特定看護師とは・特定看護師になるには?できることや違い
専門看護師や認定看護師、診療看護師(NP)など、看護師免許取得後のキャリアアップとして、専門的な知識を持つ看護師が増えています。また、2015年10月からは「特定行為に係る看護師の研修制度」がスタートし、「特定看護師」と呼ばれる看護師も増えてきています。
特定看護師は、医療現場で高度な専門知識と技術を持ち、特定の医療行為を実施する看護師として近年注目されています。
以下では、「特定看護師とは」を始め、「特定看護師になるには」や「特定看護師にできること」、認定看護師や診療看護師(NP)との違い等について分かりやすく説明していきます。
特定看護師に興味がある方や、特定看護師を目指そうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
特定看護師とは?できること
以下では、「特定看護師とは」や「特定看護師にできること」を分かりやすく説明しています。
また、専門的な用語が多いため、この機会に覚えておきましょう。
特定看護師とは?
特定看護師とは、「特定行為に係る看護師の研修制度」を修了した看護師であり、特定の医療行為を行うことが許可された看護師のことを指します。
(特定行為研修は、特定行為区分ごとに実施されます。)
また「特定看護師」は、研修を修了して何かの資格を得られるわけではなく、研修を修了すると、特定行為を手順書により実施することが可能となります。(法律上、「特定看護師」という資格はありません。)
看護師が行う業務は、保健師助産師看護師法によって「療養上の世話又は診療の補助」と定められています。
医師による診療は、医師のみしか実施できない「絶対的医行為」と、看護師が「診療の補助」として実施することができる「相対的医行為」に分類されますが、従来は両者の境界が厳密には規定されていませんでした。そこで、相対的医行為のうち高レベルな行為を明確に区別し、「特定行為」として位置付けました。
その特定行為とは、21区分38行為であり、この行為を実践するための必要な高度知識と技術を指定研修機関で学び修了認定を受けた看護師のことを特定看護師といいます。
これらのことは、保健師助産師看護師法第37条に定められており、2015年10⽉より「特定⾏為に係る看護師の研修制度」が創設されました。
参照:保健師助産師看護師法第37条(e-GOV)、特定行為研修に関するよくあるご質問(日本看護協会)
特定看護師における手順書とは?特定看護師における手順書とは?
手順書とは、医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるために、その指示として作成する文書であって、「看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲」、「診療の補助の内容」等が定められているものです。出典:厚生労働省 手順書とは
特定行為の21区分・38行為について
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
---|---|
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 侵襲的陽圧換気の設定の変更 |
非侵襲的陽圧換気の設定の変更 | |
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整 | |
人工呼吸器からの離脱 | |
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 | 気管カニューレの交換 |
循環器関連 | 一時的ペースメーカの操作及び管理 |
一時的ペースメーカリードの抜去 | |
経皮的心肺補助装置の操作及び管理 | |
大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整 | |
心嚢(のう)ドレーン管理関連 | 心嚢(のう)ドレーンの抜去 |
胸腔ドレーン管理関連 | 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更 |
胸腔ドレーンの抜去 | |
腹腔ドレーン管理関連 | 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿せん刺針の抜針を含む。) |
ろう孔管理関連 | 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換 |
膀胱ろうカテーテルの交換 | |
栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 | 中心静脈カテーテルの抜去 |
栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連 | 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入 |
創傷管理関連 | 褥じょく瘡そう又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去 |
創傷に対する陰圧閉鎖療法 | |
創部ドレーン管理関連 | 創部ドレーンの抜去 |
動脈血液ガス分析関連 | 直接動脈穿せん刺法による採血 |
橈とう骨動脈ラインの確保 | |
透析管理関連 | 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾ろ過器の操作及び管理 |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 |
脱水症状に対する輸液による補正 | |
感染に係る薬剤投与関連 | 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与 |
血糖コントロールに係る薬剤投与関連 | インスリンの投与量の調整 |
術後疼痛管理関連 | 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 |
循環動態に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整 |
持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整 | |
持続点滴中の降圧剤の投与量の調整 | |
持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整 | |
持続点滴中の利尿剤の投与量の調整 | |
精神及び神経症状に係る薬剤投与関連 | 抗けいれん剤の臨時の投与 |
抗精神病薬の臨時の投与 | |
抗不安薬の臨時の投与 | |
皮膚損傷に係る薬剤投与関連 | 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整 |
特定看護師ができること
では、特定行為に係る看護師の研修制度を修了した特定看護師ができることは何でしょうか。
特定看護師ができることは、「特定行為の21区分・38行為」に対して、手順書に基づいて医療行為を実施することが可能になります。(以下画像を参照してください。)
上画像のように、特定行為の範囲内であれば、「医師の指示を待たず」に特定の医療行為をタイムリーに患者に提供することができます。
具体的には、特定看護師は以下のことを行うことができます。
- 患者の全身状態を総合的にアセスメントし、必要なケアを迅速に提供することが可能
- 多忙な医師を待つことなく、特定看護師が即座に対応することが可能
- 患者に対する処置が遅れることを防ぎ、治療のタイミングを最適化することが可能
さらに詳しく知りたい方は「日本看護協会の制度の活用に関する取り組み」を参考にすると良いでしょう。
特定看護師に関する良くある質問
次に、特定看護師に関する疑問や質問を解消しておきましょう。
看護師として働きながら特定看護師にはなれる?
看護師として働きながら、特定看護師になることは可能です。
多くの指定研修機関(病院)では、eラーニングやオンライン等での受講が可能なため、働きながら特定看護師になることができます。また、特定行為に係る看護師の研修制度は、医療現場で働く看護師が研修を受けることで、よりタイムリーに特定行為を実施できるようになることを目的としています。
ただし、完全にラーニングやオンライン等での受講が完了するわけではなく、別途登校日などが設けられているケースがほとんどのため注意してください。
また、看護師個人によっては仕事との両立が難しい場合や、現在働いている職場のスタッフに負担がかかること等を理由に、働きながら受講することが難しい場合もあるでしょう。
特定看護師の難易度は高い?低い?
特定看護師は、試験等も行われますが、講義、研修・演習を受け、修了することで特定行為を行える資格を得られます。
そのため、試験等の難易度を考えると、特定看護師の資格取得は比較的低いと言えるでしょう。
しかし、以下の画像は「特定行為研修受講にあたっての受講期間中に感じた困難」のアンケート調査結果です。
このように、受講費用の捻出が難しい場合や、周囲のスタッフに業務負担がかかる場合、仕事や家庭との両立が難しい場合など、看護師によっては研修のハードルが高くなることがあります。
現在の特定看護師の人数はどれぐらい?
厚生労働省の「特定行為研修を修了した看護師数(特定行為区分別)」では、2023年3月時点で、延べ35,506名の看護師が特定行為研修を修了しています。
出典:厚生労働省 特定行為研修を修了した看護師数(特定行為区分別)
特定行為区分の中では、「栄養及び水分管理に関わる薬剤投与関連」が最も多く、5,611人となっており、続いて「呼吸器(人工呼吸器法に関わるもの)関連」が2,868名となっています。
特定看護師と認定看護師の違いは?
特定看護師と認定看護師は、どちらも看護師のキャリアアップの一環として専門的な知識と技術を習得するためのものですが、以下のように役割等に違いがあります。
特徴 | 特定看護師 | 認定看護師 |
---|---|---|
取得方法 | 特定行為に係る看護師の研修制度を修了 | 日本看護協会が認定する専門的な研修を修了 |
資格等 | 法律上「特定看護師」という資格はない | 日本看護協会が認定する専門的な資格 |
主な役割 | 特定の医療行為を実施 | 特定の看護分野で専門的な知識と技術を提供 |
実施できる行為 | 医師の指示を待たずに特定の医療行為を実施 | 従来の看護業務のみ |
認定機関 | 厚生労働省の指定研修機関 | 日本看護協会 |
特定看護師は、医療現場で手順書に基づき特定の医療行為を実施できる看護師であり、特定行為に係る看護師の研修制度を修了することで、特定看護師になることができます。
一方、認定看護師は、特定の看護分野において専門的な知識と技術を持ち、従来の看護業務のみを行う看護師です。
そのため、どちらかを比較するものではなく、資格や受講する目的が異なるものです。
特定看護師と診療看護師(NP)の違い
診療看護師(NP: Nurse Practitioner)は、特定看護師よりも、より包括的な医療提供が可能な高度実践看護師であり、認定資格が発行されます。
特定看護師と診療看護師(NP)の具体的な違いとしては、以下の通りです。
特徴 | 診療看護師(NP) | 特定看護師 |
---|---|---|
目的 | 看護師の裁量拡大 | 今後の在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成していくこと |
立場 | 医師サイドに立った診療を行う | 看護師としての仕事を行う |
特定行為 | 21区分38行為を全て実践可能 | 21区分38行為を全て実践可能 |
役割 | チーム医療の架け橋としての役割 (手順書による包括的指示のもと実践、医師からの直接指示による相対的医行為を実践可能) | 医師があらかじめ作成する「手順書」という包括的指示のもと実践するという役割 |
資格 | 認定資格が発行される | 法律上「特定看護師」という資格はない |
特定看護師と診療看護師(NP)の一番の違いとしては、医師サイドに立った診療を行うことを目的とした認定資格であることです。
さらに詳しくは「ナース・プラクティショナーとは?診療看護師(NP)になるための方法」を確認してください。
特定看護師になるためには?
特定看護師になるためには、厚生労働省が指定する「特定⾏為に係る看護師の研修制度」を行う指定研修機関(病院等)で講義、研修・演習を受ける必要があります。
以下では、特定看護師になるための方法を詳しく説明していきます。
看護師免許+臨床経験が3年以上~5年以上は必須
特定行為に係る看護師の研修制度を履修するためには、指定研修機関によって多少異なりますが、看護師免許と臨床経験が3年から5年以上必要です。
さらに、地域医療に貢献できる看護師であること、管理者または院長および看護部長の推薦があることなどが求められます。
そのため、看護師として5年以上の臨床経験(病棟経験)があることが望ましいでしょう。
ただし、臨床経験は目安であり、特定行為に係る看護師の研修制度を履修するための要件は、指定研修機関(病院等)によって異なるため、注意が必要です。
指定研修機関とは?指定研修機関とは?
指定研修機関は、1又は2以上の特定行為区分に係る特定行為研修を行う学校、病院その他の者であって、厚生労働大臣が指定するものをいいます。
2月と8月に行われる医道審議会(看護師特定行為・研修部会)で審議された後に厚生労働大臣の指定をうけるため、1年に2回のペースで指定研修機関は増減します。
出典:厚生労働省 特定行為に係る看護師の研修制度の関係法律等
受講できる特定行為区分とパッケージ研修の選択
次に、指定研修機関を確認し、受講できる特定行為区分とパッケージ研修の選択を行う必要があります。
選択する理由としては、特定行為に係る看護師の研修制度を履修する指定研修機関(病院等)によって、履修できる特定行為区分とパッケージ研修が異なるためです。
2024年時点でも特定行為区分のみを選択できる場合もありますが、ほとんどの指定研修機関ではパッケージ研修化が進められています。
特定行為に係る看護師の研修制度のパッケージ研修の詳細については、以下を確認してください。
特定行為に係る看護師の研修制度のパッケージ研修とは?特定行為に係る看護師の研修制度のパッケージ研修とは?
看護師の特定行為に係る研修制度の施行当初(2015年10月)は、特定行為区分を選択し、特定行為区分単位で研修を受ける形が一般的でした。
その後、厚生労働省令の改正(2019年4月)により、「在宅・慢性期領域」「外科術後病棟管理領域」「術中麻酔管理領域」のパッケージ研修が導入され、その後「救急領域」「外科系基本領域」「集中治療領域」も追加されました。
パッケージ研修が行われる理由としては、看護師が研修を受けやすくする目的があり、研修時間が短縮されるメリットがあります。しかし、パッケージ研修によって特定行為区分のみの研修を希望する場合、指定研修機関が開講していないと研修を受けられないデメリットもあります。
在宅・慢性期領域パッケージ
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 | 気管カニューレの交換 |
---|---|
ろう孔管理関連 | 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換 |
膀胱ろうカテーテルの交換 (免除される特定行為) | |
創傷管理関連 | 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去 |
創傷に対する陰圧閉鎖療法 (免除される特定行為) | |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 |
脱水症状に対する輸液による補正 |
外科術後病棟管理領域パッケージ
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
---|---|
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 侵襲的陽圧換気の設定の変更 |
非侵襲的陽圧換気の設定の変更 | |
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整 (免除される特定行為) | |
人工呼吸器からの離脱 (免除される特定行為) | |
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 | 気管カニューレの交換 |
胸腔ドレーン管理関連 | 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更 |
胸腔ドレーンの抜去 | |
腹腔ドレーン管理関連 | 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿刺針の抜針を含む) |
栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 | 中心静脈カテーテルの抜去 |
栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連 | 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入 |
創部ドレーン管理関連 | 創部ドレーンの抜去 |
動脈血液ガス分析関連 | 直接動脈穿刺法による採血 |
橈骨動脈ラインの確保 (免除される特定行為) | |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 |
脱水症状に対する輸液による補正 (免除される特定行為) | |
術後疼痛管理関連 | 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 |
循環動態に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整 |
持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整 (免除される特定行為) | |
持続点滴中の降圧剤の投与量の調整 (免除される特定行為) | |
持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整 | |
持続点滴中の利尿剤の投与量の調整 (免除される特定行為) |
術中麻酔管理領域パッケージ
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
---|---|
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 侵襲的陽圧換気の設定の変更 |
非侵襲的陽圧換気の設定の変更 (免除される特定行為) | |
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整 (免除される特定行為) | |
人工呼吸器からの離脱 | |
動脈血液ガス分析関連 | 直接動脈穿刺法による採血 |
橈骨動脈ラインの確保 | |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 |
脱水症状に対する輸液による補正 | |
術後疼痛管理関連 | 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 |
循環動態に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整 (免除される特定行為) |
持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整 (免除される特定行為) | |
持続点滴中の降圧剤の投与量の調整 (免除される特定行為) | |
持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整 | |
持続点滴中の利尿剤の投与量の調整 (免除される特定行為) |
救急領域パッケージ
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
---|---|
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 侵襲的陽圧換気の設定の変更 |
非侵襲的陽圧換気の設定の変更 | |
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整 | |
人工呼吸器からの離脱 | |
動脈血液ガス分析関連 | 直接動脈穿刺法による採血 |
橈骨動脈ラインの確保 | |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 (免除される特定行為) |
脱水症状に対する輸液による補正 | |
精神及び神経症状に係る薬剤投与関連 | 抗けいれん剤の臨時の投与 |
抗精神病薬の臨時の投与 (免除される特定行為) | |
抗不安薬の臨時の投与 (免除される特定行為) |
外科系基本領域パッケージ
栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 | 中心静脈カテーテルの抜去 |
---|---|
創傷管理関連 | 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去 |
創傷に対する陰圧閉鎖療法 (免除される特定行為) | |
創部ドレーン管理関連 | 創部ドレーンの抜去 |
動脈血液ガス分析関連 | 直接動脈穿刺法による採血 |
橈骨動脈ラインの確保 (免除される特定行為) | |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整 (免除される特定行為) |
脱水症状に対する輸液による補正 | |
感染に係る薬剤投与関連 | 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与 |
術後疼痛管理関連 | 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整 |
集中治療領域パッケージ
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 | 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整 |
---|---|
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 侵襲的陽圧換気の設定の変更 |
非侵襲的陽圧換気の設定の変更 (免除される特定行為) | |
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整 | |
人工呼吸器からの離脱 | |
循環器関連 | 一時的ペースメーカの操作及び管理 |
一時的ペースメーカリードの抜去 (免除される特定行為) | |
経皮的心肺補助装置の操作及び管理 (免除される特定行為) | |
大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整 (免除される特定行為) | |
栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連 | 中心静脈カテーテルの抜去 |
動脈血液ガス分析関連 | 直接動脈穿刺法による採血 (免除される特定行為) |
橈骨動脈ラインの確保 | |
循環動態に係る薬剤投与関連 | 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整 |
持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整 | |
持続点滴中の降圧剤の投与量の調整 | |
持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整 (免除される特定行為) | |
持続点滴中の利尿剤の投与量の調整 (免除される特定行為) |
できれば指定研修機関への転職を検討する
特定行為に係る看護師の研修制度の受講は、厚生労働省が指定する指定研修機関(病院等)で行われます。
現在、看護師として勤務している病院等が指定研修機関ではない場合、指定研修機関(病院等)へ転職することをおすすめします。
理由として、指定研修機関では一般公募(他の病院からの看護師)を受け付けていますが、書類審査や筆記試験、面接などが行われるケースがほとんどであり、特定行為に係る看護師の研修制度を履修するためのハードルがあります。さらに、院内選考のみの指定研修機関も存在します。
指定研修機関によって異なりますが、特定看護師になるためには、指定研修機関の職員(看護師)である方が有利でしょう。
(指定医療機関については、「厚生労働省 看護師の特定行為研修制度ポータルサイト」を参照しておきましょう。)
そのため、特定看護師として素早く患者の処置やケアを行いたいと考える方は、まずはキャリアアップを見据えながら、指定研修機関へ転職することも検討してください。
指定研修機関における一般公募の選考(例)指定研修機関における一般公募の選考(例)
選考 | 一般公募・院内選考 |
---|---|
応募要件 | 以下の要件を満たすこと ・臨床経験5年以上で、地域医療に貢献できる看護師であること ・管理者または院長及び看護部長の推薦のある看護師であること |
選考方法 | 1.書類審査 2.筆記試験、小論文 3.面接 |
上記のように、特定行為に係る看護師の研修制度を履修する前に、選考に合格しなければ研修受講を行うことはできません。
さらに、一般公募を行っている場合でも、院内選考も同時に行われるケースがほとんどです。
指定研修機関(病院等)で共通科目と区分別科目を履修
特定行為に係る看護師の研修制度を履修することが決定したら、以下の内容で、共通科目と区分別科目を履修します。
共通科目と区分別科目にはそれぞれ定められた履修時間が設けられていますが、ほとんどの場合、修了するまでに約1年の期間が必要です。
共通科目 (250時間) |
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区分別科目 (5時間~34時間) |
|
共通科目履修後には、学習・演習の試験があるため、すべてeラーニングで受講可能な場合でも、1日から2日程度の登校日が設けられています。
また、区分別科目では、講義はオンライン等で実施される場合が多いですが、筆記試験や実技を伴う実習は集合研修で学習するため、登校が必要になります。
さらに、区分別科目履修後には、管理委員会が科目の履修評価を行い、各科目の履修と試験を終了した後に認定審査が行われます。
共通科目の内容と受講時間共通科目の内容と受講時間
共通科目の内容と、受講時間は以下の通りです。
臨床病態生理学 | 30時間 |
---|---|
臨床推論 | 45時間 |
フィジカルアセスメント | 45時間 |
臨床薬理学 | 45時間 |
疾病・臨床病態概論 | 40時間 |
医療安全学/特定行為実践 | 45時間 |
合計 | 250時間 |
以前は、共通科目に315時間必要でしたが、250時間に変更されました。
特定行為に係る看護師の研修制度にかかる費用
特定行為に係る看護師の研修制度にかかる費用は、指定研修機関等によって異なり、約30万円から250万円の費用が掛かると言われています。
目安として、日本看護協会の特定行為研修を受講する場合、必須の区分別科目で452,000円(会員価格)が掛かり、選択する特定行為区分がある場合には、その受講料も追加されます。
看護師にとって高額な受講料になりますが、以下のような支援制度が多く設けられています。
教育訓練給付制度 | 受講費用の一部が支給される(受講費用の40%/上限20万円) |
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人材開発支援助成金 | 看護師が所属している医療機関等に人材育成のための助成を行ってくれる制度 |
地域医療介護総合確保基金 | 看護師が所属している医療機関等に受講料等を支援してくれる制度 |
看護師が個人で活用できる制度は、教育訓練給付制度のみとなるため、費用の捻出が課題になるでしょう。
しかし、特定行為に係る看護師の研修制度の指定研修機関となっている病院は、所属する看護師に対して研修期間中の「所得補償」や「研修費用等の補助」を行っているケースが多く、費用の捻出が困難であり、特定看護師を目指す方は、やはり転職の必要性があるでしょう。
いざ特定看護師へ!指定研修機関の求人を探し転職も検討しよう
ここまで、特定看護師になるための方法について説明してきましたが、現在の勤務先が「特定行為に係る看護師の研修制度の指定医療機関」ではない場合、転職することがおすすめです。
転職をおすすめする理由は、以下の通りです。
- 指定医療機関ではない場合、受講前の一般選考を通過する必要があり、「院内選考のみ」の場合は受講できないため
- 一般選考には面接や筆記試験、論文などが求められ、院内選考者の方が有利である可能性が高いため
- 研修費用の補助などが、指定医療機関以外の場合、補助が出にくいため
- 指定医療機関以外の場合、周囲のスタッフの理解度が低い可能性があるため
以上の理由により、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)をうまく活用して、看護師として働く場合の希望条件にプラスして、「特定行為に係る看護師の研修制度の指定医療機関」である病院等をピックアップしてもらいましょう。
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対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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対応 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託その他 |
対応 勤務形態 | 常勤(二交替制)、常勤(三交替制) 、夜勤なし、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・転職の相談から行える ・キャリアアドバイザー親切丁寧 ・退職交渉も可能 ・企業系のレア求人を豊富に保有 |
マイナビ看護師は、保有している看護師求人の約40%が非公開求人であるため、病院と担当者のつながりが深いです。
そのため、「特定行為に係る看護師の研修制度の指定医療機関」である病院等を把握しており、ピックアップしてもらうことが容易です。
さらに、親切、丁寧で転職活動において的確にアドバイスをくれる担当者が豊富であり、利用した看護師から定評があります。
公式サイト:https://kango.mynavi.jp/
まとめ
特定看護師は、特定行為に係る看護師の研修制度を修了することで、特定看護師として特定の医療行為を手順書に基づいて実施することが可能になります。
この制度の目的は、看護師が迅速かつ的確に医療行為を行えるようにすることであり、患者の治療タイミングを最適化し、医療の質を向上させることです。
特定看護師になるためには、看護師免許と3年以上(又は5年以上)の臨床経験が必要であり、指定研修機関で共通科目と区分別科目を履修する必要があります。また、研修費用は高額であるため、費用の捻出が課題となりますが、指定研修機関では研修費用の補助や所得補償が行われるケースもあります。
特定看護師と認定看護師、診療看護師(NP)の違いについても理解しておくことが重要です。
特定看護師は特定の医療行為を実施することに特化しているのに対し、認定看護師は特定の看護分野における専門知識と技術を提供し、診療看護師(NP)は包括的な医療提供が可能な高度実践看護師であり、医師サイドに立った診療を行うことを目的とした認定資格です。
そのため、特定看護師を目指す場合は思い切って診療看護師(NP)を目指しても良いかもしれません。
また、特定看護師や診療看護師(NP)を目指す場合、現在の勤務先が指定研修機関でない場合には、指定研修機関への転職を検討することがおすすめです。
ぜひ、特定看護師としてキャリアアップを目指し、患者に迅速かつ適切なケアを提供するための一歩を踏み出しましょう。
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