現在病院に勤務していますが待遇が良い職場に転職を考え、働きながら転職活動を行いました。面接時に入職日を聞かれ、内定後にも「その日で問題ありません」と決定をしました。しかし、思ったより師長(上司)の引き留めに合い、人手不足や業務の引き継ぎなどの様々なことを言われ、決定した入職日に間に合いそうにありません。どのように対応することが適切でしょうか。(28歳/看護師)
基本的に双方で入職日を決め、内定を承諾している場合は、原則変更することはできません。(口頭での約束だとしても、守ることがマナーです。)
退職の引き留めに合っている場合は、もう一度希望日に退職できないか、交渉することをおすすめします。
どうしても、入職日に間に合わない場合は、すぐに連絡を行い、事情を説明し変更してもらえるかどうかを確認、お願いしてみましょう。
また、入職日の変更を行う場合は、1回までとし、延期する期間も1ヶ月を超えて延期することは難しい(内定取り消しになる可能性が高い)と考えておきましょう。
- 看護師転職サイトなどの転職エージェントを利用している場合は、専任の担当者に先に連絡を行ってみましょう
- ご自身や、求人サイトからや直接応募で転職を行っている場合は、以下の対処法を確認してください
目次
現在の勤務先に希望日で退職できないか改めて相談しよう
現在勤務している職場で、引き止めに合っている場合などは、改めて希望日に退職することが出来ないか上司に相談してみましょう。
今後、働き続ける職場に迷惑をかける方が、あなた(看護師)にとってはリスクである場合が多いと言えます。
そのため、以下で説明する方法で、再度、希望の退職日の交渉を行いましょう。
看護師の退職に関するルール
民法第627条第1項では、労働者には「退職の自由」があり、退職の意思表示から2週間(14日)が経過すると、雇用関係を終了(退職)することが可能です。
(退職願、退職届を出していない場合でも、口頭で伝えていたら有効と言えますが、提出していない場合は退職願をすぐに提出しておきましょう。)
そのため、退職を希望する看護師は、自由に退職することは可能です。
しかし、法律を口にしてしまう場合、現在の勤務先とトラブルになる可能性もあるため、なるべく以下の方法で解決するように試みてみましょう。
民法第627条第1項民法第627条第1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。(出典:民法第627条第1項)
直属の上司よりさらに上の役職者に相談する
例えば、師長などに引き止めに合い困っている場合は、その上の役職者である看護部長や人事・総務担当者に相談することも一つの方法です。
ある程度の役職者であれば、先ほど説明した「退職に関するルール」を理解している場合が多く、間に入り解決をしてくれる場合もあります。
既に、入職日の変更を余儀なくされているため、波風立てずに退職を希望することは諦め、希望日に退職することに専念しましょう。
転職先が決まっていることを伝える
看護師が現在の勤務先で引き止めに合い、入職日を変更しなければならない理由としては、現在の勤務先に退職後に転職することを伝えていないことが挙げられます。
そのため、以下の方法で理由を伝えましょう。
- 退職を希望してから転職先が決定したことを伝える
- 退職したい理由は退職を納得してもらうための理由を伝えてしまい、本当は転職し、転職先がすでに決定していることを伝える
ご自身が説明した、退職理由に合わせて伝えましょう。
法律の観点からも退職理由は「一身上の都合」で十分であることから、嘘をついたことは、誠意をもって謝罪し、嘘をついた理由を説明し希望日に退職を了承してもらいましょう。
転職先の業務に支障が出ることを伝えてみる
直属の上司に引き止めに合っている場合、その上の役職者や、総務担当者に転職先の業務に支障が出ることを伝え、退職する方法も有効です。
また、新しい転職先に起こってしまう実害の例を挙げながら説明すると良いでしょう。
例えば、以下のことを伝えましょう。
- 内定取り消しになった場合
- 転職するためすでに引っ越しを決めてしまった場合
- 転職先で行われる研修等に間に合わなくなる場合
以上のことを伝え、そのような場合には「病院・施設としてどのように対処してくれるのか」を聞いてみましょう。
円満に退職することは難しいかもしれませんが、希望日に退職することは可能になると言えるでしょう。
転職先へ入職日変更の交渉をするポイント
看護師が何らかの事情で入職日を変更しなければならない場合は、以下のルールを守り、どれだけあなた(看護師)が変更しないように努めたか、誠意をもって説明することが大切です。
- 入職日の引き延ばしは、最大30日(1ヶ月)前後だと心得ること
(1ヶ月以上の場合は、内定取り消しされても仕方がないという気持ちで臨んでください。) - 入職日を引き伸ばす場合は、1度のみしか行わないこと
- 入職日を引き伸ばす場合は、変更する希望日時を明確にすること
以上のことを確認してから行ってください。
変更する希望日が曖昧な場合、変更する交渉にならない可能性もあるため、注意しましょう。
現在の勤務先の引き止めに合っている場合
現在の勤務先に引き止めに合っている場合は、まずは以下のことを記録し、書き出してみましょう。
- 退職を伝えた日時と伝えた役職者
- 退職を伝えた際の上司、病院・施設の対応内容
- なぜ、退職する日を希望日に合わせてもらえなかったか
- 繰り返し退職交渉した経緯
上記を確認し、新しい勤務先には上記の経緯をなるべく詳細に伝え、入職日の変更が出来ないか交渉してみましょう。
丁寧な謝罪と、詳細の経緯を伝えることで、納得してもらう必要があるため、具体的に説明しましょう。
また、看護師転職サイト(看護師専用の転職エージェント)を利用している場合は、上記のことをまずは担当者に伝えてみましょう。
家庭の事情や自己都合の場合
家庭の事情で入職日を変更する場合は、新しい勤務先が納得する理由であることが前提となります。
納得する理由の例は以下の通りです。
- 親の介護の必要性が出た場合
- 病気や怪我で一定期間働けない場合
- 身内に不幸があった場合等
上記の理由は、新しい職場と話し合う必要があるため、謝罪と共に現状の報告・相談を行うと良いでしょう。
勤務先が納得する理由でない場合、交渉は難しいと言えますし、内定取り消しにならない場合でも、あなたの評価を下げる原因にもなるため、交渉はやめておきましょう。
働きながら看護師転職時する場合の入職日決め方のポイント
看護師として転職する場合、特に看護師不足の病院・施設では、早くあなたに入職してほしいと感じるものです。
看護師面接時における入職日の対応
回答例
「現在勤務中のため、引継ぎも含めて2ヶ月~3ヶ月程度で退職は可能だと思います。そのため、内定後に正確な日時をすぐに、ご報告いたします。」
ポイント解説
面接時に退職予定日が分からないとも回答することが出来ないため、以下のことを行っておきましょう。
- 同じ職場で以前の退職した看護師など、退職日に掛かった期間を確認しておくこと
- 引継ぎに時間が掛かることを説明し、責任感もアピールしておくこと
- 余裕を持ったスケジューリングを行うこと
以上を行うことで、内定後の入職予定日が大幅にずれてしまうことは防ぐことが可能です。
また、正確な日時を伝えていないため、変更も行いやすいと言えるでしょう。
注意点としては、「6ヶ月後」などの長期期間を伝えられると、転職先も困ってしまうので、一般的には1ヶ月~最大3ヶ月程度といえます。
内定時における入職日の対応
回答例
「職場の上司に退職を伝え、正確な退職日時、入職可能な日を確認してからご連絡させていただきます。また、●月●日までには報告いたします。」
ポイント解説
内定時に入職日の即断を求められても一旦「持ち帰る」「確認する」ように、対応することがポイントです。
また、転職先に報告日を伝えることで、安心してもらうことが可能です。
もしも、退職時の引き留めに合い、退職日が決定しない場合でも、伝えた報告日に現状の報告も含めて連絡を行いましょう。
募集時に入職日が決まっている場合
通年採用を行っている病院などは、中途採用の看護師でも教育やスケジュールの観点から「4月1日」や「10月1日」など、すでに入職日が決まっている場合があります。
それを分かった上で、面接に来ている前提で話を進められるため、「入職日に間に合いますか?」と言う質問をされますが、退職を報告していない場合は、以下のように回答しましょう。
回答例
「入職日が決まっていることは存じていますが、職場の上司と退職の相談をまだ行っておりません。引継ぎも含めて、十分に退職することが可能だとは考えています。また、看護師として、しっかりと引継ぎは行いたいため、退職を報告し、間に合わなかった場合には、ご縁がなかったと考えています。」
ポイント解説
どうしても転職したい職場であれば、「入職日は問題ありません」と回答してしまう可能性がありますが、こちらも誠意をもって事情を説明することで、あなた(看護師)への信頼感が生まれます。
また、引継ぎは必ず行いたい(立つ鳥跡を濁さず)という旨を説明しておくことで、責任感をアピールできます。