緩和ケア外来で働く看護師の役割や仕事内容と体験談
緩和ケア外来は、緩和ケアチーム等によって、がんや慢性疾患などの重篤な病気に伴う痛みや症状を和らげ、患者とその家族の生活の質を向上させることを目的とした外来です。
病院によって異なりますが、緩和ケア病棟がない場合でも、緩和ケア外来を開設している病院もありますし、ほぼ緩和ケア病棟に入院する目的で緩和ケア外来を利用する場合もあります。
最近では、「緩和ケア外来」や「がん緩和ケア外来」を設置している病院が増えており、クリニック(診療所)においても緩和ケア外来を設置している場合があります。
一般的に、緩和ケア外来では、医師が患者の診察を行い、必要に応じて看護師がケアや意思決定支援を行います。
以下では、私の経験をもとに、緩和ケア外来で働く看護師の役割や仕事内容、働いて感じたメリット・デメリットを詳しく説明していきます。
執筆・監修看護師- エリア:神奈川県在住
- 保有資格:看護師、がん看護専門看護師、消化器内視鏡技師、心理相談員
- 経歴:がん専門病院、総合病院、クリニック、総合病院、訪問診療クリニック
- 専門分野:消化器内科、透析室、内視鏡室、放射線治療室、泌尿器科
看護師をして20年以上になります。外来・病棟・検査室・クリニックなど、いろいろな場所での業務を経験しました。ですが、一時は看護師をやめようと思ったほど、心身共に追い詰められた時期もあります。現在は、看護師も続けつつ、ライターやカウンセラーとしても活動しています。
緩和ケア外来で働く看護師の役割や仕事内容
一般的に緩和ケア外来は専門外来であるため、看護師は決まった曜日の予約患者に対応します。そのため、看護師として患者の数をこなすという感覚ではなく、ゆっくりと患者に関わることができる職場です。
以下では、病院の緩和ケア外来で私が働いた経験をもとに、看護師の役割や仕事内容について詳しく説明します。
診療方針の確認(医師の診察の同席)
医師の診察に同席し、インフォームド・コンセント(IC)を一緒に聞き、診療方針を確認することが、緩和ケア外来の看護師の重要な役割の一つです。
緩和ケア外来では、一般的に緩和ケアチームで対応し、緩和ケア外来担当の看護師が必ず医師の診断に同席します。
他にも、医療ソーシャルワーカーなどが相談内容によって医師、看護師と一緒に同席することがあり、医師だけで患者や家族の話を聞くことは少ないことが特徴です。
医師の診療の同席を看護師が行うことで、医師が伝えた診療方針をもとに、看護師は患者の意思決定の支援を行います。
看護師の体験事例
最初は医師の指示に沿って対応していましたが、看護師として知識と経験が増えるにつれ、患者に対して自宅での過ごし方や症状緩和について、自分の言葉で説明することができるようになりました。
患者への意思決定支援
緩和ケア外来で働く看護師は、看護の視点から患者やその家族の思いに寄り添い、時には医師との間に立って患者が納得できるよう、今後の方針を決める意思決定支援を行う役割を担います。
看護師が意思決定支援を行う理由として、医師の診療のみで患者の方針を決定すると、患者の本当の想いが反映されないことがあるためです。
緩和ケア外来を受診しているからといって、患者とその家族の気持ちが既に固まっているわけではありません。そのため、患者への意思決定支援は重要な役割の一つです。
たからと言って、患者とその家族の気持ちが決まっているわけではありません。
看護師の体験事例
具体的には、医師の診察を受けた後で、患者やその家族が今後の見通しをどう考えているのか、治療をどうするのか、どこで過ごしたいのかを確認することが看護師の仕事でした。
患者への精神的なサポート
患者やそのご家族が感じる不安やストレス、抑うつなどの精神的な問題に対して、精神的なサポートを行うことも、緩和ケア外来で働く看護師の重要な役割の一つです。
緩和ケア外来を受診する患者やその家族は、心の中で死を意識していることが多いため、看護師として共感しながら気持ちに寄り添い、安心感を与えることが求められます。
看護師の体験事例
毎回あえて死について話すわけではありませんでしたが、患者やその家族から死や最期についての話題が出た時には、話をそらさずにコミュニケーションを取ることが大切でした。
患者の相談窓口
緩和ケア外来の看護師は、患者やその家族の生活上の困難について相談窓口となる役割があります。
例えば、患者の症状が悪化した場合の対応方法や、日常生活での困りごとについて、看護師が相談に乗りアドバイスを行います。また、必要に応じて専門知識を持つ他職種(ソーシャルワーカー、栄養士など)にコンサルテーションを行い、連携して支援します。
看護師の体験事例
そのため、看護師として患者の相談窓口となり、その4側面の苦痛をアセスメントすることが必要でした。
また、「緩和ケア=終末期」というわけではなく、治療中の方も外来を訪れており、家族との関係性がうまくいかずに痛みを抱え、相談されたこともありました。
このように患者が抱えている問題の相談に乗り、客観的にアセスメントできる力が、緩和ケア外来の看護師には大切です。
患者からの緊急連絡対応
緩和ケア外来に通院している患者の緊急対応窓口の役割が看護師にあります。
例えば、患者から痛みが強い、吐き気が止まらない、呼吸が苦しいなどの訴えに対して、緩和ケア医と相談しながら、看護師が対応します。
入院が必要な場合は、どこの病院、病棟に入院させるかどうかの相談・調整も緩和ケア外来の看護師が対応します。
看護師の体験事例
患者への生活支援・症状管理
緩和ケア外来での看護師は、患者が抱えるさまざまな身体的症状(痛み、吐き気、呼吸困難など)の管理を行います。
そして、緩和ケア医と協力して最適な治療法を提供し、症状の緩和を図ります。
また、リンパ浮腫へのケアやスキンケアなど、直接的な生活支援やケアを行うことも看護師の重要な役割です。
看護師の体験事例
患者やその家族の生活上の困難について相談を受け、看護師が直接アドバイスを行うこともあれば、より専門知識のある職種にコンサルテーションを依頼することもありました。
そのため、患者の状態管理は看護師として重要な仕事でした。
信頼関係の構築
緩和ケア外来で患者やその家族との信頼関係を構築することも大切な看護師の役割です。
患者やその家族と定期的な面談やコミュニケーションを通じて、看護師が信頼関係を深めることで、安心してケアを受けられる環境を提供します。
また、患者が抱える身体的および精神的な症状を軽減させる症状緩和ケアを行ううえでも、患者と看護師との信頼関係は大切です。
看護師の体験事例
そのため、看護師には、患者の思いを否定せずに傾聴し、患者の自己決定を引き出すコミュニケーション力が求められました。
緩和ケア外来は、医師だけでなくチーム全体で患者とその家族を支援する場です。看護師として、患者の思いに耳を傾け、医師とは異なる信頼関係を築くためのコミュニケーション力が必要だと感じました。
看護師として緩和ケア外来で感じたメリット・デメリット
私が看護師として、緩和ケア外来で働いて感じたメリット・デメリットをご紹介します。
今後、緩和ケア外来で働く希望がある看護師の方は、ぜひ確認してみてください。
症状緩和が学べること
私が緩和ケア外来で看護師として働いて感じた一番のメリットは、医療用麻薬の使い方をはじめ、その他の症状緩和についての知識と技術を学ぶことができることです。
また、緩和ケア外来は「外来」ですが、医師、看護師以外に多職種が介入するため、各職種の専門性を垣間見ることができます。
このことにより、看護師としての総合的な医療知識も向上しました。
看護師が活躍することができる
緩和ケア外来では、もちろん患者の診察は医師が行いますが、看護師として看護ケアが十分にできる職場でした。
患者やその家族が抱えている困難を改善するために、看護師として色々な対処法を考え、実施できたことが、緩和ケア外来で一番楽しかったことです。
そのため、私は看護師が活躍できる職場として緩和ケア外来にメリットを感じました。
私は、以前働いていた病棟で不本意な亡くなり方をした患者のことを忘れることができませんでしたが、緩和ケア外来での患者やその家族に対するケアを通じて、過去の後悔を解消することができたことも、働いて良かったと思っています。
自分の死生観から信頼関係を構築できる
看護師として、緩和ケア外来の患者やその家族との関わりを通して、自分の死生観を意識するようになりました。
例えば、自分だったら、私が家族だったらと自問自答し、多くの患者の生きざまを見させていただくことで、自分なりの死生観が形成されていきます。
私にとっては、自分の死生観が出来上がったことで、患者から死の話題を切り出された時にも、言葉を濁すことなく対応できるようになり、かんじゃとの信頼関係の構築が変わりました。
他職種・地域医療との連携が深まる
緩和ケア外来で働くことで、地域医療との連携を深め、知識を得ることができる点も大きなメリットです。
私は、緩和ケアを受ける患者を支援する中で、在宅医療を行っている医師やスタッフとの交流を深めることができました。また、できる限り自宅で過ごしたい患者の訪問看護を依頼することや、緩和ケア外来を終了し在宅医療へ移行する患者の調整を通じて、地域医療の知識を得ることができました。
さらに、緩和ケア外来では医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、栄養士など多職種の緩和ケアチームでケアを提供するため、他の専門職との協働を通じて、自分自身のスキルや知識を広げることができました。
関わる患者の多くが亡くなる
私が勤務した緩和ケア外来に来院する患者の多くは、がんが再発・転移している患者でした。
そのため、看護師として関わる患者の多くが亡くなってしまうことに残念さを感じました。
外来通院を始めた当初は、自分で歩いていた患者が、徐々に痩せて歩けなくなる姿を見ることが精神的につらくなることもありました。看護師として、患者の回復を見ることができずに、死と向き合い続けることは精神的に辛いこともあります。
こだわりが強い医師も多い
私は何名かの緩和ケア医の外来を担当した経験から、緩和ケアを志す医師には素敵な方が多い一方で、自分なりの死生観や緩和ケアへのこだわりが強い医師も多くいました。
そのため、その医師のこだわりに共感できた患者にとっては、とても良い最期を迎えることができますが、医師のこだわりよりも自分の価値観を優先してほしい患者にとっては、時に医師のこだわりが邪魔になる場合もありました。
例えば、「最後には先生の顔を見ようとしなかった」という患者も経験しました。そんなときには、「緩和ケアを提供するはずなのに…」と、看護師として辛い思いをすることがありました。
どの診療科でもあることですが、医師も人間であるため、患者と合う・合わないがあるのだと思いつつ、最期に出会う医師だからこそ、医師のプライドをもう少しだけ抑えてほしいと思うこともありました。
緩和ケア外来の看護師求人が多い転職サイト
看護師の転職先である病院は、一般的に「病棟」や「外来」などで大きく区分されています。
そのため、看護師が病院やクリニックの「緩和ケア外来」への転職を考えた場合、希望の部署に配属されるように面接時に交渉する必要があります。面接時に交渉を行ったことがない、どうやって交渉して良いか分からない看護師の方が大半だと思います。
だからこそ、交渉の代行を行ってくれる看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)の活用をおすすめします。
看護師転職サイトは、あらかじめ条件に合う(緩和ケア外来に配属される)病院などの求人をピックアップしてくれますし、面接を含めた前後の交渉も行ってくれるため、スムーズに希望の診療科への転職活動を進めることができます。
さらに、以下ではリ緩和ケア外来の看護師求人や規模が大きな病院求人が多く、交渉能力が高い看護師転職サイトをご紹介します。
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非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師 |
対応 雇用形態 | 常勤(夜勤有り)、日勤常勤、夜勤専従常勤 |
対応施設 | 総合病院、一般病院、クリニック、特別養護老人ホーム(特養)、訪問看護、有料老人ホーム、デイサービス、重症心身障害者施設、保育園、検診センター |
対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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緩和ケア外来への看護師転職を考えた場合、必ず活用しておきましょう。
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規模が大きな病院豊富!マイナビ看護師
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
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サイト名 | マイナビ看護師 |
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公開求人数 | 82,343件 (2024年12月2日時点) |
非公開求人 | とても豊富(保有求人全体の約40%非公開) |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師、ケアマネジャー |
対応 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託その他 |
対応 勤務形態 | 常勤(二交替制)、常勤(三交替制) 、夜勤なし、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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そのため、緩和ケア外来へ転職を希望する看護師は併せて活用しておきたい転職サイトです。
公式サイト:https://kango.mynavi.jp/
まとめ
緩和ケア外来で働く看護師の役割や仕事内容、メリット・デメリットについて、私の経験からお伝えしました。
緩和ケア外来は、看護師が勤務する病院や職場によって、緩和ケア病棟の窓口としての外来なのか、外来部門として独立しているのかによって、看護業務や役割が変わることがあります。
しかし、緩和ケアを必要とする患者が来院する外来であることに変わりはありません。
私は、症状をコントロールしながら、患者やその家族が抱える苦痛に寄り添い、生活しやすい方法を共に見つけることができる緩和ケア外来の看護師として、非常にやりがいを感じました。
看護師として、患者が抱える辛さにしっかりと向き合いたいと考えている方には、ぜひ希望していただきたい外来です。
ぜひ、緩和ケア外来も看護師の転職先の候補の一つに入れてみてください。
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代表取締役 | 辻󠄀 昌彦 |
設立 | 2015年6月 |
資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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厚生労働大臣許認可 | 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) 特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
連絡先 | 03-5324-3939 (受付時間:休日、祝日を除く10:00~17:00) |
お問い合わせ | https://peko.co.jp/inquiry |
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