看護師が看護助手と上手く連携する方法【体験談】
あなたの周りでは看護師と看護助手は仲が悪いと言われていませんか。看護師として働く中で、臨床現場では仲が悪い看護師と看護助手もいます。
看護助手も看護師も、一人の人間です。
そのため、性格が「合う」「合わない」ということも、もちろんありますので、どう思っているかは人それぞれ違います。
しかし、看護の世界は女性が多いこと、プライドをもって仕事をしている人も多いことから、衝突してしまうことも少なくありません。
そこには資格の壁があり、うまく連携するためにはいくつかのポイントをおさえておかなくてはなりません。
そこで今回は、私が体験して学んだ病院や施設で働く看護師が看護助手とうまくやるためのポイントをお伝えします。
執筆・監修看護師- エリア:東京都在住
- 保有資格:看護師
- 経歴:総合病院(急性期)、こども病院 、療養型病院 、クリニック、デイサービス
- 経験がある診療科:外来、小児科、脳神経外科、眼科、救急外来、歯科、退院調整室
高校卒業後、大学に進学したものの将来の方向性に悩み中途退学。その後、学生時代から勤めていたアルバイト先で看護師という仕事に魅力を感じ、社会人経験を経て看護師になりました。どんなときも患者さんを思った優しさのあるケアができる看護師になることを目指していきます。
看護助手の仕事内容を再確認しておこう
看護助手は病院の中でも看護師の補佐をし、重要な役割を担います。さまざまな年齢の人が働いており、中には看護助手の仕事をきっかけとして看護師へキャリアアップしていく人もいます。
看護師が看護助手と上手く連携するために、看護助手の仕事内容を確認しておきましょう。
患者の移乗・移送 | ベッド上の患者を起こし、食事の際にデイルームへ連れていきます。 病院によっては麻痺のある患者あるいは点滴のある患者は看護助手が行ってはいけないというところもありますが、近年では多くの病院で看護助手の仕事として位置付けています。 |
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トイレ誘導・介助 | 麻痺の程度が軽い、あるいは点滴などもなく軽介助から見守り程度でトイレ動作が可能な場合は看護助手が患者のトイレ誘導やトイレの介助を行います。 |
食事の配膳下膳 食事介助 | 患者の食事の配膳や下膳を行います。 また、嚥下障害がないなど1人で食べるのは難しいけれどそれが障害によるものではない場合や麻痺はあるけれども誤嚥をする心配がないという場合には看護助手が食事の介助をします。 |
おむつ交換 体位交換 | 看護師とペアになっておむつ交換を行います。 オペ後の患者や人工呼吸器、ドレーンなどの医療機器が使用されているところには原則として看護助手は入ってはいけないというところが多いようです。 寝たきりで、特に点滴などの医療行為を受けていない患者の場合は看護助手が体位交換も行います。 |
検査出し | 検査の患者を検査室に連れていきます。この場合も一般的には医療機器を使用していない場合や、検査室での移乗が軽介助である場合が多くなります。 近年では点滴程度の医療介入の患者であれば看護助手がかかわってもOKな病院が多いです。 |
医療機器の 掃除・洗浄 | お部屋の掃除は外注の清掃員に頼むことが病院では多いものの、使用した医療機器の掃除や洗浄などは看護助手の仕事となる場合が多いです。 具体的には点滴棒を拭くことや、吸引ボトルの洗浄、他医療機器の消毒などです。 また、産婦人科などの場合は赤ちゃんの入っているベッドを掃除するということもあるようです。 |
シーツ交換 | 患者のシーツ交換も看護助手の仕事となります。 こちらも人工呼吸器が挿入されている、手術直後などであれば看護師が交換するもののそういった場合以外は基本的に看護助手がシーツ交換を行います。 |
物品の受け取り | 例えば、看護師が他の診療科から借りたい物品があるという場合や、別のところに届いている物品を使用したいという場合は看護助手が取りに行くことが多いです。 看護師は仕事が繁忙や、患者を担当している以上やたらと持ち場を離れられないことから看護助手の仕事としてお願いされることが多くなります。 |
転室 | 患者が部屋を移動することを転室という場合が多いのですがこの転室を行うのが看護助手の役割です。 患者のベッドやベッド周りのものを移動して患者の部屋の移動を行います。 |
このほかにも入浴介助を看護師と行うことや、電話対応、足りない物品の補充、入院患者の案内など看護師の補佐として幅広く仕事を行います。
看護師同様に看護助手も働く診療科や働く病院の規模によって業務が細かく異なることが特徴で、施設によっては看護師と一緒に看護助手も夜勤をすることがあります。
看護師と看護助手の給与・年収の違い
出典:2021年度発表・厚生労働省:令和2年賃金構造基本統計調査)より
2021年度版の平均年収では、看護師と看護助手の年収の差は約180万円の差があります。また、看護師が9万9千人に対して、看護助手は12万人の人数が看護師を補助していることになります。
看護助手の仕事は看護師の指導の下で業務を行うため健康的で身体を動かすことができれば比較的長い期間働くことが可能となります。
そのため、現役を引退した世代の方が働いていることも多く、そういった世代にはとても高案件であると考えます。
また、資格や学歴がなく一般企業で正社員として雇ってもらうことが難しいという女性やシングルマザーの女性では時間の融通も効いて給与も安定しており、職として人気はあるようです。
実際に私が働いていた病院でもこのような境遇の方が多く働いていました。しかし、体力勝負である仕事のため疲労感と相関して考えるとこの給与では安く感じてしまう人も少なからずいるかもしれません。
看護師と看護助手の関係性・人間関係
看護師と看護助手の関係性について、まずは確認していきましょう。
(※私の経験に元づいた関係性なので、病院によって違いがあります。)
看護助手は看護師から「見下されている」と思っている!?
看護助手は看護師から指示を受けて動くという状況から「見下されている」と感じている方が多い印象を受けます。
看護助手をしている方は、比較的長く勤めている方が多いですが、長く勤めるには苦労があるのです。
特別な資格を持っていなくてもできる仕事である分、長期間働こうと思うと自らさまざまな知識を身につけていかなければなりません。長年勤務してきて、看護師よりも患者とうまく関われるようになったとしても、看護師の指示の下で働くことに変わりはなく、次から次へと入職してくる若手の看護師にも指示をされる始末です。
また、看護師も少なからず看護助手を見下していることや、資格を持たずに働いている看護助手の看護の仕方が気に入らない、ベテランの看護助手と関わりにくいなど個人的な理由で指示の仕方がきつくなってしまうことがあるのも事実です。
看護師は看護助手に対して引け目を感じている!?
病院にもよりますが、看護師は受け持ち患者の看護を中心に行っていることもあり、病棟全体の患者としっかり関われているとは言い難いです。他のチームの患者となると全く知らない患者がいても不思議ではありません。
しかし、看護助手は例えば配膳のたびに「今日のご飯おうどんだって」と声をかけていたり、お茶を頼まれて持って行ったり、検査室まで誘導したりと、訪室したタイミングで患者とたわいもない話をしていることもあります。
看護師は、患者のことを一番していなければならないと思いますが、このような看護助手の関わりには負けてしまい、プライマリーナースよりも看護助手が情報を持っているという場合もあるのです。
そのため、看護師は看護助手に対して引け目を感じている場合があると言えるでしょう。
看護師が看護助手と上手く連携するための方法
看護師の仕事も看護助手の仕事も、どちらも患者の看護のためには欠かせないものです。
もし、どちらが上だとか下だとか関係なく、お互いに「患者のための看護」という目的を持って情報共有し連携していくことができたら、今以上によい看護が提供できるでしょう。
そのためには、まず看護師と看護助手が良好な人間関係を築くことが大切です。
仕事の目的は一緒であることを忘れない
看護師も看護助手も患者さんのことを第一に考えなくてはいけないという点では同じです。本来ならコミュニケーションを取りながら業務を行っていかなくてはならないのです。
看護助手は看護師のことを良い風に思っていることもあれば、残念ながらあまり良い風に思っていない時もあります。ただ、これはお互いさまであってどちらがいけない、どちらがいいというわけではありません。
派閥や争いがなく、業務ができるようお互いがお互いを尊重し、資格があるなしにかかわらず業務を行っていくことが大切です。
看護師は高圧的だと思われないように配慮を
看護師の中には上から看護助手に対して言う方もいます。さらに、看護助手で年配の方は年下の看護師から指示をされることにあまりいい気持がしないという方もいます。
そのため、看護師は看護助手に対して「高圧的な態度」を持たれないための工夫が必要です。
- 年上の看護助手には敬意を払うこと
- ミスをしても不機嫌な態度を取らないこと
- 怒鳴りつけることや攻撃的な言い方をしないこと
- 命令口調には気を付けること
以上のことに注意しながら、相手の気持ちに寄り添って仕事をするように努力しましょう。
指示をするのではなく依頼する気持ちが大切
私が今まで出会った看護助手の方々は、どちらかというと年配の方が多くいました。
そのため、看護助手暦は私の看護師暦よりも上であり、指示をすると反論が出ることや、いやみを言われることがありました。
以下の例のように指示をするのではなく依頼する気持ちで言葉を選んで話しかけましょう。
看護助手に指示を出した場合
「Aさんがトイレに行きたいみたいなので、車椅子でトイレ誘導してください。」
「言われなくても車椅子でお連れしていますけどね。」
このようなやり取りを繰り返していると、私も看護助手にお願いするのが苦痛になってしまいます。
言葉を選んでお願いした場合
「Aさんがトイレに行きたいみたいなので、お願いできますか?」
「ん?あっ、車椅子だっけ?分かりました。」
いつもと違う対応にびっくりした様子でしたが、いやみを言うことなく笑顔で応じてくれました。
それ以来、今まで私から一方的に指示していただけだったのが、看護助手の方から「清拭入ります?」、「検査呼ばれたけど車椅子で行けそう?」と尋ねてくれることも増えました。
プライベートでは一切話したことがなかった看護助手が旅行のお土産を個人的にくれたときは嬉しかったです。
情報を集める協力を看護助手にお願いする
コミュニケーション能力は看護師のスキルとして重要です。患者の思いに寄り添ったり、声にならない言葉を聴いたり、患者の中にあるさまざまな思いを外に引き出すことで、患者ひとりひとりのために合う看護ができると思います。
しかし、看護師よりも看護助手の方がコミュニケーションに関しては上手だと感じることがあります。少なくとも私はそうです。
看護助手と情報共有がなされてないケース
「そんなことも知らないの?」
「どうしてそんなに大事なことを伝えてくれないのか。」
「看護師が知っていて当然だと思った。」
これは完全に看護師と看護助手のコミュニケーション不足が招いたことです。患者とのコミュニケーションが看護師よりも優れていることは感じてはいましたが、問題はその先の情報の共有でした。
看護師として情報を集める努力を行ったケース
「看護助手さん、思っていることがある様子だけど、今日1日もし何か気づいたことがあれば教えてください。」
「看護師さん、これ、患者の様子や来たことのメモです。お願いします。」
お昼過ぎには患者から聞いたことや様子を伝えてくれました。それもわざわざ細かくメモを取ってわかりやすく伝えてくれたのです。
看護助手の仕事の早さに驚き、感謝の気持ちを伝えました。
一緒に患者の看護に関わる仲間である私たちがお互いを信じていなくては、ずっとすれ違うままでよい看護は行えません。看護助手もまた、自分たちのコミュニケーションによる気付きが活かされることが仕事へのやる気に変わったようです。
正しい知識や技術を共有する場をつくること
看護師は、日頃からさまざまな勉強会や研修があり、変更されたエビデンスや新たな薬品、物品などの情報を得ています。内容によっては今までの看護ケアを大幅に変更しなければならないこともあります。
しかし、そのような場合でも看護師間だけで知識や技術を共有し、看護助手には機会がある時に居合わせた方だけに伝えている場合が多いように感じます。
確かに、看護助手が直接行わないものもありますが、看護師と共にひとりの患者に関わるものとして共有していくことが大切です。
出来れば看護助手との勉強会を提案してみてください
看護師発信ではなく、看護助手が困っていること気になっていることを挙げてもらい、そのことについて看護師が勉強会を開催するのです。
勉強会は知識や技術を共有する場でもありますが、看護師が看護助手の目線に立ち困っていることやわからないことを知ることで、仕事の中でのコミュニケーションに活かされ患者へのよい看護にもつながるのです。
まとめ
看護師と看護助手が連携を図るためには、お互いに声を掛け合うことが大切です。
私の勤める病院では、看護師は一方的に看護助手に指示を出すものの、指示以外のことで声を掛けることは少なかったのです。
そのため、処置に入ろうと準備して患者のもとに行ったら看護助手が清拭中だったというようなケアのブッキングが日々起こってしまい、その結果時間内に帰れないという状況がありました。
しかし、以下のように声を掛けてみましょう。
「Aさん(看護助手)清拭今からですか?」
「Cさん(看護助手)の後に入る予定だけど先に行きましょうか?」
声を掛けることで、処置やケアのスケジュールを立てることや、その修正、変更がうまくできるようになり、残業をする看護師も看護助手も激減したのです。
空いた時間で、看護師と看護助手が一緒に患者と話をする様子や、ケアの方法について相談する様子も見られるようになり、より連携の取れた看護ができるようになってきました。
みなさんの職場でも看護師と看護助手が同じ目的を持って共同していけるよう願っています。
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資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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