漢方専門外来で働く看護師の業務内容と体験談
近年、日本のみならず海外でも「漢方外来」「東洋医学科」「和漢診療科」などの標榜で、中国の伝承医学を起源とした診療をもとに、東洋医学に基づく漢方治療を専門に行う病院やクリニック(診療所)が増えてきました。
私は個人的に東洋医学に興味があり、学んでみたいと思ったのがきっかけで、漢方専門外来を扱うクリニックの看護師の業務を行った経験があります。
その経験をもとに、注目を集めている漢方専門外来で看護師として働くうえで必要になるスキルや一般外来との違いについてご説明していきます。
執筆・監修看護師- エリア:東京都在住
- 保有資格:看護師
- 経歴:総合病院(急性期)、クリニック、介護保険施設、老人ホーム、デイサービス、コールセンター
- 診療科経験:脳神経外科、脳神経内科、漢方専門外来
青森県生まれで、介護保険施設へて、総合病院に勤務。現在は看護師として企業に10年ほど勤務しながらデイサービスでも働いています。「ナースが働く上で役立つ情報」として発信して行きたいと思います。
東洋医学と西洋医学の違い
東洋医学と西洋医学の主な違いは以下の通りです。
- 東洋医学:医師が「診る」「触る」といった診察を重視
- 西洋医学:一般的に血液検査や画像検査で病気を確定
このように、東洋医学では検査で異常がなくても何らかの不調があれば治療の対象です。
東洋医学の治療を専門とし、漢方薬による治療を主に行う医師を漢方医とも呼びます。
参照:平成医療学園専門学校(東洋医学と西洋医学の違い)
東洋医学が得意なことは異常が見つからない症状
「なんとなく調子が悪い、身体が冷える、でも検査しても異常がみつからない」など、原因不明の症状で悩んでいる患者はかなり多いのではないでしょうか。
症状は患者にもよりますが、日常生活が困難になるような辛い症状が出る場合も少なからずあります。
藁(わら)にもすがる思いで一般病院の医師に受診しても「血液検査では異常ありません」「治療法はありません」と、あっさりと言われてしまう事もよくあり、このような患者が度々、漢方専門外来に相談に来ます。
一般的に西洋医学では異常が見つからない症状に対する治療には限界があり、東洋医学が得意とする分野です。
西洋医学に見放されたと訴える患者が多い
よく患者から「3時間も外来を待ったのに診察時間が3分だった」との話を聞きますが、一般的に漢方医は上記にあるよう、診察に30分ほど時間をかけて、じっくり患者の辛い症状に耳を傾けながら観察します。
漢方専門外来では、西洋医学では治す事が難しい「冷え性」「アレルギー疾患」など体質的が原因とされる、慢性的な症状を持つ方が多くみられます。
漢方医は西洋医学に見捨てられた患者にも寄り添い、じっくりと話を聞くところから診察をスタートします。
漢方専門外来が行う診察や治療とは
漢方専門外来の医師が行う診察は、主に以下の4つに分かれ、四診(ししん)とも呼ばれます。
- 望診(視覚によって情報を得る)
- 聞診(聴覚と嗅覚によって情報を得る)
- 問診(質問をする)
- 切診(実際に体に触れる)
(さらに詳しくは、武田製薬の四診を確認してください。)
漢方専門外来の医師が行う問診は、患者自身が最も強く訴える症状だけではなく、食事・睡眠・尿や便・月経や精神状態など、さまざまな症状がないか、詳しく聞いて確認します。
患者に合った漢方薬を処方
漢方医は五感を駆使し、詳細に患者の情報を収集し、患者の体質や病態を示す「証」を見極めて治療法を選択していきます。
治療は生薬を原料にしてつくられた漢方薬による治療法です。
漢方薬には、
- 「煎じ薬」:生薬を煮出す
- 「エキス製剤」:生薬から抽出さたもの
などがあります。
エキス製材は煎じる手間が省け、飲みやすいため広く使われる薬であり、健康保険適応の漢方薬も沢山あります。
ポイント
大学病院や総合病院でも、漢方専門外来を扱う病院も増えてきました。
病院・クリニックも含め、漢方専門医の多くが中医学を学んだ日本の内科医師が、主にその中心となり活躍しています。
看護師の業務内容や看護スキル
漢方専門外来で働く看護師の業務内容は主に、
- 漢方薬の煎じ方や服薬方法のアドバイス
- 東洋医学的な日常生活の過ごし方を患者にアドバイス
などを行うことがメインの仕事です。
また、漢方専門外来では、点滴・注射・ケガの処置など病院やクリニックで必要とする看護のスキルは必要とされませんでした。
漢方専門外来で働く看護師の業務内容や、必要な看護スキルに関して、私が勤務した体験をもとに説明していきます。
健康管理を学び患者へアドバイスする
漢方専門外来で働く看護師は、患者の健康管理についても学ぶ必要があり、業務内容の1つです。
これらは、漢方専門外来に勤務してから学んだことですが、看護師として働く場合は、勉強が必要です。
診察介助は介護が必要な場合のみ
漢方専門外来での診察は、医師が単独で行うため、看護師の付き添いは不要の場合が多いです。(勤務するクリニックにより多少異なります。)
しかし、患者の中には介護が必要な方もおり、看護師は診察台に誘導することや、診察前の説明をしながら診療の補助を行う場合もあります。
看護師の医療行為は採血となる
漢方専門外来で行う看護師の医療行為は採血程度です。
採血は、患者に必ず行うものではなく、西洋医学での治療を優先すべきだと判断された患者に行い、漢方治療を行うべきか判断します。
その際の採血を看護師が担当します。
補足説明
漢方医も、患者や症状によっては、西洋医学の治療を優先的に行った方が良いのではないかと、判断に悩みながら仕事をしていると言っていました。
実際に、まず西洋医学を優先すべき患者が、来院する割合も多い印象でした。
漢方外来の看護師求人が多い転職サイト
漢方外来を行っている病院やクリニックは、全国的に数が少ない状態です。
そのため、漢方外来を希望する看護師は、以下の漢方外来の病院・クリニックの看護師求人が豊富な、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)を活用しましょう。
繰り返しになりますが、求人数が少ないため、以下の2社とも会員登録を行い、まずは漢方外来の看護師求人を探す(探してもらう)ことが、転職するコツです。
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非公開求人 | 豊富 |
対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師 |
対応 雇用形態 | 常勤(夜勤有り)、日勤常勤、夜勤専従常勤 |
対応施設 | 総合病院、一般病院、クリニック、特別養護老人ホーム(特養)、訪問看護、有料老人ホーム、デイサービス、重症心身障害者施設、保育園、検診センター |
対応 診療科目 | 内科、精神科、心療内科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、産婦人科、眼科、歯科、美容外科、美容皮膚科 |
対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
特徴 | ・看護師の転職求人が豊富 ・転職支援サービスが手厚い ・転職の相談から行える ・院内・施設内情報に強い |
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漢方診療専門病院もあり!マイナビ看護師
転職相談 | 面接対策 | 条件交渉 | 退職相談 |
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対応職種 | 正看護師、准看護師、助産師、保健師、ケアマネジャー |
対応 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託その他 |
対応 勤務形態 | 常勤(二交替制)、常勤(三交替制) 、夜勤なし、夜勤専従 |
対応施設 | 病院、クリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーション、看護師資格・経験を活かせる一般企業、治験関連企業(CRA、CRCなど)、保育施設 、その他 |
対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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マイナビ看護師は、漢方専門病院や漢方外来を行っているクリニックの看護師求人を取り扱っている看護師転職サイトです。
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公式サイト:https://kango.mynavi.jp/
まとめ
漢方専門外来で働く看護師の役割は、一般の外来勤務と異なり、漢方薬の服用の仕方や日常生活の過ごし方のアドバイスを中心とし、その人が本来持つ自然治癒を最大限引き出そうとする事をお手伝いします。
まだまだ、漢方専門外来の看護師求人は多くないのかもしれませんが、東洋医学に興味をもち、勤務してみたいと思う方は、漢方専門外来を持つ病院やクリニックを見つけてみてください。
漢方専門外来で働いていた友人(看護師)は、東洋医学に興味を持ち、鍼灸師になりたいと専門学校に進学し、鍼灸師の国家資格を取得した友人(看護師)が3人もおります。
東洋医学の勉強していくうちに、「なるほど!」と思える事も多く、実際に今まで西洋医学の治療を何年も行ってもよくならなかった患者が、驚くほど元気になる事も珍しくありません。
そのため、東洋医学に興味を持ち、学んで行く中で、その道を究めようとする看護師も増えつつあるようです。
私は、自分自身や家族の健康を保つ上でも、東洋医学を扱う漢方専門外来で学んでおいて良かったと感じます。
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