リンパ浮腫外来で働く看護師の仕事内容と体験談
リンパ浮腫外来は、乳癌の手術によってリンパ節を切除した患者や術後の放射線治療で生じた患肢側の浮腫がある患者に対して、リンパ浮腫ケアの資格を持った看護師が、医師の指示のもとに適した治療やケア、指導を行う外来です。
私は、リンパ浮腫外来がある12床の有床クリニックで5年間、看護師として勤務した経験があります。
自分が行うリンパ浮腫治療により明らかに患者の症状が軽減し、ADLが向上するのを目の当たりにできる診療科のため、看護師としての大きなやりがいと楽しさを私は感じました。
以下では、リンパ浮腫外来で働く看護師の仕事内容や看護師として働いて感じたことを、私の経験から説明していきます。
執筆・監修看護師- 保有資格:看護師、医療リンパドレナージ
- 施設経験:大学病院、クリニック
- 専門分野:乳腺外科、リンパ浮腫外来
大学病院に勤務後、乳腺外科の有床クリニックに勤務し、リンパ浮腫外来を経験。看護師として約18年勤務し、多岐に渡る診療科を経験。現在は育児のため求職しながらライター業務に専念中。
リンパ浮腫外来で働く看護師の仕事内容
私が勤務したリンパ浮腫外来は、12床の病棟と手術室、化学療法室、乳腺一般外来・リンパ浮腫外来、MRI・CT・骨シンチ検査が行える放射線科を完備している有床クリニックでした。(乳癌治療に必要となる検査・治療全般をフォローできる体制が整っていました。)
また、看護師は常時10名ほど在籍していましたが、リンパ浮腫外来を担当する看護師は、リンパ浮腫ケアの資格(医療リンパドレナージセラピストやリンパ浮腫療法士等)を有する必要があり、該当する看護師は私を含めて2名でした。
リンパ浮腫外来で働く看護師は、患者へのセルフケアの指導やリンパ浮腫の患者へ治療やケア、カウンセリング等が主な仕事内容です。
以下では、リンパ浮腫外来で看護師として働いた経験をもとに、仕事内容の詳細を説明していきます。
受診前患者の情報収集
リンパ浮腫外来の受診を希望する患者に対して、事前の診察結果を踏まえながら患者の手術経歴や現病状・既往歴などの情報収集を行うことも看護師の仕事の1つです。
一般的にリンパ浮腫外来では、医師が病状を確認(診察)したうえで、リンパ浮腫治療を許可する指示が出されます。
そのため看護師は、治療方針を確認しながら患者の情報収集や注意事項なども確認しながらカルテに記載していきます。
看護師の体験事例
また、他院からの患者も受け入れていましたが、患者に紹介状と画像検査の結果を持参してもらい、同様に事前診察を受けることが必須でした。
患者へリンパ浮腫の病態・予防行動の指導
リンパ浮腫外来では、患者が初回受診の際は、カウンセリング及びパンフレットを用いてのリンパ浮腫の病態の説明、予防行動の指導を行うことが看護師の仕事です。
その際に、リンパ浮腫外来で働く看護師として、患者の不安や悩みに寄り添いながら信頼関係を築くことが大切です。
また、リンパ浮腫外来は開設している病院やクリニックが少なく、リンパ浮腫を抱えながらも相談の場が得られずに苦しんでいる患者は多いことが現状です。
看護師の体験事例
治療等で患者に服を脱いでもらう機会が多いため、院内ではパーテーションを多めに置くことや、優しい音楽を流してリラックスできる空間作りを意識していました。
患者のカウンセリング時に「やっと診てもらえる所が見つかった。浮腫が悪化しても諦めるしかなかった。手術して病気は治ったのだから良いと言う人もいた。辛くて孤独だった。本当にありがたい。」と言いながら涙を流す患者も少なくありませんでした。
リンパ浮腫の患者へ治療やケア・指導
リンパ浮腫外来では、リンパ浮腫の治療やケア、指導を行うことが看護師の重要な仕事です。
(リンパ浮腫外来で患者のケアを担当する看護師は、一般的に「医療リンパドレナージセラピスト」や「リンパ浮腫療法士」などの資格を看護師免許以外にも保有しています。)
そのため、看護師は患者のリンパ浮腫の状況を病期分類や、症状に合わせて適した治療を選択することが求められ、以下のような治療・ケア・指導を行います。
- リンパドレナージのみの単独施術
- 弾性包帯とリンパドレナージを併用して効率良くリンパの流れを促す
- 弾性スリーブの選択・購入手配・着脱指導
(適切に弾性スリーブ・弾性包帯が使用できているかをチェック) - 弾性包帯の選択・購入手配・着脱指導
- 定期的に受診して症状の変化を評価
- 適宜治療内容を変更
※勤務するリンパ浮腫外来によって治療・ケアや指導内容、治療選択の有無は異なります。
リンパ浮腫治療は長期的な介入が必要であり、まずは組織をほぐす介入をしてからリンパ液を流れ易くする介入、その後に患肢を細くする介入に移行するといった、段階的なアプローチが重要です。
看護師の体験事例
また、治療前と治療後は、毎回必ず患者の患肢の周径を専用メジャーで計測します。
患者へセルフケアの指導
前述した「リンパ浮腫の患者へ治療やケア・指導」と合わせて、患者へのセルフケアの指導も看護師の仕事の1つです。
私が勤務していたリンパ浮腫外来では、「セルフリンパドレナージ法(自分で流れの悪くなっているリンパ節を避けて、正常な働きのあるリンパ節へ誘導する方法)」等を看護師が指導していました。
看護師の体験事例
そのため、何度も患者の思いや生活状況を看護師として確認しながら、継続可能な目標を設定するように私は心がけていました。
また、どうしても継続できない患者には、リンパ浮腫症状の悪化を防ぐために最低限できる事を提案し、決して諦めずに臨機応変にプランを変更して観察を続けていました。
患者の治療状況のアセスメント
リンパ浮腫外来では、患者の現在の治療法による反応や問題点をアセスメントし、今後の治療方針を考えることも看護師の仕事の1つです。
患者の治療が終了したら、病状と本日の治療内容や次回受診日をカルテに記載します。
一般的にリンパ浮腫外来で患者の治療を行うリンパドレナージセラピスト等の資格を持つ看護師たちとスムーズに共有できるように記録は詳細を残すように心がけます。
リンパ浮腫外来で看護師として働いて感じたこと
私がリンパ浮腫外来で看護師として働いて感じたことを説明していきます。
リンパ浮腫外来へ転職を希望する看護師の方は、ぜひ参考にしてみてください。
リンパ浮腫ケアの資格が必要
リンパ浮腫外来で看護師としてリンパ浮腫ケアを患者に行う場合、リンパ浮腫ケアの資格が必要です。(勤務する病院・施設により多少異なります。)
リンパ浮腫ケアの資格は代表的なもので、以下の2つがあります。
医療リンパドレナージセラピスト |
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リンパ浮腫療法士 |
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※その他にも「リンパ浮腫セラピスト」「リンパ浮腫指導技能者」「リンパ浮腫療法士(LT)」等もあり、難易度は同等となります。
いずれにしても、簡単に取得できる認定資格ではないため、リンパ浮腫外来に興味がある看護師の方は、転職先の職場にまずは相談してみると良いでしょう。(入職した看護師に対して、資格取得の支援を行っている病院や施設もあります。)
私は、入職して3年は乳腺治療・看護について学びながら勤務を続けたのち、乳がん看護認定看護師を目指すための第一段階として、医療リンパドレナージセラピストの資格を取得しました。
資格取得後は、通常業務と並行しながら週に2回のリンパ浮腫外来を担当しました。
リンパ浮腫外来に転職を希望する看護師の方は、リンパ浮腫ケアの資格を保有していた方が採用されやすいと思います。
リンパ浮腫ケアの資格を持つスタッフが不在の場合
リンパ浮腫ケアの資格を持つ看護師やスタッフが不在の場合(退職した場合)、リンパ浮腫外来を継続できず、閉鎖せざるをえなくなります。
そのため、少人数の看護師でリンパ浮腫外来を行っている場合、長期的に安定して患者をフォローし続ける体制の維持が困難であるという課題を感じました。
また、リンパ浮腫外来は全国的にも数が少ないため、看護師として次の転職先にも苦労する場合があります。
治療やケアには心理的プレッシャーがある
リンパ管の流れは癌の転移経路にもなりうるため、患者へリンパドレナージの施術をする際には神経を使いました。
リンパ浮腫外来では、安全な経路で安全な場所にリンパ液を流すスキルが看護師に求められ、「万が一病状を悪化させるようなことになってはいけない」という心理的プレッシャーは強かったです。
また、既往歴の疾患も悪化させることがないよう、乳癌以外の部分にも気を配る必要があります。
患者を受け入れる前には入念に情報収集をすることや、他のリンパ浮腫ケアの資格を持つ看護師と相談するなどを行い、安全に治療が行えるよう常に注意しながら業務にあたっていました。
治療やケアには体力が必要
患者へのリンパドレナージの施術は患肢部位のみでなく腹部・鼠径部から背中まで、上半身全体にかけて広い範囲でマッサージを行います。
施術者である看護師は常に中腰状態で全身を使ってマッサージを行うため、終了時は汗だくになり腰痛が出ることもありました。
また、リンパドレナージだけでなく弾性包帯を巻いたり、指導のための会話も多くしたりするため、とにかく体力を消耗したことを覚えています。
そのため、私が勤務していたリンパ浮腫外来では、1日に3人の患者を担当するのが体力的に精一杯という状況でした。
患者は自費診療(自由診療)になる
リンパ浮腫外来では基本的に自費診療(自由診療)としている場合が多く、健康保険の対象とならないため患者に負担がかかります。(ただし、弾性着衣の購入費用については、続発性リンパ浮腫のほとんどの場合が療養費払いとして健康保険の適用となります。注:購入費用の上限7割還付)
自費診療ですが、リンパ浮腫外来に看護師として勤務して、症状が軽減すると患者は更に前向きな気持ちになり、笑顔も増える印象でした。
そのため、来院する患者からは「ありがとう!昔とは全然違う。もう辛い痛みは感じなくなった。困った時は相談できる場所があると思うだけで、大きな支えになる。」といった声をかけて頂くことも多く、リンパ浮腫外来に看護師として勤務して良かったなと、いつも感じていました。
様々な症例を経験できて学びになる
リンパ浮腫外来では、リンパ浮腫と言っても、患者によってその症状は様々で、治療しても反応が良い場合もあれば、手強い症例もありました。
また、患者自身の生活背景やセルフケア能力なども大きく治療に関わってくるため、様々なパターンの症例を看護師として経験できたと感じます。
私は患者の状況に応じて少しずつ手法を変え、トライを繰り返して改善を目指していく介入を常に行っており、その1つ1つの経験と感覚は着実にスキルアップに繋がったと思います。
さらに、私が勤務していたリンパ浮腫外来では、活動内容や治療結果、珍しい事例に関しては乳癌学会やリンパ浮腫学会で演題発表を行うこともしました。
患者と深い信頼関係が築ける
私がリンパ浮腫外来に看護師として働いて感じたことは、患者の体に直接触れながら施術するといった治療の特性上、患者との信頼関係は築きやすいということです。
患者が受診を繰り返すうちに、お互いの信頼関係ができてくるため、患者は心を開いてたくさんの不安や悩みを看護師の私に打ち明けてくれました。
その内容はリンパ浮腫だけにとどまらず、現在受けている乳癌治療への疑問や不安、主治医への要望など様々でした。
状況に応じて看護スタッフや医師と共有し、患者が安心して乳癌治療が受けられる環境を調整する橋渡しの存在になることは多かった印象です。
リンパ浮腫外来の看護師求人が多い転職サイト
看護師の転職先である施設は、一般的に病棟や外来等で大きく区分されています。
そのため、看護師が病院やクリニックの「リンパ浮腫外来」へ転職を考えた場合、希望の部署に配属されるように面接時に交渉する必要があります。面接時に交渉は行ったことがない、どうやって交渉して良いか分からない看護師の方が大半だと思います。
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さらに、以下ではリンパ浮腫外来の看護師求人や規模が大きな病院求人が多く、交渉能力が高い、看護師転職サイトをご紹介します。
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対応 雇用形態 | 常勤(夜勤有り)、日勤常勤、夜勤専従常勤 |
対応施設 | 総合病院、一般病院、クリニック、特別養護老人ホーム(特養)、訪問看護、有料老人ホーム、デイサービス、重症心身障害者施設、保育園、検診センター |
対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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公開求人数 | 82,343件 (2024年12月2日時点) |
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対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師、ケアマネジャー |
対応 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託その他 |
対応 勤務形態 | 常勤(二交替制)、常勤(三交替制) 、夜勤なし、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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公式サイト:https://kango.mynavi.jp/
まとめ
私は、乳癌看護のプロフェッショナルを目指したいと考え、乳腺外科専門のリンパ浮腫外来がある有床クリニックで5年間勤務しました。
入職して3年は乳腺治療・看護について学びながら勤務を続けたのち、乳がん看護認定看護師を目指すための第一段階として、医療リンパドレナージセラピストの資格を取得しました。
そのため、初めからリンパ浮腫外来に看護師として勤務しようと考えていたわけではありませんが、経験できて良かったと心から感じます。
この記事を読んでいただいた看護師の方が、リンパ浮腫外来に興味をもっていただき、1人でも多く働く看護師が増えたら良いなと思います。
また、働くためにはリンパ浮腫ケアの資格が必要ですが、資格取得を目指す前にまずは転職先の職場に相談してみることも1つの手です。
看護師転職サイトを活用される方は、担当者に相談しながら、資格取得支援を行ってくれる職場を探してみてください。
このサイトの運営者情報
運営会社 | 株式会社peko |
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会社ホームページ | https://peko.co.jp/ |
所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂3丁目1-16 BIビル6F |
代表取締役 | 辻󠄀 昌彦 |
設立 | 2015年6月 |
資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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厚生労働大臣許認可 | 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) 特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
連絡先 | 03-5324-3939 (受付時間:休日、祝日を除く10:00~17:00) |
お問い合わせ | https://peko.co.jp/inquiry |
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