小児循環器科で働く看護師の仕事内容と体験談
小児循環器科は、以下のように小児の心臓および血管系に関する診療科です。
小児循環器科は生まれつきの心臓病である先天性心疾患や不整脈、川崎病の後遺症などの心臓、血管の病気についての診断、また生活指導を含めた内科的な治療を提供する診療科です。
出典:聖隷浜松病院
各病院では、小児循環器科を始め、小児循環器内科、循環器小児科等、標榜が付いています。
以下では、私の経験をもとに小児循環器科病棟で働く看護師の仕事内容や、看護師として働いて感じたことを説明していきます。
執筆・監修看護師- エリア:千葉県在住
- 保有資格:看護師
- 経歴:総合病院、クリニック
- 診療科経験:呼吸器外科・内科、消火器外科・内科、循環器内科、心臓血管外科、婦人科、小児科、眼科
都内の総合病院で約6年、その後クリニックで約5年勤務しました。現在は1児の母として子育て奮闘中ですが機会があればまた働きたいなと思っています。
小児循環器科病棟で働く看護師の仕事内容
私が勤務していた小児循環器科病棟では、生まれつきの心臓病である先天性心疾患や不整脈等の患者に対して、主に内科的な治療を行っていました。
また、患者に手術が必要な場合は、小児心臓外科と連携をしながら行います。
そのため、小児循環器科病棟で働く看護師の仕事内容は主に、胎児期の患者の家族に対しての説明の同席やサポート、検査の介助、新生児期の患者に対しての薬剤の管理と異常の早期発見、乳幼児期の患者に対しての退院調整、術前・術後の看護等、多岐にわたります。
以下では、私の経験をもとに小児循環器科病棟で働く看護師の仕事内容の詳細について詳しく説明していきます。
胎児期患者の家族への疾患の説明やサポート等
私が勤務した病院の小児循環器科病棟に入院する患者の大部分は出生直後の新生児でした。
そのため、患者やその家族への疾患の説明やサポート等は胎児期に、その家族へ行うことがほとんどです。
検査等である程度の新生児の先天性心疾患が予測できた時点で、疾患に対してのおおよその説明や予測される治療経過をその家族へ医師が説明します。
小児循環器科病棟に勤務する看護師は、医師の説明に同席し、看護師の立場から新生児やその家族の心の準備をサポートすることが重要な仕事です。
看護師の体験事例
患者(胎児)の家族にとっては、とても辛い説明となるため、大きなショックを受けてしまうことは避けられませんでした。
ただ、看護師として患者(胎児)の家族をサポートし、胎児期から子どもの特性を理解し、出産に備えておくことは子どもにとっても、家族にとっても非常に大切なことだと感じました。
また、この時の説明次第で子どもと家族の人生が変わるといっても過言ではありませんでした。
検査の介助(心臓カテーテル検査等)
小児循環器科病棟の患者への主要な検査としては、心臓カテーテル検査があります。(心臓カテーテル検査は、血管内にカテーテルを挿入し、カテーテル先端を心臓まで到達させて行う検査のことです。)
主な検査目的は、冠動脈の狭窄程度、弁膜症の逆流や心臓の動きの確認、心臓内圧の評価などを行うためです。
小児循環器科病棟は心臓カテーテル検査等の介助を行うことも、大切な仕事の1つです。
また、心臓カテーテル検査では、カテーテルを挿入して血管を拡げることや、デバイスを留置するなどの直接治療を行うこともあります。
看護師の体験事例
数時間に及ぶ同一体位での安静保持は大人でも辛く、子ども(患者)が動かずにじっとしていることを指導することは、看護師としてとても難しかったです。
そのため、私は小児循環器科病棟の看護師として、丁寧な事前説明や、子ども(患者)の好きな動画などをあらかじめ聞いておくことで安静保持の助けになるように動いていました。
また、私が勤務していた小児循環器科病棟では、子ども(患者)の状況によっては鎮静剤を使うなどの対応も行っていました。
薬剤の管理と異常の早期発見(新生児期)
胎児診断を経て生まれてきた新生児は、病態によって心臓の動きをサポートする薬や、動脈管が閉じてしまわないようにする薬などによる内科的治療に加え、場合によっては出生直後に外科手術に臨む場合もあります。
さらに、胎児診断を経て生まれてきた新生児は病態によっては生命の危機に直面している状況でもあります。
そのため、看護師は主に新生児(患者)に対して薬剤の適切な投与と異常の早期発見、安静保持などが仕事内容です。
また、心臓への負担を考慮し、水分制限がある新生児(患者)も多く、満足に哺乳ができず啼泣する場合も多いです。看護師は、新生児(患者)を抱っこやおしゃぶり、スイングラックなどを駆使しながら、安静時間をつくることも大切な仕事の1つです。
看護師の体験事例
赤ちゃんというのは泣くのが仕事と言うほど啼泣により数々の欲求を伝えます。
啼泣時間が長引くほど心臓への負担は強くなるため、看護師として赤ちゃんの欲求を瞬時に判断し、欲求を満たしながら、落ち着かせる必要がありました。
退院調整(乳幼児期)
出生直後の生命の危機を無事に乗り越え、患者が乳幼児期になる頃には、退院を目指して調整する場合が増えてきます。
小児循環器科病棟に入院する患者は、退院といっても治療が終わったわけではなく、最終的には外科的治療を受けるために自宅療養となる場合が多いです。
そのため、小児循環器科病棟に勤務する看護師は、患者の家族に対して、患者の急変時の対応の指導、BLS講習のサポート、哺乳寮の管理の指導などが主な仕事です。
看護師の体験事例
先天性心疾患の患者の多くは、内科的治療だけで根治することは、とても少ないです。
そのため、通院を続けながら最終的には外科的治療で一般的な2心房2心室の形(もしくは循環が維持できるような心臓の形)へ修復することが、患者には必要でした。
その外科手術を行うためには、身体が小さく、余力のない新生児では耐えられないことも多いです。ある程度、患者の状態が落ち着いたタイミングで自宅に帰り、家族の時間を過ごしてもらうために、小児循環器科病棟で働く看護師としては退院調整が必要でした。
術前・術後の看護(乳幼児期)
私が勤務していた小児循環器科病棟では、患者が乳幼児期となり、ある程度体重が増え、外科的治療に耐えられる状況になれば、小児心臓外科と連携して計画を立て手術を行っていました。
乳幼児期の患者の手術は、一度の手術で全部修復する場合や、侵襲が大きい場合は何回かに分けて手術をする場合もあります。
そのため、小児循環器科病棟で働く看護師は乳幼児期の患者の術前・術後の看護も大切な仕事の1つです。
看護師の体験事例
乳幼児期の患者の場合、自身の自我が新生児期よりも強くなります。
そのため、看護師としては、乳幼児期の患者の性格を把握することや、好きなこと、嫌いなことも確認し、手術に向けて安心できる環境を整えることも大切な業務でした。
また、手術までは自宅療養を行っているため、家族の生活習慣の影響を受けながら乳幼児期の患者は育っています。私は看護師として、子どもだからと油断せず、丁寧に生活背景を聞き取りながら援助を心掛けていました。
小児循環器科病棟で看護師として働いて感じたこと
私が小児循環器科病棟の看護師として、働いて感じたことを説明していきます。
小児循環器科病棟を希望する看護師の方は、ぜひ参考にしてみてください。
循環動態が理解できる
私は看護師として小児循環器科病棟での経験を通じて、循環動態について深く理解できました。
特に先天性心疾患は、その病態により循環動態が大きく異なります。教科書で見るような理想的な構造とは異なり、複数の合併症や例外的な構造が見られ、これらを理解することは容易ではありませんでした。
私が勤務していた小児循環器科病棟では、家族への説明をサポートするための説明用紙が用意されていました。これを通じて、患者の疾患を家族の視点から考えることや、医師に直接質問して知識を深めることなど、患者とその家族とのコミュニケーションが重要であることを学びました。
急性期の患者が多いので忙しく感じることがある
私が勤務していた小児循環器科病棟では、基本的には急性期の患者が多く、観察項目や投薬、検査、手術など、看護師の業務が多岐にわたる印象がありました。
その中で患者である子どもをあやすことや、赤ちゃんが多いために授乳やおむつ交換などをすることがあり、これらのケアに従事する中であっという間に時間が経つ日々でした。
看護師の仕事が暇よりも良いと感じる方もいるかもしれませんが、慢性期病棟のみを経験している看護師にとっては、慌ただしさを感じるでしょう。
20歳を超えても小児循環器科へ通院している患者も多い
私の小児循環器科病棟で働いた経験からですが、小さいころに心疾患を患った子どもたちは、成長しても定期的な心機能の評価が必要であり、しばらく通院が必要なケースがよく見られました。
特に外科的手術を受けた患者たちは、生活に何らかの制限が残ることがあり、薬を継続して摂取しなければならない場合もあります。
その結果、患者は大人になっても心疾患との向き合いが続くことがあります。
20歳を超えた患者は本来的には成人の循環器科に移行するべきですが、これが簡単な話ではありませんでした。
先天性心疾患は非常に複雑で、複数の心疾患が同時に存在することがほとんどであり、過去の内科的治療や外科的治療の経過もバラバラです。そのため、20歳を超えても成人移行が難しく、小児循環器科を受診し続ける患者も多い印象でした。
患者にとっては、慣れ親しんだ医療者のもとでの通院が安心できる一方で、入院が必要な場合は子どもたちばかりの病棟での滞在が精神的な負担に感じやすいです。
さらに、患者が成人移行を望んでも、背景の複雑さから適切な病院が見つからないという課題もありました。
これらの課題に対処するために、小児循環器科病棟の看護師として患者とその家族とのコミュニケーションや、専門的なサポートがますます重要になると感じました。
心電図が読めるようになる
私が小児循環器科病棟で働く中で、看護師として心電図の読解能力を身につけることができました。
成人看護と異なり、小児循環器科病棟では患者の対象が基本的に子どもであるため、心拍数が速く、大人の心電図ほど分かりやすくないことに苦労しました。
小児循環器科病棟では、心電図は患者の心臓を評価する上で非常に重要な指標となります。そのため、働きながら心電図を読み解けるようになることは不可欠でした。
私は、日常的に接する心電図の読解に慣れるまでには約3ヶ月かかりました。この期間中、さまざまなケースの心電図を見ながら、専門的な知識やスキルを磨くことが求められました。
患者を救うことが難しい現実もある
小児循環器科病棟では、治療を行ったにも関わらず、時には患者を救うことが難しい現実もあります。
特に末期心不全は、症状が増悪し、寛解するサイクルを繰り返しながら徐々に悪化していくという経過をたどります。
症状の増悪の時、再び寛解するのか、それとも症状の緩和に焦点を当てた看取りが必要なのか、その判断は非常に難しいものであり、正しい答えは存在しないと感じます。
ただし、このような状況に直面する前に、患者とその家族とで将来の不測の事態に備えて十分にコミュニケーションをとることが、看護師としては重要だと感じます。
Advance Care Planning(ACP)と呼ばれるこのアプローチは、末期心不全が緩和ケアの対象となり、緩和ケアの専門家と協力して将来にわたる治療方針を検討する際に役立ちます。
私は、病院内の緩和ケアチームとの連携により、患者が自宅には退院できない状況でも、病室内で苦痛を和らげつつ、好きなものに囲まれた生活ができたり、看取りの場を整えて穏やかな空間を提供できたり、亡くなった子の兄弟姉妹へのサポートも行えました。
小児循環器科病棟で看護師として働くことで、終末期や緩和ケアにおいては、各専門家が連携し、患者の生活の質(QOL)向上に貢献できると感じています。
急変対応に強くなる
小児循環器科病棟の患者は、心疾患に関する急変のリスクが高いです。また、予測不可能なタイミングで患者が急変することもしばしばありました。
看護師として、急変に対応することは望ましい経験ではありませんが、小児循環器科病棟で働くと、急変の現場に遭遇する頻度が通常の病棟よりも高い印象がありました。
患者の急変が繰り返し起こるため、小児循環器科病棟で看護師として経験を積むことで、私は患者の急変時に冷静に対処できるようになりました。
その一方で、急変のリスクが高いことからくる緊張感は常に存在し、特に子どもたちの命と向き合うことは容易ではありません。
仕事にはやりがいがありますが、息抜きが難しいと、時折つらさを感じることもありました。
希望の診療科への求人探しは看護師転職サイトを活用しよう
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対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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まとめ
小児循環器科病棟で働く看護師の仕事は、主に小児患者の心臓や血管系に関連する疾患に対する専門的な看護ケアを提供することです。
心臓疾患を抱えた子ども(患者)たちの治療には、心電図の読解や急変時の対応が欠かせません。また、小児循環器科病棟で働く看護師は、一般病棟よりも患者の急変の頻度が高く、患者の状態を安定させるためには迅速で的確な判断が求められます。
私の経験からですが、小児循環器科病棟での看護師の仕事は、やりがいのある一方で子どもたちの命に向き合う緊張感も伴います。
興味がある看護師の方は、ぜひ一度、小児循環器科病棟の看護師として働いてみませんか?
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会社ホームページ | https://peko.co.jp/ |
所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂3丁目1-16 BIビル6F |
代表取締役 | 辻󠄀 昌彦 |
設立 | 2015年6月 |
資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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厚生労働大臣許認可 | 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) 特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
連絡先 | 03-5324-3939 (受付時間:休日、祝日を除く10:00~17:00) |
お問い合わせ | https://peko.co.jp/inquiry |
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