認知症グループホームで働く看護師の仕事内容と体験談
グループホームは、共同生活援助を行う施設、認知症対応型共同生活介護を行う施設と大きく2種類あります。厚生労働省では、グループホームを以下のように定義しています。
グループホームとは、知的障害者や精神障害者、認知症高齢者などが専門スタッフの支援のもと集団で暮らす家のこと。
出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)
私は2年間、グループホームで看護師として勤務した経験があります。
グループホームは、ユニットと呼ばれる複数の個室と共有スペース(リビング・ダイニングやキッチン等)で構成される生活空間に分かれています。
私は入居者9名が1ユニットになっている、2ユニットあるグループホームに勤務していました。(グループホームとしては最大の規模です。)
以下では、私の経験をもとにグループホームで働く看護師の仕事内容や働いて感じたことを説明していきます。
執筆・監修看護師- 保有資格:看護師
- 施設経験:総合病院、訪問看護、特別支援学校、介護施設
2008年に准看護師免許、2017年に看護師免許を取得し、総合病院や訪問看護、特別支援学校、認知症グループホームなどの看護師経験があります。現在、Webライター兼看護師として活動中です。
グループホームで働く看護師の仕事内容
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)には入居者の基準が設けられており、65歳以上の高齢者で要支援2~要介護5の認定を受けている方、医師の診断により認知症の診断を受けた方、集団生活が問題なく行える方などが入居しています。(参照:認知症対応型共同生活介護 厚生労働省)
私が勤務していたグループホームでは、管理者や計画作成担当者、介護職員、看護師、ケアマネジャー等が働いていました。さらに、職員は正職員が約10名、パート14名の中で看護師は私1名であり、2ユニットの入居者を把握する必要があり、重責ではありましたが充実した2年間でした。
そのため、グループホームで働く看護師は、入居者の健康管理や医療的な面から支援することが主な仕事内容ですが、行う業務は多岐に渡ります。
以下では、私の経験をもとにグループホームで働く看護師の仕事内容について説明していきます。
グループホームの場合、他の看護師が働く看護師施設とは違い、看護配置が定められていません。つまり、どのグループホームも看護師が必ず在籍しているわけではありません。
グループホームにおける入居者の対応は介護職員等がメインとなる職場です。
また、私(看護師)の体験事例であり、勤務するグループホームによって看護師の仕事内容が異なる可能性があるため、注意してください。
入居者の健康管理
グループホームに勤務する看護師は、入居者への毎日の健康管理がメインの仕事です。
具体的には、入居者に対して定期的な検温や血圧、脈拍などのバイタルサイン測定を行い、異常がないか日々記録を行いながら観察します。
また、看護師は入居者の日常生活に密接に関与し、体調や健康に気を配りながら、異常な症状や不調を早期に発見し、必要な医療処置も行います。
看護師の体験事例
また、検温に関しては介護職員がメインで行い、職員が不足している際は、看護師の私も行っていました。
看護師の仕事内容としては、検温時に入居者に異常があった場合の対応でした。
例えば、再検後に入居者が誤嚥性肺炎の兆候や発熱の前兆を示すことも実際に経験しました。
入居者への医療処置
グループホームでは、認知症の入居者の自立した生活支援や穏やかな生活を送ることに重点が置かれているため、看護師としての医療行為はとても少ないです。
そのため、積極的な医療行為は少なく、糖尿病の入居者に対してのインシュリン注射や経管栄養の管理、たんの吸引、切創や擦過創、軟膏塗布、シップ貼付が主な仕事です。
また、勤務するグループホームによっては、褥瘡への処置、導尿・バルーンカテーテルの管理、中心静脈栄養の看護なども行います。
看護師の体験事例
また、入居者の中には転倒による打撲のケースもあり、状態に応じて医師に報告し、医師の指示に従ってシップの貼付けを行い、当日は医師が指定した時間に検温を実施していました。
検温に関しては、医師が作成したマニュアルに基づいて、30分から1時間おきに設定された時間に検温を行う指針がありました。
看護師はこのマニュアルに従って検温を実施し、患者の意識状態の確認や打撲部位の変化を観察する役割を果たしていました。
入居者の受診対応・往診対応
入居者の医療機関を受診する場合の付き添いや、医師が往診する際の介助も、看護師の仕事の1つです。
グループホームの入居者の中には、定期的に病院を受診する必要がある方がおり、家族の都合で付き添うことができない場合、看護師がそのサポートを行うことがあります。
さらに、グループホームでは、提携している病院やクリニックから医師が入居者の往診に訪れることもあります。この際、看護師はスムーズに診療が行えるように、入居者の情報を提供し、医師への連絡や介助を行います。
看護師の体験事例
そのため、入居者の安全を第一に、滞りなく受診が終えられるよう看護師として関わるようにしていました。
また、2週間に一度、提携クリニックから入居者の往診に医師が来ていました。看護師が主に対応していましたが、経験豊富な介護職員も一緒に行っていました。
薬剤管理・薬局対応
グループホームの入居者に対して、薬剤の管理および提携している薬局との連絡業務も、看護師の仕事の1つです。
薬剤の管理に関しては、看護師は介護職員と協力して、医師の往診後に処方された内服薬を適切に管理します。
さらに、提携している薬局とのやり取りも看護師が担当し、入居者の薬の残量の調整や関連情報の共有を行います。
このような薬剤管理と連絡業務は、入居者の健康を維持するための大切な看護師の業務です。
看護師の体験事例
また、提携している薬局と連絡では、薬剤について分からないことがあれば、いつでも相談できました。
入居者の日常生活の介助
グループホームにおいて、入居者への日常生活の介助は通常介護職員の仕事ですが、スタッフが不足している場合や緊急時には、看護師も介助を行うことがあります。
ただし、これは勤務するグループホームによって異なることがあります。
看護師が介助を行う具体的な例として、入居者の入浴介助、排泄介助、食事介助などが挙げられます。
これらの介助は、入居者の日常生活をサポートするために、看護師と介護職員が協力して行います。
看護師の体験事例
私が勤務していたグループホームでは、看護師として入居者の入浴介助のサポートと軟膏処置、トイレ誘導、食事介助なども一部行っていました。
入居者の急変対応
グループホームに勤務する医療従事者が看護師のみであるため、入居者の急変に対応することも非常に重要な仕事です。
具体的には、入居者に窒息や意識レベルの低下などが見られたとき、看護師は迅速に駆けつけて適切な応急処置を行います。
さらに、入居者の救急搬送が必要な場合、看護師は付き添い、病院での適切な治療やケアの連携を確保します。
看護師の体験事例
グループホームの看護師として働いて感じたこと
以下で、私がグループホームの看護師として働いて感じたことを説明していきます。
相談相手が少ない
前述したように、どのグループホームも看護師が必ず在籍しているわけではありません。
そのため、私が働いたグループホームでは、在籍している看護師は私1人でした。
仕事中に看護師として困ったことがあっても相談相手がいないことが難しく感じました。
また、医師の定期健診時や提携薬局等に相談を主に行っていましたが、在籍している医療従事者は看護師のみのため、医療ケアの判断を任されてしまうため、責任を感じました。
認知症への理解が深まった
私は看護師としてグループホームに勤務することで、認知症についての理解が深まりました。
教科書に記載された症状に関連する入居者だけでなく、グループホームで入居者とコミュニケーションを取ることで、認知症の種類や特徴について深く理解する機会が増えました。
中でも、レビー小体型認知症のような特殊なケースに遭遇することもあり、その際には医師から詳細な説明を受けることができ、大変助かりました。
また、グループホームでの看護師としての経験を通じて、認知症の入居者たちの特性やニーズをより深く理解し、それが質の高いケア提供につながることを学びました。
介護職員との連携には苦労する
私が看護師としてグループホームに勤務した際は、介護職員との連携に苦労しました。
どのグループホームにも言えることですが、介護職員がメインの職場です。
そのため、資格の有無に関わらず、入居者に真に寄り添う介護職員が存在する一方で、連携が不十分な介護職員もいることがありました。
また、介護職員が良心的な意図から行動しているつもりでも、医療ケアに関しては適切でないアプローチをとっていることがあることもありました。
看護師が不在でもグループホームの運営が続行可能であるため、看護師として適切な医療ケアや看護を主張するかとても迷いました。
ただ、私は地道に介護職員とコミュニケーションを取り、情報を提供していくことで、少しずつ介護職員の意識も改善されたため、やりがいを感じました。
内服薬についての知識が増えた
私はグループホームでの看護師として働くことで、内服薬に関する知識が大幅に増えました。
グループホームでの仕事内容で、最初に印象的だったのは、薬剤の確認作業でした。
薬局から納品された内服薬を最初に確認するのは、私自身(看護師)だけであり、正直なところ、最初は怖くて一つ一つ丹念に確認していました。
幸いなことに薬局の専門家から直接教えてもらえる環境が整っていたため、安心して質問でき、入居者への薬の管理においても不安を減少させることができました。
この経験から、連携と情報共有が医療の現場で非常に重要であることを改めて学びました。
グループホームの看護師求人が多い転職サイト
前述しているように、グループホームの場合、他の看護師が働く看護師施設とは違い、看護配置が定められていません。
そのため、どのグループホームでも看護師を募集しているわけではなく、看護師求人数は限られています。
だからこそ、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)を活用して、希望条件に合うグループホームの求人を探してもらいましょう。
以下は、グループホームの看護師求人が多い看護師転職サイトをご紹介します。2社とも無料会員登録を行い、まずは担当者に希望条件に合う求人を見つけてもらいましょう。
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対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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対応 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託その他 |
対応 勤務形態 | 常勤(二交替制)、常勤(三交替制) 、夜勤なし、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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さらに、グループホームの看護師求人も公開求人にまとめられているため、マイナビ看護師も併せて活用しておきましょう。
公式サイト:https://kango.mynavi.jp/
まとめ
グループホームで働く看護師の仕事内容や働いて感じたことについて説明してきました。
看護師としてプライベートを充実させたい方や、入居者や介護職員等のコミュニケーションが苦にならない方は、向いている職場のように感じます。
また、介護施設で働いた経験がある看護師の方であれば、仕事内容もコミュニケーションもスムーズです。
是非一度、グループホームで看護師として働くことを検討してみてください。
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資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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厚生労働大臣許認可 | 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) 特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
連絡先 | 03-5324-3939 (受付時間:休日、祝日を除く10:00~17:00) |
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