神科の看護師へ転職する注意点
初めて精神科専門病院(精神科単科病院)、精神科病棟へ看護師転職する場合に、注意したいことを説明していきます。
精神科看護師の「つらい」ことを理解する
他の診療科と違い、精神科看護師にとってつらいことは、患者は強制入院で本人に意思とは関係なく治療をさせられている場合もあり、看護師の求めていることを必ずしもしてくれるとは限らず、時には罵声を浴びせられることや、患者から暴力を受けてしまう可能性もあります。
そのような行為が患者からあった場合でも、看護師の技術不足とみなされストレスが溜まることもあります。精神疾患の患者を納得させる技術と危機回避能力をプロ意識として昇化できればストレスと思うことは少なくなるでしょう。
看護師の体験事例
看護師の体験事例
精神を病んでいる人の中には、看護師に本当にひどい暴言を吐く人もいます。疾患のせいだとわかっていても、私(看護師)も人間なので傷つくこともあります。
また、何か約束事をして理解が得られた、自分の言い方で患者がやる気になってくれたと信じていても、あっさり裏切られることは日常茶飯事です。
患者の中には一見普通に見える人もいます。平気で嘘をつく方や、人を操作しようとするので、その操作にはまってしまったときは、疾患のせいだと分かっていても、辛いし精神科でほんとうにやっていけるか悩むこともあります。
看護師の体験事例
精神疾患をもつ患者の家族は、患者が退院して家に帰ることを拒むこともあります。
そういう場合、患者の行き場所がなく施設に入所したりすることもあります。頑張って治療して社会復帰まではできなくても家族の元から外来通院でも大丈夫なほど改善しても帰る場所がないという事実は、看護師としても辛いです。
精神科病院と精神科クリニックの違いを知っておく
精神科病院と精神科クリニック(心療内科クリニック)では、一般的な病院、クリニック(診療所)の違いの他に、以下のように来院する患者が違うため注意してきましょう。
精神科病院の 患者層 | 周囲に迷惑をかけてしまう、自身での静止が効かないなどの、重度な幻覚妄想、薬剤やアルコールなどに伴う興奮、粗暴性のある患者は速やかに精神科病院に搬送されます。そのため、社会適合性が低い精神疾患患者となります。 また、精神科病院では患者の「隔離拘束」が存在します。 |
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精神科クリニックの 患者層 | 精神科クリニックに通院する患者は、社会に溶け込むことができる病状がほとんどです。そのため、社会適合性が高い精神疾患患者となります。クリニックに緊急に精神科病院での加療が必要な患者は滅多にくることはありません。 |
精神科病院と精神科クリニックの患者層の違いは「社会適合性」にあり、精神科では、医師の判断により患者を強制入院させることが可能となります。
精神科病棟の種類、閉鎖病棟・開放病棟等には注意する
「精神科」とひとくくりに言っても、病院によって様々な取り組みを行っており、大きく分けて以下のような「解放病棟」と「閉鎖病棟」が存在します。
※精神科の病院により病棟の診療科名が違うことや、混合している病棟があるため注意してください。
精神科 開放病棟 | ★休息入院の患者を対象とした病棟
|
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精神科 閉鎖病棟 | ★他の患者から隔離・閉鎖されている病棟(隔離拘束)
|
初めて精神科に転職を考える看護師の方は、患者の難易度が違うことから、開放病棟から勤務することをおすすめします。
その他の精神科病棟の種類
勤務する病院によっては精神科病棟でも「急性期(救急)」「慢性期」「社会復帰」「依存症」「医療観察法」などの病棟が存在する場合があり、違うは以下の通りです。
急性期(救急)病棟 | ★精神科の急性期患者を診る病棟
|
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慢性期(療養型)病棟 | ★精神科の慢性期患者を診る病棟
|
社会復帰病棟 | ★精神疾患患者の社会復帰訓練を実施する病棟
|
依存症病棟 | ★依存している患者の精神科病棟
|
医療観察法病棟 | ★決められたプログラムに沿って精神疾患患者をケアする病棟
|
配属の可能性がある病棟を確認する
精神科病院では、急性期、慢性期、療養型やアルコール中毒患者を中心とした病棟があるなど、患者の状態によって病棟を分けている場合も多いため、配属される病棟により、雰囲気が異なります。
精神科未経験の看護師転職は、精神科看護師の仕事に慣れるために、慢性期・療養型病棟などからスタートすることがおすすめです。
また、精神科の場合、どの病棟に配属するか入職するまで分からないケースもあり、配属の可能性がある病棟をすべて確認しておきましょう。
認知症病棟には注意すること
精神科専門病院(精神科しかない病院)以外の病院に転職を考える場合、「認知症病棟」には注意しましょう。
精神疾患と認知症は紙一重のため、「精神科と思って入職したけど、配属先は老人病棟だった」ということも珍しくありません。
そのため、自分の希望する病棟を繰り返し確認しておきましょう。
高給与や月の残業時間には注意する
精神科病院の看護師の給与レベルは他の診療科に比べ、仕事内容を考えると高いと言われていますが、その反面、精神的負担や体力が求められる診療科でもあり、給与や待遇が極端に良い場合、仕事が大変なことや、退職者が多く、看護師不足になっている場合があり、注意が必要です。
また、精神科病院に転職するメリットとして、残業の少なさが挙げられますが、人員不足の病院や業務内容により残業をせざるおえない職場も中にはあります。
そのため、院内情報の詳細を確認することや、前もって面接時に確認しておきましょう。
精神科看護師の求人が多い転職サイト
精神科に看護師として転職する場合、以下のような看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)を活用しましょう。
- 精神科専門病院、精神科クリニック、精神科病棟の看護師求人が多いこと
- 転職支援サービスが充実していること
- 利用する看護師に人気があること
- 院内の情報をよく知っている転職サイトを利用すること
- 配属先(精神科)への条件交渉を行ってくれること
以上のような条件の看護師転職サイトがおすすめです。
精神科専門病院(精神科単科病院)や、精神科クリニック以外の病院で、精神科を希望する場合、入職する前に配属先を確約してもらう条件交渉が必要となるため、転職エージェントの利用は必須といえるでしょう。
特に、初めて精神科へ転職を希望する場合は、その他の診療科もある病院を選択することで、もしもの場合、部署異動も検討することが可能となるため、おすすめです。
以下で、精神科専門病院、精神科クリニック、精神科病棟の看護師求人が多い、看護師転職サイトをご紹介します。
精神科病院・クリニックなら!看護のお仕事
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
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サイト名 | 看護のお仕事 |
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運営会社 | レバレジーズメディカルケア株式会社 |
公開求人数 | 133,292件 (2022年5月12日時点) |
非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師 |
対応 雇用形態 | 常勤(夜勤有り)、日勤常勤、夜勤専従常勤、夜勤専従パート、非常勤、派遣、紹介予定派遣 |
対応施設 | 総合病院、一般病院、クリニック、特別養護老人ホーム(特養)、訪問看護、有料老人ホーム、デイサービス、重症心身障害者施設、保育園、検診センター |
対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・看護師の転職求人が豊富 ・転職支援サービスが手厚い ・転職の相談から行える ・院内・施設内情報に強い |
看護のお仕事は、看護師転職サイトの中でも一番、看護師求人数が多く、精神科専門病院、精神科クリニック、精神科病棟の求人がとても豊富です。
また、年間5,000回以上の病院へインタビューを実施しており、紹介予定派遣、産休代行派遣も病院へ行っていることから、院内情報に詳しい転職サイトと言えます。
さらに、ハローワークの求人もカバーしているため、希望に合う病院、クリニックが見つけやすく、精神科に転職を希望する場合は必ず利用しておきましょう。
公式サイト:https://kango-oshigoto.jp/
精神科専門病院なら!マイナビ看護師
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
---|---|---|---|
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サイト名 | マイナビ看護師 |
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運営会社 | 株式会社マイナビ |
公開求人数 | 58,927件 (2022年5月12日時点) |
非公開求人 | とても豊富(保有求人全体の約40%非公開) |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師、ケアマネジャー |
対応 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託その他 |
対応 勤務形態 | 常勤(二交替制)、常勤(三交替制) 、夜勤なし、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・転職の相談から行える ・キャリアアドバイザー親切丁寧 ・退職交渉も可能 ・企業系のレア求人を豊富に保有 |
マイナビ看護師は、規模が大きな病院の看護師求人が多いことが特徴であり、精神科専門病院(精神科単科病院)の看護師求人が豊富です。
そのため、上記で説明した看護師のお仕事と合わせて利用しておきましょう。
非公開求人(インターネット上に掲載されれない求人)も多く、看護師の給与や待遇などの好条件が見つかる可能性があります。
公式サイト:https://kango.mynavi.jp/
キャリアから相談可能!ナースではたらこ
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
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サイト名 | ナースではたらこ |
---|---|
運営会社 | ディップ株式会社 |
公開求人数 | 94,324件 (2022年5月12日時点) |
非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師 |
対応 勤務形態 | 常勤、非常勤、日勤のみ、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック、介護施設、デイサービス、訪問看護、企業その他 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・非公開求人が豊富 ・希望条件に合う求人が見つかりやすい ・希望する病院 ・施設へ転職可能な逆指名転職がある |
ナースではたらこは、他の診療科から精神科へ転職しようか悩んでいる場合や、看護師のキャリアから相談したい場合などは、利用しておきましょう。
上記2つの看護師転職サイトでも、親身に相談に乗ってくれますが、ナースではたらこは特に看護師の今後のキャリアに注目して、求人の提案や相談に乗ってくれます。
精神科認定看護師などを将来的に取得したい場合などは、一度相談してみましょう。
公式サイト:https://iryo-de-hatarako.net/
よくある質問
一般的に他の診療科と比較すると男性看護師は多いです。
しかし男性看護師がメインという訳ではありません。
患者に対して同性にしか理解できないこと、同性にしか言えないこともあり、精神科では男性看護師、女性看護師ともにバランスよく配置されているケースがほとんどと言えます。
一般病棟や診療科と比較して精神科で働く看護師は、身体的には楽ですが、精神的には楽ではないと答える看護師は多いと言えます。
精神疾患がある患者は、基本的に自分の身の回りのことは自分で行えるため、身体的には楽と言えるでしょう。
ただ、精神科の患者は感情障害や知的障害、発達障害などが原因で、想像する以上に期待した行動や言動を行ってくれることがなく看護師は患者の感情につられることなく毅然とした対応(自分の感情のコントロール)を行う必要があり、精神的には楽ではないと言えるでしょう。
- 受講資格:通算5年(60ヶ月)以上の看護経験が必要となり、その中で精神科看護の実務経験が3年以上ある看護師
- 受講:精神科認定看護師教育課程
- 一次審査:申請書類の審査
- 二次審査:筆記試験 ・ 面接
精神科看護師のキャリアアップ資格としては、日本精神科看護協会の精神科認定看護師が有名で、質の高い精神看護を行い、優れた看護能力・知識を認めるための認定資格となります。
合格率は90%以上と高いですが、精神科認定看護師教育課程では、735時間の教育課程が必要となり、費用も入学金、実習日、授業料を合わせて80万円以上かかる場合があります。
そのため、精神科認定看護師の資格取得支援を行っている病院へ転職を行った方が、スムーズに取得できる場合も多いと言えます。
まとめ
精神科では、解明されていないことや、物差しで測れないことが多く、ほとんどが看護師の個人的感覚にゆだねられ、
- 「私(看護師)にしかできない仕事をしたい」
- 「自己重要感を得たい」
- 「患者とじっくりと向き合いたい」
と思っている看護師の方にはとてもやりがいを感じる職場です。
看護の基本であるコミュニケーションを大切にし、心のこもった個別性のある看護ができる場所のため、自分の看護力を十分に発揮できます。
しかし、精神を病んでいる患者の中には、ひどい暴言を吐く患者も実在し、疾患だと分かっていても、つらい思いをすることもあります。
精神科の中でも疾患や病状により多くの病棟が存在するため、自分の性格やライフスタイルに合う病院又は、クリニックを探すことが長く仕事を行っていくポイントだといえ、注意点を確認しながら転職活動を行ってください。