糖尿病内科で働く看護師の仕事内容と私の体験談
糖尿病は、現在でも増え続けている生活習慣病のひとつです。そのため病院では糖尿病科の部署を設け、治療に力を入れているところも増えています。
私は、糖尿病内科病棟に約5年間、看護師として勤務しました。
糖尿病は完治するということはない病気のため、糖尿病と診断されたら場合、その後は薬物療法を継続し、食生活にも気を付ける必要があります。
また、適度な運動を行うなど、生活習慣の改善が治療に直結しているため、糖尿病患者に対し、看護師のサポートも非常に重要です。
このページでは、糖尿病内科病棟で働く看護師の仕事内容や働いて感じたこと、診療科の特徴等を私の経験から説明していきます。
執筆・監修看護師- エリア:長崎県在住
- 保有資格:看護師
- 施設経験:国立病院機構、総合病院
- 専門分野:外科、糖尿病内科、がん看護
病棟経験十数年のアラフォーママ看護師です。現在は離職中で、私の経験から得た自分なりの実践理論で、悩める看護師さんの背中をそっと押すような記事を書いていきたいと思います。
糖尿病内科病棟で働く看護師の仕事内容
糖尿病内科病棟で働く看護師の主な仕事内容は、入院してきた糖尿病患者の食生活や運動習慣などの情報収集を行うことです。
糖尿病教育入院は、患者に糖尿病を知っていただくことや、とどのようにつきあっていけばいいか理解し、実践してもらうことを目的に、入院してもらうことです。
糖尿病内科病棟で看護師として働いた、私の1日の日勤スケジュール例は以下の通りです。
8:30~ | ・朝のミーティング ・カルテで患者の情報収集 ・夜勤からの申し送り |
---|---|
8:40~ | 環境整備 |
9:00~ | ・患者へのバイタルチェック ・患者の状態観察(検査から呼ばれた場合は患者を案内をする) |
11:30~ | ・昼食前の患者の血糖測定 ・食前患者へのインスリン注射 (自己実施の患者には指導) |
12:00~ | ・患者への食直前インスリン注射 ・患者の昼食配膳 ・蓄尿検査提出 |
12:20~ | ・内服確認 ・下膳 ・昼休憩 |
13:20~ | カンファレンス |
14:00~ | ・患者へのバイタルチェック ・患者の状態観察(検査から呼ばれた場合は患者を案内をする) |
14:30~ | ・患者指導としてフットケアの実施 |
16:00~ | ・看護記録等 |
17:00 | 日勤終了 |
また、私の経験から、糖尿病内科病棟で働く夜勤看護師のスケジュール例を以下でご紹介します。
17:00~ | 夜勤開始 |
---|---|
17:30~ | ・夕食前の患者への血糖測定 ・患者へ食前インスリン注射 |
18:00~ | ・患者へ食直前インスリン注射 ・患者の夕食配膳 |
18:30~ | ・患者の内服確認 ・下膳 |
19:00~ | ・患者のバイタルチェック ・患者の状態観察 |
21:00~ | ・患者の眠前血糖測定 ・患者へのインスリン注射 |
22:00~ | 消灯 |
23:00~ | 交代で看護師が休憩 |
0:00~ | ・巡室 ・休憩 ・看護記録 |
5:00~ | 必要に応じてOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)開始 |
6:00~ | ・バイタルチェック ・採血など |
7:00~ | OGTT終了 |
7:30~ | ・患者の朝食前の血糖測定 ・患者の食前インスリン注射 |
8:00~ | ・患者の食直前インスリン注射 ・朝食配膳 |
8:20~ | ・患者の内服確認 ・下膳 |
8:30~ | 申し送り |
9:00~ | 看護記録 |
9:30~ | 夜勤終了 |
以下で他の診療科病棟と比較し、違いを感じた特殊な仕事内容について、私の糖尿病内科病棟での経験をもとに説明していきます。
糖尿病患者の情報を聴取する
私が勤務した糖尿病内科病棟では、糖尿病患者へ行う情報収集の内容として、
- 食生活
- 運動習慣
- お酒や間食の習慣
- 勤務している仕事の内容
上記のようなことを、ありのままの情報を詳細に用紙に記入してもらっていました。
個別性のある指導を行うため、糖尿病内科病棟に入院する患者の詳細な情報はとても大切です。
しかし、自分の体裁を気にし、虚偽の申告をする糖尿病患者もいるため、看護師は心配せずに書くよう促すことも仕事の1つでした。
また、記入用紙だけでは十分な患者の情報が得られないこともあり、足りない部分は看護師が口頭で聴取していきます。
さらに、糖尿病患者の情報は看護師だけでなく、食事指導を担当する栄養士、服薬指導をする薬剤師とも共有しました。
運動療法・フットケア
糖尿病患者への指導は下記のように、指導内容によって受け持つ担当看護師が分かれていました。
- 看護師:運動に関する指導
- 栄養士:食事に関する指導
- 薬剤師:薬に関する指導
- 医師:糖尿病の病態や合併症に関する指導
看護師は糖尿病患者へ、病院内で作成された専用のテキストを用いて運動療法やフットケアの指導をしていました。
糖尿病患者が運動の重要性、フットケアを怠った成れの果てを実感、肝に銘じてくれるかは、看護師の手腕にかかっていました。
また、テキストの内容をしっかり理解して腑に落としておくと、自分の言葉で糖尿病患者へ指導することが出来ます。時にはその糖尿病患者の生活習慣に合わせて運動の方法を提案することが出来れば、より糖尿病患者の理解も深まりました。
フットケアの技術も必要だった
糖尿病の合併症として代表的なものの1つが抹消動脈疾患(PAD)です。
PADは下肢へ充分な動脈血が供給できなくなり、下肢の冷え・しびれ・痛みなどの症状を引き起こし、最悪の場合、壊疽して下肢を切断します。
そのような事態を避けるためにも、糖尿病内科病棟で働く看護師には、フットケアに関する知識・技術が求められました。
OGTT検査のための採血
糖尿病教育入院では、入院してすぐにOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)検査と呼ばれる糖負荷試験を行うことがあります。
75gブドウ糖水溶液を飲む前と飲んだ後30分、60分、120分の採血をします。
採血時間がずれるといけないため、看護師は糖尿病患者にもタイマーを渡しておくなど気をつかいました。
尿検査の蓄尿方法の説明
糖尿病患者の検査のひとつである尿検査は、糖尿病患者が蓄尿の方法や量などを間違うとやり直しです。
そのため、糖尿病内科病棟で働く看護師は、糖尿病患者へ尿検査をする際の蓄尿方法について、分かりやすく理解できるように説明を行うことも仕事です。
食事指導の日時を決めるために、看護師は患者とその家族との調整もしなくてはいけませんでした。
合併症などの検査
糖尿病患者に食事や運動の教育を受けてもらうとともに、合併症の有無を検査するのも教育入院の目的です。
- 早朝からの糖負荷試験
- 食前血糖測定
- 頚動脈エコー
- 末梢神経電動速度
- 眼科受診
- 腎機能検査
上記のように、教育入院クリティカルパスにはたくさんの予定が組み込まれているため、糖尿病内科病棟で働く看護師も、糖尿病患者も予想以上に多忙です。
そうした患者(もしくはその家族)は入院中にインスリン注射の手技を身につけ、血糖をコントロールするための食事療法や運動療法について学んでいかなければなりませんでした。
そして、看護師はこうした教育を患者のキャラクターに合わせながら行う必要があるのですが、なかなか一筋縄でいかないことも多いのが実態でした。
糖尿病内科病棟で看護師として働いて感じたことや特徴
私が糖尿病内科病棟に勤務し、働いて感じた看護師のメリット・デメリットや、糖尿病内科病棟の特徴について説明していきます。
混合病棟であることが多い
糖尿病内科病棟は糖尿病単科であることは少なく、他の診療科と混合病棟になっていることが多いです。
糖尿病内科と混合になる診療科は、例えば腎臓内科等です。
糖尿病の合併症でも腎不全は特に深刻なものです。そのため、指導や本人の努力の甲斐なく透析導入になるケースもあり、糖尿病から腎不全を一連の流れととらえ、腎臓内科と一緒の病棟になっていることがあります。
整形外科や脳神経外科は、手術や入退院などで忙しいことが多いため、元気な糖尿病患者は何かと後回しにされることがあります。
自覚に欠ける困った糖尿病患者もいた
教育入院の糖尿病患者は、とても元気です。特に会社員で入院している方は、糖尿について教育を受けるため堂々と仕事を休めます。
会社に行かず堂々と仕事が休めることに優越感を得て、病院の規則を守らないなど、入院患者としての自覚に欠ける困った糖尿病患者もいます。
入院中に糖尿病患者が羽目を外すことがないよう、看護師がしっかり目を光らせておくことが大切でした。
糖尿病患者の所在が不明になりやすい
教育入院の糖尿病患者の多くは、自覚症状がなく身体は元気です。
検査がないと退屈を感じ、病院内を散策する人が多く、検査の呼び出しがあっても病室にいない事が多かったです。
病室にいない場合、看護師が病院内を探し、携帯電話を鳴らして帰ってきてもらうことも多々ありました。
また、病院の売店では物足りず、敷地外のコンビニなど許可されていない場所に出掛ける糖尿病患者もいました。このように、自由な行動を取る糖尿病患者が多いのも養育入院の特徴であるように感じました。
コミュニケーション能力が向上した
糖尿病の指導内容は、糖尿病患者にとって受け入れやすい物ばかりではなく、嫌だと感じる内容も多いです。
糖尿病内科に入院している、様々なタイプの糖尿病患者に出会い、その糖尿病患者に合った方法を模索しながら指導をしていくうちに、コミュニケーション能力がついてくると感じました。
糖尿病患者が置かれた立場や、仕事の忙しさ、好きな食べ物を我慢しなければいけない辛さも理解することが大切でした。
また、糖尿病と診断された気持ちに配慮も必要ですし、社会的地位によっては若い看護師からの指導を拒む患者もいました。
合併症についての知識が学べた
糖尿病において心配されるのが、血糖値の上昇だけでなく、合併症の存在です。神経障害や網膜症、また腎症などは、糖尿病の患者が特に併発しやすい合併症です。
糖尿病内科病棟の看護師は、糖尿病はもちろん、糖尿病患者が起こしやすい合併症についても知識を持ち、その兆候が表れていないかを特にチェックする必要があります。
そのため、糖尿病内科病棟で働くことで、合併症についての知識が学べたと感じます。
糖尿病患者の家族との連携が大変
家族と同居で糖尿病患者本人以外が食事を作っている場合、退院後に家族全体のサポートが必要なため、看護師として大変だったことをよく覚えています。
その場合、家族に来院してもらい、これまでの食事内容を改めるため、栄養士から適切な食事指導を家族が受けてもらいます。
家族が糖尿病患者に対して「理解があるか、ないか」によっても指導方法や今後の経過も変わります。
また、家族への指導は食事だけではありません。
セルフケアが出来ない高齢の糖尿病患者に、インスリン注射が必要な場合、血糖測定の方法から注射の仕方まで看護師が家族に指導します。
家族の繰り返しの来院と、インスリン注射が必要な食前にも来院が必要になりますが、そう都合良く来てもらえない事も多かったです。
そのため、糖尿病患者のその家族への指導に、長い期間を要することがありました。
患者がほとんど年配の方だった
最近は若年性の糖尿病が増えていますが、患者の多くはある程度年配の方でした。
患者より年下の看護師からの指導に、理解を得られない場合もあり、医師や先輩看護師、患者の家族などに上手く働きかける視野の広さも、糖尿病内科病棟の看護師として大切でした。
コミュニケーションを取るのが苦手な看護師にとっては、糖尿病内科病棟は辛いことも多いかもしれませんが、治療の成果が出たときの達成感は、他の診療科よりも感じやすいと私は感じます。
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対応配属先 | 病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
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対応 診療科目 | 美容外科、小児科、産科、婦人科(レディースクリニック)、整形外科、循環器内科、心療内科、消化器外科、心臓血管外科、スポーツ整形外科、脳神経外科、眼科、形成外科、消化器内科、歯科、精神科、血液内科、外科、内科、神経内科 |
対応配属先 | 病棟、外来、手術室、内視鏡室、ICU、透析、救急外来、訪問看護、管理職の仕事 |
対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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まとめ
糖尿病は「国民病」とも言われるくらい、多くの日本人に蔓延している疾患であり、どこの病棟に所属しても必ず糖尿病の患者はいます。
さらに、糖尿病を専門としていない病棟でも、基礎疾患に糖尿病がある患者は大勢入院してきます。
だからこそ、看護師として糖尿病内科である程度の経験を積めば、ここで得た知識は必ず他の診療科で活かすことができます。
もし、今後スペシャリストの看護師を目指していきたいと考えているのであれば、糖尿病内科で3年勤務することで、糖尿病看護認定看護師(日本看護協会)の資格取得への道が開けます。
糖尿病以外の分野でのスキルアップは望めませんが、糖尿病患者は現在でも増加傾向にあるため、知識と経験を積んでおけば看護師転職においても不利にはなりません。
是非、糖尿病内科病棟を一度経験してみてはいかがでしょうか。
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設立 | 2015年6月 |
資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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厚生労働大臣許認可 | 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) 特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
連絡先 | 03-5324-3939 (受付時間:休日、祝日を除く10:00~17:00) |
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