ICU勤務の看護師が教える!向いていない人と「その理由」
ICU(集中治療室)の看護師は、一般病棟での看護と異なる特殊な部署ですが、「超急性期の看護や全身管理のスキルを身に付けたい」と、異動や転職を希望する方は多いです。
現在、ICUへの転職を考えてはいるものの、自分は向いていないかもしれないという不安を持っている看護師の方もいるのではないでしょうか。
8年間ICUで勤務した経験がある、私の体験談を踏まえて、ICU(集中治療室)勤務が向いていない看護師の特徴とその理由について、以下で説明していきます。
執筆・監修看護師- エリア:神奈川県在住
- 保有資格:看護師、ACLSプロバイダー
- 経歴:大学病院、総合病院、訪問看護ステーション
- 専門分野(診療科):ICU、CCU(冠疾患治療室)
看護専門学校卒業後、総合病院へ勤務後、すぐに退職を経験。その後、大学病院の集中治療室(ICU・CCU)で8年間勤務。出産・育児休暇を経て退職し、様々な施設を経験。興味のあった在宅看護に携わりたいと考え転職。現在は看護師が立ち上げた小規模訪問看護ステーションに在籍する現役訪問看護師6年目。
ICUの看護師が向いていない人とその理由
私がICUで8年間勤務した経験をもとに、ICUの看護師が向いていない人を紹介します。
(私の経験からの考察のため、当てはまった場合でもICUを諦める必要はございません。)
患者が急変したときに固まってしまう看護師
生命の危機への緊張や苦しんでいる患者を前にして、頭の中が真っ白になってしまう看護師はICUに向いていないでしょう。
経験や練習などを重ね、自信を身に付けることができれば、ICUの看護師として十分対応ができるようになります。
しかし、どうしても緊張が拭えず固まってしまうという看護師は、ICUで看護師として働く適性に欠けるかもしれません。
理由:患者の急変に瞬時に対応することが求められるため
ICUでは、循環動態や呼吸状態が不安定な患者が多いため、一般病棟に比べると急変する場面に遭遇することも多いです。
そのときに瞬時に身体が動き、対応することがICUの看護師に求められます。
患者を受け持っている間に急変しないでと思う看護師
例え経験や技術があった場合でも、自分が患者を受け持っている間に「急変しないで」と思いながらビクビクしてしまう看護師は、ICUの看護師は向いていません。
また、そのような場合はICUでの勤務を続けることにストレスを感じやすくなるでしょう。
理由:常に向上心を持って取り組む姿勢が必要なため
急変対応が苦手な看護師や、実際に急変時の対応技術が不十分な看護師はいますが、ICUでは(いざという時は)1人ではなく看護スタッフ間の連携の中で対応します。
そのため、ICUの看護師に以下のような気持ちで臨むことが必要です。
- 常に向上心を持って経験を積む姿勢があること
- 急変が起きても自分にできる精一杯のことをしようという気持ちがあること
だからこそ「自分が患者を受け持っている間に急変しないで」と思う逃げ腰の看護師は、ICUに向いていないでしょう。
勉強が苦手な看護師
勉強するのが苦手で集中して学べない、新しいことを取り入れるのが苦手という看護師には、ICUは辛い環境となり、向いていないでしょう。
また、ICUで働く看護師は、誰かに課題を与えられなくても、自分から興味を持って自主的に勉強することも必要です。
理由:入職から経験後も常に勉強が求められるため
CUは対象領域が広いため、当然転職・入職した時から経験を積んだ後も常に勉強が求められます。
さらに、業務を淡々とこなすのではなく、
- 「この治療はなぜ行われているのだろう?」
- 「この手順でしなければならない理由は何だろう?」
など、深く考えて追究することも、ICUで働く看護師には大切です。
時間管理ができない看護師
効率的でかつ確実・安全に看護を行うために、ICUの看護師は朝タイムスケジュールを記入します。
さらに、ICUで働く看護師は、時計を常に見ながらテキパキと仕事をこなさなければ、時間へのストレスは大きくなる職場です。
そのため、自分の時間管理ができない看護師はICUには向いていません。
理由:患者1人に行う看護の内容が濃いため時間に追われるため
基本的にICUは看護体制が(患者に対し)2対1のため、1人の看護師が受け持つ患者数は少ないのですが、1人に行う看護の内容は濃く、時間に追われます。
「患者のために」とベッドサイドでゆっくり関わることも大切ですが、いつまでも患者の部屋から出てこない場合、周りの看護師が業務フォローしなければならなくなります。
だからこそ、業務に関する時間管理がICUの看護師には必要です。
報告・連絡・相談をせず自己判断で動いてしまう看護師
看護師として経験が増え、自信がついてきたときに陥りがちですが、このくらい大丈夫だと報告・連絡・相談をせず、自己判断で行動してしまう看護師は、ICUに向いていません。
さらに、「看護スタッフ間コミュニケーションが苦手な看護師」や「自分だけで黙々と仕事をする看護師」なども、ICUの看護師に向いてないでしょう。
理由:ICUでは小さなことが大きな事態になるため
ICUでは全身状態が不安定な患者が多く、小さなことでも大きな影響をもたらし、取返しが付かない事態に発展することがあります。
そのため、ICUで働く看護師は、報告・連絡・相談は必須の仕事です。
また、看護スタッフに確認されない場合でも、患者の状態等に関して自分から情報を発信していくことも大切になります。
患者や家族と笑顔で会話したい看護師
看護師として、
- いつも明るく笑顔で患者等に対応したい
- 患者の退院する姿や嬉しい気持ちを共感したい
と思う方は、ICUの看護師に向いていないしょう。
理由:無防備に笑顔で話すことができない緊迫した時間もあるため
ICUでも状態が安定していることや、病棟への転棟間近な患者もいますが、重篤な患者や生命の危機に晒されている患者も少なくありません。
その場合、ICUで働く看護師は、患者やその家族に対して無防備に笑顔で話すことができない緊迫した時間もあります。
また、辛さや悲しさ、絶望感などを傾聴することや共感することは、受け持つ看護師も精神的に疲れるため、ICUの看護師は、ある程度の覚悟が必要です。
患者からの「ありがとう」にやりがいと感じる看護師
看護師として今までのやりがいは、患者からの「ありがとう」などの感謝の言葉を聞くことだとしたら、ICUの看護師として同じやりがいを求めるのは難しいかもしれません。
そのため、患者からの感謝を貰うことが一番のやりがいだと言う看護師は、ICUには向いていないでしょう。
理由:ICUで過ごした日々を患者は覚えていないため
ほとんどの患者は「ICUで過ごした日々を覚えていない」と実際に言われます。
入室しているときも苦しみや痛みの中をさまよっていることや、意識清明でないこともありますし、気管内挿管されていれば会話もできません。
時々、ICU退室後に看護師へ手紙をくれることや、退院時に挨拶にいらっしゃる患者も存在しますが、ほんの一握りです。
患者から「ありがとう」の言葉を貰えなくても、ICUにやりがいを見出すことができない看護師はモチベーションを保つのが難しくなります。
非言語コミュニケーションが苦手な看護師
非言語コミュニケーション(言葉以外の手段を用いたコミュニケーション)が苦手な看護師は、うまく伝わらないから行いたくないという気持ちになりICUの看護師としては向いていないでしょう。
ICUで意識がない患者ばかりを相手にしていると、患者をモノのように扱うことや、人間としての尊厳を忘れた対応をする看護師も実際にいますが、長くは続かないでしょう。
理由:非言語コミュニケーションを努力することを求められる
ICUに入室している重症患者は、意思疎通が難しいことや気管内挿管によって会話ができないことも多いです。
そのため、非言語コミュニケーションが苦手で面倒という看護師でも、ICUに勤務していれば患者のために努力することを求められます。
ICUでは、ほんの少しでも反応がある患者であれば、看護師として非言語コミュニケーションを取る努力は必要です。
また、鎮静されていないときは気管内挿管下でも、十分コミュニケーションが取れますし、それによって医療者の意思を伝え患者の要望や気持ちを汲み取ることが重要です。
患者の気持ちを考えられない看護師
患者の気持ちを考えて動けない看護師や、考えることを行わない看護師はICUの看護師に向いていないでしょう。
突然の大病、生きるか死ぬかという危機に晒された患者やその家族の気持ちに寄り添うことは、ICUで働く看護師として最も重要な看護の1つです。
理由:看護技術があっても看護師として信頼を得られないため
ICUに入院している患者は、見慣れない機器や管だらけの姿に不安や恐怖を感じない人はいません。
「あんなの全然重症じゃないのに、大げさ」などと言い、患者1人1人の苦しみや痛みに寄り添わず、向き合わないことや、事務的な対応だけしかできない看護師は、たとえ技術があっても信頼を得ることはできません。
患者の死が苦手な看護師
最後に、患者の死が苦手で「毎回落ち込んでしまう」という看護師は、致命的にICUに向いていないかもしれません。
いつも患者の死のたびに、しばらく泣いてしまい感情のコントロールがうまくいかない看護師にとっては、ICUは厳しい環境でしょう。
理由:亡くなる患者に落ち込む暇がないため
ICUでは死亡退院する患者がいれば、そこへ次に入室する重症患者が待っているため、亡くなる患者に看護師は落ち込んでいられないのが現状です。
しかし、患者やその家族への感情移入はもちろん、
- その患者の望む死の形だったのだろうか
- 人生の後悔はなかっただろうか
など考えてしまうと、自分の看護師としての無力さにも落ち込むこともあります。
そのため、ICUの看護師として求められる資質は、患者の死に対して、毎回自分の中で振り返ることはあっても、冷静に切り替えられる感情のコントロールが必要です。
看護師求人が豊富な転職サイトを活用しよう
ICUに看護師として向いていないと感じた場合や、ICUの看護師に転職してチャレンジしてみようと考えた場合、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)の活用がおすすめです。
理由としては、看護師転職サイトであれば、院内情報を把握している可能性が高いことや、現在の職場を辞めることなく働きながら転職活動が可能なためです。
ICUの看護師を辞める場合でも、ICUの看護師へ転職する場合でも、現在の職場を辞めずに新しい職場を見つけることが可能なため、転職のリスクを最小限に抑えることが可能です。
以下は、看護師転職サイトの中でも看護師求人が豊富な2社ご紹介します。
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対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
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対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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対応 勤務形態 | 常勤(二交替制)、常勤(三交替制) 、夜勤なし、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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まとめ
上記で説明したICUの看護師に向いているかどうかは、私が8年間ICUで働いた経験による考察です。
ICUに向いていない看護師の特徴に当てはまるからといって、すぐにICU勤務を諦める必要はありません。
ICUが向いていないと感じた看護師の方でも、克服している方を何度も私は見ています。
ただし、向いてない特徴に当てはまる場合、ICUで勤務するのが苦しい、辛いと感じてしまう看護師もいることは事実です。
自分に向いている職場への転職を成功させるために、自分の傾向や特徴を分析するときの参考にしていただければと思います。
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