看護師の目標・研修等

急増している大卒看護師(大卒ナース)のメリット7つとデメリット

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ご存知の通り看護師になるには、現在4つの方法があります。

  • 高校卒業後、4年制大学へ進学(大卒看護師)
  • 3年制短期大学へ進学
  • 3年制専門学校へ進学
  • 中学を卒業後に5年制の看護師養成課程(高校・専門学校)に入学する

(准看護師の方は「准看護師から正看護師になるには?給付金や通信制学校一覧」を参照してください。)

お伝えする大卒看護師(大卒ナース)とは、4年制大学、または看護師資格取得後に大学に編入し卒業した看護師資格保有者のことです。
(学士「看護学」などを取得したい方も大学を卒業すれば大卒看護師になります。)

私が看護師として働いている実体験ですが、大卒看護師の方がキャリアアップしたい時に有利となり、看護師資格を取得後に臨床以外の道に進む選択肢が多いです。

このページでは、大卒看護師は急増している理由、大卒看護師のメリットとデメリットを紹介しながら、今から大卒看護師を目指す方、准看護師から正看護師を目指す方、現在大卒看護師でメリットがあるのかどうかと感じている看護師の方に向けて、説明していきます。

執筆・監修看護師
執筆・監修看護師
青木 看護師
青木 看護師
  • エリア:神奈川県
  • 保有資格:看護師
  • 施設経験:がん専門病院(病棟・外来)、クリニック
  • 専門分野:化学療法科、血液腫瘍科、消化器外科、在宅緩和ケア、プライマリケア

がん専門病院で勤務後、がん・緩和ケア分野リーダーシップコース修士課程を海外で修了。その後、年300件以上の在宅看取り件数のある在宅緩和ケアクリニックで勤務。施設訪問も経験あり。現在は臨床研究をメインに活動中。看護師は嫌なことも、迷うこともたくさんあると思うので、皆さんに少しでも役立つような情報を発信できればと思います。

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大卒看護師は急増している理由とは

大卒看護師は急増している理由とは

大卒看護師急増の背景には様々な要因が絡んでいることが考えられます

主な理由としては、以下の3点が急増の原因となります。

いずれの理由にせよ、教養や哲学・理論を含めた看護学を系統的に学び、人間や社会に対して深い考察ができる看護の専門家を育成することが目的となっています。

以下では、大卒看護師の推移、割合、年収について詳しく説明します。

4年制大卒者の看護師国家試験合格人数の推移と割合

4年制大卒者の看護師国家試験合格人数の推移と割合

年(回)新卒全体の
合格者数
大卒看護師の
合格者数
大卒看護師の
割合
2022年(第111回)57,057人23,040人40.38%
2021年(第110回)56,175人21,733人38.69%
2020年(第109回)56,175人20,511人36.51%
2019年(第108回)52,216人20,382人39.03%
2018年(第107回)55,764人19,475人34.92%
2017年(第106回)53,177人17,631人33.16%
2016年(第105回)53,547人17,399人32.49%
2015年(第104回)52,547人16,297人31.01%
2014年(第103回)50,846人16,387人32.23%
2008年(第97回)44,176人8,918人20.19%

大卒看護師の合格者数の割合は年々、増え続けています。

大卒(4年制大学卒業者)の看護師国家試験合格者の人数はこの14年で8,918人(2008年)から23,040人(2018年)の約2.5倍となり、(既卒等を除く)新卒合格者の中で占める割合も20.19%から40.38%と、増加し続けています

大卒看護師の養成所である4年制大学数も右肩上がりで増え続けており、2016年までの10年間で143校から279校と約2倍、20年前と比較すると約6倍に増えています。2022年現在では、303校まで増加しています。(日本看護協会:看護系大学数及び入学定員の推移より)

そのため、専門学校から4年制大学教育へ看護教育が移行してきています。

大卒看護師と専門卒看護師の初任給・年収の差

大卒看護師と、専門卒看護師(高卒+3年課程新卒)の病院における初任給・年収の差は以下の通りです。

大卒看護師専門卒看護師
平均基本
給与額
209,990円203,445円
平均税込み
給与額
267,440円259,233円
推定年収約362万円約351万円

大卒看護師の推定年収は約362万円で、専門卒看護師の推定年収は約351万円となり、推定年収では約11万円の差があります

また、平均税込み給与額では、大卒看護師の方が毎月8,207円給与が高くなっています。数字にしてみると小さな差となりますが、看護師として働き続けた場合の生涯年収(約40年働き続けた場合)で考えると、400万円近くの差が出る計算になります。

大卒看護師の7つのメリットとは(専門卒看護師と比較)

大卒看護師の7つのメリットとは(専門卒看護師と比較)

専門卒の看護師は臨床で早く活躍することが強みとなりますが、大卒看護師の道はより多様です。

専門卒看護師と比較した、大卒看護師の一般的な7つのメリットを説明していきます。

幅広い知識を身につけられる

大卒看護師は、一般教養等を含む幅広い知識を身に付けられることがメリットです。

一般的に短期大学では含まれないことが多いですが、4年制大学では一般教養の履修が必須となります。

看護という仕事にとって、教養は役立たないように思われますが、仕事中に一番よい判断をするためには、人間やそれを取り巻く社会環境を含めた深い考察が必要です。

そのような考察ができるようになるために、幅広い知識の教養が必要であり、土台作りとなる教育が必要です。

大卒看護師は、受けた教育をもとに生涯成熟し続けるため、4年制大学を選択できる立場にある方は、教育機関は熟考して選んだ方が良いでしょう。

他学科・学部の友人との交流がある

看護師が入学する4年制大学の種類にもよりますが、看護以外の学科・学部がある4年制大学を選ぶと、医療関連・他学部の友人ができます。

そのため、他学科・学部の友人との交流があることが大卒看護師のメリットです。

看護師は病院等で、チーム医療の中で他職種と関わりながら仕事を行うため、相手の考え方を理解した上での仕事が可能になり、仕事上で信頼も得られやすくなるでしょう。

看護師以外でも旧友と一緒に仕事をする、ということもあるでしょう。

看護師として社会人となった場合でも、定期的に交流を持つことで、異なる分野を専門とする友人と話したり、情報交換したりすることで自分の考えを深めるよい機会を持つことができます。このような交流が、看護師の仕事にも活かされることも多いでしょう。

大卒看護師の方が給料は良い場合が多い

上記の「大卒看護師と専門卒看護師の初任給・年収の差」で説明したように、大卒看護師の方が毎月の基本給が8,000円前後高く設定されている病院・施設は多くあり、メリットです。

大卒看護師は、専門卒看護師と同様の業務量をこなしながら、毎月の給与が多くもらえます

多くの企業の場合、優秀な者を採用したいと考え、基本給はその人の能力に支払っています。(学歴に支払っているわけではありません。)
看護師の場合は、大卒看護師の方が深い考察を備え、看護をしていることに対する評価と考えて良いでしょう。

保健師、助産師、養護教諭にも転向しやすい

看護教育を行っている4年制大学では保健師や助産師、養護教諭の資格をとれるようにコースを設けているところが多いです。

そのため、看護師・保健師・助産師の3つの国家試験と養護教諭への申請をすることで、卒後の進路の幅が4つに広がることがメリットです。

養護教諭以外の3つのコースを併設している専門学校もありますが、数が少ないため4年制大学の方が候補にあがりやすいでしょう。

養護教諭一種免許状・二種免許状・専修免許状を取得することで、俗に言う、保健室の先生を目指すことも可能です。

最短期間で専門看護師になれる

看護師として働き、臨床等でさらにキャリアアップ資格を取得したい場合、代表例として、

などが挙げられます。

専門看護師の場合、大学院への進学が必要になり、大卒看護師はすでに入学基準を満たしているため、専門卒の看護師より最短で専門看護師資格を取得できることがメリットです。

大卒看護師は、臨床にでてからすぐ専門・認定看護師資格の両方を目標にあげることができ、そこに向かってキャリアパス(どのような経験を積み、どのような職務についていくのか)を考えることができます。

もちろん、専門卒看護師も入学基準を満たすことで、専門看護師を目指すことが可能ですが、年月が必要です。そのため専門卒看護師のキャリアアップの道は認定看護師が主になるでしょう。

研究者としての道も選べる

看護の研究はエビデンスを用いた看護を実践する上で必須の分野です。

臨床で直接看護をするのではなく、研究者として臨床を支える道を選ぶことも大卒看護師にしかできないことであり、メリットです。

職場によって、研究内容が看護の枠を超えることも多々あり、医療全体をサポートできます。

大学院で博士課程まで修了するのが望ましいですが、修士課程のみでも研究職を得て活躍することもできます。

企業への転職範囲が広がる

製薬会社や一般企業でも看護職の募集があり、募集要項に学歴が4年制大学卒業以上と決められている場合もあります。

そのため、大卒看護師の場合は、企業等への転職範囲が広がることがメリットです。

また、大卒看護師から更に大学院へステップアップすることで、大学院卒と規定している就職先も候補に入れることができ、自分が行いたい仕事内容や希望の企業への転職が実現しやすいでしょう。

大卒看護師にデメリットはある?

大卒看護師にデメリットはある?

すでに大卒看護師の方や、大卒看護師を目指す人にとっての一般的なデメリットを2つご紹介します。

職場によっては「大卒看護師は使えない」と言われる

看護師の仕事、臨床では第一に即戦力が求められ、臨床をこなせるかどうかで、「できる看護師」か「できない看護師」をジャッジされる重要なポイントです。

3年制の看護師教育課程での臨床実習時間は規定で23単位(17.25時間)以上と決められており、大卒や専門卒というくくりでは看護師になるまでの臨床実習時間は変わりません。

しかし、専門学校を卒業した看護師の方が臨床での実践能力を重視した教育内容になっているため、専門卒看護師の方が臨床能力は高いと評価されることがあります。

さらに、大卒看護師は2008年では約20%しか、看護師国家資格に合格していませんでした。

そのため、職場によっては「大卒看護師は使えない」という意識を持った方もおり、専門卒看護師と比較された場合に、言葉で言われてしまうデメリットもあるでしょう。

2022年時点で、大卒看護師の新卒看護師における看護師国家資格の割合は約40%のため、もはやデメリットではないでしょう。

看護師になるまでに時間・費用がかかる傾向

4年制大学を選択した場合、3年制の専門学校や短大、5年一貫の養成課程校より看護師になる年数が1~2年遅れます。

そのため、早く働き始めたい看護師にとってはデメリットとなります。

また、公立・私立の4年制大学など経営母体にもよりますが、専門学校は授業料が安めで受けられる奨学金制度が多いのに対し、4年制大学では費用が高くつく傾向にあります。

看護師になるまでの時間・費用が掛かる点で、専門学校を選択する方も多いでしょう。

まとめ

大卒看護師の割合は14年で約2.5倍のペースで急増しており、今後もこの増加は続くと見込まれます。

大卒看護師には、キャリアアップの選択肢が多い反面、時間と費用がかかります。そのため、大卒看護師のメリット、デメリットを考えながら自分に合った教育機関を選ぶと良いでしょう。

現在4年制大学卒業をして、看護師として働いている方も、メリットを確認いただき、自分の道をあらためて考えてみてください。

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対応 診療科目内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科
対応配属先病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡
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対応 診療科目美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科
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参考文献等

総合監修者

キャリアコンサルタント(国家資格)真下彩花

キャリアコンサルタント(国家資格)真下彩花

新卒で東証スタンダードに上場している会社に入社し、個人事業主・税理士などの経理・税務サポートを担当後、半導体・電子部品等の最大手(東証プライム上場)に転職し、営業支援に従事する。その後、ベンチャー企業での経理・採用経験を経て、2019年から株式会社pekoにて、キャリアアドバイザーとして看護師の転職支援を始め、多くの転職者のサポートを担当中。

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