特別支援学校で働く看護師の仕事内容と体験談
看護師の皆様は、特別支援学校に対して、どのようなイメージがあるでしょうか。
例えば、「小児看護の経験がないと看護師としての関わり方が難しい」「知らないから看護師として働くことができないイメージがある」等の声が上がるのではないでしょうか。
文部科学省では、特別支援学校を以下のように定義しています。
特別支援学校とは、障害のある幼児児童生徒に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること目的とする学校。【対象障害種】視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)
出典:特別支援教育の現状 文部科学省
私は、小中学校一貫制で小学部児童数(約70名)と中学部児童数(約70名)が通っている特別支援学校で、現在看護師として勤務しています。約140名の児童数がある中で、看護師は4名が常勤で働いています。(小学部担当の看護師2名と中学部担当の看護師2名)
特別支援学校で働いている職員や職種は、校長や教頭を始め、特別支援学校教諭、保健室養護教員、看護師、事務員、栄養管理士、給食調理員、送迎バス介助員・運転手、警備員などです。
以下では、私の経験から特別支援学校で働く看護師の仕事内容や働いて感じたことを説明していきます。
執筆・監修看護師- 保有資格:看護師
- 施設経験:総合病院、訪問看護、特別支援学校、介護施設
2008年に准看護師免許、2017年に看護師免許を取得し、総合病院や訪問看護、特別支援学校、認知症グループホームなどの看護師経験があります。現在、Webライター兼看護師として活動中です。
特別支援学校で働く看護師の仕事内容
特別支援学校で働く看護師の仕事内容は、医療ケアが必要な児童の体調管理や安全・安楽に児童が学習し、他の児童と関わりをもてるような環境を整えるためにサポートしていくことです。
そのため、特別支援学校で働く看護師は、医療的ケアが必要な児童を担当します。
私が勤務していた特別支援学校では、看護師は常に2名体制で医療ケアが必要な児童の観察や体調管理、医療的ケアを行っていたため、ゆっくり児童に関わりました。
以下では、私の経験から特別支援学校で働く看護師の仕事内容の詳細を説明していきます。
入学前のカンファレンス対応
体調が不安定で急変リスクが高い児童に関しては、特別支援学校への入学前に、児童の保護者を始め教諭(又は教頭や校長)、保健室養護教員、看護師等でカンファレンスを行います。
主にカンファレンスは、以下の目的で行われます。
- 児童の保護者とのコミュニケーション
- 児童への対応の事前確認
- 医療ケアや介助方法の確認
- 急変時の対応希望等
看護師は、特別支援学校で働くどの職員でも同じように急変時に対応できるように、マニュアルを作り、他の職員と共有することも仕事の1つです。
看護師の体験事例
また、カンファレンスでは保護者に対して、児童にとっては初めての環境となるため、通常以上に緊張し疲れが出やすく、発熱や痙攣が起きやすい状況となりやすいことを、事前に説明しておくよう心がけていました。
児童の体調管理
特別支援学校に医療的ケアが必要な児童が出席する際の体調管理を行うことは、看護師の重要な仕事の1つです。
授業を受けている途中に医療的ケアが必要な児童の状態変化があった場合には、看護師がバイタルサイン計測等を行い、授業を継続して受けられるかどうかを判断します。
また、児童の体調管理の一環として、春と秋に健康診断のサポートも行い児童の発達状況を看護師が確認します。
看護師の体験事例
また、医療的ケアが必要な児童の体調が思わしくない場合の対応策として、保健室で休ませることや自宅への帰宅などが主な対応でした。
学校における医療ケア
医療的ケアが必要な児童が通院している病院の医師から「学校における医療ケアの指示書」が出ています。
そのため、特別支援学校で働く看護師は、その指示書に基づいて児童に医療ケアを行うことが仕事です。
具体的な医療ケアの例としては、喀痰吸引・導尿・経管経鼻栄養・血糖測定・インスリン注射・呼吸器管理・気切管理・PEG管理・ストマ管理などが挙げられます。
また、特別支援学校で働く看護師は、指示書に基づいた計画書(ケアプラン)や報告書を作成し、学校での児童の様子を医師に伝え連携する役割も担っています。
看護師の体験事例
そのため、臨時の看護師でもマニュアルを確認することで、医療ケアを児童に適切に提供できるようになっていました。
児童の薬物管理等
特別支援学校で働く看護師は、児童の薬物管理、頓服薬の管理、インスリン注射等を行うことも仕事の1つです。
薬物管理では、児童たちの定期的な薬物の管理を行い、投与スケジュールを管理し、適切な量とタイミングで薬を服薬してもらいます。
また、頓服薬の管理では、 抗痙攣薬、抗アレルギー薬、解熱剤など必要に応じて児童に提供します。
看護師の体験事例
また、投薬後は服用したという確認のため薬包を持って帰ってもらうようにしていました。
児童の急変時の対応
特別支援学校で働く看護師は、児童が急変を起こした場合に素早く適切な対応を行うことが求められます。
主に、熱発からの意識レベル低下や痙攣発作、SPO2低下、アナフィラキシーショックなどの救急対応を行います。
その場の応急処置を始め、病院の医師や教諭、児童の保護者と連携します。
看護師の体験事例
連携することで、急変時対応をあらかじめ確認し、救急搬送がスムーズに行えるようにするためです。
また、急変時は、すぐ教諭に救急搬送要請と親に電話連絡をしてもらい、看護師は急変している児童から離れないように対応していました。
他施設等との連携
特別支援学校では、特に医療的ケアが必要な児童に関して、他の施設との連携を取ることも看護師の仕事の1つです。
主に、児童の親や学校関係者、児童が通院している病院や放課後デイサービスなどと連携を図ることで、児童の安全と快適な状態を保ち、成長と発達を促進するために協力します。
また、児童の個人情報保護に留意しながら、看護師は必要に応じて他の施設とコミュニケーションを取る役割も担います。
特別支援学校で看護師として働いて感じたこと
私が特別支援学校の看護師として働いた際に感じたことや、病棟勤務の看護師と異なることを体験から説明していきます。
仕事を始めてからの不安はなかった
私が初めて特別支援学校の看護師として勤務した際に、仕事を行うまで不安でした。
しかし、特別支援学校では、児童に対し関係者全員で共有し、関わっていくため仕事を行った際の不安は一切ありませんでした。
私が勤務していた特別支援学校では、看護師1人で児童の対応をするわけではなく、児童に関わる学校職員も情報共有し、関わるため、報告・連絡・相談が行なえ、とても心強くて助かりました。
また、看護師は2名体制のため、何かあれば看護師同士でも相談ができ、困っていたら助け合うことができました。
ルーティン業務と見守りが多い
特別支援学校で働く看護師は、1日の流れがほぼ同じであり、ルーティン業務と児童の見守りが主です。
病棟勤務の看護師のような忙しさはありませんが、ルーティン業務のため仕事内容がマンネリ化もしやすいです。
ただ、児童の急な熱発や痙攣があった際は救急対応を行うため、忙しくなります。
看護技術は低下する
特別支援学校で行う医療ケアは、痰吸引・導尿・胃ろう管理・血糖測定・インスリン注射・坐薬挿入・呼吸器管理・気切管理・エピペン注射(緊急時のみ)を行っていました。
一般的な病院で行う採血や点滴などは行わないため、血管確保の技術は看護師として衰えていく可能性があります。
また、特別支援学校の看護は、児童の「成長・発達」に寄り添うことであり、最新看護技術を学んでいた場合でも、使用する機会はかなり無いに等しいです。
日勤業務のみで休みも多い
特別支援学校で働く看護師は日勤業務のみです。さらに、私が勤務していた特別支援学校では、看護師の残業はほとんどありませんでした。
また、特別支援学校が開いていない土日祝日や、夏・冬・春休みなどに合わせて、看護師も休みになります。(夏休みは1部学年別で登校することもあります。)
そのため、ライフワークバランスが良く、メリハリのある生活ができました。
ただし、病棟勤務の看護師と比較して、夜勤がなく休みも多いため、看護師の給料は少なくなる傾向があります。
児童の成長を間近で見られるやりがいがある
関わる児童の成長を間近で見られることは、非常に楽しく、私はやりがいを感じました。
これまで児童ができなかったことが成長と共にできるようになったり、発達が進むことでさまざまな感情表現が増えたり、感動する瞬間も一緒に経験できました。
また、看護師として児童との関わりが増えるごとに、彼らとの絆が深まり、しんどくなる前の兆候を察知することができたり、彼らの得意な分野を見つけてサポートできたりすることもありました。
これらの発見を児童の親と共有することで、彼らの新たな将来への道にも繋がっていくこともあります。
私は、看護師として特別支援学校に勤務できて良かったと感じています。
特別支援学校の看護師求人を探すには?
特別支援学校は主に、公立と私立に分けることができます。公立の特別支援学校で看護師として働く場合は、地方公務員となります。
そのため、特別支援学校の看護師求人を探す場合、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)、ハローワーク、各自治体の募集ページを活用することがおすすめです。
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対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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各自治体の公式ページも確認
特別支援学校を運営している自治体の公式ページから、看護師の募集が出る場合も多いです。
(主な採用時期は3月~5月頃ですが、随時募集を行っている場合もあります。)
また、ハローワークと合わせて活用することで、正職員以外の求人も探すことが可能です。
公立の特別支援学校を希望している看護師は、各自治体の公式ページを常に確認しておきましょう。
まとめ
特別支援学校の看護師の仕事内容や働いて感じたことを説明してきましたが、特別支援学校で働く看護師のイメージは伝わりましたでしょうか。
小児看護は、児童の親も関るため、仕事内容として難しい印象もあると思います。
しかし、特別支援学校は病棟ではなく、児童の体調管理や安全・安楽に児童が学習することをサポートするため、実際関わってみると案外難しくありません。
私は特別支援学校の看護師として勤務し、児童の成長発達がみられることが楽しく、働きながら気持ちも癒されています。
看護師をしていて感動できる場面は少ないですが、学校は唯一感動が多い職場だと私は感じます。
是非、興味がある看護師の方は特別支援学校の看護師として一歩踏み出してみてください。
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資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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