ゆとり・さとり・Z世代の新人看護師教育!指導者がつぶれないための考え方
看護師の業界でも、新人達をゆとり・さとり・Z世代と呼び、世代間の意識差を強く意識した教育に変わって随分経ちました。
しかし、ゆとり・さとり・Z世代の新人教育にてこずり、疲弊してしまっている指導者は実に多いものです。
ゆとり・さとり・Z世代の一般的な年代と特徴は以下の通りです。
Z世代 (ミレニアル世代) |
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さとり世代 |
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ゆとり世代 |
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このページでは、新人教育に数多く携わってきた私の経験から、ゆとり・さとり・Z世代の新人看護師の教育方法の基本、そして指導者自身が教育によって「つぶれない」ための考え方をご紹介していきます。
執筆・監修看護師- エリア:東京都在住
- 保有資格:看護師、保健師、養護教諭第二種
- 経歴:大学病院、公立病院、美容クリニック、訪問看護、デイサービス、大学保健室
- 経験がある診療科:消化器外科、呼吸器外科、内科、小児科、美容整形科、オペ室
看護学校卒業後、看護師として15年以上働いていました。大学病院や公立病院に勤務し、消化器外科や呼吸器外科など経験。パートで美容クリニックや訪問看護なども行い、現在在宅の看護師ライターとして頑張っています。
ゆとり・さとり・Z世代の特徴
最初に、ゆとり・さとり・Z世代に共通する特徴について振り返っていきます。
年上の人間とのコミュニケーションに慣れていない
以前は、地域社会において色々な世代の大人が子育ての輪に参加していました。
しかし核家族化が進み、親や教師以外の大人と直接コミュニケーションをとる事が大幅に減少してしまいました。
色々な大人を見て違う価値観に触れたり、叱られたりという機会が格段に減ったため、目上の人間と触れ合った経験がない、どんな対応をしたらいいのかわからない、という声がよく聞かれます。
特に、Z世代は多様性を大切にするあまり、考え方が異なる人材へのコミュニケーションを避ける傾向もあります。
他観的な視点が育っていない
ゆとり・さとり・Z世代は、SNSやインターネットによって、顔を見ない二次元での付き合いが多いです。
本音を言って話し合うことを苦手とし、表面上の浅い付き合いが多くなることで、コミュニケーション能力そのものの低下が危惧されています。
結果、自分以外の他観的な視点を知り、育てることがないまま成長し、大人になってしまった可能性があると考えられます。
指示がないと動けない、自分で深く考えを掘り下げらない
疑問を自分でよく考えたり調べたりしなくても、インターネットで簡単に手に入る時代になりました。
さらに近年では、対話型AIの促進により、さらにその傾向は加速しています。
答えがすぐに分かってしまうため、深く考えを掘り下げる習慣が身に付きにくいでしょう。
叱られ慣れておらず、うたれ弱い
IT技術が進歩したため、分からない事があった場合でも、人に頭を下げて教えを乞う必要はありません。
そのため、うまくいかずに失敗したり怒られたりしながら学ぶことが減りました。
ゆとり・さとり・Z世代の看護師は、人から何か言われる経験自体が少ないため、指摘をうけただけで落ち込み気持ちの整理ができず、長く引きずってしまう傾向があります。
また、人前で叱ることで、ストレスがかかり、人格が傷つけられたと感じる世代でもあります。
さらに、ゆとり・さとり・Z世代の場合、上司から叱る・褒めるを教育として繰り返すことは、注意が必要です。なぜならば、信頼関係が構築されると言うよりは、叱られたことを根に持ち、敵対意識を持つ可能性があるためです。
ゆとり・さとり・Z世代の新人看護師の教育方法
看護学校では既に、それまでの生育過程によって培われた特徴を特に配慮し、「やめさせない」や「泣かせない」ことを大前提とした授業や実習が行われている現状があります。
では、実際の現場においてはどのように、ゆとり・さとり・Z世代の新人看護師を教育していけば良いのでしょうか。
以下で、私の経験から詳しく説明していきます。
余裕を持った教育体制にする
大前提として、新人看護師の早期離職を防ぐため、今までより独り立ちするまでの期間を長く設定することを心がけましょう。
職場の都合で、期間を長く設定できない場合でも、指導者としてはゆとりをもって接することが大切です。
可能であれば、人材を多めに配置し、余裕をもった教育体制を構築してください。
社会人としてのマナーから繰り返し、わかるまで根気よく説明する
ゆとり・さとり・Z世代の新人看護師達は、社会人としての常識が育たないまま入職していると多く指摘されており、ビジネスマナーから説明することが求められます。
例えば、敬語を使う、遅刻・欠席をしない、事前に連絡・報告・相談を行う、提出物の納期は守る等です。
指導者が新人看護師の時は当たり前だったことは、比較することなく、自身がビジネスマナーと考えていることが、新人看護師に定着するまで繰り返し伝える必要があります。
彼らの気持ちを聞く時間を持ち、信頼関係を育てる
上述した通り、ゆとり・さとり・Z世代の新人看護師達はうたれ弱く他観的な視点が育っていないため、指導をしてもなかなか指導側の意図が伝わりません。
そのため、叱る指導や、威圧的に指導することは、余計な反発や、過剰な落ち込みを招く場合があります。
ゆとり・さとり・Z世代の新人看護師には、こまめに声をかけ、彼らからも話しかけやすい、伝えやすい関係づくりが必要です。
考えを否定せず、まずは受け止める
ゆとり・さとり・Z世代の新人看護師達がとった行動に対し、指導者として「なぜその行動となったか」と、相手の考えをよく聞き、まずは受け止めることも大切です。
「そういう風に思ったんだね」と聞いた内容を繰り返して、こちら(指導者)が理解したことを、新人看護師に伝えます。
そして、新人看護師の人格を傷つけずに、問題となった行動に対して説明することを行いましょう。
そのため、指導者としての目標達成のために、新人看護師には説明から行うことを心がけましょう。
意識して良いところを見つける
指導者として、普通に仕事を教えていただけのつもりが、気が付けば会話のほとんどが新人看護師へのダメ出しだったという事はないでしょうか。
(また、周囲からそのように言われたことはないでしょうか。)
いくら教育している指導者が「新人看護師へ教えてあげているつもり」でも、ダメ出しばかりの指導は、ゆとり・さとり・Z世代には逆効果です。
そのため、指導者として仕事を教えながら、意識して新人看護師の良いところを見つけ、褒めて伸ばすことが大切です。
看護師の体験事例
こちらの説明を行っても、指導者の中には、なぜ私がそんなに気を遣わなければならないのか、と考える方もいます。
是非、実践してみてください。
指導する看護師が「つぶれない」ための考え方
上述した通り、ゆとり・さとり・Z世代の新人教育は時間をかけてじっくり行っていく必要があります。
多忙で過酷な医療現場で、後輩看護師のなかなか進まない指導に苛立たず、あきらめず関わりを持っていくにはどうしたら良いのでしょうか。
以下で、私の経験から詳しく説明していきます。
問題解決思考がゆとり・さとり・Z世代を追い詰めていることに気付く
看護では、状態をアセスメントし、「何が一番問題か」を考え順番に解決していくことが仕事です。
そのため、優秀な看護師ほど、無意識に「問題」を探し、悪いところを解決する行動をしています。
ただし、指導する看護師が優秀であればあるほど、そのような思考のまま、新人看護師と向き合うと指導はうまくいきません。
なぜなら、ゆとり・さとり・Z世代の看護師は、ただひたすら責められていると感じてしまう恐れがあるからです。
ポイント
指導する看護師にとって、相手の問題点を見つけるのは、良い点を見つけるよりも簡単なことかもしれません。
だからこそ、普段からの問題解決思考はいったん脇に置くことを意識しながら、ゆとり・さとり・Z世代の教育に関わっていってほしいのです。
指導者自身も自分の頑張りを認める
ゆとり・さとり・Z世代の新人看護師の良い点を見つけ、彼らを伸ばしていくためには、そもそも、指導者自身も自分の頑張りを認める習慣をつける必要があります。
特に、30代中盤からの看護師の方は、「仕事で褒められて成長した」と感じた経験がある方は少ないです。
そのため、人(新人看護師)も褒めるのであれば、自分の頑張りも自分で褒めてあげ、認めてあげることが大切です。
自分の頑張りを認めてこそ、心の底から新人のことも認めてあげることができるものです。
まとめ
ゆとり・さとり・Z世代の新人教育がうまくいかない主な原因は、そこまで教育に時間と人手をかけられない医療現場の過酷な状況にあります。
それでも何か問題が起きるたび、もっとどうにか出来たのではないかと自分を責める、責任感の強い看護師達がいます。
しかし、それは大半において新人看護師のせいでも指導者のせいでもないことを覚えておいてください。
そして、ゆとり・さとり・Z世代の新人教育に携わる指導者は、まず彼らの特徴を理解し、互いがつぶれなくても済むように意識しながら新しい時代の教育方法を築きあげていってください。
少しでも新人看護師の方を指導する立場の方に、この記事が参考になれば幸いです。
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