リウマチ科で働く看護師の仕事内容と体験談
リウマチ科は、関節リウマチを含むリウマチ性疾患(関節や筋肉が痛む疾患)の診断と治療を行う診療科です。
主に関節炎や軟部組織疾患、自己免疫疾患、変形性関節症、膠原病など、様々な関節と結合組織に関連する疾患を対象とし、リウマチ科の外科と内科がチームとして患者へトータルケアを提供していました。
以下では、私の経験をもとにリウマチ科病棟で働く看護師の仕事内容や、リウマチ科病棟で働いて感じたことを説明していきます。
執筆・監修看護師- エリア:東京都在住
- 保有資格:看護師、保健師
- 施設経験:総合病院
- 専門分野:リウマチ外科、膠原病内科、整形外科、形成外科、歯科口腔外科
3次救急病院に12年間看護師として勤務。現在は専業主婦の傍ら、看護師ライターとして活動中。
リウマチ科病棟で働く看護師の仕事内容
私が勤務していたリウマチ科病棟では、主に関節リウマチの患者に人工関節置換術を行っていました。
手術は主に人工股関節全置換術(THA)が多く、その他に人工膝関節全置換術(TKA)、人工肩関節全置換術、人工肘関節全置換術、人工足関節全置換術、人工指関節全置換術、足趾形成術などが行われます。週に2日は患者の手術日であり、多い時には週に4人の患者が手術を受けることがありました。
そのため、リウマチ科病棟で働く看護師は、患者の日常生活の介助、手術後の周術期の看護、患者の疼痛管理や内服薬の管理が主な仕事内容です。また、「リウマチ外科」と呼ばれる看護師の仕事内容も多い印象でした。
以下では、リウマチ科病棟で働く看護師の仕事内容の詳細を説明していきます。
患者の日常生活の介助
リウマチ科病棟で働く看護師は入院患者の日常生活の介助も仕事の1つです。
関節リウマチは、関節の滑膜に生じる増殖性滑膜炎により疼痛や腫脹が出現し、関節の破壊が進行する病気です。
そのため、入院患者の日常生活動作に様々な制限があり、日常生活の介助が必要です。具体的には、患者のトイレ介助や食事介助、入浴介助など、日々の業務に加えて日常的な介助も看護師が行います。
ただし、看護師が患者の日常生活をすべて介助してしまうと、入院や手術を行ったことにより患者のADLを低下させる恐れがあります。看護師は患者のADLを低下させないように、介助しすぎないように心がけます。
看護師の体験事例
例えば、手指の変形がある場合でも、自助具などを活用して上手に食事を摂ることや、身の回りのことを自分で行っています。
そのため、入院中に看護師がやった方が早いのにと思うことは沢山ありましたが、安全が保たれていて、かつ患者が助けを求めていない時は、私はゆっくりと患者の動作を見守り、必要であればいつでも手助けができるように関わっていました。
周術期の看護
リウマチ科病棟に限らず、看護師は患者が入院してから手術を受け、退院するまでの周術期の看護を行います。
リウマチ科病棟に入院する術後患者は、ドレーン、神経ブロック・硬膜外麻酔カテーテル、点滴、尿道留置カテーテルなど多くの管が挿入されていることがあります。
そのため、看護師はこれらの管理を行うことや術前術後でアセスメントを行い、必要に応じて患者の自己抜去を防止する対策を行います。
また、ドレーンの管理や患者の貧血のチェックを行い自己血の返血なども看護師の仕事内容です。
看護師の体験事例
術前はしっかりしていた患者でも、ドレーンや尿道留置カテーテル、点滴などすべてを引き抜いて廊下に歩いて出てくる患者さんもいました。
そのため、看護師は患者から点滴の刺入部が見えないように包帯を巻いて隠すことや、尿道留置カテーテルやドレーンを引っ張って抜けないようにズボンの中を通して外に出したりするなどの対策を行っていました。
患者の疼痛管理
リウマチ科病棟で働く看護師は、患者の疼痛管理も大切な仕事の1つです。
リウマチ性疾患の患者は痛みを訴える方が多く、特に手術当日は創部痛があるため、点滴による鎮痛薬を適切に使用しながら患者がゆっくりと休めるように心がけます。
さらに、手術の翌日から翌々日には離床をする場合が多いため、点滴の鎮痛薬から内服薬に切り替え、患者がスムーズに離床できるように看護師が介入します。
また、リハビリ前に頓服薬を使用することや鎮痛薬を定時内服に変更するなど、その患者にあった個別の疼痛管理を看護師が行い、リハビリに支障をきたさないようにします。
内服薬(免疫抑制剤等)の管理
リウマチ科病棟で働く看護師は、患者の内服薬の管理も仕事の1つです。
リウマチ性疾患の治療には、免疫抑制剤や抗炎症薬などの薬が頻繁に使用されます。特に関節リウマチの患者は免疫抑制薬(体内で過剰に起こっている異常な免疫反応を抑える薬)を内服していることが多いです。
そのため、看護師は患者の内服薬のスケジュール管理や、免疫抑制剤による感染リスクを軽減するためのステロイドカバー(周術期にステロイドを投与すること)などを行います。
看護師の体験事例
そのため、外科的な看護だけではなく、内科的な薬剤治療についても、看護師として理解していることがとても大切だと感じます。
患者への持続的他動運動(CPM)の実施
人工膝関節全置換術の患者に対し、持続的他動運動(CPM:Continuous Passive Motion※)を病棟内で看護師が実施することも仕事の1つです。
人工膝関節全置換術後の患者は、理学療法士(PT)のリハビリに加え、CPMという機械を用いたリハビリを行います。
※CPM:人工膝関節全置換術(TKA)の後療法として関節組織の修復と関節拘縮の予防を目的に用いられている理学療法の1つ。
機械を用いた関節の屈曲・伸展運動を他動的にゆっくりとしたペースで連続して行う。
参照:J-STAGE
私が勤務していたリウマチ科病棟では、術後2日目から患者とCPMを開始し、患者の膝関節の屈曲を135°にすることが退院までの最終目標でした。
また、患者によっては、疼痛や不安を訴える方もいるため、適宜鎮痛薬を使用することや不安を軽減できるようにしばらくそばで様子を見るなどを行い、徐々に目標に近づけるように看護師としてサポートします。
看護師の体験事例
そのため、私はリウマチ科病棟の看護師として、なぜこのリハビリが必要なのかを患者に説明していました。
例えば、「階段を上るには75~140°の可動域が必要となること」などを伝えます。
患者が前向きにリハビリに取り組めるように支援することも看護師としては重要な仕事だと感じます。
患者に禁忌肢位と日常生活動作の説明
リウマチ科病棟で働く看護師は、患者に禁忌肢位※(きんきしい:しゃがむという動作や姿勢などの避けるべき行為)と日常生活動作の説明を行うことも大切な仕事の1つです。
特に人工股関節全置換術(THA)後方アプローチの場合の患者に対して、脱臼予防のために禁忌肢位を看護師が指導します。
日常生活動作については、股関節をまげて内側にねじった状態や、横向きで寝る、更衣動作、しゃがみ込み動作など日常生活内で危険な動作を患者に説明します。
また、人工股関節全置換術以外にも、肩関節全置換術の患者も同様に脱臼のリスクがあるため、禁忌肢位の指導を看護師が行います。
看護師の体験事例
ただし、リウマチ科病棟に入院している患者は、高齢者が多いこともあり、1人でトイレに行こうとして転倒し、脱臼してしまうこともありました。
一度脱臼すると、再び脱臼しやすくなってしまうため、看護師として丁寧にひとつひとつ説明し、患者に指導を心掛けていました。
リウマチ科病棟で看護師として働いて感じたこと
私がリウマチ科病棟の看護師として働いて感じたことを説明していきます。
内科と外科両方の看護が学べる
リウマチ科病棟に看護師として勤務し、内科と外科の両方の看護が学べたと私は感じます。
例えば、内科的な看護や薬剤管理、免疫抑制剤の治療における看護、外科では一般的な周術期管理や麻酔の看護などを学ぶことができました。
また、整形外科でも人工関節置換術を行う場合がありますが、リウマチ科と違う点としては、内科的な看護も同時に学べるところだと私は思います。
看護より介護と感じてしまうことも多い
リウマチ科病棟に入院する患者は、高齢の方が多いうえに関節の変形や慢性的な疼痛があるため、看護師として日常生活動作に介助を要することが非常に多いです。(病棟内には呼び出しコールが絶えず鳴り響き、特に術後の急性期を過ぎると、看護よりも介護の業務量の方が多かったかもしれません。)
例えば、トイレ介助や食事介助、入浴介助が必要な患者が多く、日々の業務に加えて日常的な介助も行うため、とても忙しかった印象があります。
さらに、患者に寝返りを打たせたりトイレに連れていったり、入浴介助を行ったりと体力的にも大変な作業が多いです。
そのため、看護師として体力が必要な診療科だと感じます。
じっくり患者と関わる看護ができる
リウマチ科病棟に入院する患者は、長期に及ぶ場合や入退院を繰り返す患者も多いです。
難病であるリウマチ性疾患は完治が難しい疾患です。
そのため、患者が痛みに苦しむことや、長い治療に耐えている患者もおり、看護師としてじっくり患者に寄り添った看護ができると感じました。
また、リウマチ性疾患は、患者によって症状や痛みの程度がかなり違い、一人ひとりに合わせた細やかな看護を行うことが求められました。
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対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
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まとめ
リウマチ科病棟で働く看護師の仕事内容は、関節リウマチやリウマチ性疾患を抱える患者の日常生活動作の介助や内服薬の管理、持続的他動運動(CPM)の実施、術前・術後のケア、脱臼予防の指導など様々な業務が含まれます。
さらに高齢者が多いため、患者の細やかなケアと体力を必要とする力仕事もあります。
看護師としてのやりがいは、患者とじっくり向き合い、患者の日常生活や治療をサポートできることだと私は感じます。
また、患者とのコミュニケーションや状況に合わせた対応が求められる一方で、患者の回復や生活の質を向上させることで、看護師としても大きなやりがいを感じます。
是非、興味がある方はリウマチ科の看護師として一度チャレンジしてみてください。
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