訪問看護師に向いている人・向いてない人【体験談】
近年、「地域で働く訪問看護師を経験したい」と考える看護師が増えてきています。
現在もパート看護師として訪問看護の現場に携わっていますが、その中で、訪問看護師に向いている人と向いていない人の特徴があることに気づきました。
訪問看護師として働く中で、「自分には訪問看護が向いていなかったかも」と後悔しないために、訪問看護師に向いている看護師の特徴と、向いていない看護師の特徴を、私の経験をもとにお伝えします。
執筆・監修看護師- エリア:神奈川県在住
- 保有資格:看護師、がん看護専門看護師、消化器内視鏡技師、心理相談員
- 経歴:がん専門病院、総合病院、クリニック、総合病院、訪問診療クリニック
- 専門分野:消化器内科、透析室、内視鏡室、放射線治療室、泌尿器科
看護師をして20年以上になります。外来・病棟・検査室・クリニックなど、いろいろな場所での業務を経験しました。ですが、一時は看護師をやめようと思ったほど、心身共に追い詰められた時期もあります。現在は、看護師も続けつつ、ライターやカウンセラーとしても活動しています。
訪問看護師に向いている人の特徴
私の経験をもとに、訪問看護師に向いている人の特徴を説明していきます。
日常生活行動のケアすることが好きな方
訪問看護師は、ほぼ一人で利用者の自宅を訪問し、看護ケアを提供します。
そのため、時には食事をとれていない利用者のために料理を温めたり、汚れたシーツを交換したり、入浴を介助したりと、様々なケアが求められることがあります。
これらのケアは、利用者の日常生活を支えるために非常に重要な訪問看護師の仕事です。
したがって、食事や清潔保持など、日常生活行動のケアを楽しめる方は、訪問看護師に向いていると言えるでしょう。
看護師の体験事例
私が勤務していた訪問看護ステーションでは、利用者の自宅を訪問する場合に、生活環境に合わせてケアを調整することが求められました。
例えば、ある利用者は動けない状態が続き、自宅での入浴が困難だったため、訪問時には入浴介助が求められました。
一人の利用者(患者)にじっくり関わりたい方
訪問看護師は、一人の利用者に対して、契約で決まった時間のすべてを、一対一でじっくりと関わることができます。
看護師が1日に対応できる利用者の数は限られていますが、その分、個別に応じた丁寧なケアが可能です。
一人ひとりに深く向き合い、その利用者(患者)に合ったケアを提供したいと考えている方には、訪問看護師は非常に適した職業です。
看護師の体験事例
しかし、訪問看護師として働き始めてからは、一人の利用者に対してしっかりと時間をかけてケアできるようになり、看護師としての役割に満足感を感じています。
家族ケアやコミュニケーションが好きな方
在宅にいる利用者に一番長く接し、排泄や体位交換などの日常的なケアを行うのは、主に利用者の家族です。
そのため、訪問看護師として、家族が介護負担を軽減しつつ、できるだけ長く在宅ケアを続けられるようサポートすることが求められます。
したがって、利用者だけでなく、その家族に対しても細やかな気配りやサポート、ができる看護師や、家族とのコミュニケーションが苦にならない看護師は、訪問看護師に向いているでしょう。
看護師の体験事例
そのため、訪問看護師として利用者の家族と適切にコミュニケーションを取り、家族が適切なケアを提供できるようにアドバイスを行うことが重要です。また、家族の精神的な支えとなることで、在宅生活の継続を支援する役割も果たします。
私の経験ですが、利用者の家族は心身ともに疲れている場合が多く、訪問看護師には高いコミュニケーション能力が求められました。
創意工夫が好きな方
訪問看護は、物品や空間が限られた利用者の自宅で行われます。
そのため、訪問看護師は限られた環境や物品、材料を活用して、利用者のケアを行う必要があります。
また、初めて在宅看護を行う家族は、物品が不足していたり、やり方が分からなかったりすることが多いです。病院看護と同じ目的を持ちながらも、物品を工夫して代用したり、ケアを簡略化したりする必要が出てくることもあります。
このように、看護師としての仕事に対して創意工夫が好きな方は、訪問看護師に向いているでしょう。
看護師の体験事例
そのため、どの物品を使って、どのように点滴を固定するかなど、その場での創意工夫が求められました。訪問看護師は、与えられた環境の中で最善のケアを提供するための柔軟な対応力が必要だと感じました。
限られた物品や状況の中で工夫しながらケアを行うことが楽しいと感じる人は、訪問看護師に向いていると感じます。
多職種と関わることが好きな方
在宅医療を受ける利用者には、さまざまな職種の方が関わっており、訪問看護師もその一員です。
例えば、主治医をはじめ、ケアマネージャー、介護士、薬剤師、理学療法士、マッサージ師など、多くの職種が利用者のケアに携わることがあります。
そのため、訪問看護師として、時には利用者のケア方針について他職種と話し合い、協力してケアを進める必要が出てきます。
このように、多職種と関わりながら協力することが好きな方は、訪問看護師に向いているでしょう。
看護師の体験事例
他職種と上手にコミュニケーションを取り、協力して利用者のケアを行うことができる看護師は、訪問看護師に非常に向いていると感じます。
移動や車の運転が苦にならない方
勤務する職場によって異なりますが、訪問看護師は1日に3件~5件程度の利用者の自宅を訪問します。
その際、電動自転車や車、公共交通機関など、さまざまな移動手段を使うことになります。特に車を使用する場合、慣れない場所や住宅街での運転が必要になることもあります。
そのため、車の運転が苦にならない看護師は、訪問看護師に向いているでしょう。
看護師の体験事例
しかし、徐々に車の運転にも慣れていくことができました。
そのため、訪問看護師を目指すなら、住宅街での車の運転に事前に慣れておくことが重要です。また、車の運転に不安がある場合は、自転車で移動できる勤務先を選ぶことや、ペーパードライバー講習を受けて運転スキルを向上させる方法も有効だと感じます。
訪問看護師に向いていない人の特徴
私の経験を含めて、訪問看護師に向いていない人の特徴を説明していきます。
医師の指示がないと動けない方
訪問看護師は、主治医からの訪問看護指示書に基づいてケアを行います。
しかし、一般的に訪問看護指示書には、病院で医師が出すような細かな指示が書かれているわけではありません。
利用者の病状が変化した際には、訪問看護師が現場で適切にアセスメントを行い、医師に状態を報告して新たな指示を仰ぐ必要があります。
そのため、常に医師の指示がないと患者さんへの対応やご家族への説明ができないと考える看護師には、訪問看護師の仕事は向いていないかもしれません。
看護師の体験事例
病院ではナースステーションに戻って他のスタッフに報告したり、助けを求めたりできますが、訪問看護ではそれが電話連絡になります。つまり、病院のベッドサイドで行っている患者ケアが、訪問看護では自宅のベッドで行われているにすぎない、と感じることもあります。
また、今後は訪問看護師が包括指示を使いこなし、将来的には死亡確認を訪問看護師が行うことができるようになる可能性もあります。医師の指示待ちに頼る看護師は、訪問看護師としては力量不足と見なされることもあるでしょう。
電話対応が苦手な方
訪問看護師には、患者やその家族だけでなく、主治医やケアマネージャーなど多くの関係者から電話での連絡が頻繁にあります。
そのため、電話対応が苦手な看護師は、訪問看護師に向いていない可能性があります。
利用者の自宅に訪問する看護師は基本的に1人のため、電話対応は避けることができない業務です。
看護師の体験事例
対面でのコミュニケーションに比べ、電話での会話では相手の気持ちを不用意にいらだたせてしまうこともありました。しかしその一方で、声を聞くだけで相手を安心させ、臨時の訪問を回避できたことも何度かありました。
電話対応が苦手で、できるだけ電話を避けたいと感じる看護師は、訪問看護師には向いていない可能性が高いと感じます。
他人の家に入ることが苦手
他人の家に入ることが苦手な看護師は、訪問看護師に向いていない可能性があります。
訪問看護師が訪問する家が常にきれいに掃除されているとは限りません。中には、靴のまま入りたいと感じるほど汚れている部屋に入らなければならないこともあります。
ダニやほこりにアレルギーがある方や、他人の家に上がること自体をストレスに感じる看護師は、訪問看護師としての仕事に向いていないかもしれません。
看護師の体験事例
しかし、どうしても他人の家に入ることに抵抗がある場合、私は直接触れないように手袋やスリッパ、靴袋(靴にかぶせるビニール袋)を使用したり、マスクを2枚重ねたり、メガネをかけることもあります。また、ヘビースモーカーのお宅では、匂いがユニフォームに付くため、衣類用の消臭スプレーを使って次の訪問に備えることもあります。
すべての環境を完全に快適に感じることは難しいですが、私は「今、この訪問だけ」と割り切って気持ちを仕事モードに切り替えるようにしています。
十分な物品がないと不安な方
訪問看護ステーションでは、衛生材料や医療物品は最小限しか用意されていません。さらに訪問看護師は、訪問先の利用者宅にある物品を工夫してケアを行う必要があります。
また、病院で当たり前に使用していたガーゼや固定用テープ、手袋なども、限られた量で対応しなければならないことがほとんどです。
そのため、病院で使っていたような物品がないと不安で仕方がないと感じる看護師には、訪問看護の仕事は向いていないかもしれません。
看護師の体験事例
私が初めて利用者宅を訪問したとき、病院で使用していたような医療物品が揃っていないことに驚き、最初は戸惑いを感じました。しかし、これは訪問看護師としてのスキルが試される場面でもあり、工夫次第でその不安を克服できると実感しました。
訪問看護が不安な方へ先輩看護師からのアドバイス
私の経験をもとに、訪問看護師に向いている人の特徴と、向いていない人の特徴をお伝えしてきました。この内容を読んで、少し訪問看護師として働くことに不安を感じた方もいるかもしれません。
ここからは、初めて訪問看護師として働く際に不安に感じることについて、アドバイスをさせていただきます。
看護経験が浅い不安がある方
看護師としての知識や経験が浅いと、訪問看護で様々な疾患を扱うことに不安を感じるかもしれません。特に、若い看護師の中には高齢者とのコミュニケーションに自信がない方も多いでしょう。
しかし、看護師としてのスキルやコミュニケーション能力が完璧でなければ訪問看護が務まらない、というわけではありません。教育体制が整っている訪問看護ステーションであれば、初めのうちは看護師の先輩と二人で訪問し、直接観察項目や利用者の特徴、家族の背景を学ぶことができます。
最近は、教育体制の整った訪問看護ステーションが増えており、「新人OK」「看護師経験不問」という求人も多く見られます。安心してスタートできる環境が整っているところを探すと良いでしょう。
訪問看護未経験で不安がある方
看護師としての経験があっても、訪問看護は未経験という方は多いです。病院や施設ではベテラン看護師でも、訪問看護は特別な領域と感じ、不安に思うこともあるでしょう。
よく耳にするのが、「訪問看護は1人でケアし、1人で判断しなければならない。」「病院や施設では、診療科や患者の疾患がある程度決まっているが、訪問看護では疾患や病態が多岐にわたるため対応できないのでは」という声です。
確かに訪問看護では、さまざまな疾患や病態に看護師として対応しますが、その多くは病状が安定している利用者です。
急性期患者のように観察項目を暗記する必要はなく、急変の兆候はどの疾患でも「全身状態やバイタルサインの変化」といった共通のものです。
そのため、看護師として特別な知識が求められる場面は少なく、診療科に関わらず、患者の観察力と家族とのコミュニケーション力があれば、訪問看護師として十分対応することができるでしょう。
一人で訪問するのが不安な方
病院や施設で多くのスタッフに囲まれてケアをしていると、訪問看護のようにすぐそばに相談できる相手がいない環境に不安を感じるかもしれません。
特に、自分一人で処置やケアを行い、その結果を誰もすぐに確認しないという状況は、病院では考えにくく、責任が重く感じられることもあります。
確かに訪問看護では、一人で利用者宅を訪問し、対応する場面が多いです。
しかし、訪問看護ステーションには他の訪問看護スタッフや上司が在籍しており、困った時や判断に迷った時には、電話やメールで指示を仰ぐことができ、全てを一人で抱えるわけではありません。
チームとしての情報共有も徹底されており、訪問後の報告やカンファレンスでケアの方向性を確認しています。
最近では、皮膚の変化などを画像で共有し、メールで指示を受けることも増えています。
訪問看護では、報告・連絡・相談を通じてケアを進めるため、訪問した看護師一人の責任に全てがかかるということはほとんどないでしょう。
看護技術が発揮できない不安がある方
先端医療の現場で働いてきた方には、訪問看護は生活援助の要素が強く、これまで培った看護技術や知識を発揮する機会が少ないのでは、と不安に思うこともあるでしょう。
身につけた技術や知識が無駄になり、看護師としてのキャリアが停滞してしまうのでは、と感じるかもしれません。
確かに、訪問看護では先端医療の機器や治療方法を扱うことは少なく、そういった技術や知識を直接活かす機会は少ないでしょう。
しかし、看護師としてのこれまでの経験は、利用者が受ける治療の説明や、苦痛を理解する上で非常に役立ちます。病院での経験を活かして、他の訪問看護師とは異なる視点で在宅ケアを提供できるはずです。
さらに、訪問看護を通して、病院とは異なるケアの技術や家族看護を学ぶことができます。この経験は、将来的に看護師として病院に戻った際にも役立つはずです。
そのため、訪問看護で得た知識と経験は、看護師としてのキャリアをより広げるものとなると、私は考えています。
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非公開求人 | 豊富 |
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対応 勤務形態 | 常勤、非常勤、日勤のみ、夜勤専従 |
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対応エリア | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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まとめ
訪問看護は、病院や施設での看護とは異なり、多くのスキルや知識が求められる分野です。
訪問看護師に向いている人は、日常生活のケアを楽しめる方、一人の利用者にじっくり向き合いたい方、家族ケアや多職種との連携が得意な方、そして、創意工夫や柔軟な対応力を楽しめる方です。また、移動や車の運転が苦にならないことも重要なポイントです。
一方、訪問看護に向いていない方は、医師の指示がなければ動けない方や、電話対応が苦手な方、他人の家に入ることに抵抗がある方、また、物品が十分にない環境に不安を感じる方です。
訪問看護師として働く上で不安があるかもしれませんが、教育体制が整ったステーションや相談しやすい環境を選べば、これまでの経験を活かしながらキャリアを積んでいけるでしょう。
焦らずゆっくりと業務に慣れ、利用者やその家族との関係性が深まっていくことが、訪問看護の醍醐味です。
「私には向いていないかも」と諦めずに、ぜひ挑戦を続けてください!
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所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂3丁目1-16 BIビル6F |
代表取締役 | 辻󠄀 昌彦 |
設立 | 2015年6月 |
資本金 | 14,000,000円 |
事業内容 |
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厚生労働大臣許認可 | 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) 特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
連絡先 | 03-5324-3939 (受付時間:休日、祝日を除く10:00~17:00) |
お問い合わせ | https://peko.co.jp/inquiry |
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